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データパイプラインとは?
ETLパイプラインとの違いや設計に
必要な3つの要素も分かりやすく解説

 2026.01.28  株式会社電算システム

データパイプラインは、データ分析を効率良く進める上で欠かせないツールです。データパイプラインを活用すれば、データ分析の効率化だけでなく、精度の向上も期待でき、さまざまな業務や意思決定のシーンで役立ちます。

この記事では、データパイプラインの概要や種類、メリットなどについて解説しています。データパイプラインの仕組みや活用事例も把握できる内容になっているので、導入を検討中の方はぜひ最後までご覧ください。

データパイプラインとはデータ分析に不可欠なプロセス

データパイプラインとは、あらゆるソースからデータを収集・分析し、人が理解しやすい形で提示するために利用するプロセスもしくはツールのことです。企業がデータパイプラインを利用すれば、データをもとに自社の課題を発見でき、より効果的な解決策の検討や実行につなげることができます。データパイプラインでは、社内外に散在するさまざまなデータを収集・統合し、分析可能な状態に整えます。

データパイプラインとETLパイプラインにおける5つの違い

ETLパイプラインとは、データパイプラインを行う際の特定の処理のことです。データコンプライアンスへの準拠とバッチ処理が重視されており、データ品質を上げて複雑な変換を要する場合や、BIツールでの活用に向いています。データパイプラインとETLパイプラインの違いは、以下の通りです。

  データパイプライン ETLパイプライン
処理するときの流れ
  • 非定型的
  • 定型的(1.抽出 → 2.変換 → 3.ロード)
対象となるシステムの種類
  • DWH、データレイク、リアルタイム・ダッシュボード、セルフサービスBIツール
  • DWH
処理の実行方法
  • バッチ、リアルタイム、イベント駆動型
  • バッチ
ソースデータの種類
  • ERPなどから抽出される構造化データ
  • IoTデバイスなどから送られる非構造化データ
  • ERPなどから抽出される構造化データ
数値データの処理方法
  • SQLなどを使用した四則演算
  • R言語などを使用した統計解析
  • SQLなどを使用した四則演算

処理するときの流れ

データパイプラインは、データ処理の流れが定型的ではなく、用途やシステム構成に応じてさまざまなパターンがあります。例えば、抽出したデータを変換せずにデータベースにロードするケースもあれば、ロード完了をトリガーとして、データの変換や転送といった処理が実施される場合もあります。

一方、ETLパイプラインでは、データ処理の流れが比較的定型的な点が特徴です。データを抽出した後で分析に適した形へと変換し、DWHにロードする工程が基本となります。

対象となるシステムの種類

データパイプラインが対象とするシステムの種類は、DWH、データレイク、リアルタイム・ダッシュボード、セルフサービスBIツールといったさまざまな種類があります。一方でETLパイプラインは、DWHのみをターゲットとします。

処理の実行方法

データパイプラインは、ユーザー要件やデータの特性に合わせて、バッチ、イベント駆動型、リアルタイムの処理を併用します。一方、ETLパイプラインは、日次や月次などの定期的なバッチ処理を実行します。

ソースデータの種類

データパイプラインのソースデータの種類は、構造化データに加えて、IoTデバイスから転送される非構造化データも対象になります。一方、ETLパイプラインは、ERPをはじめとしたアプリケーションから抽出される構造化データがソースデータになります。

数値データの処理方法

データパイプラインでの数値データの処理には、四則演算やR言語を使用した統計解析処理が利用されます。一方、ETLパイプラインでの数値データの処理では、SQLなどを使用した四則演算のみが利用されます。

データパイプラインを構築する4つのメリット

データパイプラインを構築するメリット    には、主に以下の4つがあります。

  • データ分析業務の効率化を実現できる
  • 非エンジニアでもデータ分析が可能になる
  • データの品質が向上する
  • 意思決定のスピードアップにつながる

