Cloud Storageサービスの導入を検討している方のなかには、どのサービスがよいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。Cloud Storageサービスは、機能が多くて費用を安く抑えられるものがよいとは限りません。自社に合わないサービスを導入すれば、かえって業務効率を下げる恐れもあるため、慎重な検討が必要です。企業の特徴や目的を整理して、自社に合ったサービスの選定を心がけましょう。
この記事では「Cloud Storageの概要」「種類と仕組み」「サービスの選定ポイント」「利用するメリット」「活用する際の注意点 」を解説します。Cloud Storageの基礎知識から選定ポイントまで詳しくまとめた内容になっているので、ぜひ参考にしてみてください。
Cloud Storage(クラウドストレージ)とは?概要を解説
まずは、Cloud Storageの概要、種類と仕組みについて解説します。概要を正確に理解して、Cloud Storageの基礎知識を身につけましょう。
Cloud Storageとは「記憶メディア」の1種
Cloud Storage(クラウドストレージ)は、クラウド上に構築されたデータを格納するためのスペースです。「オンラインストレージ」もしくは「ファイル・ホスティング」とも呼ばれます。自社のサーバー機器やパソコンのストレージ容量を使用しなくても、データの保存が可能です。
Cloud Storageは、データ保存だけではなく、ほかの人とのデータ共有もできます。取引先やチームメンバーとのデータ共有を円滑にして、業務効率化を実現するため、Cloud Storageサービスを提供する企業は近年増加しています。
以前は、自社にファイルサーバー(※1)もしくはNAS(※2)を設置してデータ管理をする企業が主流でしたが、現在はCloud Storageに移行するケースが多く見られます。
※1. ファイルサーバー:ネットワークを通して複数人でファイルを編集・管理するための機器
※2. NAS:ネットワークを通して利用するファイルサーバー
Cloud Storageの種類と仕組み
Cloud Storageの種類は、以下の3つです。それぞれの特徴を確認して、Cloud Storageの理解を深めましょう。
種類 | 仕組み | 特徴 |
パブリッククラウド | ネットワークを通じて、ストレージやサーバーなどを利用できるサービスが提供される |
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プライベートクラウド | 自社のネットワークに専用のクラウド環境を構築して利用する |
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ハイブリッドクラウド | オンプレミス環境もしくはデータセンターとパブリッククラウドを接続して利用する |
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Cloud Storage(クラウドストレージ)サービスの選定ポイント7選
Cloud Storageサービスの選定ポイントは、以下の7つです。
- 機能
- 容量
- 操作性
- 対応デバイス
- セキュリティ対策
- フォルダ階層の設定
- サポート体制
ポイントを確認して、サービスを選定する際の参考にしましょう。
機能
Cloud Storageサービスを企業で導入する際は、自社の目的に合った機能が揃っているかどうかを確認しましょう。Cloud Storageサービスの多くは、機能やストレージ容量などのサービス内容がパッケージ化されているため、提供されているプランのなかから自社に合うものを選定します。
また、Cloud Storageサービスは、機能が多ければよいというわけではありません。機能が多すぎて十分に活用しきれなかったり、使いにくかったりする場合もあるため、あくまで自社の目的や希望を軸にしたサービス選定が大切です。
Cloud Storageサービスで利用できる機能には、以下のようなものがあります。
- パスワード設定
- 共有リンクの保存
- バージョン管理機能
- コラボレーション機能
- 自動バックアップ機能
容量
Cloud Storageサービスを選定する際は、ストレージ容量の大きさも重要です。サービス選定を始める前に、自社にどの程度のストレージ容量が必要なのかを算出しておきましょう。実際にサービスを選定する際は、算出したストレージ容量を上回っているプランがあるかどうかを確認します。
操作性
