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【Next '25 現地レポ】
Lookerの最新情報と活用事例をご紹介

 2025.05.03  電算システム 鈴木 万絢

Google Cloudへの熱狂の中、ラスベガスで開催されたGoogle Cloud Next ‘25。
会場はとにかく生成AIの話題で持ち切りで、革新的な新機能が続々と紹介されました。
そんな中で私が最も関心を持っていたのは、Lookerでした。

本記事では、私が参加してきたセッションの中で、Lookerの最新情報は勿論、活用事例のセッションについてご紹介致します。
AIとLookerの融合によるこの先の更なる進化について、是非期待を膨らませ、楽しみながらお読みください。

Next '25 で発表!Looker の未来を切り拓く革新的なアップデート

Google Cloud Nextでは、Lookerの最新情報も発表されました。
『Lookerレポート(Looker Reports)』『会話分析コードインタープリター(Conversational Analytics Code Interpreter)』『会話分析API(Conversational Analytics API)』『継続的インテグレーション機能(Continuous Integration capabilities)』が今回紹介されたLookerの最新情報です。
写真は『What’s new in Looker : AI for BI』のセッション会場で表示されていたスライドです。

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それぞれどのような機能なのか、そしてそれを受けた私個人の感想を併せて紹介していきます。

Lookerレポート(Looker Reports)

Lookerレポートが、Studio in Lookerで利用可能になります。Looker上で、Looker Studioのレポートの構築が可能になり、より強力なデザイン性やビジュアリゼーションを携えたレポートの作成が可能です。また、Looker Studioの特徴であるリアルタイムのコラボレーションが行えるほか、テンプレートを使用することができます。また、このレポート環境は、Lookerのガバナンスの効いたフレームワークの中で、既存のLookerダッシュボードやExploreと連携して機能していきます。

Looker StudioからLookerを知り、Lookerを使い始めた方にとってはLookerが更に触りやすいアプリケーションになったのではないかと思いました。Looker Studioのレポートは権限管理やフォルダを使った管理に頭を悩ませてきたところもありました。Looker インスタンス上で、フォルダを自在に分けて管理が出来る点や、フォルダに対するLookerの強力な権限管理等を組み合わせることで、今まで以上にLookerレポートを活用できそうだと考えています。

会話分析コードインタープリター(Conversational Analytics Code Interpreter)

Next ’25で発表された『会話分析コードインタープリタ(Conversational Analytics Code Interpreter)』。

従来の会話分析とは、また一味異なる会話分析を行うことが出来そうな印象を受けます。会話分析コードインタープリタは自然言語の質問を、SQLではなくPythonコードに変換します。そのため、SQLのみでは為しえない分析を可能にします。2025 年第2四半期からプレビュー版で使えるようになるようなので、楽しみです。プレビューが利用可能になったときの通知は、会話分析コードインタープリタのドキュメントの問い合わせフォームから登録をすることが可能です。是非、登録して一緒に新しいLookerの会話分析をいち早く体験しましょう。

SQLが書けない人向けの会話分析が売り文句でしたが、Pythonまでも対応するとなると、更にユーザーのデータ活用に期待が持てそうです。また、2025年の後期には、会話分析のチャットのページだけでなく、Lookerレポートやダッシュボード上でも扱えるようになる予定があるようなので期待です。

会話分析API(Conversational Analytics API)

発表されたときに、衝撃を受けました。会話分析をLookerのインターフェースの枠を超えて活用することが出来るようになります。会話分析APIを使用することにより、社内ツールであったり、ワークフローに直接組み込むことができるようになるため、柔軟に様々なことに対応することができ、大きなインパクトを与えると考えています。Lookerの最大の特徴であるともいえるセマンティックレイヤーをバックエンドとするこの機能は、データガバナンスの担保がしっかりとされています。

分析に誤ったデータや、人によって見るデータや計算が異なってしまうというデータエラーを限りなく減らすことができるでしょう。Agent Spaceを使用して、この会話分析APIを使用したLookerエージェントの管理も可能なため、一元的なアクセスや迅速な導入も実現可能となっています。