メリットを確認して、データパイプラインの導入効果を把握しましょう。

データ分析業務の効率化を実現できる

データパイプラインを構築すれば、異なるサービスのデータを素早く分析基盤へ組み込め、データベースを最新の状態に維持できます。また、データパイプラインが自動でデータを統合するため、エンジニアの工数が減り、負担の軽減も実現可能です。削減できた工数は、データ分析やデータベースの管理といった他の業務に充てることができます。データパイプラインの利用によって、データ分析をより効率良く進められる体制を整備できます。

非エンジニアでもデータ分析が可能になる

データパイプラインの構築は、非エンジニアでもデータ分析ができる体制づくりに役立ちます。データパイプラインの各プロセスに非エンジニアが扱いやすいサービスを導入すれば、エンジニア以外の人材もデータ分析が可能です。

この体制が実現できれば、マーケティングや営業といった部署の人材も各自でデータ分析ができ、データを活用して業務を進めるという文化が定着していきます。また、データ分析の結果を経営に関わる意思決定にも利用しやすくなり、根拠が明確でより効果の期待できる方向へと事業を進められます。

データの品質が向上する

データパイプラインを整備すれば、異なるソースから抽出したデータであっても一貫性と整合性を確保でき、データの品質を向上できます。例えば、ETLパイプラインを使用して、データのフォーマット統一や重複データの排除といった処理が可能です。

データパイプラインは、前もって決められたルールに沿って処理が実行されるため、ヒューマンエラーによるミスを抑えつつ、データ品質の安定化が図れます。また、抽出したデータを監視すれば、問題のあるデータを検知し、通知も可能です。人の目では気づきにくい異常値でも、システム化によって正確に検知できます。

意思決定のスピードアップにつながる

データパイプラインの構築で、データの収集・分析・可視化のプロセスを自動化でき、データ活用を迅速に行える体制を整えられます。その結果、意思決定までのリードタイムが短縮され、判断のスピードアップにつながります。人の経験や勘に頼ることなく、データに基づいた根拠ある意思決定を素早く下せます。

また、データパイプラインによるデータの一貫性や整合性の確保により、意思決定の精度の向上も可能です。より効果的で正確な意思決定ができれば、結果として企業全体の大きな成長につながります。

データパイプラインの5つの種類

データパイプラインが処理する方法には、以下の5つの種類があります。

  • バッチ処理パイプライン
  • ストリーミングデータパイプライン
  • データ統合パイプライン
  • クラウドネイティブパイプライン
  • オープンソースパイプライン

それぞれの特徴を確認して、データパイプラインの基礎知識を身につけましょう。

バッチ処理パイプライン 

バッチ処理データパイプラインとは、1日や1時間などの事前に設定している時間枠で収集されたデータをまとめて自動処理するものです。データパイプラインには、コマンドシーケンスが含まれているため、一連のコマンドがデータのバッチ全体に実行されます。

データパイプラインは、1つのコマンドの出力を次のコマンドへの入力として提供し、すべてのデータ変換が完了した段階で、バッチ全体をクラウドデータウェアハウスもしくは別のデータストアへロードします。

ストリーミングデータパイプライン

ストリーミングデータパイプラインとは、リアルタイムで発生するデータを素早く分析できる処理方法です。医療機器や機器に接続するゲージなど、常に変化し続けるデータの扱いに適しています。他にも、天候の予測や在庫の追跡、財務データの分析といったあらゆる場面で役立ちます。

データ統合パイプライン

データ統合パイプラインとは、異なるソースから抽出したデータを単一のビューとして統合できる処理方法です。互換性のない構造や形式を扱う異なるシステムを処理する際に、必要不可欠な方法です。

クラウドネイティブパイプライン

クラウドネイティブパイプラインとは、サービス事業者の提供するクラウドサービスを活用する処理方法です。クラウド型のデータソースに最適化されている方法で、コスト効率やスケーラビリティを向上させて、データの処理・保管を効率化できます。そのため、エンジニアが行うインフラ関連の業務における負担も軽減できます。

