近年ではAIやIoTの発展に伴い、ビジネスにおけるデータ分析・活用が一般的となりました。ビッグデータを扱うためには、ただシステムやツールを導入するだけでなく、幅広い知識・経験を持ち、データ分析に精通した人材が必要です。そこで本記事では、データ分析に求められるスキルについて解説します。分析に役立つソリューションも併せてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
データサイエンティストの役割と必要なスキル
「データサイエンティスト」とは、企業が蓄積したさまざまなデータをデータサイエンス知識に基づき分析し、そこからビジネスにおける課題解決の糸口を見出す人材をいいます。ビッグデータを集積・分析し、有効活用できる形にまで可視化したうえで、企業に提供することが主な仕事です。その役割上、データサイエンティストに求められるスキルは非常に幅広く、データを加工するためのIT全般の知識はもちろんのこと、どのように加工するかを判断するための数学知識や統計解析スキル、ビジネススキルや思考力など、非常に多岐にわたります。
こうした思考的スキル・技術的スキルを両方兼ね備えた人材は稀有であり、また自社で育成しようにも相応の時間とコストがかかるため、データサイエンティストの市場価値は高騰気味にあります。特に市場ニーズの変化が著しい近年では、その傾向が顕著に見られ、ビジネスにおけるデータ分析の重要性が増していることが窺えます。
データ分析に必要な思考的スキル
では、ここでいう思考的スキル・技術的スキルとは、具体的にどのような能力を指すのでしょうか。まずは思考的スキルの詳細から見ていきましょう。
物事の背景を読み解く論理的思考力
データ分析においては、まずデータ分析の必要性を理解することが先決です。もっと平たく言うと、データ分析には必ず解決したい課題や目的が存在し、データ分析はあくまで、目的のための手段なのです。これを正しく理解していなければ、自社の課題解決を図ることはおろか、客観的な視点からの仮説立てもままならないでしょう。また、データ分析をする事そのものに満足してしまい、本来解決したい課題にたどり着けない、ということも起こりえます。
そして現状の課題を洗い出し、どのようなデータを分析すべきか、どのような結果を導き出す必要があるのかを検討しますが、これには物事の背景を読み解く論理的思考(ロジカルシンキング)が必須です。論理的に物事を捉えることで、データ分析に必要な情報や集計方法、処理の手順・方針などが定まっていきます。
ただし、論理的思考だけでは人によってバイアスが生じる可能性もあるため、仮説や分析の精度を必ずしも担保できません。そこで重要となるのが、情報を客観的・構造的に捉え、「本当にそうなのか」と自問する批評的思考(クリティカルシンキング)です。論理的思考と批評的思考の両面からアプローチし、課題解決や目標達成に必要なデータを取捨選択しましょう。
データを活かす能力
先にも述べた通り、そもそもデータ分析とは、何かしらの目的があって行うものです。そして、その結果に基づき経営戦略を打ち立て、自社の課題解決や新たな価値の創出などに役立てます。つまり、分析自体はあくまで手段に過ぎず、分析を終えて満足するようでは意味がありません。分析結果は有効活用して初めて価値を発揮するため、データを活かす能力は重要度の高いスキルといえます。
近年ではAIやIoT、モバイル端末などが広く普及しており、データを取得できる範囲が拡大しています。そこから得たデータを分析し、一体どのようなことがわかるのか、どのようなことに役立つのかを提示できれば、活用の目途も立つでしょう。したがって、ただ分析手法を覚えるだけでなく、答えを探究する知的好奇心や、組織の役に立つ結論を導出するビジネス感覚も養う必要があります。
手法を適切に選ぶ洞察と選択力
分析にはさまざまな手法があり、目的や扱うデータの特徴に応じて適切なアプローチをとる必要があります。それゆえ課題に対する仮説立てを行い、最も効果的な手法を推理する能力が求められます。