Lookerのインターフェース内でしか使うことのできなかった会話分析が、他でも使えるようになるのは大きい変化だと感じました。LookerはAPIを使用して操作ができるほか、APIファーストな機能が多数搭載されています。カスタマイズ性の高さもLookerの売りのひとつだと考えているので、会話分析APIが公開されたことによって、更なるLookerの活用方法が広がりそうだと思いました。

継続的インテグレーション機能(Continuous Integration capabilities)

個人的にこちらも大きなアップデートだと感じました。Google Cloud によってSpectacles.devが買収されたことによって実現した機能です。Lookerの開発時に、コード管理や特にテスト、更にリリース作業に不便さを感じていました。例えば、LookML自体に問題がなくとも、いざmasterにあげてみるとSQLにエラーが出てきたりだとか。出来れば、masterにマージする前にそのような現象は検知しておきたいところでした。Spectaclesは、そんなLookerの手が届かぬところを助けるようなサードパーティCIツールでした。未使用コンテンツや未使用のLookMLの検索や、Git Hubへプルリクエストを上げる際にSQLやコンテンツ、スタイル、LookMLのテストを自動で行うほか大変便利な機能を備えています。そのSpectaclesがネイティブで使えるようになるのはとても期待が大きいです。

Next ’25で聞いてきた。Looker活用デモ

革新的なLookerの最新アップデートや既存のLookerの機能。
それらの活用事例やユースケースの紹介が他のセッションで行われていました。
具体的な活用事例を知っていただき、更にイメージをわかせて頂きたいため、ご紹介いたします。

会話分析APIのデモとユースケース

『Build and deploy Looker agents for BI』というセッションでは会話分析APIの活用事例・ユースケースを紹介していました。会話分析を活用することにより、自然言語による質問を通じてデータ分析が可能になります。ビジネスにおける迅速な意思決定や効率化、高度なデータ活用を支援します。

セッションでは、Google ヘルスケアとGoogleリサーチによって作成された人口保健管理を革新するデモが紹介されていました。
医療責任者が、300万人の人口における感染リスクの高いセグメントを、ワクチン接種状況、収入、交通手段などのデータに基づいて特定し、予算配分の最適化に関する提案を行うシナリオを通じて、APIの高い精度と拡張性が示されていて、技術力の高さを感じました。
また、予算に関する質問に対して直接的な回答のみならず、もし余った場合の介入策の提案等、多角的な洞察を行うことができており、感心しました。

他にも、ファッション小売業者を例にしたユースケースも2つ挙げられました。
1.『販売製品カテゴリの分析とマーケティング施策』
2.『購入科学に基づく分類と時間帯別の注文数の分析、および介入策』

深い洞察を行うことができるAIだからこそのユースケースだと感じました。
1つ目は、売れ筋の商品カテゴリを特定し、データに基づいた顧客エンゲージメント戦略を提案してくれます。2つ目は。時間帯ごとの注文数の落ち込みを特定し、それぞれの顧客層に合わせた介入策を提案してくれます。従来、人が経験から行っていたこれらが、AIによって提案されることにより、迅速な意思決定を行うことが出来るようになります。ビジネスの速度がより加速していくことでしょう。

Looker Embeddedの収益の可能性

『Drive revenue growth and build better products with Looker Embedded』というセッションではデータの収益化戦略について語られていました。

データ分析ソフトウェアを売るのではなく、データやデータ機能のアクセスを販売することを強調しており、インサイトソリューションをパッケージ化して日次、週次、月次など異なるKPIでデータを提供することや、そこに行動分析や自動化、スケジューリング、データセットの組み合わせ等の機能を足して、更に顧客のデータ体験に付加価値をつけることで更なる強力な収益化戦略となることを話されていました。
実際の事例として、以下が挙げられていました。

  • ウェブサイト分析による中小企業支援
    ・顧客がウェブサイトのパフォーマンスと影響力を理解するのに役立つ動的なダッシュボードの提供
  • グローバルサプライヤーによるサプライチェーンの最適化
    ・リアルタイムの運用分析により物流を最適化し、サプライチェーンのインサイトをパートナーに提供
  • 高度なデータ分析による取引パターンと顧客行動の分析
    ・プレミアムレポートとして提供し、顧客はよりパーソナライズされたデータ体験を作成できる

