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Verterx AIはGoogle Cloudの機械学習プラットフォーム!
機能やメリット・活用事例を解説

 2025.08.06  株式会社電算システム

Vertex AIは、生成AIモデルの構築やトレーニングを実行できる機械学習プラットフォームです。Googleが提供しており、機械学習モデルの構築・運用の効率化に役立ちます。Vertex AIの活用によって、よりクオリティの高い機械学習モデルの開発も可能になるため、AI技術を利用したシステム開発に興味のある方は、導入を検討すると良いでしょう。

この記事では、Vertex AIの概要や代表的な機能、利用するメリットなどを解説しています。Vertex AIの基礎知識や活用シーンを把握できる内容になっているので、ぜひ最後までご覧ください。

Vertex AIとは?概要を解説

Vertex AIの概要やGeminiとの違いを解説します。Vertex AIの基礎知識を身につけて、サービスの特徴を把握しましょう。

Vertex AIの定義

Vertex AIとは、Googleが提供するクラウドサービスであるGoogle Cloud上で利用できる機械学習プラットフォームです。以下のワークフローに沿って機械学習モデルを構築・運用し、機械学習全体のプロセスを効率化できます。

1.データの収集 機械学習に使うデータを収集する
2.データの前処理 収集データにノイズや欠損、エラー値がある場合に、不要なデータ値を取り除いたり、適切な値で埋めたりして、機械学習に適したデータに調整する
3.機械学習モデルの作成 目的に合った機械学習の種類を選択して、実際に機械学習モデルを作成する
4.機械学習モデルのトレーニング 機械学習モデルに前処理を行ったデータを与えて学習を進める
5.トレーニング結果の評価 機械学習の結果をあらゆる指標をもとに評価
6.機械学習モデルのデプロイ 機械学習モデルを予測をするためのサーバーへデプロイする
7.予測 予測をするためのサーバーにデータを入れて予測結果を取得する

Vertex AIは、生成AIモデルの構築とトレーニング、パフォーマンスの監視、デプロイしたモデルの予測までのプロセスを包括的に行える機能を備えており、機械学習における準備・開発・運用のすべてのプロセスを一貫して実行できるプラットフォームです。

Vertex AIを活用すれば、機械学習モデルの構築に複数の作業用ツールを使い分ける必要がなくなり、ワークフローを効率良く実行できます。互換性のあるツールによって開発を進められるため、エンジニアの負担の軽減も可能です。

Vertex AIとGeminiの違い

Vertex AIでは、GoogleのマルチモーダルAIモデルである「Gemini」を利用できます。マルチモーダルAIモデルとは、テキストや画像、音声、動画などの異なる複数のデータをまとめて学習・処理できるAIモデルです。

「Gemini」は、Googleの大規模言語モデルの名称で、このモデルを活用した生成AIサービスの名称としても使われています。Vertex AIとGeminiには関わりはありますが、両者はプラットフォームとモデルという関係であり、全く異なるものです。Geminiは、GoogleサービスやAPI経由で利用でき、Vertex AIはGoogle Cloud上で使用できます。

Vertex AIの料金体系

Vertex AIは従量課金制で、料金はAIモデルや扱うデータなどで変動します。例えば、AutoML(※1)を利用する場合でも、データ形式や処理内容によって料金は大きく変動します。Vertex AIの導入を検討する際は、自社の利用条件に基づいて、いくらかかるのかを事前に把握しておきましょう。

※1. AutoML:機械学習モデルを構築するためのプロセスを自動化できる機能のこと

Vertex AI におけるGoogleモデル(生成AI)の料金

Vertex AIの生成AIは「Gemini 1.5 Flash」「Gemini 1.5 Pro」「Gemini 1.0 Pro」の3つに対応しています。3つの主な料金体系は、以下の通りです。

モデル 料金(=128K以下の入力トークン) 料金(=128K以上の入力トークン)
Gemini 1.5 Flash 画像入力:$0.00002 / 画像
動画入力:$0.00002 / 秒
テキスト入力:$0.00001875 / 1,000文字
音声入力:$0.000002 / 秒
画像入力:$0.00004 / 画像
動画入力:$0.00004 / 秒
テキスト入力:$0.0000375 / 1,000文字
音声入力:$0.000004 / 秒
Gemini 1.5 Pro 画像入力:$0.00032875 / 画像
動画入力:$0.00032875 / 秒
テキスト入力:$0.0003125 / 1,000文字
音声入力:$0.00003125 / 秒
画像入力:$0.0006575 / 画像
動画入力:$0.0006575 / 秒
テキスト入力:$0.000625 / 1,000文字
音声入力:$0.0000625 / 秒
Gemini 1.0 Pro 画像入力:$0.0025 / 画像
動画入力:$0.002 / 秒
テキスト入力:$0.000125 / 1,000文字

