IT技術の発展に伴って、AIを用いた新たなデータ分析手法が次々に登場しています。そのような中で今注目を集めているのが、自然言語の中から有用なデータを抽出する分析手法「AIテキストマイニング」です。
本記事ではAIテキストマイニングの基本的知識や概要をはじめ、そのメリットや活用シーン、導入する上で必要なことなどを詳しく解説していきます。
AIテキストマイニングとは?必要性も解説
AIテキストマイニングとはどのような技術なのでしょうか。以下ではAIテキストマイニングの概要と活用すべき必要性について解説していきます。
AIテキストマイニングとは?
AIテキストマイニングとは、膨大なビッグデータの中から隠れた傾向性や法則性を分析するIT技術「データマイニング」の一種です。AIテキストマイニングには、「AIの自然言語処理(※)機能を用いることで、話し言葉なども含む日常言語によって構成されたテキストデータからも有益な情報を抽出できること」という特徴があります。
AIテキストマイニングを用いることで、アンケート調査やSNS、コールセンターの問い合わせ、あるいは新聞や雑誌の記事など、あらゆる流入元からテキストデータを分析することが可能になるのです。
※ここで言う「自然言語処理」とは、私達が日常的に利用している「言語」を機械的に処理することを指します。
AIテキストマイニングの必要性
IT技術の発展により、現代の企業データベースには、膨大なビッグデータの蓄積が可能になりました。しかもDXが促進される中、このデータ量はますます肥大化していくことが確実です。
しかし人間が手作業で企業のデータベースに散在する莫大なデータの中から有用な情報を探そうとすれば、とてつもない時間と人手がかかってしまうことでしょう。実際、アンケートやコールセンターの通話履歴など、豊富なテキストがあるにもかかわらず、それらを上手く活用できていない企業も多いのではないでしょうか。
AIテキストマイニングを活用すれば、こうした死蔵されているデータの中からも、企業にとって有益な情報を見つけ出すことが可能です。コールセンター業務であれば、テキストデータに埋もれていた要素を分析・抽出することで、対応マニュアルや担当者の教育に欠けている点などを見いだせます。これらを改善することで結果として、顧客満足度の向上につながるのです。
あるいは、SNSやニュース記事などの社外情報にAIテキストマイニングをかけることによって、今のひそかなトレンドを知ることができるかもしれません。あるいは自社製品に対するリアルな声を拾って、今後の開発のヒントが得られることもあるでしょう。このようにAIテキストマイニングは、社内外の膨大な情報を活かすために欠かせないツールなのです。
AIテキストマイニングとデータマイニングの違い
AIテキストマイニングと類似する言葉として、「データマイニング」という分析手法もあります。どちらも膨大なビックデータから有用な情報を抽出するIT技術ですが、取り扱うデータの種類や使用する技術などに違いがあります。一般的に、データマイニングの中でもテキストデータの抽出に特化したものをAIテキストマイニングと分類しています。
それぞれ分析目的や抽出データが異なるため、テキストデータから有益な情報を抽出して分析したい場合はAIテキストマイニングを利用し、それ以外のデータ全般から抽出した情報で分析したい場合はデータマイニングを利用するなど、利用用途によって使い分けることでより効率的にデータを活用することが望まれます。
IT技術 | AIテキストマイニング | データマイニング |
分析対象 | 文章や文字列のみ
(画像内や動画内の文字も分析可能) |
データ全般
(文章、画像、動画、音声など) |
使用技術 | 自然言語処理技術 | 機械学習アルゴリズム |
目的 | テキストの意味や感情の理解 | データのパターン発見や予測 |
AIテキストマイニングの4つの手法
AIテキストマイニングには4つの分析手法があります。それぞれの手法にはどのような違いがあり、どのように活用すれば正確に分析を行えるのでしょうか。以下ではAIテキストマイニングの代表的な手法について紹介していきます。
主成分分析
