近年、生成AIをはじめとするAIを活用したサービスへの注目が高まっています。中でもDuet AI(Gemini)は、画像、動画、音声などのさまざまなデータを処理できるサービスとして、高く評価されています。文書作成や議事録作成などの業務をサポートし、生産性の向上に大きく貢献するサービスです。
この記事では、Duet AI(Gemini)の概要や4つのモデル、Gemini(Duet AI)for Google Workspaceでできることを解説します。社内の生産性を向上させたい方は、ぜひご覧ください。
Duet AI(Gemini)とは?
Duet AI(Gemini)とは、Google Workspace(※1)で使用できる生成AIサービスです。Duet AIは、テキストをはじめ、画像、動画、音声などのさまざまなデータを処理できる能力を持っており、現状、画像生成と言語生成の機能が利用可能です。(2024年5月現在)
Duet AIは、GmailやGoogle ドキュメント、Google スプレッドシート、Google Meet、Google スライドなどのGoogle Workspaceの機能に備わっているものがあり、これを「Duet AI for Google Workspace」と呼んでいました。
現在は2024年2月22日の名称変更により「Duet AI for Google Workspace」ではなく「Gemini for Google Workspace」と呼ばれています。Gemini for Google Workspaceでは、以下の2つのプランが利用可能です。
- Gemini Enterprise アドオン:Duet AI for Google Workspace Enterprise に代わるプラン
- Gemini Business アドオン:低価格で、さまざまな規模の組織やチームで利用できる新しいプラン
※1. Google Workspace:チャットやメール、ファイル管理、スケジュール管理、資料作成などの豊富な機能が利用できるサービス
参考URL:
https://workspace.google.com/blog/ja/product-announcements/gemini-for-google-workspace
間違えやすい!Duet AIとGemini の違い
Duet AIとGeminiは、同じサービスの新旧の名称です。2024年2月に「Duet AI」は「Gemini」に名称を変更されました。また「Google Workspace」でGeminiが利用可能になった際に「Duet AI for Google Workspace」が「Gemini for Google Workspace」へと名称変更されました。
間違えやすい!Vertex AIとGemini の違い
「Vertex AI」と「Gemini」は、Googleが開発したサービスという共通点はありますが、AIモデルではありません。基盤モデルの構築に使うAPIをはじめ、独自データを活用したモデルの調整、素早いプロトタイピング、アプリケーションへシームレスにデプロイできるツールを提供するAIプラットフォームです。
Vertex AIでGeminiを活用すれば、より手軽に生成AIをシステムに組み込めます。画像テキストのJSON(※1)への変換、画像からのテキスト抽出、アップロードした画像についての回答を生成するためのサンプルプロンプトを試行するなど、優れたAIアプリケーションを構築可能です。
※1. JSON(JavaScript Object Notation):テキストデータの処理によく使用されるデータフォーマット
参考URL:https://it.impress.co.jp/articles/-/26228
Geminiの主な4つのモデル
Geminiの主なモデルは、以下の4つです。
- Gemini Ultra
- Gemini Pro
- Gemini Nano
- Gemini Flash
主なモデルの概要を確認して、Geminiの基礎知識を身につけましょう。
Gemini Ultra
Gemini Ultra とは、非常に複雑で高度なタスクの実行に用いられる大規模な高性能モデルです。Gemini Advancedという有料プランに加入して使用でき、高度な計算や複雑なデータ処理が必要な業務で役立ちます。現在のバージョンは1.0のみで、仮にGemini 1.0 Ultraを他サービスのモデルと比べた場合、AnthropicのClaude3やOpenAIのGPT-4に相当します。
Gemini Pro
Gemini Proとは、Googleアカウントを持つすべてのユーザーが利用可能なモデルです。コーディング、翻訳、推論、画像解析などができます。バージョンは1.0と1.5の2種類があり、Gemni 1.5 proは、日本語をはじめとする35以上の言語に対応可能です。Gemini 1.0 proは、他サービスのモデルと比べた場合、AnthropicのClaude2やOpenAIのGPT-3.5に相当します。
Gemini Nano
Gemini Nanoとは、スマートフォンでの利用を前提に設計されたモデルです。即応性と携帯性に優れており、迅速にタスクを処理できます。GoogleのスマートフォンであるPixel 8 Proにも搭載されており、音声からのテキスト要約やチャットアプリケーション上での返信の提案などを実行できます。
