皆さまは、最近話題の データプラットフォーム「 Looker (ルッカー)」」をご存知でしょうか?2021年 6 月に、Google(TM) が買収したことで大きなニュースになりましたが、それ以前に、既存の データ分析ツールはいくつもあるなか、早い時期からマーケティングに高度なデータ分析を取り入れてきたメルカリ様やZOZO様、リクルート様など国内のCommerce系企業やTechnology系企業などが、国内販売を開始前に「 Looker 」を導入し、注目を集めていました。現在、グローバルでも 2,000 社以上の導入実績があり、シリコンバレー系企業から 大手老舗企業、政府系組織まで幅広く実績があります。国内でもバンダイナムコ様、SmartHR様、三菱重工業様など業界・規模を問わず70 社以上の様々な企業が続々と「 Looker 」を導入しています。先述のGoogle買収で Google Cloud(旧GCP) へ統合され、さらに導入企業の採用が加速していくものと思われます。
では、なぜ今「 Looker 」なのでしょうか?
「 Looker 」は、一般的にイメージされるBI ツールではありません。
データ利活用を推進するために構築されたデータプラットフォームで、第3世代 BI 、あるいは次世代型 BI などとも呼ばれています。今や、自社に眠る手付かずのデータを第四の経営資源に変換すること、旧来のKKD(勘・経験・度胸)経営に外部データも加えたデータ分析でデータ・ドリブン経営を融合させること、さらには自社内のみならず外部へもデータ公開すること、これがデータ・ドリブン時代の幕開けを迎えた今、生き残るためには絶対に乗り遅れてはならないビッグウェーブとなっています。実際に、すべての企業、そのすべての組織で、日常的な業務(あるいは業務システムそのもの)や意思決定に対するデータへの活用度合いや活用へのニーズは高まっています。
しかし、ニーズが高まれば高まるほど、課題も山積しているのが現実です。単にデータを可視化するだけではなく、経営判断に使えるような高度な分析や売上に直結するようなデータを利用した革新的なシステムの構築を可能にすることが求められており、その期待に応えられるソリューションが「 Looker 」なのです。
本稿では、そんな「 Looker 」の魅力についてご紹介したいと思います。(導入についての詳細や事例、競合製品比較なども、別の記事でお伝えできればと考えておりますので、今後もぜひご期待ください。)
よくあるお客様の課題(例)
例えばですが、次のような課題をお持ちでしょうか?Lookerをご導入頂いたお客様から、よく伺うお話を列挙してみます。
【集計がとにかく遅い】
大量件数の集計を行うとフリーズしたり、時間がかかってしまい応答がなく、分析業務のリアルタイム性に欠ける。
【専門知識がないと分析が難しい】
現状ご利用の分析ツールは、簡単な分析を行う場合でも DB の知識が必要になる。結果、特定の分析者・データ管理者に業務が集中してしまう。
【いつ、誰が、何のために作成した SQL か不明】
現在ご利用のSQLは更新履歴がないため、追跡できない環境になっている。
【部署横断的に公開したくない】
データ活用は進めたいが、どんなデータでも全社で全部丸見えなのは良くない。ただし、DB の権限管理で制限かけるのは手間がかかる。
このような課題をお持ちであれば、「Looker」を一度ご検討されてみてはいかがでしょうか?