Vertex AI におけるAutoMLモデルの料金

AutoMLモデルでは、以下のアクティビティに対して料金が発生します。

  • モデルのトレーニング
  • エンドポイントへのモデルのデプロイ
  • モデルを使用した予測

AutoMLモデルの料金の一例は、以下の通りです。

内容 料金
画像データ 1ノード時間あたり(分類)
トレーニング:$3.465
バッチ予測:$2.222
動画データ 1ノード時間あたり(分類・オブジェクト・トラッキング)
トレーニング:$3.234
予測:$0.462
表形式データ 分類と回帰の1ノード時間あたり
トレーニング:$21.252
予測:カスタムトレーニング済みモデルの予測と同様
テキストデータ トレーニング:/1時間あたり$3.30
予測:/テキストレコード1,000件あたり$5.00

「BigQuery」や「Cloud Storage」などのGoogleサービスを利用しているユーザーは、無料枠を使ってVertex AIをお試しで利用できます。新規で利用するユーザーは、Vertex AIや他のGoogle Cloudのサービスを試せる無料クレジット(最大$300分)を利用可能です。以下のページからVertex AIの無料トライアルを開始できます。

Vertex AIの無料トライアルはこちら

Vertex AIの代表的な3つの機能

Vertex AIでは、以下の代表的な3つの機能が利用できます。

  • データセット
  • トレーニング
  • デプロイ

機能の詳細を確認して、Vertex AIの理解を深めましょう。

データセット

Vertex AIでは、マネージドデータセットが提供されており、アノテーション用のユーザーインターフェース、イメージのトラッキング、統合されたデータラベリング環境などを使用可能です。

AutoMLを利用しているときは、SDK(※1)もしくはUIを通してプログラミングでトレーニングジョブを開始できます。カスタムモデルコードを利用しているときは、カスタムトレーニングコードにメタデータが渡された後、あらかじめビルド済みのコンテナを選択するか、独自に用意したカスタムDockerコンテナ内でトレーニングコードを提供します。

※1. SDK:アプリケーション開発の際に必要なツールやサンプルコードなどがまとまったパッケージのこと

トレーニング

Vertex AIのトレーニングは、以下の2つに分類されます。

  • AutoMLトレーニング
  • カスタムトレーニング

AutoMLトレーニングでは、コードを記述することなく、短時間で機械学習モデルをトレーニングできます。カスタムトレーニングでは、カスタムコンテナを通じて選ばれたフレームワークによって構築したモデルをトレーニング可能です。

デプロイ

Vertex AIでは、AutoMLもしくはカスタムモデルコードでモデルを作成します。モデルの作成方法にかかわらず、デプロイされたモデルはVertexコンソール上の同じ場所に表示され、同じAPIによってアクセスが可能になります。これによって複数のモデルを効率良く管理でき、業務効率化が可能です。

Vertex AIを利用する3つのメリット

Vertex AIを利用するメリットは、以下の3つです。

  • ノーコードでモデルをトレーニングできる
  • 信頼性の高いモデルを開発できる
  • Google Cloudが提供するプロダクトと連携できる

メリットを把握して、Vertex AIの利用を検討する際の参考にしましょう。

ノーコードでモデルをトレーニングできる

Vertex AIでAutoMLを活用すれば、ノーコードでモデルをトレーニングできるため、モデル構築の効率化が可能です。モデルをトレーニングする際の手間を削減でき、機械学習への取り組みやすさが向上します。

信頼性の高いモデルを開発できる

Vertex AIのMLOpsツールは、複雑なモデルメンテナンスを簡素化できます。これによりエンジニアの負担が減り、より高品質な機械学習モデルの開発に注力できます。

Google Cloudが提供するプロダクトと連携できる

Vertex AIは、Google Cloudとの統合と連携性に優れたプラットフォームです。Vertex AIとGoogle Cloudとの連携によって、Cloud Storage(オブジェクトストレージサービス)や、BigQuery(データウェアハウスサービス)上のデータをそのまま活用できます。機械学習モデルの開発のためにデータを移動させたり、コピーしたりといった作業の必要がないため、最新の正確なデータを利用したモデル開発が可能です。

Vertex AIと連携できる代表的なGoogleプロダクト

Vertex AIは、以下のようなGoogleプロダクトと連携可能です。

  • BigQuery
  • Cloud Storage
  • Vertex AI Workbench(旧Cloud Detalab)
  • Pub/Sub

各プロダクトの特徴と連携によって得られる効果を確認して、Vertex AIの可能性を知りましょう。

BigQuery

BigQueryは、Googleが開発したフルマネージドのクラウドデータウェアハウスです。膨大な量のデータを素早く解析できるほか、分析結果をリアルタイムに近い形で保存・活用することが可能です。Vertex AIとBigQueryを組み合わせれば、データの取り込みから保存、機械学習モデルの構築・トレーニング、デプロイ・管理までのプロセスを一貫して実行できます。

