データは膨大かつ多種多様なものというのが一般的な認識となり、ビッグデータという言葉の定義はそもそも必要なくなっています。データといえばビッグデータを指す時代がすでに到来したと言えます。
データは活用してこそ意味があるということで、多くの企業がデータ解析へと乗り出しており、それぞれの目的に沿って正しいデータ解析ツールの導入を目指しています。皆さんの会社にとって、最適なデータ解析ツールとは何でしょうか?
本稿では、データ解析が当たり前になった時代において、幅広く利用されているツールをご紹介します。データ解析に取り組みたいが、適切なツールが分からないという方は、この機会にぜひ参考にしていただければと思います。
データ分析ツールとは
データ分析ツールは、データ分析業務の効率化に役立つITツールです。データ分析ツールを活用すれば、データ分析業務にかかる時間の短縮、分析結果の可視化ができるため、企業の意思決定の迅速化にもつながります。
近年さまざまな業界でデータ活用が注目されており、データを業務に役立てるために、分析業務にも力を入れる企業が増えています。現在は、さまざまなデータ分析ツールが提供されているため、ツールの機能やサービス内容は多岐にわたり、選択肢が豊富です。データ分析ツールを選ぶ際は、ツールの導入目的や用途を事前に整理して、自社に適しているかどうかを慎重に判断しましょう。
データ分析とは
データ分析は、文字や数値などの必要なデータを収集し、目的に沿った情報を抽出することです。データ分析によって得られた情報は、ビジネスにおける意思決定の判断材料に活用できます。データ分析を活用すれば、根拠が曖昧な人の勘や経験に依存せず、合理的な意思決定が可能です。
また、分析結果によっては、業務における課題や改善方法、顧客への新たなアプローチ方法の発見にもつながります。例えば、顧客データを分析して、サービスの課題や改善方法を発見し、サービス内容が改善されれば、顧客満足度が向上します。データ分析は、ビジネスをよい方向に導く効果も発揮できる取り組みです。
データ分析ツールが必要な理由
現代では社会のデジタル化が進み、データ分析ツールの必要性が高まりました。データ分析の結果をもとにした意思決定とビジネス戦略が、企業の成長や生存戦略にもつながるため、データ分析を効率化するデータ分析ツールは、現代のビジネスにおいて重要なツールです。膨大なデータの収集・分析が、客観的で迅速な意思決定につながります。
エクセルとデータ分析ツールは作業内容で使い分けると良い
データ分析は、エクセルを使っても実施できますが、データ量が膨大な場合は、作業の完了までに多くの手間と時間がかかります。また、エクセルでは、対応しているデータ形式が限られているため、取り扱うデータによっては、データ分析ができません。エクセルを使ったデータ分析は、データ量が少なく、データ形式がソフトに対応している場合に向いています。
データ量が多く、データ形式がいくつもあったりする場合は、データ分析ツールを活用しましょう。データ分析ツールでは、複数のデータをまたいで集計・分析でき、簡単な作業で分析結果の可視化もできます。
データ分析ツールの種類一覧
データ分析ツールには、いくつもの種類があります。代表的なデータ分析ツールの種類とそれぞれの特徴は、以下の通りです。
種類 | 特徴 |
ETL |
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DWH |
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DMP |
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BI |
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MA |
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ツールを導入する目的によって、自社に合うデータ分析ツールの種類は異なります。それぞれの種類にある特徴を考慮して、自社の目的に合うツールを導入しましょう。
データ分析ツールを使う4つのメリット
企業がデータ分析ツールを使うメリットは、以下の通りです。
- 精度が高い分析情報が手に入る
- 分析結果が早く手に入る
- 現状の可視化ができる
- データ共有が容易にできる
メリットを確認して、データ分析ツールによって得られる効果を把握しましょう。
精度が高い分析情報が手に入る
データ分析ツールを使えば、精度が高い分析情報が手に入り、より効果的なデータ活用が可能になります。分析情報の精度は、情報の正確性や得られる情報量の多さを左右する重要なポイントです。精度が高い分析情報が手に入れば、今までできなかった予測が可能になり、継続的な売上拡大に向けた戦略の立案にも役立つでしょう。