確かに、Lookerならではの管理能力やカスタマイズ性で上記の事例は可能だろうと感じましたし、最適だと思いました。セッションにおいても焦点があてられており、開発の柔軟性と迅速性や、カスタマイズ性の高さからエンタープライズ顧客と中小企業顧客へ異なるアプローチが行えていることが話されていました。データの収益化に関する具体的な事例を聞くことができ、個人的には大きな収穫で、大変興味深いセッションでした。データプロダクトのパッケージ化からの販売までに至らずとも、企業内のそれぞれのチームに対するアプローチも同様に行えると考えています。

農業まで広がるデータ活用

個人的に印象に強く残っているのは『アメリカでのブルーベリー業界でのLooker活用』です。
この話は『Advanced analytics made easy: BigQuery and Looker for small teams』というセッションで行われていました。

複数のデータソースを統合して、生産者、販売者、輸送業者や倉庫業者、小売業者、消費者まで手広く支援するためにレポートの作成をLookerで行っていました。
BigQueryをデータウェアハウスとして、小売店の販売データや生産レベルデータ、非構造化データ、収穫データや気象データ等、様々なデータをBigQueryとLookerで一か所に集約し、統合しました。
Lookerのセマンティックレイヤーを通じて、データを得たいユーザーが容易にデータにアクセスすることができるようになるほか、ダッシュボードの共有の容易さからデータ利活用が進みました。
今まで経験や勘から行われていた意思決定がデータによって行われるという理想的な文化も醸成しつつあるようです。

更に、今後はGoogle Earth Engineと連携を行い、ブルーベリーの栽培地の状況や面積などの情報を分析して、より正確な収穫量予測をたてられるようにするほか、Geminiを活用し自然言語でデータに関する質問を行えるようにしていくという動きがあるようです。
様々なレイヤーのユーザーが同じデータを見て判断を行えるのは、やはりLookerの強みだと思います。

また、この取り組みには70%ものブルーベリー生産者が自主的に参加をしているようで、データ活用に対する熱い期待が感じられ、圧倒されました。

Lookerに関する最新情報が盛りだくさんのNext’25

初めて訪れたラスベガス──そして、ほぼ初めてと言っていい海外。期待以上に多くの不安もありましたが、Gemini を使った英訳や録音の文字起こし・翻訳機能のおかげで、Next ’25 を存分に楽しむことができました。
とりわけ印象的だったのは、Looker のセッション会場です。広大なホールに集まった大勢の参加者を目の当たりにし、「世界中にこれほど Looker に関心を寄せる人たちがいるのか」と胸が熱くなりました。国籍や言語の違いを超え、同じテーマに惹きつけられた人々が一体となったあの空気感は、今でも忘れられません。情熱あふれる現地の熱気に包まれ、とても心地よい時間を過ごせました。
今回ご紹介した Looker の最新情報や事例が、読者の皆さまにとって少しでもお役に立てば幸いです。Next ’25 in Las Vegas は幕を閉じましたが、2025年8月には東京版が開催されます。ご興味のある方は、ぜひ下記の URL からお申し込みください。

参加登録ページ:https://goo.gle/NT25_pt027

執筆者紹介

株式会社電算システム 鈴木 万絢
株式会社電算システム 鈴木 万絢
<プロフィール>
入社4年目。データエンジニアとしてデータ分析・活用に関するプロダクト、特にLookerに関する一連の構築や支援に携わる。何事も先ずはやってみよう、の精神。
顧客に寄り添い伴走する支援を心掛けています。気軽にご相談ください!

<保有資格>
・Associate Cloud Engineer
・Professional Data Engineer
・Professional Cloud Security Engineer
・Professional Cloud Database Engineer
・Professional Cloud DevOps Engineer
・Professional Cloud Developer
・Professional Cloud Network Engineer
・Professional Machine Learning Engineer
Associate Cloud Engineer Professional Data Engineer Professional Cloud Security Engineer Professional Cloud Database Engineer Professional Cloud DevOps Engineer Professional Cloud Developer Professional Cloud Network Engineer Professional Machine Learning Engineer