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データマネジメントとはビジネスでデータ活用するための取り組み|メリットや成功に導くポイントを解説

 2023.08.15  株式会社電算システム

自社が保有しているデータの管理に、課題を抱えている方は多いのではないでしょうか。デジタル化が進む現代では、企業は膨大なデータを取り扱っており、データの重要性が高まっています。データを適切に管理・活用できれば、データ分析の効率化やセキュリティリスクの低下が可能です。

そこで本記事では、データマネジメントの意味やメリット・デメリットなどについて詳しく解説します。データマネジメントの概要を網羅できる内容になっているため、ぜひ最後までお読みください。

データマネジメントとはデータをビジネスに活用できるように管理すること

データマネジメントは、データを管理・活用することです。現代では、テクノロジーの発展に伴い、企業は膨大なデータを収集できるようになりましたが、収集するだけではデータを活用しきれません。データをビジネスに活用するには、以下のような目的を持った適切な管理が大切です。

  • すべてのデータから必要なもののみを抽出する
  • 経営判断の材料になるようデータを加工する
  • すべての社員がデータを理解できるようにする

また、企業が収集するデータのなかには、財務情報や顧客情報などが含まれる重要性の高いものもあります。企業は、保有するデータへの不正アクセスや流出を防止して、セキュリティを担保しなければなりません。万が一データが外部に流出すれば、社会における企業の健全性や信頼を大きく損ないます。データマネジメントは、データの安全性確保に役立ち、セキュリティリスクを軽減できる取り組みです。

データマネジメントは、収集したデータの保管のみを指すものではありません。データを適切に管理しながら、企業の成長・発展に活用する組織的な行動すべてを指す言葉です。データマネジメントが、ビジネスの健全な運用と成長を支えます。

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データマネジメントの対象となるデータ

データマネジメントの対象は、以下の2つです。

  • ビジネスデータ
  • メタデータ

それぞれのデータの概要と役割を把握して、データマネジメントをする際の知識として役立てましょう。

ビジネスデータ

ビジネスデータは、組織や企業が一般の業務に活用するデータです。ビジネスデータには、以下の2種類があります。

  • 構造化データ
  • 非構造化データ

構造化データは、データの値や種類などの一定の体系を軸にまとめられたデータです。顧客データや販売実績データなどが構造化データに該当します。構造化データには、以下の3種類があります。

  • リソースデータ:組織や企業が保有する資源を示すデータ
              例.顧客データ、社員データ、商品データ
  • イベントデータ:特定の出来事や行動を示すデータ
              例.販売データ、Webサイトのアクセスログ
  • 集計系データ :特定の出来事の結果を数値でまとめたデータ
              例.在庫データ、販売実績データ

非構造化データは、規則性がなく構造化されていないデータです。動画、画像、文章などが非構造化データに該当します。非構造化データは、構造化データに置き換えなければ、データ分析に活用できません。

メタデータ

メタデータは、特定のデータの意味や属性を表したデータです。ファイルを例にした場合、メタデータは以下のデータを指します。

  • 作成年月日
  • 作成者
  • 形式
  • サイズ
  • 格納場所

メタデータを活用すれば、データ管理のセキュリティ向上や効率化が可能です。例えば、データ化した納品書や請求書のメタデータを検索できるように整理しておけば、必要な際にいつでも情報を確認できます。メタデータは情報量が膨大なため、管理しにくい特徴があります。適切に管理・活用するには、データの意味や整理している場所の把握が大切です。

データマネジメントに取り組む3つのメリット

企業がデータマネジメントに取り組むメリットは、以下の3つです。

  • データ分析の効率化を可能にする
  • セキュリティリスクを軽減できる
  • データの信頼性が担保できる

データマネジメントのメリットを把握して、自社で取り組むべきかを検討する際の参考にしてください。

データ分析の効率化を可能にする

データマネジメントを活用すれば、データ分析の効率化につながります。データが必要な際にすぐに使用できる状態に整理されているため、データ作成や加工の手間を削減可能です。

データマネジメントがされていない場合は、部署や従業員がそれぞれ手作業でデータの名前入力や整理をしなければなりません。データマネジメントにより、ルールに従って自動で名前の入力を行い、整理する仕組みを構築していれば、データ管理の工数を削減できます。

また、必要な情報にすぐにアクセスでき、データを探す際のコミュニケーションや手間を減らせるため、業務効率化にもつながります。データマネジメントは、データ分析を効率化しながら、現場の生産性も向上させる取り組みです。

セキュリティリスクを軽減できる

データマネジメントに取り組めば、セキュリティリスクの軽減が可能です。自社が保有するデータがどのような経路で取得され、管理しているのかを整理しておけば、データへの不正アクセスや流出の防止に役立ちます。データが整理されていなければ、機密情報が入った重要なデータがどこにどれだけあるのかを把握し、管理するのは難しいでしょう。