分析手法に関する知識が身についていないと、適切な選択ができないばかりか、分析結果の誤りにも気付けません。場合によっては、無益なデータと気付かずに分析した結果、徒労に終わってしまうことも考えられます。そのため、分析前に得られる結果を予測できるよう、分析手法に関する理解と洞察力を磨くことが重要です。
バランスのよいコミュニケーション能力
データを分析することだけがデータサイエンティストの仕事ではなく、そこに活用の可能性を見出し、提案できなければ意味がありません。その分析結果が何を意味し、いかに自社の課題解決に貢献できるかを、専門知識をもたない人にもわかりやすく伝えることが重要です。それゆえコミュニケーション能力を要するのはもちろん、プレゼンテーション能力や資料作成能力、提案力なども求められます。
またデータサイエンティストは、ときにPMやPMOなどの重要な役割を担うこともあります。こうしたケースでは現場レベルにとどまらない視野の広さと、経営層や管理者と同じ目線から意思決定を下せる判断力も必要でしょう。
データ分析に必要な技術的スキル
続いては、データ分析に必要な技術的スキルを見ていきましょう。当然ながら、分析技術がなければデータ分析は行えません。学術的な分野から、ビジネスへ応用させるための知識・経験に至るまで、幅広くカバーする必要があります。
プログラミングのスキル
膨大なデータを分析する際は、利用する情報の下処理と、それを適切に行うための指示が必要です。たとえば、データベースの構築やラベリングのルール決め、アルゴリズムの作成、集計方法や解析する計算式の指示、プラットフォームへのデータ統合・整理、ビジュアライゼーションするモデリングの設計、BIツールのダッシュボード活用などに必要な処理を行う場合は、プログラミングのスキルが欠かせません。
データ分析では、主に「R言語」か「Python」を使用することが多く、それぞれ得意不得意な領域があります。R言語はそもそも統計解析を目的として作られた言語で、機械学習や統計解析の結果をわかりやすく可視化することに優れています。データ分析に特化しているため、グラフ・図表の作成や、大量のデータの高速処理も得意です。
一方、Pythonも統計解析が可能な言語です。R言語と違い汎用性に優れ、データ分析だけでなくWebアプリケーションやサービスの開発にも利用されます。ほかにも、画像データの解析やテキストマイニング、機械学習、システム連携など幅広い分野で活躍できます。
どちらの言語を選ぶにせよ、高効率な分析を実行できるだけのコーディング能力と、必要な指示・処理が行える設計能力がともに不可欠です。業務内容や業界、ビジネス上の課題や目標に合わせて適切な言語を選びましょう。
バックエンドの知識
「バックエンド」とは、サーバサイドの処理やデータベースのシステムなど、ユーザーの目に見えない裏側部分のことを指します。バックエンドにおける処理やモジュールなどの仕組み、データウェアハウス(DWH)の基盤設計、ネットワーク環境の設定などの知識は、分析基盤の構築時に必要です。
特にデータベース言語の「SQL」は、データベースに保存されている大量のデータを取得・更新・削除・追加・操作・集計・検索・処理できるため、非常に重要度が高いスキルといえます。バックエンドへの理解が深まれば、企業や組織におけるITインフラから取得できる情報への理解も深まるため、知識として身につけておくことは大切です。
データ分析手段の知識
データ分析の手法にはさまざまなものがあり、分析するデータやそこから導き出したい結果などによって、最適な手法を選ぶ必要があります。当然ながら、各分析手法を適切に使いこなせるだけの知識や経験も重要です。代表的な分析手法としては、主に以下のようなものがあります。
・異なる属性同士の相関関係やトレンドを導き出す「クロス集計」
・事象の発生確率を予測する「ロジスティック回帰分析」
・ビッグデータから商品やサービスの関係性を発見する「アソシエーション分析」
・仮説を何度も繰り返し、起こり得る物事を予測する「決定木分析」
・似たもの同士のグループに分類する「クラスター分析」
