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Google Cloudのデータベースサービス一覧|
8つのサービスの特徴や使い方を解説

 2025.12.18  株式会社電算システム

データベースには、テーブルなどの要素を用いて、膨大な量のデータの抽出や編集といった作業を簡易化する役割があります。しかし、一概にデータベースといっても、リレーショナルデータベースや非リレーショナルデータベースなどの種類があり、どれを選べば良いかわからず悩んでしまうケースも多いのではないでしょうか。

Google Cloudには、種類の異なるさまざまなデータベースサービスが用意されています。リレーショナルデータベースのCloud SQLや、非リレーショナルデータベースのBigtableといった形です。そのため、目的や要件に合わせてデータベースを使い分けたり、複数のサービスを組み合わせたりと、柔軟な対応が可能です。本記事では、リレーショナルデータベースや非リレーショナルデータベースといった種類に分け、Google Cloudのデータベースサービスの特徴を解説します。データの活用や分析基盤の構築などを検討している方は、ぜひ参考にしてください。

Google Cloudに搭載されているデータベースサービス一覧

Google Cloudには100種類以上のサービスが搭載されています。そのうち、データベースに関連するサービスは、次の4種類に分類されます。

  • リレーショナルデータベース(RDB)
  • 非リレーショナルデータベース
  • ベクトルデータベース
  • データウェアハウス(DWH)

RDBは、テーブル同士の関係性を定義したうえでデータを格納できるデータベースです。そして、RDB以外のデータベースで、SQLだけでなくさまざまな言語やインターフェースに対応したものは、非リレーショナルデータベース(NoSQL型データベース)にあたります。

ベクトルデータベースは、主に生成AIモデルを構築する際に利用されます。生成AIモデルを構築するために必要な、テキストや画像、動画といった非構造化データを扱えるのが特徴です。

最後のDWHは、ローデータを分析用に加工したデータを格納するためのデータベースです。格納したデータに対して、直接クエリを実行して分析を行えるほか、大規模なデータを時系列で蓄積できるメリットがあります。

このように同じようなデータベースでも、種類が異なれば特徴や役割が大きく異なります。そのため、目的を明確にしたうえで適切なサービスを選ぶことが重要です。

Google Cloudのリレーショナルデータベース3選

リレーショナルデータベースのなかでも、Google Cloudには特徴が異なる複数のサービスが搭載されています。代表的なサービスは次の通りです。

  • Cloud SQL
  • AlloyDB for PostgreSQL
  • Spanner

Cloud SQL

Cloud SQLは、さまざまな自動化機能を備えたリレーショナルデータベースです。データベースインスタンスの拡張やフェイルオーバーの設定、データベース管理など、数多くのタスクを自動化できるため、より効率的にデータベースを運用できます。また、データの暗号化や自動バックアップ、冗長化など、高度なセキュリティ機能を利用できるのもポイントです。

Cloud SQLは、MySQLとPostgreSQL、Microsoft SQL Serverの3種類のデータベースエンジンに対応しています。このようなデータベースエンジンは、Webアプリケーション開発でよく使用されることから、開発環境を整える際に役立つでしょう。加えて、専門的な知識不要で簡易的な操作のみで利用できるため、ほかにもデータ分析やゲーム開発などにも活用が可能です。

AlloyDB for PostgreSQL

AlloyDB for PostgreSQLは、PostgreSQLと100%の互換性を持つリレーショナルデータベースです。PostgreSQLによって構築した既存のアプリケーションを容易に移行・拡張できます。

AlloyDB for PostgreSQLには、カラムナストレージの仕組みが搭載されており、列単位でデータを格納できます。これによりクエリを読み取る速度が向上します。また、自動水平スケーリングによってデータ量に応じてインスタンス数を自動的に増減できたり、インスタンスに障害が発生した際でも別のサーバーに自動で切り替えられる自動フェイルオーバーを利用できたりと、さまざまな機能が備わっています。

このような点から、AlloyDB for PostgreSQLはデータ分析を行う際に重宝します。列指向のストレージアーキテクチャは、データ分析を行う際のクエリの実行を高速化します。また、AWS(Amazon Web Services)やMicrosoft Azureとの親和性に優れるため、ハイブリッドクラウド環境を構築する場合にも役立つでしょう。

Spanner

Spannerは、Google内で利用されている分散型データベースシステムをモデルにしたリレーショナルデータベースです。このシステムはGoogleの検索エンジンやGmailにも採用されており、Webサービスのバックエンドにおいて高いトラフィック性能を発揮するほどパフォーマンスに秀でています。