データマネジメントをしながら必要なセキュリティ対策を講じれば、データの安全性が高まります。万が一データへの不正アクセスや流出が起きた場合でも、データが整理されているため、復旧や原因の調査がしやすくなります。対応にかかる時間の短縮につながり、被害の拡大を最小限にできるでしょう。迅速に原因の調査ができれば、今後のセキュリティ性を見直し、安全性を高められます。

データの信頼性が担保できる

データマネジメントを活用すれば、データの信頼性を担保した上で、データ分析ができます。データ分析は、データの信頼性や質が欠けていれば、成り立ちません。データ分析に誤った情報が入ったデータを使った場合、分析結果の信頼性は失われ、間違った施策の立案や経営判断をする恐れがあります。

データマネジメントでデータの信頼性を高めれば、データ分析をはじめとしたさまざまな取り組みに、安心してデータを活用できます。企業にとって重要な経営判断も安心して実行できるでしょう。

データ分析

データマネジメントに取り組む2つのデメリット

データマネジメントはメリットの多い取り組みですが、以下のようなデメリットもあります。

  • 時間やコストがかかる
  • 知見や経験のある人材が必要

データマネジメントを実行する際の注意点として把握しておきましょう。

時間やコストがかかる

データマネジメントにはさまざまな作業が伴い、多くの時間が必要です。データマネジメントを実行する手順は、以下の通りです。

  1. 1.    明確な目的を設定する
  2. 2.    どのように活用したいかを整理する
  3. 3.    データの整理・管理をする
  4. 4.    組織内で協力体制を整える
  5. 5.    限定的に実行する

目的の設定から始まり、自社にあるデータの収集・加工・分析、データガバナンスの策定などの多くの手順を踏み、データマネジメントの実行まで進めなければなりません。また、新しいシステムの導入により、コストもかかります。データマネジメントをした後にデータ分析をするには、BIツール(※1)、DMP(※2)、DWH(※3)などの導入が必要な場合があります。

導入が必要かどうかは企業の判断によって異なりますが、システムの導入コストがかかる場合があることを理解しておきましょう。データマネジメントを実行する際には、明確な目的を設定して、費用対効果を見極める必要があります。

※1.BIツール(ビジネスインテリジェンスツール):データの収集・分析・可視化ができ、意思決定をサポートするツール
※2.DMP(データマネジメントプラットフォーム):ユーザーに関するデータを一元管理して、マーケティングに活かせるツール
※3.DWH(データウェアハウス):複数のシステムにあるデータを収集・整理して保存できるツール

知見や経験のある人材が必要

データマネジメントを社内で推進するには、専門的な知識を持った人材のサポートが必要です。データマネジメントの推進に役立つのは、以下のような人材です。

  • データアナリスト:収集または保有しているデータの分析をする専門家
  • データサイエンティスト:意志決定者がデータ分析結果をもとにした合理的な判断ができるようにサポートする専門家
  • データアーキテクト:社内外のデータを収集・管理した後、データを活用しやすいように整備する専門家

IT人材は不足しており、データマネジメントをサポートできる人材の獲得競争は激化しています。必要な人材を採用するには、多額の採用コストがかかる点を理解しておきましょう。採用が難しい場合は、自社で必要な人材を育成する方法もあります。

データマネジメントを構成する11の要素

アメリカのデータマネジメント組織であるDAMA Internationalが出版している書籍によれば、データマネジメントには11の必要な概念があると紹介されています。どのようにデータマネジメントを進めれたら良いか迷った場合、自社が抱える課題を上記の領域ごとにわけて取り組みを検討するのと把握しやすい。
データの活用基盤はあり、データが欠損していたり、形式がバラバラなのが課題であったり、「データ品質」を向上させる取り組みを検討しましょう。

11の概念は以下の通りです。
参照元:データマネジメントを構成する11要素の一覧表

  • データガバナンス
  • データアーキテクチャ
  • データモデリング
  • データストレージ / データオペレーション
  • データ統合 / データ相互運用性
  • ドキュメント / コンテンツ管理
  • 参照データ / マスターデータ    
  • データウェアハウジング / BI
  • メタデータ管理
  • データセキュリティ
  • データ品質

データマネジメントを実行する際の知識として、以下の11の概念を把握しておきましょう。

データガバナンス

データガバナンスは、データの取り扱いを全社的に統率することです。企業がデータを活用するには、データの適切な管理が大切です。データ品質を一定水準以上に保つためのルールや、データのセキュリティに関するルールを決めて、データの取り扱いを指揮・監督します。

