マーケティングは商品・サービスを大量かつ効率的に売るために、市場調査、製造、保管、輸送、販売、宣伝など全過程にわたって行われる企業活動の総称です。ただし、昨今ではマーケティングといえばWebサイト等のインターネット上で実施される“デジタル・マーケティング”が主流になっています。
そんなマーケティング活動に欠かせないのが“マーケティング分析”であり、会社が保有するデータを収集・管理・運用して、マーケティング担当者が必要な情報を分析し、その結果をマーケティング施策へと活かすデータ分析と活用の1つです。
マーケティング分析を実施することでキャンペーン効果や投資対効果(ROI)の判断が行いやすくなり、より効率的に多くの利益を生み出すことができます。
本稿では、これからマーケティングを始める企業及び担当者に向けて、いまさら人には聞けないマーケティング分析について紹介していきます。
マーケティング分析の重要性
企業では新しいマーケティング・テクノロジーやマーケティング・チャネルを採用したことで、マーケティングの効率性を手にしました。しかしその反面、テクノとロジーとチャネルごとにマーケティングが分断され、連携の取れていない複数のデータ環境が混在しています。
そこで生じるも問題は、マーケティング担当者が全体を考慮することなく、Webサイトのアクセス解析といった個々のチャネルデータにもとづいて意思決定を行っていることです。では、それにソーシャルメディアデータが含まれていたら十分なのか?といえば、それもまた不十分です。
マーケティングのターゲットとなる消費者や企業は、インターネット上のWebサイトやECサイト、SNSなどを縦横無尽に行き来し、さまざまな情報収集を行っています。さらにはオフラインにおける行動も意思決定プロセスに大きく関与するので、現代マーケティングではこれらのデータをすべて一つに管理し、全体を俯瞰しながらマーケティングに関する決定をしていかなければなりません。
マーケティング分析では、企業が有するあらゆるマーケティングデータを統合し、それをマーケティング担当者自ら分析して、マーケティング施策へと素早く反映させていきます。マーケティング活動をより効率的に、より多くの利益を得るためにマーケティング分析は欠かせないと言えるでしょう。
まずはこれから!STP分析の基本
マーケティング分析の手法は多様にありますが、今ここですべての手法を説明し、頭に叩き込んでもそれを活用することは難しいでしょう。大切なのは、簡単なマーケティング分析から1つ1つ学び、実施し、知識として吸収していくことです。ここでは、マーケティング初心者が取り組みやすいSTP分析について解説します。
STP分析とは?
STP分析とはセグメンテーション(市場細分化)、ターゲティング(市場の決定)、ポジショニング(立ち位置の明確化)という3つの単語の頭文字を取った分析手法です。新しいビジネスを展開するにあたり、市場やターゲット、企業そのものや販売する商品・サービスのポジションを確認します。
セグメンテーションで市場の全体的に俯瞰し、ターゲティングでその中から狙う市場を決定、ポジショニングで競合他社との位置関係を明確にします。大切なのは常に消費者・企業の目線に立って考えることです。
STP分析のメリット
顧客の分布を整理できる
新しいビジネスモデルを構築するにあたり、ペルソナ(具体的なユーザー像)を想定することが重要です。STP分析ではセグメンテーションを通じ、ペルソナ設定を行うための土台として、どの市場にどの程度のユーザーが存在しているかを整理できます。
プロモーション戦略が明確になる
STP分析を行うことで、ユーザーごとに商品・サービスをアピールするポジションといったプロモーション戦略が明確になります。チームとしてマーケティングに取り組む場合は、プロモーション戦略に対して共通認識を持つことが重要です。STP分析は共通認識のもとプロモーション戦略を理解するためのツールにもなります。
競合との衝突を避ける
ビジネスを成功させるには、競合のポジション等を把握して可能な限り衝突を避けることも大切です。たとえば、優れた商品・サービスでもすでに大手にシェアを取られており、奪取が難しい可能性もあります。STP分析によって競合の存在を把握し、その市場で戦うためのポジションを明確に把握し、位置取りすることが可能です。
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STP分析の始め方
それでは、STPの項目ごとに分析方法を解説します。
セグメンテーション
セグメンテーションは似たようなニーズを持つ顧客層を分け、自社の商品・サービスを利用してもらいたいユーザー像を明確にすることを意味します。ターゲットが明確になっていないと具体的なペルソナ設計も難しく、誰の問題を解決したい商品・サービスなのかが曖昧になります。セグメンテーションの主な基準は次の通りです。
A) デモグラフィック
人口統計的変数の意。年齢、性別、家族構成、学歴、職歴など変わらない基本情報をもとにしたセグメント。
B) ジオグラフィック
地理的変数の意。国、市区町村、気候、文化、宗教など地理的要因に絡む情報をもとにしたセグメント。
C) サイコグラフィック
心理的変数の意。価値観、正確、ライフスタイル、購入動機など個人の心理にもとづく情報を使ったセグメント。
D) ビヘイビアル
行動変数の意。購入の頻度、買い替えのタイミング、使用用途など個人の行動にもとづいた情報を使ったセグメント。
ターゲティング
市場の中から狙うべきターゲット層を絞る作業であり、セグメンテーションとセットで使用します。セグメンテーションで市場を細分化し、ターゲティングで市場やターゲットを絞り込みます。ターゲティングを効率良く行うには、下記3つのパターンを利用します。
A) 無差別型ターゲティング
セグメントした市場の違いを無視し、同じ商品をすべての市場に供給するターゲティング。
B) 差別型ターゲティング
セグメントされた市場に、それぞれのニーズにあった商品・サービスを提供するターゲティング。
C) 集中型ターゲティング
ごく限られた市場に集中して商品・サービスを提供するターゲティング。
ポジショニング
セグメント内の商品・サービスを俯瞰し、自社のポジションを決定します。ポジショニングを行う上で大切なのは、競合と比較するための基準を持つことです。値段、品質、店舗数、販売チャネルなど多くの指標の中から必要なものを選び、比較していきます。
多くのニーズがある市場でも、大手が進出している場合は大きな利益を出すことが難しくなります。ただし、大手にはない要素で差別化が図れれば、利益を得られる可能性はあるでしょう。まずは市場において競合の有無、競合の規模、競合の強みと弱みを調査し、自社が勝負できるポジションを探すことが重要となります。
マーケティング分析を始めてみよう!
いかがでしょうか?マーケティング活動においてマーケティング分析は非常に重要であり、分析に関する知識やスキルを身に付けることが大切です。
一方で、データ分析を始めるためには、まず会社が保有するデータを正しく収集するための仕組みと保管・活用するためのプラットフォームが必要になります。また、企業がもつ課題やニーズに対応するためには、収集したデータを効果的に活用方法を見つけ出す必要があり、データエンジニアやデータサイエンティストと言われるスキルや経験が求められます。
電算システムでは、データインテグレーターとして、コンサルティングからデータ収集・加工、可視化などのデータ分析の一連のプロセスに加え、分析基盤の構築、システム化まで一貫したデータ分析サービスをご提供しています。
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データ分析にご興味がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。