GAEとは、Googleが提供しているWebアプリケーションの開発・運用プラットフォームです。今回の記事では、GAEのメリットや利用手順について詳しく解説します。GAEの導入におすすめのサービスも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
GAE(Google App Engine)とは?機能や活用例についても解説
GAEの概要や機能、活用例について詳しく解説します。GAEに関する基礎知識を身につけて、どのようなサービスなのか把握しましょう。
GAEとはアプリケーションの開発・運用プラットフォーム
GAEとは、Google App Engineの頭文字を取った名称で、Google Cloud Platform内で提供されているサービスの1つです。規模の大きなWebアプリケーションの開発・運用ができるプラットフォームとして、多くの企業に利用されています。
GAEは、マイクロサービス(※1)のように動作しており、サービス内に異なるバージョンのアプリケーションの用意もできます。イベントやテストなど、必要に応じて異なるバージョンへの切り替えが可能です。また、GAEは、異なる用途によって利用できる環境を変更できます。利用できる環境の種類は、以下の2つです。
- スタンダード環境:細かい設定がなく、開発に注力できる。低コストで運用できる
- フレキシブル環境:細かい設定ができて、ニーズに応じて幅広くカスタマイズできる
GAEはPaaS(※2)であるため、より汎用的なGoogleの仮想マシン「Compute Engine」との比較はできませんが、Webアプリケーションを運用する用途に関しては、有効なサービスの1つでしょう。
※1. マイクロサービス:いくつかのサービスを組み合わせて、アプリケーションを構築する手法
※2. PaaS:インターネットを通して、アプリケーションの実行に使うプラットフォームを提供するサービス
GAEの活用例
GAEの具体的な活用例は以下の通りです。
- 社内評価アプリケーション:社員のコミュニケーション活性化とピアボーナス(※1)の導入
- ソーシャルゲーム:少数精鋭でのソーシャルゲームの開発・運用
- ソフトウェア開発者向けのSaaSサービス:自動コードレビュー・修正、APIドキュメントの生成・運用
- 工場向けクラウドサービス:3Dプリンターの製造・顧客・会計の管理をワンストップで提供
- スマートフォンゲーム関連のプラットフォームサービス:スマートフォンゲームをパソコンで稼働させるプラットフォームの開発
- Web広告支援アプリケーション:アプリケーションにおけるユーザーのアクセス解析機能の構築
- 行動分析プラットフォーム:ビーコン(※2)とGPSを活用した行動分析プラットフォームの開発
※1. ピアボーナス:従業員同士が双方にボーナスを贈れる仕組み
※2. ビーコン:無線によって情報伝達をする手法
GAEの5つのメリット
GAEのメリットは、以下の5つです。
- 可用性が高い
- 開発に便利な機能が豊富
- 対応言語が豊富
- スケーリングを自動で行う
- 無駄な費用を削減
メリットを把握して、自社での開発にに役立つサービスか確認しましょう。
可用性が高い
GAEは、Google Workspace(※1)と同じインフラによって提供されており、可用性(※2)が高い特徴があります。また、GAEは、フルマネージドサービスであるため、サーバー管理業務を自社で担う必要がありません。強固なセキュリティ監視や障害対応サービスとも簡単に連携して利用できるため、システムの監視や障害復旧にかかる手間と時間も不要です。GAEでは、これらの充実したサポート機能に加えて、月間稼働率99.95%がSLAとして提示されています。
※1. Google Workspace:ビジネスに役立つさまざまなアプリケーションを備えたクラウドサービス
※2. 可用性:障害が発生しても、システムを停止させずに継続して稼働できる能力
開発に便利な機能が豊富
GAEには、以下のような開発を補助する機能が、数多く用意されています。
- アプリケーション診断機能:GoogleCloudのモニタリング機能と統合されているので、特別な設定無しでアプリケーションの状態とパフォーマンスを詳細に監視でき、バグが発生した際は、すばやく診断・修正できる
- アプリケーションのバージョン管理:バージョンの異なるアプリケーションをすばやくサーバーでデプロイ(実行環境で利用可能にする)して、開発やテスト、障害発生時の迅速な切り戻しを可能にする
- アプリケーションのセキュリティ:ファイアウォール(※1)やSSL(※2)を利用できる
※1. ファイアウォール:不正アクセスを遮断できるセキュリティシステム
※2. SSL:インターネット上のデータ通信を暗号化する仕組み
対応言語が豊富
GAEは、多くの開発言語に対応しているサービスです。GAEで対応している開発言語は以下のとおりです。
- Ruby
- Java
- Node.js
- PHP
- Python
- Go
- C#
上記のように、多くの開発言語に対応しているため、開発内容に応じて最適なプログラミング言語を選択可能です。また、GAEのスタンダード環境とフレキシブル環境で利用できる開発言語は、以下のとおりです。