Cloud Storage

Cloud Storageは、テキストや音声、画像などを保存できるストレージサービスです。保存容量は無制限で、いつでも保存したデータにアクセス可能です。Vertex AIとCloud Storageを連携すれば、機械学習モデルのトレーニングに使うデータを効率的に管理できます。

Vertex AI Workbench(旧Cloud Detalab)

Vertex AI Workbenchとは、Google Cloud上で使用可能なデータ分析ツールです。データの分析や可視化、機械学習モデルの開発といったGoogle Cloud Datalabの機能を引き継いでおり、より拡張された開発環境を提供しています。Vertex AIとVertex AI Workbenchを連携すれば、シームレスなモデル開発やデプロイが可能です。

Pub/Sub

Pub/Subは、Google Cloudに含まれているフルマネージドメッセージングサービスです。膨大な量のメッセージ配信やメッセージ処理、リアルタイムでのメッセージ配信などの機能を備えています。Vertex AIとPub/Subを連携すれば、機械学習とリアルタイムでのデータ処理を組み合わせた高度なシステム構築が可能です。

Vertex AIにおける3つの活用事例

Vertex AIは、あらゆるビジネスで利用されている優れた機械学習プラットフォームです。Vertex AIの活用事例を確認して、自社での利用方法を具体的にイメージしましょう。

類似商品の表示

あるEC事業者は、小規模の法人や個人が手軽にECサイト上でネットショップを開設できるサービスを提供していましたが、開設された数千にもおよぶネットショップの商品を横断して検索できるシステム開発に課題を抱えていました。

そこで、Vertex AIのベクトル検索基盤である「Vertex AI Matching Engine」を導入し、膨大な数のネットショップを横断して類似商品を検索できるシステムを構築しました。Vertex AI Matching Engineは、顧客の行動データに依存しない点や、インフラ管理のリソース削減に活用できる点が大きな特徴です。

自動販売機のデータ分析

自動販売機ビジネスを展開するある企業は、インターネットに接続された約70万台の自動販売機からデータを収集して分析し、自動販売機の設置場所や陳列製品をデータに基づいて決定する目的で、Vertex AIの導入を決めました。

膨大な数の自動販売機だけでなく、商品や設置場所などのさまざまなパラメータが存在するため、分析に活用するデータは膨大になり、インフラ管理が課題となっていました。そこで導入されたのが、BigQueryやVertex AIといったGoogle Cloudのフルマネージドサービスです。導入によって、インフラをはじめとした面倒な管理業務が削減され、本来の目的であるデータ分析に最大限時間を使えるようになりました。

Vertex AIは、BigQueryと連携してBigQuery上の大規模なテーブルデータを直接利用できます。この事例では、BigQuery上のテーブルデータに対してVertex AIのAutoML機能を利用し、データ分析から売上予測モデルまでの開発をわずか数か月で実現できました。

自動車の運転支援システム

自動車の運転支援システムでは、いかに性能の高い機械学習モデルをスピーディーに開発するかどうかが重要です。ここで役立つのがVertex AIの豊富な計算リソースです。

例えば、自動車に搭載されたカメラで撮影した画像処理のために、最新のGPUが大量に必要になった場合でも、Vertex AIであればクラウド上で迅速にリソースを展開できます。ハードウェアの購入や設置を待つ必要がないため、開発スピードが大きく向上します。また、スケールアップとスケールダウンを素早く行えるため、急に計算リソースが必要になったときでも柔軟に対応できます。

Vertex AIを活用して機械学習モデルの構築を効率化しよう

Vertex AIとは、Google Cloudで利用できる機械学習プラットフォームです。Vertex AIを活用すれば、機械学習モデルの構築のために複数の作業用ツールを組み合わせる必要がなくなり、ワークフローを効率化できます。また、ノーコードでの機械学習モデルのトレーニングや、信頼性の高い機械学習モデルの開発も可能なため、システム開発の効率化と品質向上を実現します。

Vertex AIは、Google Cloudの他プロダクトと連携して、より優れた機能を利用可能です。こうした機能を活用すれば、さらなる業務効率化につながります。Vertex AIを利用する際は、他のプロダクトと連携して得られる機能も併せて活用すると良いでしょう。

電算システムでは、Vertex AIをはじめとした機械学習サービスの導入や運用に加えて、Google Cloudを利用したデータ活用のサポートも行っています。Vertex AIやGoogle Cloudの導入に興味のある方や、機械学習やデータの活用について悩んでいるという方は、お気軽にご相談ください。

Google Cloudや機械学習についてわかりやすく解説した資料を、以下のページで無料で公開中です。興味のある方は、ぜひご覧ください。

監修者

新 直哉
新 直哉
入社5年目。データエンジニアとして、BigQueryを主としたデータ分析基盤の提案・導入支援や、ウェブセミナーの講師などを務める。現在はプリセールスエンジニアの卵として奮闘中。

<保有資格>
・Professional Data Engineer
Professional Data Engineer