また、データ分析ツールによって正確にデータ分析ができるようになれば、手作業を少なくできるため、入力ミスや計算の誤りといったミスを防止できます。
分析結果が早く手に入る
データ分析ツールでは、エクセルをはじめとした表計算ツールよりも、短い時間で分析結果の算出が可能です。エクセルでは、取り扱うデータ量が多いほど分析結果が算出される時間も長くなるため、データ分析の条件によっては、大幅な時間短縮につながります。
分析結果が早く手に入れば、企業が持つ課題の解決に向けてすばやくデータを活用でき、生産性の向上が期待できます。データ分析ツールを積極的に取り入れて、自社の課題をすばやく解決しましょう。データ分析ツールでは、グラフや表、ダッシュボードなどでデータをすばやく可視化できるため、会議やミーティングなどの資料作成の時間も削減可能です。
現状の可視化ができる
データ分析ツールを活用すれば、企業が保有している膨大なデータをすばやく分析して、グラフや表などで可視化できます。データの可視化により、組織内の現状をすばやく把握でき、今まで気づけなかった課題を発見しやすくなります。データが可視化されれば、その情報をもとに課題の解決案まで作成可能です。
データ共有が容易にできる
データ分析ツールのなかには、データの共有機能があるものもあります。データ分析ツールの共有機能を活用すれば、簡単な作業で迅速に、データをチーム内で共有できます。エクセルやGoogleスプレッドシートでは、最新のファイルかわからなくなったり、データサイズが大きくてファイルが開けなくなったりする場合があるため、データ共有にはデータ分析ツールが便利です。
ほかにもデータ分析ツールには、指定時間にデータを自動更新し、ツールの共有機能で従業員がデータを確認できるものもあります。毎日の早朝にデータ更新の時間を設定すれば、業務を開始する際に新しいデータを確認できます。
データ分析ツールを使う2つの注意点
データ分析ツールを使う際の注意点は、以下の2つです。
- ITスキルを持つ人材の確保が必要である
- 無料のデータ分析ツールは機能が制限されている
注意点を把握して、データ分析ツールを使う際の参考にしてください。
ITスキルを持つ人材の確保が必要である
データ分析ツールを使うには、ITスキルを持つ人材の確保が必要です。具体的には、データ分析やデータ統合の専門知識と技術が求められます。デジタル化が進む現代では、ITスキルを持つ人材がさまざまな業界で求められており、慢性的な人手不足に陥っています。
ITスキルを持つ人材は人件費も高くなるため、企業の予算によっては、人材の確保は難しいでしょう。データ分析ツールを操作できる人材の確保が難しい場合は、外部の専門家に依頼して、データ分析をする方法もあります。自社の状況に応じて、適切な方法を選択しましょう。
十分なITスキルを持つ人材がいないままツールを導入した場合、現場の混乱や負担の増加を招きます。データ分析ツールを導入する際は、事前にツールを操作する人のITスキルを確認し、過度な負担にならないような配慮が必要です。
無料のデータ分析ツールは機能が制限されている
データ分析ツールには、無料で利用できるものもあります。無料のデータ分析ツールでも小規模な分析はできますが、ほとんどの場合、データ量や機能、使用できるユーザー数に制限があり、本格的なデータ分析には向いていません。無料のデータ分析ツールは、セキュリティ面でも不安要素が多いため、ビジネス目的でデータ分析を行う場合は、有料のツールがおすすめです。
使用するデータ分析ツールによってサービス内容は異なりますが、有料のツールであれば、セキュリティ面や機能面などでも法人に適したプランが提供されています。ビッグデータ分析を行ったり、部署を越えてツールを使用したい場合は、有料のツールの導入を検討しましょう。
データ分析ツールを選ぶ3つのポイント
データ分析ツールを選ぶポイントは、以下の3つです。
- 操作性
- 費用
- サポート体制
ポイントを確認して、データ分析ツールを選ぶ際の参考にしてください。
操作性
データ分析ツールを選ぶ際は、ツールの操作性が重要なポイントです。ツールの操作が難しければ、作業時間が増えてしまい、データ分析を円滑に進められません。データ分析ツールを選ぶ際は、できる限り操作が簡単で扱いやすいものにしましょう。特にITスキルを持つ人材が確保できなかった場合は、簡単な操作性のものを選ぶ必要があります。
データ分析ツールの操作性を確認したい場合は、サービス事業者に問い合わせてデモ画面を見せてもらったり、無料トライアルを利用したりする方法がおすすめです。
費用
データ分析ツールの導入前は、予算以内でツールを利用できるかどうかの確認が重要です。長期間の利用を予定している場合は、初期費用だけではなく、ランニングコストの確認も必ず行いましょう。導入するツールによっては、機能や利用するユーザー数を後から追加する際に、別途費用がかかる場合もあります。
