テキストマイニングとは、自然言語処理を使ってテキストデータから有益な情報を抜き出すことを指します。テキストマイニングの利用目的は、データから分析に必要な情報を抽出して、サービス品質向上やマーケティング戦略の策定、業務課題の発見などに活かすことです。
読者の方の中には「テキストマイニングの定義や用途がいまいち理解できない」という方がいるかと思います。
そこで本記事では、テキストマイニングの意味やテキストマイニングでできることといった基本的な知識を解説しています。さらに、テキストマイニングの手法や実施方法もわかりやすくまとめています。記事の後半では、ツールの選び方を解説していますのでぜひ最後までご覧ください。
テキストマイニングとは?意味や特徴を解説
はじめにテキストマイニングとはどのようなものなのかを見ていきましょう。本章では、テキストマイニングの意味や特徴を解説します。
テキストマイニングとはテキストデータから情報を抜き出すこと
テキストマイニングとは、AI技術の自然言語処理を使って解析を行い、テキストデータから利益につながる情報を抜き出すことです。文章を単語や文節で区切り、出現頻度や相関分析を分析します。テキストデータを定量的に表すことで、データが示す事柄を得られます。
近年ビッグデータの活用が増えていることから、テキストマイニングが注目されています。テキストマイニングを使って、さまざまな形式・種類が含まれる膨大な量のデータを分析できるようになったのです。
テキストマイニングにおける日本語解析の現状
現在、自然言語処理の発展によって、実用レベルの日本語解析が可能となっています。以前はテキストマイニングは日本語の解析には不向きといわれていました。日本語は単語の切れ目が不明確なため、境界を判別するのが難しく、より複雑な処理が必要になるためです。さらに、日本語には同音異義語があることも日本語解析が難しいといわれる要因といえます。
これらの懸念を払拭する技術として、形態素解析が用いられています。形態素分析とは、文章を意味を持つ単語の最小単位(形態素)に分解し、単語の品詞を判定する解析方法です。技術の発展によって、テキストマイニングが日本語の文章にも適用し、近年目覚ましい進歩を遂げています。
テキストマイニングでできること3選
テキストマイニングを活用するとどのようなことができるのでしょうか。本章では、テキストマイニングでできること3選を解説します。
顧客のニーズを見つける
テキストマイニングでテキストデータを分析して、顧客のニーズを見つけることが可能です。WebサイトのレビューやSNSの投稿、コールセンターの問い合わせ内容などから発見した顧客のニーズを商品やサービスの品質向上に活かせます。テキストマイニングを用いると、主観的な視点ではなく数値に基づく推論を行えます。顧客のニーズを的確に把握できれば、売上低迷から脱する糸口の発見につなげられるでしょう。
課題を見つけてナレッジを共有する
テキストマイニングは、社内文書や日報、報告書などの分析にも用いられています。テキストデータには、企業に利益をもたらす情報が含まれている可能性が高いです。テキストマイニングを使って業務の課題を見える化し改善策を考えたり、優秀な人材に共通する傾向をつかんでナレッジとして社内で共有したりできます。ナレッジ共有が成功すれば、スキルの標準化を図ることが可能です。
ビッグデータ分析で未来を予測する
テキストマイニングは、ビッグデータを分析できます。SNS投稿などから膨大な量のテキストデータを集めて、出現頻度の高い単語を抽出できます。高い頻度で出現する単語を分析することで、世の中のトレンド傾向が予測でき、マーケティング戦略に活かせるでしょう。
さまざまな形式・種類が含まれる膨大な量のデータを人の手で分析するとなると、多くの時間がかかります。テキストマイニングによってデータ分析にかかる時間を短縮できれば、素早く旬の情報を得られ競争優位性を高められます。
テキストマイニングの4つの手法
テキストマイニングには4つの手法があります。本章では、4つの手法の概要や特徴を解説します。
センチメント分析
センチメント分析は、WebサイトのレビューやSNSの投稿などのテキストデータから顧客の感情を分析する手法です。顧客の感情を肯定・否定・中立の3段階に分けて評価するのが一般的です。主に商品やサービスの評価を客観的に知るための手法として用いられています。
なお、文脈や年代などは反映されないため、肯定にも否定にも捉えられる単語は、分析前に表現を補足するなどして分析精度を高める必要があります。
共起分析
共起分析は、文章中で一緒に使われる単語の組み合わせを分析する手法です。単語同士の結び付きを読み取り、単語の関係性を明らかにできます。単語の関係性を見える化することで、単語の出現頻度だけではわからないデータの傾向を得られるのです。得られたデータから課題や改善点を洗い出し、業務改善や商品やサービス品質の向上につなげられます。
例えば、商品名やサービス名と一緒に使われる単語を分析すると、商品名やサービス名のメリット・デメリットを知ることができます。
対応分析
対応分析は、データの項目の関係性を散布図で表して分析する手法で、コレスポンデンス分析とも呼ばれています。データの分析結果を直感的にわかりやすい散布図に表すことで、データの共通点や相違点がわかりやすいという特徴があります。項目をそれぞれ横軸と縦軸とし、プロットした点の位置関係から単語同士の結び付きの強さを把握することが可能です。