主成分分析は、大量のテキストデータを必要な情報のみに要約して分析する手法です。データの統計的な特徴を理解し、少数の重要な特徴を軸としたデータに置き換えます。膨大なデータを必要な情報のみに絞ることで、データが簡略化され、効率的にデータを分析できるようになります。
一方で、不必要と判断された情報は切り捨てられるため、すべての情報を扱うことができない点に注意が必要です。
センチメント分析
センチメント分析は、人間の感情や意見を分析する手法です。例えば、商品レビューやSNSの投稿などのテキストデータの中から、感情に関係する特徴を抽出し、「肯定」「中立」「否定」のいずれかに分類することで分析が可能になります。
センチメント分析をすることで、感情の変化や偏りを把握したり、人間が見落としてしまうような客観的な意見を拾い上げることができます。多様な感情表現を理解することに時間がかかりますが、感情を分析することで顧客のニーズが明らかになり、よりコアなマーケティング戦略を実行できるでしょう。
共起分析
共起分析は、テキストデータ内の特定の単語やフレーズがどのくらいの頻度やパターンで出現するかを分析する手法です。単語の登場頻度や共起パターン、単語同士の類似性や関連性を分析します。共起される単語を理解することで、テキストデータからより広く深く洞察を得ることができるでしょう。
対応分析
対応分析は、膨大なデータの中から関係性を見つけ出し、視覚的に分析する手法です。例えば、アンケート結果やレビューのデータから、データ要素同士の関係性を分析し、散布図などを用いて分析結果を表現します。
データの関係性が視覚化されることで分かりやすくなり、データを直感的に捉えられるようになります。
AIテキストマイニングの5つのメリット
AIテキストマイニングを活用することで企業はどんな恩恵を得られるのでしょうか。以下ではAIテキストマイニングのメリットについて解説していきます。
必要な情報の取得
現代の社会には情報の洪水といっていいほどさまざまな情報があふれています。ニュースサイトには次々と新着記事がアップされ、SNSでは世界の大きな事件から個人のささやかな出来事についてまで、文字通りリアルタイムに多様な言葉が情報として飛び交っています。
人間の能力では、こうした玉石混交の情報の海から意味のあるデータを抽出するには途方もない時間がかかります。しかし、AIテキストマイニングを活用すれば、膨大なテキストデータの分析にかかる時間を大幅に削減することが可能です。
機会損失の回避
AIテキストマイニングによってスピーディーな情報解析が可能になることは、企業が機会損失を回避する上でも役に立ちます。上記のように、現代では次から次に新しい情報が流れては消えていきます。
そうした情報の中には企業にとっては有益なものもありますが、人の手によって情報をチェックしていたのでは、新たな発見につながるような情報も見逃し、機会損失を発生させてしまう恐れを無視できません。AIテキストマイニングでは、時流に後れない迅速な解析が可能である一方、過去のデータの抽出・分析まで可能なので、企業はそうした機会損失を回避できます。
生産性の向上
情報社会における大量のテキストデータを手動で分析するのは時間がかかります。そのため、AIテキストマイニングを活用して、自動で分析することで、大幅な時間の節約が実現します。これまで手動でデータを確認してきた手間がなくなり、その時間を創造的な作業に割り当てることができますし、社内文書やレポートなどが整理されることで、必要な情報に迅速にアクセスできて、情報検索にかかる時間も短縮されます。
その上、短時間で大量のデータを分析することで、ほぼリアルタイムで分析結果を入手できます。顧客の感情や反応であったり、世の中のパターンやトレンドを敏感に捉えることで、フィードバックして改善したり、顧客満足度にフォーカスした経営戦略や意思決定を素早く的確に行うことができます。
データ分析の精度の向上
AIテキストマイニングは、単なるキーワード検索だけでなく、単語の共起パターンや文脈を考慮した意味を理解したり、重要な特徴ごとや特定のルールごとにクラスタリングするなど、多様な分析手法を扱えます。そのため、目的に合わせて最適な分析を行うことで、より精度が高い分析結果を期待できます。
