生成AIサービスは、ビジネス目的だけでなく、一般ユーザーにも広く利用されるなど近年注目を集めています。特にGoogleの生成AIサービスは、テキストから画像を生成・編集できる機能や、コードの自動生成機能などがあり、日々進化を遂げています。サービスの活用によって、業務効率化はもちろん、最先端技術を利用したクオリティの高いシステム開発も可能です。
この記事では、Googleの生成AIサービスの特徴や利用するメリット、活用事例などを解説しています。それぞれの生成AIサービスの特徴がわかる内容になっているので、ぜひ最後までご覧ください。
Googleには Gemini 以外にも多くの生成AIサービスがある
Geminiは、Googleが開発した対話型生成AIモデルです。入力された情報をもとに質問への回答や情報の要約などを自動で行い、ユーザーの目的に応じたサポートを提供します。
Geminiは、テキストや画像をはじめ、音声、動画などのさまざまな情報を処理でき、与えられた指示に従って幅広いタスクをこなすことが可能です。具体的には、特定のテーマに関する情報収集や、コードの自動作成といった使い方ができます。Geminiを活用すれば、従業員の負担を大幅に軽減でき、内容によっては手動で行うよりも短時間でタスクを完了できるため、業務の効率化に効果的です。
Googleでは、Gemini以外にも多くの生成AIサービスが提供されており、一般業務に利用できるツールから、開発者向けの高度な機能を持つサービスまで幅広く展開しています。これらのサービスを業務に活用すれば、生産性の向上や新しいアイデアの創出、高度な情報分析などのさまざまなメリットが得られるでしょう。
【開発向け】Google が提供する主な生成AIサービス3選
Googleが開発者向けに提供している主な生成AIサービスには、以下の3つがあります。
- Generative AI Studio
- Model Garden
- Vertex AI Codey APIs
それぞれの特徴を把握して、自社の業務に活用できる領域がないか確認しましょう。
Generative AI Studio
Generative AI Studioは、Google Cloudが提供する機械学習プラットフォーム「Vertex AI」に含まれるサービスの1つです。専門知識がなくても、Googleの提供する生成AIモデルを活用しながら、簡単にモデルのカスタマイズやアプリケーション開発ができるのが特徴です。
利用可能な基盤モデルには、以下のようなものがあります。
- Imagen:入力されたテキストによる指示をもとに画像を自動生成するAIモデル
- PaLM2:文章の生成や質問への回答などがに優れる大規模言語モデル
- Chirp:2023年5月に発表された次世代のSpeech-to-Text(自動音声認識機能)モデル。顧客エンゲージメントの強化に優れており、音声アシストやキャプションによって顧客の母国語で深いコミュニケーションが取れる
これらのモデルは、API経由で呼び出して利用できるため、業務効率化やプロトタイピングにも活用しやすい環境が整っています。
Model Garden
Model Gardenは、事前構築された機械学習モデルを一元的に検索・検出・操作できる生成AIサービスです。Model Gardenの活用によって、機械学習モデルの構築やデプロイの工程を簡素化でき、業務を効率化できます。
Vertex AI Codey APIs
Vertex AI Codey APIsは、テキストをもとにコードを自動生成できる基盤モデルです。主に開発業務の支援を目的としており、以下のような機能が備わっています。
- コード生成:プロンプトに従ってコードを自動生成
- ド補完:入力されたコードをもとに次に続く処理を提案
- コードチャット:コードについての質問に、会話形式で回答を生成
これらの機能により、開発作業の効率化や学習支援、レビュー精度の向上など、さまざまなシーンでの活用が期待できます。
【一般向け】Google が提供する主な生成AIサービス4選
Googleが一般向けに提供している主な生成AIサービスには、以下の4つがあります。
- Gemini
- Gemini for Google Workspace
- Google NotebookLM
- Google Agentspace
上記のサービスは専門的な知識がなくても利用できる機能が多いため、生成AIサービスをまずは活用してみたいという方におすすめです。サービスの特徴を把握して、業務に利用してみましょう。
Gemini
Geminiは、テキスト、画像、音声といったさまざまな種類のデータを同時に処理できる生成AIモデルです。Geminiには、以下のような特徴があります。
- ニュアンスが含まれる情報を理解できる
- 複雑なトピックの質問に回答できる
- 膨大な量のデータから識別が難しい情報を発見できる
また、Geminiは「Java」や「Python」「C++」などのあらゆるプログラミング言語を理解しているため、クオリティの高いコードを生成できます。
Gemini for Google Workspace