オープンソースパイプライン

オープンソースパイプラインとは、商用ツールの代わりとして提供されているカスタマイズが可能なパイプラインです。データの抽出・処理・可視化までの工程をオープンソースのツールで実行します。ツールを調整しなければならない場合には、専門的なスキルが必要になります。

データパイプラインを設計するために必要な3つの要素

データパイプラインを設計するためには、以下の3つの要素が必要です。

  • データソース
  • 処理
  • 同期先

それぞれの要素の詳細を確認して、データパイプラインをより深く理解しましょう。

データソース

データソースは、データパイプラインを設計する上で必要な要素の1つです。データソースとは、データの発生元を意味します。一般的なデータソースには、MySQLをはじめとしたリレーショナルデータベース管理システム、Oracle DatabaseやSAPといったERP、HubSpotやSalesforceといったCRM、IoTデバイスのセンサー、ソーシャルメディア管理ツールなどがあります。

処理

処理は、データパイプラインの設計における中核とも言える重要な要素です。ここでは、データソースから抽出した生データを利用しやすい形式へと変換します。処理の工程は場合によって異なりますが、以下のような工程があります。

  • クリーニング:重複や不正確なデータを削除
  • 正規化:データ形式の標準化
  • 変換:データを目的の構造や形式に変換
  • 集計:異なるデータソースから抽出したデータを結合

これらの処理によって、データの正確性や一貫性の向上が可能です。データが適切な形式へ変換されれば、実際の業務や分析目的に活用しやすくなります。また、複雑なデータや膨大な量のデータを扱う際には、複雑なアルゴリズムもしくは演算処理が必要になる場合が多くあります。

同期先

同期先は、データパイプラインの終点です。処理を終えたデータが格納されて、これから活用するためにアクセスできる場所となります。一般的な同期先は、以下の通りです。

  • データウェアハウス
  • データレイク
  • データベース
  • BIツール
  • レポート用ダッシュボード

同期先に格納されたデータはすぐに利用できる状態になっており、目的に応じた活用が可能です。

データパイプラインの仕組み【5ステップ】

データパイプラインは、以下の5つの工程によって成り立っています。

  • データの取得
  • データクレンジング
  • 変換
  • 保存
  • 分析・活用

各工程を確認して、データパイプラインの仕組みを把握しましょう。

データの取得

データパイプラインの最初の工程は、データの取得です。データの取得は、以下のようなデータソースから1つ以上を使用して行われます。

  • データベース
  • クラウドサービス
  • API
  • ファイルシステム
  • リアルタイムソース

データクレンジング

データクレンジングは、データ内の誤った情報や欠損、重複などを修正・削除する工程です。データパイプラインの中で最も時間を要する工程で、データ分析を行う上で不都合なものを無くし、データの品質を向上させます。データクレンジングには、以下のような大きく2つの作業があります。

  1. データに含まれる欠損やエラー、破損した箇所を特定する
  2. エラー修正、形式の統一、穴埋め、重複や関係のない情報を削除する

変換

変換の工程では、抽出したデータを分析に適した形式へと変換します。変換の際の具体的な処理は、以下の通りです。

  • 正規化:データ形式の標準化
  • エンリッチ化:関連情報の追加
  • 集計:異なるデータソースから抽出したデータを結合

これらの処理は、ETLパイプラインのETL(抽出・変換・ロード)のうち「T(変換)」に当てはまります。

保存

保存の工程では、データが同期先のシステムへ格納されます。同期先となるシステムは、データパイプラインの目的やデータの性質に適したものが対象で、例としてデータウェアハウスやデータレイク、データベースなどが挙げられます。

同期した後、追加の処理工程を要することもあり、場合によっては高度なデータ処理が必要です。具体的には、以下のようなものに関連した作業があります。

  • 重複除外
  • 依存関係
  • 並べ替え
  • アルゴリズム
  • ビジネスロジック

分析・活用

分析・活用の工程では、BIツールやその他のアプリケーションに加え、データアナリストなどの関係者がデータへアクセス可能になります。実際にデータ活用が行える状態になり、業務や意思決定にデータを利用可能です。