また、手動で膨大なテキストデータを扱う場合、異なる言語のテキストや人間が見落としてしまうような特徴など、検出の抜け漏れが発生してしまう可能性がありますが、AIテキストマイニングならそのような要素も自動的に抽出してくれます。したがって、より粒度が高いデータ分析ができるようになります。
属人化の解消
データ分析を手動で行う場合、専門的なスキルが必要とされるため、作業が属人化する恐れがあります。AIテキストマイニングを使えば、知識や経験がなくても誰でも簡単にテキストデータを分析でき、同じような結果を得られるため、属人化を防ぐことが期待できます。
AIテキストマイニングの4つの活用シーン
AIテキストマイニングは企業活動において具体的にどのように活かされるのでしょうか。以下ではAIテキストマイニングの活用シーンについて紹介していきます。
トレンドの分析
話し言葉などの自然言語の解析が可能なAIテキストマイニングは、リアルタイムにユーザーのトレンドを分析するのに適しています。例えば、SNSや口コミなどをAIテキストマイニングにかければ、リアルな顧客の声を集計し、自社製品や競合製品の分析に役立ちます。AIテキストマイニングによって、サービスや商品に関する顧客の不満や改善点を抽出することで、今後のマーケティング戦略や課題解決に活用できるでしょう。
また、自社商品の分析にも最適です。例えば、商品レビューをAIテキストマイニングにかけて、高評価と低評価のコメントやコメントに頻出するワードを抽出することで、商品の満足度や改善点が浮かび上がってきます。
アンケート結果の分析
AIテキストマイニングは企業がアンケート調査の結果分析をする際にも役立てられます。従来のアンケート調査では、手書きで記入したアンケートをExcelなどに手作業で集計して報告するのが主流でした。あるいは、デジタルでアンケートを実施してアンケート集計を自動化する場合でも、システムがデータ処理しやすいように選択式のアンケートにするに留まっていました。
しかし、AIテキストマイニングが登場したことで、企業が顧客から意見をありのまま出してもらうための自由回答式アンケートも、集計や分析が自動化できるようになりました。情報の鮮度の維持と労力削減の両立が可能となったのです。
市場予測
従来、ITツールを用いた市場予測といえば、株価など数値化されたデータを分析するのが常でした。しかし自然言語のテキストデータを解析できるAIテキストマイニングの機能がさらに発展すれば、新聞や雑誌、論文などを分析し、そこから市場予測を行えるようになると期待されています。この機能開発が本格化すれば、特許状況を分析したり、競合他社の投資傾向を予測したりすることも可能になるかもしれません。
迷惑メールの識別
迷惑メールの識別にも、AIテキストマイニングを役立てられます。こちらは企業活動に限らず、誰しもがこの通知の煩わしさを経験しているのではないでしょうか。しかしAIに迷惑メールのテキストデータを蓄積することで、迷惑メールの文章パターンを理解し、自動的に識別できるようになります。通常のメールと異なる迷惑メール用のフォルダへ自動で振り分けられるため、メールを判別する手間が省けて作業が効率化されるでしょう。
AIテキストマイニングの4つの分析対象
AIテキストマイニングはどのようなデータを分析して活用しているのでしょうか。以下ではAIテキストマイニングの分析対象について紹介していきます。
蓄積された社内ビッグデータ
社内システムはデータ分析の宝庫です。社内システムでは多くのデータが使用され、蓄積されています。また、システムの変遷や人の移動に伴い、データが流動していて、死蔵されてしまったデータも数多く存在します。
例えば、プロジェクトの管理表や成果物やレポート、ワークマネジメントツールに記録されたテキストデータを分析してプロジェクトの進捗度やボトルネックを把握することで、プロジェクト業務の効率化に役立つでしょう。また、社内のコミュニケーションデータや各従業員の年次評価、ストレスチェック結果、福利厚生利用履歴などのテキストデータを分析して汲み取っていくことで、従業員のパフォーマンスの向上や社内環境の改善が期待できるでしょう。
コールセンターのやりとり