その他の課題を書いたブログはこちらにもございますので合わせてご参考ください。
Lookerの特徴
「Looker」には、他のBIツールにはない特徴が、特に大きなポイントで3つあります。こちらをご紹介させて頂きます。
①LookML でデータロジックの一元管理が可能
業務課題における「データ一貫性の担保」や「データ定義メンテナンスコスト削減」を実現します。
②No データアップロードで“Single Source of Truth”を可能
業務課題における 「BI ツールのパフォーマンス改善」がなされ、信用できるデータは一箇所にしか存在しません。
③共有・コラボレーションが各Saasサービスと連携
業務課題における、「既存ツール(slack など)を中心としたワークフロー設計」で、データ分析をアクションへつなげられるのも大きな魅力です。
これらの機能からも、「Looker」が他のBIツールとは異なるデータプラットフォームであることが感じて頂けるかと思います。
Lookerの全体像
まず「Looker」は、次の4つのUIを持っています。
①ウェブUI(ビジュアライズ)
②埋め込み
③スケジュール
④REST API
①は「Looker」が持つ標準のBI機能です。ダッシュボードを表示するViewer機能や、ダッシュボードを作成するExplorer機能、定義を設定できるLookML機能などを持っています。②は、①のウェブUIそのものをSalesforceなどへ埋め込む機能から、APIを利用して自社オリジナルアプリケーションへデータのみ引き渡す機能まで持っています。③はメールやMAなどへ、ダッシュボードやリストをスケジュール送信できる機能です。④はSlackなどへ都度、必要なダッシュボードやリストを送信しアクションへつなげることが可能になります。
それらUIとGoogle Cloud の「BigQuery」などデータウェアハウスやDBとの間に、アジャイルモデリング層として、「Looker」はポジショニングしています。大きな機能としては、バージョンコントロールやJDBCコネクション、ユーザ管理及びセキュリティになります。
つまり、「Looker」は、ユーザへ様々な方法で検索や可視化をデリバリーするために、データ収集やロードを行い、定義の標準化やガバナンスを担当しております。
他のBIツールとの違い
データプラットフォームである「Looker」と、他の一般的な従来BIツールとの違いを表してみます。
他のBIツールではあくまでユーザが欲しいデータをデータウェアハウス側でキューブやデータマートとして準備しなくてはなりません。そのキューブやデータマートへ他のBIツールを接続し可視化や分析ができるようになっています。
ここでの問題は、ユーザが分析していると新たな分析を行いたくなるものですが、その際、システム管理者へ新たなキューブやデータマートの作成を依頼しなくてはならないことです。
ユーザ数そのものや、ユーザからのリクエスト数が少なければまだしも、多くのユーザを抱えなおかつリクエストも頻繁となれば、ただでさえ限られたシステム管理者のリソースはパンクしてしまいます。結果、全社業務のスピードは落ち、データを使わず経営判断せざるをえない状況になってしまいます。
そこで「Looker」を利用してみると状況は一変します。なぜなら「Looker」の定義を変更するだけで、ユーザは新たな分析を継続することが可能になるからです。定義の変更も、テーブルのカラムや範囲指定などの追加修正変更などであれば、実はエンドユーザでも出来てしまう「Explorer」と言うUIをLookerは用意しています。これで良ければ、もうユーザはシステム管理者へ変更依頼する必要もなく、分析業務を止めることになりません。仮にロジックへ変更を加えたい場合は、「LookML」を使ってシステム管理者が追加修正変更を行えばいいだけです。他のBIツールのように、多数のキューブやデータマートを修正変更する必要がなく、一箇所に統括管理された「LookML」を修正変更するだけなので、システム管理者のリソースはさらに軽減されるため、経営判断のスピードを止めません。
LookerがBigQueryとの親和性が高い理由
「Looker」は BigQuery と共にご利用頂くことで、更に高い効果を発揮します。その理由を次の通り、ご紹介させて頂きます。
①BigQuery の性能をフル活用
BigQueryへ直接続して SQLを実行しますので、BigQueryのパフォーマンスや機能をフルに発揮できます。そのため、集計時間も大幅に短縮されることになります。
②高コストなクエリの実行を管理
「Looker」にはユーザー毎にクエリが実行可能なデータサイズを設定するキャッシュ機能があります。そのため、冗長的にBigQueryのクエリを実行しないため、従量課金制の不安を最小化することが可能です。
Lookerが実現する世界はデータガバナンス
これまで多数の商談で「Looker」のご紹介を行ってまいりました。結果、やはり、お客様のニーズと「Looker」の特徴が最も当てはまるユースケースは、「データガバナンス」に尽きるかと感じています。
データ活用は究極Excelだけでも出来ますので、ややもすると一見簡単に見えます。今後は社内の重要なデータや外部のデータまで含め、クラウドDWHへ集約されていく世界になっていくと思われます。自由に誰もが必要なデータへ高速にアクセスし加工できる環境が、安価に手に入る時代は素晴らしいと思います。一方で、何の権限管理もなく、誰でもアクセス出来てしまえば、データ漏洩を始め、セキュリティが確保されていない状態になってしまいます。この二律背反するテーマを解決できるのが、「Looker」によるデータガバナンスと考えられます。