従来のリレーショナルデータベースには、柔軟なスケーリングが難しいという課題がありました。一方のSpannerは、ストレージからコンピューティングリソースが分離されているため、システムの基盤を変えることなく、簡易的な操作のみでリソースの拡大や縮小が可能です。

仮にトランザクションが一時的に急増した場合でも、データの書き換えやデータベースの移行といった手間のかかる手続きを取らずに済みます。そのため、金融サービスやECサイトなど、一時的にトランザクションが急増しやすい環境でも、データベースの高い可用性を確保できます。

また、グローバルに展開されている複数のリージョンから目的の地域を選択できるのもポイントです。グローバルな環境でアプリケーションを開発する場合でも、Spannerならデータの一貫性を確保した状態で作業を行えます。

Google Cloudの非リレーショナルデータベース3選

Google Cloudには、リレーショナルデータベースとは別に、次のような非リレーショナルデータベースも搭載されています。

  • Bigtable
  • Firestore
  • Memorystore

それぞれの特徴や強みについて詳しく解説します。

Bigtable

Bigtableは、Google内で利用されている分散型データベースシステムをモデルにした非リレーショナルデータベースです。この仕組みは先ほど紹介したSpannerにも採用されているため、Bigtableは非リレーショナル版のSpannerだといっても過言ではありません。そのため、Spannerと同様、大規模なデータを高速的に処理するのに優れています。

ビッグデータのような膨大な量のデータに対応できるのは、分析やIoTデータの処理、ストリーミングデータの処理など、幅広い用途に利用できることを意味します。また、構造化データと非構造化データの両方を扱える点から、アプリケーションやWeb広告のパフォーマンス分析、ゲーム開発におけるバックエンド処理などにも発展が可能です。

Firestore

Firestoreは、データをドキュメント形式で保存できる非リレーショナルデータベースです。Firestoreには、文字列や数値などの情報を保管できる「フィールド」や、複数のドキュメントをまとめるための「コレクション」といった概念があります。このような仕組みによって柔軟にデータを構造化することで、より効率良くクエリを実行できるようになります。

また、用途に応じてネイティブモードとデータストアモードを選択できるのも特徴です。

ネイティブモードでは、Firestoreに搭載されている全機能を利用できます。リアルタイム同期やオフライン対応など、さまざまな機能を利用できるのが魅力です。データベースとアプリケーションのデータが常に同期されるため、チャットやコラボレーションツール、ゲームなど、リアルタイム同期が必要なアプリケーション開発に役立ちます。

データストアモードとは、過去にGoogle Cloudに搭載されていた非リレーショナルデータベース、Datastoreの機能を利用できるモードです。2019年2月にFirestoreがリリースされると、それにあわせてDatastoreがFirestoreのデータストアモードとして内包される形となりました。ネイティブモードのようにFirestoreの全機能を利用できるわけではありませんが、従来Datastoreを利用していた場合、スムーズにデータを移行できるメリットがあります。

Memorystore

Memorystoreは、非リレーショナルデータベースのなかでもインメモリデータストアに位置付けられているサービスです。インメモリデータストアとは、コンピュータのメモリ(RAM)部分にデータを保存できるデータベースです。ハードディスク内のストレージにデータを保存する場合に比べ、インメモリデータストアを使用するほうがより高速でデータの読み込み・書き込みを行えます。

そのため、データの読み書きを行う機会が多いアプリケーションや、リアルタイム処理が必要な場面に最適です。例えば、モバイルアプリケーションやWebアプリケーションを開発する際、キャッシュレイヤーを構築するのに役立ちます。アクセスする頻度の高いデータをキャッシュとして処理することで、データベースの負荷を抑えつつ、レスポンス時間を短縮することが可能です。

Google Cloudのベクトルデータベース

続いて、Google Cloudに搭載されているベクトルデータベースを紹介します。ベクトルデータベースには、次のような種類があります。

  • AlloyDB AI
  • その他のデータベース

それぞれの特徴を詳しく解説します。

AlloyDB AI

AlloyDB AIは、リレーショナルデータベースのAlloyDBにAI機能を加えたデータベースです。生成AIモデル開発に利用されるベクトルデータベースは、テキストや画像、動画といった複雑なデータの類似検索を高速で処理しなければなりません。その点、AlloyDB AIは、標準的なPostgreSQLに比べ、最大10倍のクエリ実行スピードを実現できます。

また、AI機能により、データベース内のデータから自動でエンベディングを生成できるのも特徴です。エンベディングとは、AIがデータを処理しやすいよう、そのデータを数値ベクトルへと変換する技術あるいは数値ベクトル表現そのものを指します。