データパイプラインは、データ活用に利用できるデータの増加やビジネス要件の変更があった際には、必要に応じて修正しなければなりません。データパイプラインの定期的な見直しを行って修正を繰り返せば、データ分析の精度を高い状態で維持できます。

データパイプラインを構築する際の2つの注意点

データパイプラインを構築する際には、以下のような2つの注意点があります。

  • 各工程を個別に設計しない
  • 定期的に改善を繰り返す必要がある

注意点を把握して、データパイプラインを構築する際に役立てましょう。

各工程を個別に設計しない

データパイプラインを構築する際は、各工程を個別に設計しないことが重要です。収集・クレンジング・モデリング・可視化という流れを個別に設計してしまうと、データの修正・拡張の際に問題が発生する恐れがあります。

また、何らかの障害が発生した際に原因を特定できなくなる可能性もあるため、データパイプラインを構築する際には、データの処理内容や依存関係を意識して全体的に一元管理しながら工程を進めます。

定期的に改善を繰り返す必要がある

導入初期のデータパイプラインは、そのときの要件定義に基づいて設計されたものです。データパイプラインを運用していく中で、問題点が見つかる場合もあるため、定期的に効果検証を行って、改善点がないかの確認が必要です。

例えば、処理速度に着目して業務への悪影響がないかを確認したり、データ品質に着目してクレンジングの精度を確認したりする検証が効果的です。データパイプラインをより効果的に活用するために、検証した後は必ず問題の早期改善に取り組みましょう。

ビジネスにおけるデータパイプラインの3つの活用事例

ビジネスにおけるデータパイプラインの3つの活用事例を紹介します。

  • 顧客分析
  • リアルタイム分析
  • リスク分析

活用事例を確認して、自社でデータパイプラインを利用する際の参考にしましょう。

顧客分析

データパイプラインを活用すれば、Webサイトをはじめとした自社コンテンツにおけるアクセス、購入履歴、行動履歴、ソーシャルメディアでのやり取りといったあらゆる顧客データを収集・分析できます。顧客分析は、マーケティングの成果を左右する重要な取り組みです。

データパイプラインによって得られたデータを活用して、顧客の行動を把握・理解し、マーケティング戦略を立案すれば、売上げや顧客満足度の向上につながります。

リアルタイム分析

リアルタイム分析では、データパイプラインを活用している場合が多くあります。例えば、金融業界では、不正取引を検出する目的でリアルタイムのデータパイプラインが利用されています。取引が開始されると関連するデータが即座に分析され、異常なパターンが検出された場合にはアラートが表示される仕組みです。

その他にも、Eコマースの分野では、効果的に商品をおすすめできるレコメンドシステムにデータパイプラインが活用されています。顧客の行動履歴を収集してETLパイプラインを用いた分析を行い、顧客が求めている商品を表示可能です。

また、ソーシャルメディアのトレンド分析でも、ストリーミングデータパイプラインがリアルタイムのデータを分析して、変化の激しいトレンドの把握に貢献しています。

リスク分析

データパイプラインを活用すれば、ソーシャルメディア、気象データ、金融市場といったさまざまなデータソースからデータを収集・分析可能です。これらのデータを活用してリスク分析を行えば、精度の高い意思決定ができ、リスクを避けた効果的な経営ができます。

データパイプラインを構築して業務効率化につなげよう

データパイプラインとは、あらゆるソースからデータを収集・分析し、人が理解しやすい形に変換するプロセスもしくはツールのことです。企業がデータパイプラインを活用すれば、データの分析結果をもとに自社の問題を発見でき、解決策を導き出せます。

データパイプラインはすでにさまざまな業界で活用されており、小売業や金融業、医療、気象などの業界で特に大きな活躍を見せています。自社で導入すれば、データ分析の精度や効率が向上するだけでなく、意思決定の迅速化が可能です。

データパイプラインの導入前に、まずはデータ分析やデータ活用について学び、データパイプラインの必要性を正確に理解しましょう。

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