Cloud Storageサービスを選定する上で、直感的な操作が可能かどうかは、導入後の定着率を左右する重要なポイントです。導入するCloud Storageサービスが、既存のファイルサーバーと近い操作性であれば、従業員の負担を軽減でき、サービスが定着しやすくなります。
仮にサービスの操作性やフォルダ階層の表示方法が、既存のファイルサーバーと大きく異なる場合、サービスに慣れるまでの期間が長期化し、人件費をはじめとしたコストが膨らみます。サービスの導入により、社内で混乱を招く恐れもあるため、注意が必要です。Cloud Storageサービスを選定する際は、できる限り既存のファイルサーバーと近い操作性で、直感的な操作ができるサービスをおすすめします。
対応デバイス
対応デバイスの多さも、Cloud Storageサービスを選定する際のポイントの1つです。サービスを選定する際は、パソコンだけでなく、タブレットやスマートフォンにも対応しているかどうかを確認しましょう。
また、AndroidやiOSなどで利用できる専用アプリの有無も重要なポイントです。専用アプリがない場合は、スマートフォンのブラウザでサービスへアクセスした際に、操作しやすいかどうかを確認しておきましょう。
Cloud Storageサービスは、社内外の両方からアクセスしやすい点が魅力のサービスです。対応デバイスの多いサービスを選定しておけば、社外からもデータへのアクセスや閲覧、編集などがしやすい環境づくりにつながります。
セキュリティ対策
Cloud Storageサービスで利用できるセキュリティ対策の内容は、プランごとにサービス事業者が決めています。利用できるセキュリティ対策は、プランごとに制限があるため、自社の規模や事業内容などを考慮して、データの十分な安全性が確保できるサービスを選定しましょう。
Cloud Storageサービスのセキュリティ対策としておすすめなのは「2段階認証」や「パスワードポリシー」です。「2段階認証」は、サービスへのログインの際に、IDとパスワードに加えて別の認証を設定する方法です。IDとパスワードでログインできる単一の認証方法に比べて、よりセキュリティ対策を強化できます。
「パスワードポリシー」は、パスワードに使用する文字の種類や数を指定して、第三者に推測されにくい設定を必須にするものです。利用するスタッフが推測されやすいパスワードを設定しないよう、対策できます。
また「ファイルの暗号化」もセキュリティ対策としておすすめです。Cloud Storageサービスでファイルのダウンロードもしくはアップロードをする際に、暗号化によって大切な情報を保護するセキュリティ対策です。
フォルダ階層の設定
Cloud Storageサービスを選定する際は、サービスがフォルダ階層を設定できるかどうかも確認しましょう。Cloud Storageサービスで利用できるフォルダ階層の種類は、以下の2つです。
種類 | 概要 | 特徴 |
フラット構造 | マイドライブや共有ドライブといった複数のドライブを作成してフォルダやファイルを管理する構造 |
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フォルダ構造 | 単一のドライブの配下に、複数のフォルダを作成して管理する構造 |
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既存のファイルサーバーと同様のフォルダ階層にすれば、従業員がサービスに慣れるまでの時間を短縮できます。すでに自社で利用しているファイルサーバーがある場合は、フォルダ階層の種類を合わせるとよいでしょう。
サポート体制
Cloud Storageサービスは、サポート体制の充実度も重要です。導入前だけでなく、運用が始まってからも手厚いサポートが受けられるかどうかを確認しましょう。Cloud Storageサービスは、システム管理におけるサービス事業者の依存度が高いため、サポート体制が不十分な場合、予想外のトラブルに発展する恐れがあります。
Cloud Storage(クラウドストレージ)を利用する5つのメリット
Cloud Storageサービスを利用するメリットは、以下の5つです。
- 容易にデータ共有できる
- 社外からもアクセスできる
- 運用負担を軽減できる
- 初期費用を抑えられる
- 自動でバックアップされる
メリットを確認して、Cloud Storageサービスの導入効果を把握しましょう。
容易にデータ共有できる
Cloud Storageサービスは、社内外にかかわらず、必要な相手とデータ共有を簡単にできるサービスです。共有したいデータをメールに直接添付する方法では、データ容量に制限がありますが、Cloud Storageサービスであれば、容量が大きくても円滑にデータ共有が可能です。また、データを共有した後は、複数の利用者で同じファイルの同時編集ができるため、業務の効率化が期待できます。