コールセンターには、顧客からの問い合わせや質問、苦情や要望など、顧客とのやりとりに関する大量にテキストデータが蓄積されています。このようなデータを分析して問題ごとに適した対応を学習することで、対応の品質や顧客満足度の上昇が見込まれます。そして、問い合わせデータから頻出されるキーワードを収集することで、自社の改善案が見えてきますし、そのような情報をまとめて「よくある質問」のようなページを作成することで、自ずと問い合わせ件数が減っていくでしょう。
また、AIテキストマイニングは、通話記録のような音声データテキストに変換して分析することもできます。その上、音声データから話し手の声の強弱や抑揚、速度なども解析できるため、顧客の感情や意図、懸念事項をより深く理解することが可能です。
顧客へのアンケート
顧客へのアンケート結果からは、商品に対する顧客の率直な意見を得ることができます。
アンケートであればある程度フォーマットが決まっているため、求めたい内容についてのコメントが手に入りますし、回答者の年齢、性別、地域などの属性情報を絞れるため、傾向を把握しやすいです。
また、自由回答のアンケートからは感情やキーワードを抽出し、ポジティブな意見が多ければその部分を強化していき、ネガティブな意見が多ければ改善していくことで、顧客にとってより満足度の高い商品になっていくでしょう。
SNSやサイト上の口コミ
商品についての自由な感想が発信されている場所として、SNSや口コミサイトも挙げられます。こちらはアンケート結果と異なり、ターゲットが決まっておらず、発信する情報にも制限がないため、忖度のないリアルな意見が投稿されています。
また、SNSの特徴として、自然発生的な意見やトレンドから派生した意見も多く投稿されています。このような意見は開発時には想定していなかった情報である可能性が高いため、新しい商品や機能の開発に役立つでしょう。最近は画像や動画を使った投稿も多いですが、画像認識技術を用いることでこのような情報からもテキストデータとして抽出することもできるため、SNSから入手できる豊富な情報をぜひ分析に活用できると良いでしょう。
AIテキストマイニングを行う手順
以下ではAIテキストマイニングの手順について紹介していきます。手順は大きく7つのステップで構成されます。
手順 | ステップ | 内容 |
1 | データ収集 | テキストデータを集める |
2 | データ前処理 | テキストデータを解析しやすい形式に整える |
3 | 特徴抽出 | 分析に必要な特徴を抽出する |
4 | モデル選定と学習 | 分析するモデルを選定し、データを使って学習させる |
5 | モデル評価 | モデルの性能を評価し、最適化する |
6 | 分析結果の解釈 | 分析結果を解釈し、わかりやすく可視化する |
7 | 分析結果による意思決定 | 分析結果から得られたインサイトを基に、
ビジネス上のアクションを決定する |
社内システムのデータ、コールセンターの顧客対応履歴、アンケート結果、SNSの投稿文、製品レビューなどから集めたテキストデータについて、誤字を修正して不要な文字を除去して、頻出単語や重要な言葉などの特徴を抽出するなど、データ分析の前処理が行われます。
分析モデルは分析の目的や分析手法によって効果的なモデルが異なるため、適したモデルを選びましょう。モデルにデータを学習させたらモデルの性能を評価し、必要に応じてパラメータの調整やモデルの改良を検討します。
上記を繰り返してモデルが最適化されたら、いよいよテキストデータを分析します。その結果をグラフやダッシュボードなどを用いて可視化することで、トレンドや賛否の分別、顧客のフィードバック、データの頻度や類似性や関連性などを把握できます。こうして得たインサイトを基に、今後どのような経営戦略を立案し、具体的に実行していくかなど、ビジネス上のアクションを決定付けます。
AIテキストマイニングのツールを選ぶ3つのポイント
AIテキストマイニングを行うツールについて、どのような特徴に注目して選択するべきでしょうか。以下ではツールを選ぶポイントについて解説していきます。
必要な機能
AIテキストマイニングツールごとに、得意分野や機能が異なります。例えば、センチメント分析や共起分析などの分析手法に対応しているツール、細かいカスタマイズや高度な分析を行えるツール、大量データ処理が得意なツール、多種類や多言語への対応が得意なツール、クラウドサービスと連携しやすいツール、知識がなくても使いやすいツールなどです。