「Looker」を使えば、自社内でも自由に使えるデータ分析環境へ、本来であれば高額で長期導入が必要なパッケージ導入やシステム開発で用意される、セキュリティ管理やデータ管理をクラウドサービスとして適正価格で早期導入することが可能です。全社データ活用基盤として、「Looker」ご検討をおすすめします。
※ご参考;Looker について( 概 要 )
「 Looker 」は、カリフォルニア州に本拠を置く Looker Data Sciences, Inc. が提供するクラウド・データプラットフォーム・サービスです。「 LookML 」という、モデリング言語を利用して指標の定義を行うことにより、自動的に SQL を生成してデータを取得します。「 LookML 」 であらかじめ定義された指標を利用することにより、分析結果などデータの一貫性が担保されるというところも大きな特長となっています。
ご自分で SQL 構文をお書きになる方であれば、特にお分かりになるかと思いますが、他者の書いたプログラムを引き継いだ場合など、非常に分かりづらく、機能追加や修正などに膨大な時間を取られることもあるかと思います。「 LookML 」では、複雑なクエリであっても、SQL 構文の複雑さに煩わされることなく、必要なコンテンツだけに集中することができます。弊社のエンジニアの話ですが、習得については 3 日程度にも関わらず、プログラミングにかかる時間が大幅に短縮され、これまでよりも数倍効率的になったと喜んでいました。
また、「 Looker 」自体はデータを内部に保持しないため、例えば他の一般的なBIツール がデータ分析のボトルネックになるという、これまでにありがちだった事態にはなりません。Git リポジトリ と連携して「 LookML 」をバージョン管理できるなど、競合製品と比べてユニークな機能を持っています。昨今は、分析機能をSalesforceや社内ポータルサイトなど自社のサービスに組込んで提供する「 Embedded Analytics(組込型アナリティクス)」領域での活用が増えてきていることでも、注目されています。
※ご参考;第3世代 BI と呼ばれる所以
なぜ、「 Looker 」が第3世代 BI(次世代型 BI )と呼ばれるのでしょうか?それは、Looker が第1世代と第2世代の BI の、“いいとこどり”のソリューションだからです。
初期(第1世代)の BI は分析にかなりの時間を要し、さらには高度な分析スキルとエンジニアリング能力をもつ一部のスペシャリストしか扱えないものでした。これでは、リアルタイムでデータやその分析結果を得ることが困難で、日々の業務や経営判断に利用することは、なかなかできません。
そのため、直感的な UI で、高度なスキルを必要としない、誰もが使えるというコンセプトの第2世代の BI (セルフサービス BI ・セルフ BI )が誕生したのです。「 Looker 」とよく比較される Tableau (タブロー)も、セルフ BI に分類されます。しかし、誰もがデータ分析できる反面、セルフ BI ではデータ・ガバナンスへの対応ができていないこと、データのサイロ化、セキュリティ面に不安があるなど、課題もたくさんありました。
そこで、俄然、注目度がUPしているのが、第3世代の BI です。「 Looker 」の他にも Qlik などが有名です。
これまでも これからも、マルチクラウド
冒頭で述べましたが、Google が「 Looker 」を買収したことで、 「 Looker 」はマルチクラウド戦略の転換を図るのではないか?今後はオンプレミスへの対応(例えば、サポートや開発の優先順位)が変わるのではないか?というご質問をいただくことがあります。実際に、Qlik の CEO:Mike Capone 氏は次のように述べています。「これらの買収劇は、特定クラウド DB(データベース)へのロックインにつながる」と。
・・・結論から書くと、それらに対する答えはNOです。
両社ははっきりと、今後もマルチクラウドを継続することを宣言しており、これからも、複数のデータベース( Amazon Redshift 、Azure SQL 、スノーフレーク、Oracle、Microsoft SQL Server 、Teradata etc. )、パブリッククラウド、およびオンプレミスのデータセンターをサポートするとのことです。
さいごに
いかがでしたでしょうか?いま現在、既存の BI ツールの利用やデータ分析に何らかの課題を抱えている方、初めてのデータ分析基盤導入の検討でどんなソリューションがあるのかも良く分からないという方にとって、少しでも参考になったと言っていただけたなら、とても嬉しいです。今回は、本当に“さわり”だけでしたが、「 Looker 」の魅力や凄さはこんなものではありません。引き続き、様々な切り口で情報をお届けしますので、楽しみにお待ちください!
「 Looker 」のソリューションページにつきましても、合わせてご確認ください。資料ダウンロードも最新情報が更新されており、きっと、ご検討のお役に立つと思います。セミナー等も「 Looker 」ご紹介セミナーに加え、「 Looker 」ハンズオンセミナーも随時開催しておりますので、ぜひご参加ください。「 Looker 」のみならず、「BigQuery」関連を始めデータ・インテグレーション、データ・エンジニアリングに関するセミナーも企画開催中ですので、何かご要望がございましたら、リクエストをお待ちしております。