マルチモダリティを搭載したGemini Nanoを利用するアプリケーションは、テキスト入力に加えて、視覚や聴覚、話し言葉をもとに、人と同じような世界を理解できるようになります。現在提供されているGemini Nanoのバージョンは、1.0のみです。
Gemini Flash
Gemini Flashは、効率と速度に優れた軽量・高性能モデルです。コーディングや翻訳などのあらゆるタスクで能力を発揮します。Gemni 1.5 proよりも大規模サービスに効率よく対応できるように設計されたGemini 1.5 Flashも新たに登場しています。Gemni 1.5 proの10分の1のコストで利用できるため、優れた機能を使用しながら、コスト削減が可能です。
参考:https://blog.google/intl/ja-jp/company-news/technology/google-gemini-update-flash-io-2024/
Gemini(Duet AI) for Google Workspace 利用条件
Gemini(Duet AI)for Google Workspaceを利用するには、サービスのライセンスを購入した後、組織内のユーザーに割り当てる作業が必要です。Gemini(Duet AI)for Google Workspaceを利用するための大まかな手順は、以下をご覧ください。
- 「Gemini Enterprise(旧Duet AI for Google Workspace Enterprise)」または 「Gemini Business」のいずれかのライセンスを購入もしくはトライアルを申し込む
- 各ユーザーの管理画面で日本語から英語へ言語を変更する
Geminiは日本語に対応していますが、Gemini(Duet AI)for Google Workspaceは英語のみに対応しています。Gemini(Duet AI)for Google Workspaceを含むすべての機能を使用するには、Googleアカウントの管理画面で優先言語を英語に設定しなければなりません。
以下の記事では、Gemini(Duet AI)for Google Workspaceを利用するための詳しい手順やサービスの解約方法について解説しています。より詳しく知りたい方は、以下のリンクからアクセスしてください。
【最新】Gemini(Duet AI)for Google Workspaceでできること
Gemini(Duet AI)for Google Workspaceでできることは、以下の通りです。
適用対象 | できること |
---|---|
Gmail |
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Google ドキュメント |
|
Google スライド |
|
Google スプレッドシート |
|
Google Meet |
|
Gemini(Duet AI)for Google Workspaceの活用方法をより詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
2024年5月16日の情報では、以下に搭載されていたGeminiがGemini 1.5 proにアップデートされました。
- Gmail
- Google ドキュメント
- Google スライド
- Google スプレッドシート
- Google Meet
- Appsheet
Gemini 1.5 proへのアップデートにより、高度な推論や長文の利用が可能になり、より洞察力に優れた回答が得られるようになりました。また、サイドパネルにある概要や推奨プロンプトを利用して、作業が開始しやすくなっている点も、アップデートの効果です。
Geminiの料金体系
Geminiのプランごとの料金体系と利用制限は、以下の通りです。
プラン | Gemini(旧Bard) | Gemini Advanced | Gemini Business | Gemini Enterprise |
---|---|---|---|---|
料金 | 無料 | 月額2,900円 | 月額2,260円(年契約) | 月額3,400円(年契約) |
利用制限 | 入力できるトークン:10万トークン | 入力できるトークン:20〜100万トークン | 利用回数制限:1ユーザーあたり月1,000回 | なし |
Gemini BusinessとGemini Enterprise(旧 Duet AI for Google Workspace Enterprise アドオン)の適用対象は、以下の表をご覧ください。
適用対象 | Gemini Business | Gemini Enterprise |
---|---|---|
Gmail | ◯ | ◯ |
Google ドキュメント | ◯ | ◯ |
Google スプレッドシート | ◯ | ◯ |
Google スライド | ◯ | ◯ |
Google チャット | ◯ | ◯ |
Google Meet | △ | ◯ |
Gemini BusinessとGemini Enterprise(旧 Duet AI for Google Workspace Enterprise アドオン)は、Gemini for Google Workspaceのライセンス購入の際に選択・購入するGoogle Workspaceのアドオン機能です。新規のライセンス購入者かどうかにかかわらず、購入できます。