データ分析ツールを選ぶ前には、求める機能や利用するユーザー数などの要件を整理して、条件に見合うツールもしくはプランの費用を確認しましょう。
サポート体制
データ分析ツールを選ぶ際は、サポート体制の確認も重要です。操作に関して不明点がある場合や、トラブルが発生した際に、ツールのサポートサービスが役立ちます。サポート体制は、ツールによって大きく異なるため、導入する前に必ず確認しておきましょう。ITスキルを持つ人材がいない場合は、サポート体制を重視して選ぶ方法がおすすめです。データ分析ツールのサポートサービスの例は、以下の通りです。
- データ分析の方法を教えるセミナーを開催
- データ分析に基づいたアドバイスを提供
おすすめのデータ分析ツール13選
データ分析ツールのなかから、おすすめの13のツールを紹介します。おすすめのデータ分析ツールは、以下の通りです。
- Tableau
- MotionBoard
- Looker studio(Googleデータポータル)
- Microsoft Power BI
- QlikSense
- Infogram
- NodeXL
- Orange
- VertexAI
- Yellowfin
- Domo
- Dr.Sum
- WebFOCUS
おすすめのツールとそれぞれの特徴を確認して、データ分析ツールの導入候補を検討しましょう。
1. Tableau
「 Tableau 」は、ガートナー社によるマジック・クアドラントの分析および BI プラットフォーム分野で、長年「リーダー」に評価をされ、BI市場を牽引する製品です。
インタラクティブなグラフ、美しいマップ、ライブダッシュボードなどを、わかりやすい操作性で誰でも分析ができる「セルフサービス型のBIツール」です。様々なデータソースに接続可能で、2022年には、Lookerへの接続も予定されているため、データはLookerのガバナンスを効かせて抽出して、Tableauで可視化するような利用も可能になるでしょう。
Tableauは、ITスキルを持つ人材だけでなく、初心者でも扱いやすい直感的な操作性が魅力のツールです。オンプレミス環境とクラウド環境の両方に対応しています。Tableauでは、100万人以上のメンバーが参加しているTableauコミュニティがあります。
Tableauコミュニティは、ユーザー同士でサポートし合ったり、データスキルをレベルアップしたりできるコミュニティです。Tableauには、無料トライアルもあるため、実際の操作性を試してから導入できます。
2. MotionBoard
MotionBoardは、誰でも簡単に使える直感的な操作性が特徴のBIツールです。オンプレミス環境とクラウド環境の両方に対応しています。MotionBoardは、国産BIツールとして国内シェアが非常に高く、無印良品や太田胃散などの大手企業でも導入されています。日本語マニュアルの提供や、柔軟な問い合わせ対応といったサポート体制も充実しているため、安心して利用できるでしょう。
生産性の向上やビジネスプロセスの効率化による経営スピードの向上をコンセプトとしており、データの分析、意思決定支援という活用をカバーしております。MotionBoardでは、30日間の無料トライアルが利用可能です。
3. Looker studio(Googleデータポータル)
Looker studioは、さまざまなデータソースへのアクセスと、レポート化が簡単にできる点が特徴のBIツールです。もともとはLookerという企業が提供していましたが、Googleに買収され、2022年にGoogleデータポータルから名称が変更されました。利用料金は基本的に無料ですが、使うサービスによっては料金が発生します。Looker studioについてより詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
4. Microsoft Power BI
Microsoft Power BIは、Microsoftが提供しているデータ分析ツールです。システム管理者だけでなく、すべての従業員が利用でき、エクセルなどのMicrosoft製品をはじめとしたさまざまなデータと連携できます。エクセルとの相性がよいため、Microsoft製品をすでに利用している方におすすめのツールです。Microsoft Power BIは、データの二重暗号化が利用でき、セキュリティの高さにも定評があります。
5. QlikSense
「 QlikSense 」は、連想技術という独自の関連付けの仕組みでデータを結び付けたり、AIによる提案でユーザの分析を手助けするなど、ユーザ補助の機能に特徴がある分析ツールです。Saasサービスの他に、Windowsサーバーを用意すればオンプレミスでの利用も可能です。