どのような目的で使いたいか、どのようなテキストデータを使いたいか、どの機能をどのレベルまで使いたいかなどを押さえて、最も効果的なツールを選ぶと良いでしょう。
分析結果の見やすさ
分析結果は今後の方針に反映するための重要材料となるため、視認性や分かりやすさがかなり大事なポイントになります。そのため、ツールごとの分析結果の表し方についても考慮できると良いでしょう。
例えば、テキスト中の頻出単語や固有名詞を視覚的に表示する機能や、テキスト中の「肯定」「中立」「否定」の割合を棒グラフや円グラフで表示する機能、テキストデータをいくつかのトピックに分類し、その分布をダッシュボードで表示する機能、テキストデータをクラスタリングし、散布図に表示する機能などがあります。分析結果をどのように共有するかも含め、効果的な可視化機能を選択できると良いでしょう。
辞書機能の内容
AIテキストマイニングツールには、テキストの解析や処理を支援するために辞書機能が提供されています。この機能を上手く利用し、自社用のカスタム辞書を作成することで、より精密に分析できるでしょう。
例えば、固有名詞や専門用語、業界特有の単語を登録して特殊な単語の分析漏れを減らしたり、特定のトピックに分類できる単語や分析結果から除外したい単語を登録して分析対象の単語に集中したり、語幹や原形、同義語、感情に結び付く単語、表記ゆれしやすい単語を登録してデータの一貫性を保つといったことが出来ます。辞書機能を最大限に利用して自由にカスタマイズすることで、効率的な分析が期待できます。
AIテキストマイニングの3つの注意点
AIテキストマイニングを扱う上でどのような点に気を付けるべきでしょうか。以下ではAIテキストマイニングの注意点について解説していきます。
日本語の精度は低い場合がある
AIテキストマイニングは自然言語処理(NLP)や機械学習の研究が盛んであるアメリカで開発されてきた技術のため、主に英語での研究が進められています。その上「日本語」自体がコンピューターが判別するには難しいと言われている言語のため、日本語でのこの技術はまだまだ発展途上です。
日本語には、ひらがな、カタカナ、漢字など、複数の表記体系がありますし、敬語表現なども含まれます。使用する文字数が単純に多いだけでなく、同音異義語や多義語など同じ表記や発音でも表現が異なる単語も多いため、複雑なテキストが解析を難しくしています。また、英語だとスペースで単語が区切られていますが、日本語にはそのような明確な単語の区切りがないため、この特定にも対応する必要があります。さらに、文法の順序も決まりがなく柔軟な文章が作成できてしまうため、文章解釈も困難を極めます。
データが少ない場合は解析精度が落ちる
分析材料となるテキストデータは多ければ多いほど精密になります。逆にデータ数が少ない場合、思ったような結果を得られない可能性があります。
データが少ないと、多様な表現を網羅できなかったり、特徴を正確に把握できなかったりと学習モデルが十分に学習できないため、モデルの性能や予測精度が落ち、学習パターンに偏りが生じます。そうなると、統計的な結果を得られず結果の再現性が低くなるため、分析結果に対する信頼度が低くなります。できるだけ多くのテキストデータで分析するように準備し、十分にテキストデータを用意できない場合は、人力で確認することも考慮するべきです。
データ分析基盤を整備する必要がある
AIテキストマイニングを有効に活用するには、データを効果的に分析するための基盤を入念に整備しておくことが大切です。例えば、いくらデータを収集しても、それが実際に活用されなければ意味がありません。
それゆえ、データ分析基盤を整備する上ではデータの利用者のユースケースに沿って行うことが大切です。また一般に、「データの収集・分析・活用までの流れは、不可逆なものであることが望ましい」とされます。というのも、逆方向の流れを許してしまうと、エラーの管理などが複雑化してしまうからです。もちろん、そもそも分析にかけるデータの選定も、自社の目的に沿って行わなければなりません。
AIテキストマイニングにおすすめのプラットフォーム「Google Cloud Platform(GCP)」