また、Gemini BusinessとGemini Enterpriseでは、広告目的で会話が勝手に使用されたり、誰かにレビューされたりすることはありません。企業のデータを無断で学習することはないため、安心してサービスを利用できます。
Gemini(旧Bard)
Gemini(旧Bard)は無料で利用できるプランです。有料プランほど多様なタスクは処理できず、データ量や処理速度でも劣りますが、本格的な導入前にGeminiの使用感を確かめる目的で役立ちます。APIを使用したサービスの開発をしたい場合は、有料プランへの加入が必要です。
Gemini Advanced
Gemini Advancedの利用料金は、月額2,900円です。Gemini(旧Bard)よりも高性能で、優れた機能を多く備えています。Gemini Advancedを活用した場合、具体的には以下のようなことが可能です。
- 400ページ以上におよぶ膨大な量の資料をもとに、会話・画像・出来事・その他の詳細な情報を分析して、理解できる
- 話せる人が200人程度しかいない言語の文法書を読み込んだ場合でも、その言語を英語に翻訳できる
- 44分間あるサイレント映画を分析させた場合、さまざまな出来事や場面を正確に理解して、見落としやすい細かなことでも推論できる
Googleは、Geminiに拡張機能を組み込み、Googleのサービスやアプリを使ってさらに多くのことを実行できるようにしました。今後はGoogle ToDoリストやGoogleカレンダー、Google Keepといったツールも含めて、Geminiへの接続が可能になります。
参考:https://blog.google/intl/ja-jp/company-news/technology/google-gemini-update-may-2024context-window/
Gemini Business
Gemini Businessの利用料金は、月額2,260円です。Gemini Enterpriseとは異なり、1ユーザーあたり月に1000回の利用制限があります。利用頻度が多い場合は1000回では足りないため、利用制限のないGemini Enterpriseを選びましょう。
Gemini Businessには、Google Meetの翻訳キャプション機能はありませんが、基本的な機能は網羅されているため、コストをなるべく削減したい企業におすすめです。Gemini Businessで利用できる機能には、以下のようなものがあります。
- Geminiのセキュアな利用が可能
- Google ドキュメントとGmailの文書作成をサポート
- Google スライドの画像作成をサポート
- Google ドキュメントの校正機能
- Google スプレッドシートのデータ管理サポート
Gemini Enterprise(旧 Duet AI for Google Workspace Enterprise アドオン)
Gemini Enterprise(旧 Duet AI for Google Workspace Enterprise アドオン)の利用料金は、月額3,400円です。Gemini Enterpriseでは、100を超える言語ペアの字幕翻訳ができ、AIを使用した会議も利用できます。Gemini Enterpriseには、他にも以下のような機能があります。
- Geminiのセキュアな利用が可能
- Google ドキュメントとGmailの文書作成をサポート
- Google スライドの画像作成をサポート
- Google ドキュメントの校正機能
- Google スプレッドシートのデータ管理サポート
- Google Meetにおける字幕のリアルタイム翻訳
- Google ドライブにあるファイルの自動分類
Gemini Enterpriseには利用制限がないため、本格的にGeminiを導入したい企業におすすめです。
参考URL:https://workspace.google.com/blog/ja/product-announcements/gemini-for-google-workspace
Gemini(Duet AI) for Google Workspace で働き方が変わる!?
Gemini(Duet AI)for Google Workspaceを活用すれば、文書作成や議事録作成、顧客へのメール対応などの業務が迅速に進み、生産性の向上につながります。サービスの活用により、これまでとは異なる新しい働き方が実現するでしょう。Gemini(Duet AI)for Google Workspaceの機能は年々進化しているため、今後もアップデートを重ねて、さまざまな業務に必要不可欠なサービスになると予想されます。
AIの導入による生産性の向上、新しいアイデアやイノベーションの創出を可能にするサービスなので、利用開始の積極的な検討をおすすめします。電算システムは、Gemini(Duet AI)for Google Workspaceの販売を実施しておりますので、興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
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- Duet AI