例えば、テキストや画像などのデータは、本来AIには理解できない概念ですが、エンベディングを生成することで、AIがデータの内容を理解したうえで正確に機械学習を行えるようになります。また、AlloyDBにエンベディングを保存すれば、SQLを用いてクエリを実行することも可能です。

その他のデータベース

リレーショナルデータベースのCloud SQLやSpannerは、ベクトルデータベースとして活用することもできます。これはCloud SQLやSpannerにベクトル類似検索の機能が搭載されているためです。

ベクトル類似検索機能を使用することで、生成したエンベディングをデータベース上の既存のテーブルに登録できます。その後、インデックスを作成すると、k近傍や近似最近傍による検索が可能です。例えば、特定の質問文をエンベディングに変換したうえでベクトル類似検索を行うと、質問内容と似通ったデータを短時間で取得できます。

従来、このような処理をするには、ベクトル類似検索に特化した専用のデータベースサービスを導入する必要がありました。しかし、Cloud SQLやSpannerに同機能が実装されたことで、使い慣れたリレーショナルデータベースの機能はそのままに、必要に応じてベクトル類似検索を行えるようになります。結果として、生成AI関連のアプリケーションを開発する際の効率化や負担軽減につながります。

Google Cloudのデータウェアハウス

Google Cloudに搭載されているデータウェアハウス(DWH)は、BigQueryと呼ばれるサービスのみです。BigQueryでは、クエリをツリー構造で処理するツリーアーキテクチャの仕組みにより、データを分散的に処理できるため、TB(テラバイト)・PB(ペタバイト)単位の大規模なデータでも高速で解析できます。

BigQueryにデータを格納する場合、標準テーブルと外部テーブル、ビューの3種類のテーブルを使用します。カラムを定義してデータを格納する際は標準テーブルを、外部ストレージからデータを移行する場合は外部テーブルを使用するのが一般的です。そして、ビューと呼ばれるテーブルには、SQLを使って定義した論理的なデータのみを格納します。

また、さまざまなデータソースに対応していたり、API連携を利用できたりするのも特徴です。API連携を有効にすれば、Pythonによってクエリを実行することもできます。

外部データベースからデータを移行する際に役立つサービス

Google Cloudには、さまざまなデータベースサービスに加え、外部データベースからGoogle Cloudのデータベースへとデータを移行できるサービスも搭載されています。そのサービスは、「Database Migration Service(DMS)」と呼ばれています。

Database Migration Serviceは、データベース同士のデータが継続的に同期されるのが特徴です。そのため、ダウンタイムを気にすることなく、データの移行中でもデータベースを普段通りに利用できるメリットがあります。また、Oracle DatabaseからCloud SQLへといったように、種類が異なるデータベース間のデータ移行に対応しているのもポイントです。

外部データベースからGoogle Cloudにデータを移行すると、TCO(Total Cost of Ownership/総所有コスト)の削減につながる可能性があります。

例えば、オンプレミスのデータベースを利用している場合、物理基盤の構築や管理、セットアップなどに大きな費用や手間がかかります。一方、Google Cloudのクラウド型データベースを利用すると、サーバーやCPU、ストレージといったリソースをコマンド一つで追加できるため、俊敏性を確保したうえでコストを抑えられます。

Google Cloudには、Cloud SQLやSpanner、Bigtableなど、多種多様なデータベースサービスが存在します。同じ種類のデータベースでも、複数のサービスが存在することもあり、それぞれ特徴や強みが異なります。そのため、データベースが必要となる課題や目的を明確にし、それに合わせて最適なサービスを選ぶことが重要です。

また、すでに既存のデータベースサービスを利用している場合、Google Cloudにデータを移行するケースもあるでしょう。この場合は、Google Cloudの各種データベースサービスを選定するとともに、データ移行に役立つDatabase Migration Serviceを活用するのがおすすめです。

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電算システムでは、Google Cloudのスターターパックサービスや技術コンサルティングサービスなどを提供しています。Google Cloudを活用したデータ分析基盤の構築方法や、データの活用方法などに関して、プロの観点からアドバイスを行っています。

監修者

西口 太一
西口 太一
Google Cloud エンジニアとしてさまざまな構築支援を行なっています。

<保有資格>
・Associate Cloud Engineer
・Professional Cloud Architect
・Professional Data Engineer
・Professional Cloud Database Engineer
・Professional Cloud DevOps Engineer
・Professional Cloud Developer
・Professional Cloud Security Engineer
・Professional Cloud Network Engineer
・Professional Workspace Administrator
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