QlikSenseでは、30日間の無料トライアルが利用できます。
6. Infogram
データを直感的にわかりやすく表現するにはインフォグラフィックが適しています。
「 Infogram 」はインフォグラフィックを作成できるデータ解析ツールです。事前に用意されたテンプレートを選択して、誰でも簡単にデザイン性の高いインフォグラフィックが作成できます。作成したインフォグラフィックはPNG・GIF・PDF形式でダウンロードでき、そのまま配布したりプレゼン資料に挿入できます。共有URLも発行できるので、Web上で共有可能です。
7. NodeXL
「 NodeXL 」はExcelで使えるオープンソースのデータ解析テンプレートです。Excelシートにエッジリストを入力したり、コピペしたりすることで簡単にネットワーク図を作成でき、画像を選択することもできます。ネットワークの可視化を迅速に行え、使い慣れたExcelにソーシャルネットワーク分析と可視化機能も追加されます。
8. Orange
「 Orange 」はオープンソースで提供されているデータ解析ツールです。ワークフローベースのデータマイニングツールであり、データの前処理、分類、モデリング、回帰、評価、機械学習、可視化などの機能が備わっており、機械学習の統合プラットフォームと言えるでしょう。このほか機械学習のアルゴリズムにおける強力なPythonライブラリも備えているため、オープンソースながら実用的なツールとなっています。Windows、Mac、Linuxでの利用が可能ですが、日本語化はされておりません。
9. VertexAI
「 VertexAI 」はGoogleが提供するMLプラットフォームです。
機械学習のためのデータの準備、モデル作成、デプロイ、運用管理に必要なツール群が統合されています。コーディング不要でブラウザ上のマウス操作でMLパイプラインが構築できるようになっていますが、MLフレームワークを利用したカスタムモデルの作成も可能です。
10. Yellowfin
Yellowfinは、簡単でわかりやすい操作性が魅力のデータ分析ツールです。「美しく、シンプルに。」をテーマに掲げており、専門知識がなくても使いやすい点が特徴です。Yellowfinには、データの変化が確認された場合に、変化の原因をユーザーに自動解析して通知する機能があります。Yellowfinでは、30日間の無料トライアルが利用可能です。
参照:Yellowfin
11. Domo
Domoは、多種多様なデータ分析機能が揃ったクラウド型プラットフォームです。Domoには、以下のような機能があります。
- さまざまなデータを統合してリアルタイムに活用できる
- データを組み合わせてダッシュボードを作成できる
- データ分析の結果を外部に配信できる
Domoでは、30日間の無料トライアルが利用可能です。
参照:Domo
12. Dr.Sum
Dr.Sumは、ウイングアーク1st株式会社が提供しているBIツールです。ノーコード開発ができて、簡単な操作性であるため、初心者でも安心して利用できます。データ処理が速く、サポート体制が充実している点も魅力です。
参照:Dr.Sum
13. WebFOCUS
WebFOCUSは、社内外のさまざまな立場や役割のユーザーに向けて、意思決定に必要な情報を提供する統合BIプラットフォームです。90%以上のサポート満足度と、簡単な操作性が特徴です。WebFOCUSは、BI分野の草分け的存在であり、老舗製品として企業における情報活用をサポートしてきました。20年以上にわたり「現場で使えるBI」という一貫した信念を掲げており、安心して利用できるサービスを提供しています。
参照:WebFOCUS
「初めてのデータ活用」でデータ分析について理解を深めましょう
データ解析は今や非常に旬なテクノロジーと言え、それぞれ特長を持った多くのツールやソリューションが提供されています。しかしながら、ツールを導入すればすぐにデータ解析が可能になるわけではありません。
特に企業内では多くのシステムがそれぞれの目的で構築されているため、データ自体も散財した形で存在しています。そこで重要になるのが、データプラットフォームです。
データプラットフォームとは、データを収集、統合、可視化する様々なプラットフォームサービスを指します。データストレージではなく、データに基づく意思決定を実現することを目指すものです。
電算システムでは、データプラットフォームを活用し、データ・ドリブン経営を支援するためのシステム開発や個別トレーニング等の各種サービスやツールをご提供しています。
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