社外からもアクセスできる
Cloud Storageサービスは、IDとパスワードがあれば、社内外のどこからでもアクセスが可能です。リモートワークや出張先で仕事をする機会が多い場合でも、円滑に業務を進められます。また、作成したばかりのデータであっても、Cloud Storageサービスにアップロードすれば、外出先から簡単にアクセスでき、閲覧・編集が可能です。
運用負担を軽減できる
Cloud Storageサービスでは、システムの運用・保守をサービス事業者が担います。Cloud Storageサービスを導入すれば、自社にサーバー機器を設置する場合と比べて、少ない負担でシステムの利用が可能です。また、サービスのサーバー機器をはじめとしたシステムには、災害やサイバー攻撃に備えて万全な対策が施されています。自社でシステムを運用するよりも、より安全な環境でデータ管理ができるでしょう。
初期費用を抑えられる
ファイルサーバーを一から構築する場合、システムの設計・構築、機器の購入といった多くの手間とコストがかかります。Cloud Storageサービスであれば、月額もしくは年額の利用料金を支払うだけですぐに導入でき、初期費用を抑えられます。
自動でバックアップされる
ほとんどのCloud Storageサービスでは、ファイルの自動バックアップ機能が利用可能です。万が一、操作ミスでファイルを削除した場合でも、バックアップデータから復元できます。また、サービスのなかには、自動でファイルの履歴を保存・管理するものもあり、必要に応じて過去の履歴をさかのぼり、復元可能です。
Cloud Storage(クラウドストレージ)を活用する際の3つの注意点
Cloud Storageサービスを活用する際の注意点は、以下の3つです。
- ID・パスワード管理
- データの外部漏えい
- データ消失
注意点を確認して、導入する際の参考にしましょう。
ID・パスワード管理
Cloud Storageサービスを利用する場合は、IDとパスワードの厳重な管理が必要です。万が一第三者に情報が漏れれば、不正アクセスの発生を招く恐れがあります。IDとパスワードの管理には細心の注意を払い、社内全体に運用ルールを周知しましょう。
IDとパスワードの管理には、従業員の協力が必要不可欠です。セキュリティをより万全にするには、従業員に情報管理の重要性を伝える取り組みも効果的です。
データの情報漏えい
Cloud Storageサービスを利用する際は、情報漏えいのリスクを理解し、適切なセキュリティ対策の実施が求められます。具体的な情報漏えいの原因には、以下のようなものが挙げられます。
- URLの送信ミス
- 共有設定の誤り
- サイバー攻撃
- 不正アクセス
- サーバーエラー
- システム障害
情報漏えいの対策には「パスワード設定」や「IPアドレスの制限・暗号化」が効果的です。適切なセキュリティ対策を施して、情報漏えいのリスクを低減しましょう。
データ消失
Cloud Storageサービスのシステムは、さまざまな災害対策が施されていますが、データの破損・消失のリスクはゼロではありません。災害の規模によっては、サービスに保管しているデータが影響を受ける可能性もあります。災害やトラブルが発生した場合に備えて、適切な対策を施しましょう。
Cloud Storageサービスのなかには、複数の拠点でデータのバックアップを取り、リスク分散をしているサービスもあります。データの安全性を高めるために、災害対策が万全なサービスを導入する工夫が大切です。
自社に合ったCloud Storage(クラウドストレージ)を選び安全にデータ管理を行いましょう
Cloud Storageは、クラウド上にあるデータを格納するためのスペースです。データの保管に加えて、データ共有やファイルの同時編集ができる機能もあります。Cloud Storageは、サービスやプランによって、ストレージ容量、機能、セキュリティ対策、サポート体制などが異なります。Cloud Storageサービスを導入する際は、サービス内容を確認して、自社の目的に合うものを選定しましょう。
Cloud Storageサービスの利用時には、ID・パスワードの厳重な管理や、情報漏えいへの対策、災害対策によるデータ消失のリスク低減が求められます。企業として安全で効率的なデータ管理をするために、適切な対策が必要です。
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