AIテキストマイニングを活用する上で、どのようなプラットフォームを選択するべきなのでしょうか。以下ではGCPがAIテキストマイニングの活用に最適なデータプラットフォームである理由について解説していきます。
Google Cloud Platform(GCP)とは
企業に蓄積されたビッグデータを分析・活用するためには、データの収集・管理・分析に長けた多機能なプラットフォームの確保が必要です。そこでAIテキストマイニングの活用に適したデータプラットフォームとしておすすめしたいのが、「Google Cloud Platform」(GCP)です。GCPを利用すれば、Google の持つAIや機械学習といったテクノロジーをクラウド上で利用することが可能です。高性能な仮想マシンを搭載したGCPは、機械学習を活用したビッグデータの分析や、低コストでのアプリケーション開発など、さまざまな機能を提供しています。
自然言語処理に特化したGCPのサービス「Natural Language AI」
GCPの中でも、自然言語処理に特化したサービスの一つがNatural Language AIです。Googleの機械学習を利用して、示唆に富んだテキスト分析を行う事が可能です。具体的には、下記の3つのサービスが存在しています。
- AutoML
- Natural Language API
- Healthcare Natural Language AI
Natural Language APIでは、予めトレーニングされた機械学習モデルを利用しての言語解析が可能です。対してAutoMLでは、UI上からトレーニングモデルをカスタムすることで、より専門性の高い課題に対しての言語解析を実行できます。また、Healthcare Natural Language AIは、論文などの文書から医療情報を読み取ることに特化した、その名の通り医療分野向けの機能です。
AutoMLは「感情の分類、抽出、検出」に、Natural Language APIは「感情分析、エンティティ分析、エンティティ感情分析、コンテンツ分類、構文解析」などの幅広い分類、分析に対応しています。
それぞれがどんな分析内容かは、以下の通りです。
- 感情分析
「score」、「magnitude」の2つの数値を表示し、この数値とタスクの目的から、テキストがポジティブかネガティブか、あるいはニュートラルなのかを分析する
- エンティティ分析
「どんな単語(name)」が「どんなタイプ(type)」であり、「文章中でどのくらい重要か(salience)」ということを分析する
- エンティティ感情分析
「感情分析」と「エンティティ分析」の2つを組み合わせた分析をする
- 構文解析
文章中の単語の品詞や修飾関係等を分析する
- コンテンツ分類
テキストがどんなカテゴリに属していそうかを分類する
AIテキストマイニングの分析結果を経営に活かそう
本記事では、テキストデータから有益な情報を抽出するITツール「AIテキストマイニング」について解説しました。AIテキストマイニングは高度な自然言語解析によって、企業内外に存在するデータの中から業種のトレンドや顧客の要望など、経営に役立つさまざまなヒントを与えてくれます。
こうしたビッグデータ分析は人の手によって行おうとすると非常に煩雑な作業になってしまうため、ITツールの活用はいまや不可欠です。そこで、AIテキストマイニングを企業に導入するにあたっておすすめしたいのが、Google Cloud Platform(GCP)です。GCPを活用すればデータの収集・管理・分析に役立つ強力なサポートを手軽に受けられます。ぜひご利用してみてください。
執筆者紹介
<保有資格>
・Associate Cloud Engineer
・Professional Cloud Developer
・Professional Cloud Architect
・Professional Cloud DevOps Engineer
・Professional Cloud Database Engineer
・Professional Cloud Security Engineer
- カテゴリ:
- Google Cloud(GCP)
- キーワード:
- aiテキストマイニング(リライト)