データアーキテクチャ

データアーキテクチャは、データを活用する際の目的を明確に設定して、目的に即したデータマネジメントの仕組みを設計・維持することです。データアーキテクチャが実行されていれば、社内におけるデータのあり方が定まり、データマネジメントに計画性と一貫性が生まれます。データアーキテクチャでは、将来的なデータの収集・管理・活用方法の内容を明確に決定します。

データモデリング

データモデリングは、データについての明確な要件定義をして、データマネジメントの実行プロセスをデータモデルという形式で作成することです。データモデルは、情報収集の対象、実体同士の関係性、属性で構成されます。データモデリングでは、データ蓄積の仕組みを構築する方法を決定します。

データストレージ / データオペレーション

データストレージとデータオペレーションは、データが持つ価値の最大化を目的として、データを設計・実装することです。データストレージとデータオペレーションでは、データ蓄積の仕組みを維持する方法を決定します。

データ統合 / データ相互運用性

データ統合とデータ相互運用性は、さまざまなデータの統合に必要な基盤を構築することです。データ統合は、仮想的・物理的かどうかにかかわらず、データを一貫した形式に統一します。データの相互運用性は、あらゆるシステムがどれほど情報の連携性に優れているかどうかを表します。

ドキュメント / コンテンツ管理

ドキュメントやコンテンツの管理は、データマネジメントを円滑に進める要素の1つです。画像やドキュメントなどの非構造化データの適切なコンテンツ管理方法を決めます。機密情報が記載されたドキュメントは特に重要性が高いため、データガバナンスの徹底が大切です。

参照データ / マスターデータ

参照データは、他のデータを分類するためのデータです。データの状況を示す際に使われます。マスターデータは「誰が」「どこで」「誰に」「何を販売しているか」を示すデータです。参照データとマスターデータを適切に管理すれば、データ統合とデータ品質の管理コストの削減に役立ちます。

データウェアハウジング / BI

データウェアハウスは、目的達成や課題解決に適した形に変換する手法です。データの保存や抽出の際に役立ちます。BI(ビジネスインテリジェンス)は、レポート作成や分析にデータを活用して、自社の意思決定に役立てることです。

メタデータ管理

メタデータ管理は、メタデータの一貫性、品質、セキュリティ性、最新性を確保するための管理方法です。メタデータ管理が不十分な状態では、必要なデータへのアクセスに手間と時間がかかり、コストが多くかかります。

データセキュリティ

データセキュリティでは、自社が保有するデータを保護する方法を検討し、決定します。データセキュリティの一環として、認証権限の管理、セキュリティポリシーの制定、アクセス制御などを行います。データセキュリティは、脆弱性の発見や時代の変化に合わせて、適宜アップデートが必要です。

データ品質

データマネジメントにおいて、データ品質の確認は重要です。データの最新性が低く、状態が悪ければ、データを活用する際に悪影響を与えます。常に信頼性の高いデータを使用できるように、企業全体でデータ品質の統率が必要です。

データマネジメントを成功に導く2つのポイント

データマネジメントを成功させるには、以下の2つのポイントが大切です。

  • スモールスタートで始める
  • 現状の把握と将来像を決定する

ポイントを把握して、データマネジメントを実行する際の参考にしてください。

スモールスタートで始める

データマネジメントを実行する際には、スモールスタートがおすすめです。初めから企業全体で取り組めば、統率が取れず失敗する恐れがあります。最初はプロジェクトや一部の部署で限定的に取り組み、小規模から始めましょう。

設定した目的に即して、データ量が少ないものから管理・活用を始めて、成功例を積み重ねます。徐々に扱うデータの規模や関わる部署を増やし、最終的に企業全体で取り組めば、統率の取れたデータマネジメントの実行が可能です。

現状の把握と将来像を決定する

データマネジメントを成功させるには、現状の把握と明確な将来像の設定が大切です。自社では、現状どのようにデータが収集・管理・活用されているのかを確認して、評価します。現状を評価した後は、将来的に企業がどのようにデータマネジメントを実行していれば理想かを明確にして、将来像を設定しましょう。

現状の把握ができれば、不足しているデータや管理体制の課題が見つかり、今後のデータマネジメントの実行を適正化できます。

データを継続的に活用できる仕組みを整えよう

データマネジメントの基本は、データの収集や分析などの方法論ではなく、ビジネスの成長・発展を目的としてデータを継続的に活用できる仕組みを整備することです。データマネジメントを実行する際には、マスターデータの管理、データセキュリティ、データ統合などのさまざまな面から取り組む必要があります。

スモールスタートで自社での成功例を積み重ねながら、中長期的な視点で取り組みましょう。データマネジメントを実行するには、専門家のサポートが必要です。自社にデータマネジメントに関する知識や経験を持った人材がいない場合は、外部の専門家に依頼する方法も検討するとよいでしょう。

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