- スタンダード環境: Ruby、Java、Node.js、PHP、Python、Go
- フレキシブル環境:Ruby、Java、Node.js、PHP、Python、Go、.NET、カスタム
スケーリングを自動で行う
GAEを利用するメリットの1つが、自動スケーリング機能です。トラフィック(※1)の増減に応じて、稼働するサーバー台数を調整し、サービスに適した処理能力を提供できます。自動スケーリング機能があれば、自社でサーバーの立ち上げやロードバランサー(処理を均等に振り分けて、負荷を分散できる装置)の用意をする必要がありません。スケーリングに必要な人員を削減して、少人数による開発に貢献します。また、ゼロスケーリングにも対応していますので、アプリケーションの利用が無い時には稼働しているサーバーをゼロにすることで、後述する無駄な費用の削減にも繋がります。
※1. トラフィック:ネットワーク上で一定時間内に転送されるデータ量
無駄な費用を削減
GAEの料金システムは、従量課金制です。利用時間に応じて、料金がかかります。利用環境ごとの料金がかかる単位は、以下の通りです。
- スタンダード環境:1時間単位
- フレキシブル環境:1分単位(仮想マシンは、1秒単位で料金が発生)
料金が月額固定であれば、利用時間が短い場合に余分な費用が発生しますが、従量課金制であれば、無駄な費用がかかりません。これにより、利用状況の変動に応じて、コストを最適化することができます。また、スタンダード環境では、無料枠が提供されており、一定の範囲までであれば、費用をかけずにGAEでアプリケーション開発が行えます。
GAEによるアプリケーションの構築6ステップ
GAEでアプリケーションを構築する際のステップは、以下の6つです。
- アカウント作成
- 開発環境を整える
- プロジェクト作成
- 設計
- デプロイ
- 運用
アプリケーションの構築方法を把握して、実践する際の参考にしてください。
アカウント作成
事業にGAEを活用する場合は、Google WorkspaceもしくはCloud Identityのアカウントを作成しましょう。GAEは、Gmailアカウントでも利用できます。アカウント作成をした後の作業は、サービス利用料金の請求先となるアカウントの設定です。Google Cloud内の各種サービスを利用する際にかかる料金が、設定されたアカウントに請求されます。
Google Cloud Platformに登録する場合は、自社で利用しているドメイン名と、ドメイン所有権の証明が必要です。
開発環境を整える
Cloud SDK(GAEをコマンド操作する際に使うソフトウェア開発キット)のインストールと設定を行います。併せて、アプリケーション開発に使用するプログラミング言語をインストールしましょう。プログラミング言語をインストールする際は、開発に使用するプログラミング言語用のGAE拡張機能を含めた「gcloud CLIコンポーネント」をインストールします。
プラグインやライブラリなどのほかのオプションツールは、必要に応じてインストールしましょう。
プロジェクト作成
プロジェクト作成のステップは、以下の通りです。
- Google Cloud Consoleの「プロジェクトセレクタ」から、プロジェクトを新規作成する
- プロジェクトに対して、課金が有効な状態かどうかを確認する(請求先であるアカウントが停止・閉鎖されていないかどうかと、プロジェクトにアカウントがリンクしているかどうかを確認する)
- Cloud Build APIを有効にする
- gcloud CLIを初期化する
- コマンド「gcloud app create」でGAEを有効にする
設計
プログラミング言語やマークアップ言語を使用して、アプリケーションを構築します。構築した後は、デプロイの前に、ローカル環境でアプリケーションの機能をテストしましょう。併せて、プロジェクトオーナーがGAEを有効にしているかどうかと、アカウントに必要な権限が許可されているかどうかも確認します。
デプロイ
コマンドを使用して、アプリケーションのバージョンと構成ファイルをデプロイします。アプリケーションは、コマンドの実行によって、常に最新のバージョンに更新可能です。
運用
デプロイした後のステップは、アプリケーションの監視と管理です。例えば、レイテンシー(遅延)やエラー、トラフィックの変動などのデータを取得して、必要に応じてトラブルシューティングを実施します。GAEは、Google Cloud内のデータ分析ツール(BigQuery)やGA(アナリティクス)と連携して、効率的にアプリケーションのイベントを監視・分析できます。
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GAEの使い方や構築方法を理解してから導入しよう
GAEとは、Googleが提供しているWebアプリケーションを開発・運用するためのプラットフォームです。GAEには、以下のようなメリットがあります。
- 可用性が高い
- 開発に便利な機能が豊富に備わっている
- さまざまなプログラミング言語に対応している
- スケールアウト・インを自動で行える
- 利用料金が安い
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