このような特徴から対応分析は、ブランドイメージや商品評価の分析、企画書などによく利用されています。
主成分分析
主成分分析は、データの項目を少なくして分析する手法で、ビッグデータなどの膨大な量のデータを分析する際に用いられます。膨大な量のデータにはいくつもの項目があるため、分析しやすいように一部のデータを少数の変数に縮小します。しかし、なくなったデータに重要な情報が含まれている可能性があるのです。そのため、主成分分析の実施は慎重に検討する必要があります。
テキストマイニングを実施する順序
テキストマイニングは、以下の手順で行います。
- データを収集する
- データの前処理を行う
- データを構造化データへ変換する
- 分析を行う
まずはテキストマイニングで何を分析したいのか目的を明確にし、対象となるデータを集めます。次に日本語のテキストデータをテキストマイニングで解析しやすいように前処理を行います。単語を品詞で分けて不要なものを取り除く工程です。その次に、前処理を実施したデータを構造化データに変換します。
構造化データは、データ分析に適した構造に整形されたデータ形式です。企業が蓄積するテキストデータの大部分が非構造化データといわれています。非構造化データのままだと分析することは困難なため、事前に構造化データへ変換する必要があるのです。
データの準備が整ったら分析を実施し、結果を直感的にわかりやすいグラフやチャートなどに表します。可視化した分析結果から考察を深めたり、新たに発見した課題やナレッジなどをまとめたりしましょう。
エクセルを使ったテキストマイニングのやり方
テキストマイニングは、エクセルを使って実施することも可能です。エクセルを使ったテキストマイニングのやり方は以下の通りです。
- 文章を単語に分解する
- 関数を使って単語を集計する
- ワードクラウドを作成する
はじめに文章を単語ごとに分解します。形態素解析エンジンを使用するのが一般的です。次に関数を使って単語を集計します。テキストマイニングに使う関数は、COUNTIF関数、SUM関数、INDEX関数の3つです。関数で集計するのが難しい場合は、集計ソフトを利用するとよいでしょう。
その次にワードクラウドを作成します。ワードクラウドとは、文章中における単語の出現頻度を文字の大きさを変えて視覚的に表した図表で、単語の出現頻度を直感的に把握できる点が優れています。
なお、テキストマイニングをエクセルで実施する場合、関数の入力に手間がかかり効率がよくありません。そのため、エクセルで実施する際は、テキストマイニングツールを使った方が効率的に進められてよいでしょう。
テキストマイニングツールの選び方のポイント3選
テキストマイニングツールの選び方のポイントを説明します。テキストマイニングツールを選ぶ際は、以下の3つをチェックしてみてください。
対応するデータソースは何か
まずは対応するデータソースを確認しましょう。テキストマイニングツールが対応するデータソースは、コールセンターやアンケート、チャット、SNS、社内文章、業務日報などさまざまです。ツール導入後に分析したいデータソースが対応外と発覚する事態になると、他のツールに変えるといった対応にコストが発生してしまいます。そのため、あらかじめ活用目的を明確にし、対応するデータソースを確認することが大切です。
分析結果を活用しやすいか
分析結果を活用しやすいかという視点を持つことも重要です。テキストマイニングツールを有効活用するためには、活用目的に応じた機能を搭載しているツールを選ぶことをおすすめします。テキストマイニングツールの機能は、分析結果をマップ化して直感的にわかりやすく表す、データに隠れている背景や単語の関係性を可視化する、さまざまな条件でランキング化する、属性ごとにセグメントするといったさまざまなものがあります。
テキストマイニングツールの機能を活用することで、組織内に統計分析の専門知識がある人材がいない場合でもデータ分析に取り組みやすくなるでしょう。
辞書機能が充実しているか
分析精度を高めるためには、辞書機能が充実しているツールを導入するとよいでしょう。あらかじめ固有名詞や専門用語を登録しておくことで分析精度が向上します。また、新語や流行語などを自動で登録する機能が搭載されていると、辞書更新作業にかかる負担を軽減することが可能です。
また、活用目的や商品種別などに応じてマイニングを行う際の条件を自由に設定できるものは、業界・業種に合わせて分析しやすいのでおすすめです。
テキストマイニングを活用して事業拡大に活かそう
テキストマイニングとは、テキストデータから企業に利益をもたらす情報を抜き出すことです。文章を単語や文節で区切って出現頻度や相関分析の分析を行い、課題やナレッジを発見します。テキストマイニングは、顧客ニーズの分析や業務上の課題発見、ナレッジの社内共有、ビッグデータ分析による未来予測などさまざまな用途に活用されています。事業拡大につながるテキストマイニングツールの導入をぜひご検討ください。
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