また、データ分析を行ううえでは、「データマイニング」に関する知識を押さえておくことも大切です。データマイニングとは統計学や人工知能、パターン認識といった分析手法を網羅的に適用し、大量のデータから情報を抽出する技術のことです。分析には機械学習の活用も求められるため、こうした技術への理解があるとスムーズに運びます。
データ分析ツールの経験と知識
これまで述べてきた思考的スキル・技術的スキルですが、技術的スキルに関しては近年多くの画期的なツール・サービスの開発が進み、ツールを利用することでスキル面を大きくカバーすることができます。「データ分析ツール」とは文字通り、データ分析に特化した諸機能を有するツールのことです。データ分析では煩雑な処理や計算を必要とするため、これらの効率化を図るべくツールの導入が推奨されます。このとき、ツールに関する知見があれば、ツール選びに迷うことなくスムーズな導入が見込めるでしょう。
データ分析ツールにはさまざまな種類があり、企業によってはExcelのような表計算ソフトや、オープンソフトウェアであるR言語を用いた分析ツールを採用しているところもあります。分析の目的や規模感により最適なツールは異なるため、ツール選びの際は自社の要件をまず洗い出し、それらを満たしたものを検討することが大切です。たとえば、大量の情報処理や複雑な計算に用いるのであれば、「BIツール」の採用が望ましいでしょう。
BIツールとは「ビジネス・インテリジェンス・ツール」の略称で、企業が蓄積している大量のデータを分析・可視化するツールです。意思決定の判断材料として優れており、主に経営管理やマーケティングなどで活用されています。
代表的なものとしては、次世代型BIツールと名高い「Looker」があります。分析に必要な諸操作をワンストップでカバーしており、データ分析に長けた人材がいなくても導入しやすいのが特徴です。高精度かつリアルタイム性の高い分析機能や、視覚的に数値を確認できるダッシュボードなどの便利な機能も備えており、企業のデータ分析を力強くサポートしてくれます。
BIツール利用のススメ
BIツールとは「ビジネス・インテリジェンス・ツール」の略称で、企業が蓄積している大量のデータを分析・可視化するツールです。意思決定の判断材料として優れており、主に経営管理やマーケティングなどで活用されています。
代表的なものとしては、近年Google Cloudの仲間に加わった、次世代型BIツールと名高い「Looker」があります。Lookerは単なるBIツールにとどまらず「データプラットフォーム」を謳っており、分析に必要な諸操作をワンストップでカバーし、データ分析に必要なあらゆる工程を一元管理することができます。、これまで述べてきたようなデータ分析に長けた人材がいなくても、導入・活用しやすいのが特徴です。高精度かつリアルタイム性の高い分析機能や、視覚的に数値を確認できるダッシュボードなどの便利な機能も備えており、企業のデータ分析を力強くサポートしてくれます。
また、「LookML」という独自の言語(既存のもので言うと、データベースの操作言語であるSQLから派生しているようなイメージが近いです)を利用して構成されており、予め統一された書き方でコードを記述します。これにより、プログラミングによくありがちな「書いた人の癖が強く、コードの可読性が低い」という事態を事前に防ぐことができます。そのため、データ分析に利用するユーザーだけでなく、ダッシュボードやレポートを構築するエンジニアに対しても、メンテナンス面での運用負担を大きく軽減できる仕組みになっています。
まとめ
データ分析を行うためには、思考面・技術面の両方の分析スキルが必要です。IT人材の不足が叫ばれる昨今、それらを兼ね備えた人材は極めて希少で、採用コストが高い傾向にあります。そのため、専門家に頼らずデータ分析を自社で行いたい場合は、BIツールの活用がおすすめです。
Lookerに代表されるBIツールなら、わざわざデータ分析に長けた人材を採用しなくとも、スムーズなデータ分析環境の導入が可能です。業務や事業に合わせて適切なツールを導入できれば、ビジネスにおけるビッグデータの有効活用が実現し、自社の課題解決や市場競争力の向上につながるでしょう。
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