Gemini for Google Workspaceとは、Google Workspaceのユーザー向けに提供されている生成AIサービスです。GmailやGoogleスライド、GoogleドキュメントといったGoogle Workspaceの各アプリケーションと連携して利用できるのが特徴です。
具体的には、次のような作業を効率的に行えます。
- 文章の作成・翻訳・要約
- 会議の議事録作成
- データの分析 など
日々の業務に直結するこれらの作業をAIがサポートすることで、情報整理やコミュニケーション、資料作成などの質とスピードを大きく向上させることができます。
Google NotebookLM
NotebookLMとは、Googleが提供するノートブック形式の生成AIサービスです。与えられたドキュメントの内容を自動で分類・整理・管理でき、情報検索を効率化できます。NotebookLMの具体的な活用例は、以下の通りです。
- 契約書・利用規約の読み込み
- 専用チャットボットの構築
- 書籍や論文の要約
NotebookLMは、ユーザーがアップロードした資料やドキュメントのみを情報源として蓄積し、その中での調査・分析・共有といった作業を実行します。他の大規模言語モデルのように、インターネット上の情報や企業独自のデータセットは使用されないため、ハルシネーション(確証のない情報を事実かのように回答してしまうこと)を高い確率で回避できます。
Google Agentspace
Google Agentspaceとは、企業が持つさまざまなデータソースを統合して、効率的なデータ活用を実現するAI支援プラットフォームです。メールやドキュメントなどの非構造化データと、表をはじめとした構造化データのどちらにも対応しています。Google Agentspaceで素早く社内の情報を確認・活用できれば、業務効率化やイノベーション創出につながります。
開発にGoogle の生成AIサービスを利用する4つのメリット
システム開発にGoogleの生成AIサービスを利用すれば、以下のようなメリットが得られます。
- Googleの高度なAIを活用できる
- AIモデルを自社の状況に合わせてカスタマイズできる
- 新しい生成AI関連サービスが日々追加されている
- 他のGoogleサービスと連携できる
メリットを確認して、Googleの生成AIサービスの導入効果を把握しましょう。
Googleの高度なAIを活用できる
Googleの生成AIサービスをシステム開発に活用すれば、高度なAI技術を駆使して高品質なシステムを効率良く構築できます。例えば、Google Cloudにはシステム開発を効率化するさまざまなツールが備わっており、機能も随時アップデートされているため、常に最新技術を利用して開発が可能です。
また、2023年12月にはGeminiがリリースされ、さらに最先端のAI技術がシステム開発に利用できるようになりました。Googleは、保有している膨大な量のデータセットをもとに新しい機械学習モデルのトレーニングを行っているため、今後も高性能なAI技術を備えたサービスのリリースや既存サービスの機能のアップデートが期待できます。
AIモデルを自社の状況に合わせてカスタマイズできる
Googleの生成AIサービスであるGoogle Cloudを活用すれば、AIモデルを自社の状況に合わせて柔軟にカスタマイズでき、さまざまな条件下でAI技術を利用したシステム開発が可能です。例えば、Google Cloudの「Generative AI Studio」の活用によって、プログラミングの知識がなくてもAIモデルを自由にカスタマイズでき、システム開発に利用できます。自社に合わせてカスタマイズされたAIモデルは、業務の自動化や情報分析などの目的に活用可能です。
新しい生成AI関連サービスが日々追加されている
Google Cloudは、サービスの提供開始から今に至るまで、新しい生成AI関連サービスが次々と追加され、日々アップデートを続けているツールです。例えば、2023年5月に開かれた「Google I/O 2023」では、効率的かつ高速で情報処理ができる最先端の大規模言語モデル「PaLM2」や、PaLM2搭載の対話型AI「Bard」が20以上のプログラミング言語に対応すると発表されました。
さらに、2023年8月に開かれた「Generative AI Summit」では「PaLM2」とコードの生成・補完に優れた「Codey」というモデルが日本語に対応すると発表されました。Google Cloudには、こうした最先端のAI技術を柔軟に活用できる環境が整っており、導入によってより高度で効率的なシステム開発が可能になります。
他のGoogleサービスと連携できる
Google Cloudは、Googleの他サービスとシームレスに連携でき、自社の生産性向上に貢献します。例えば、大規模なデータ処理が可能な「Dataflow」と、ビッグデータ分析に優れた「BigQuery」の連携で、大規模データ分析が可能になり、自社のビジネスチャンス創出につなげられます。Googleの各種サービスとの連携によって、企業全体の生産性向上や意思決定の高速化などのメリットを享受できます。
開発にGoogle の生成AIサービスを利用するときの3つの注意点
システム開発にGoogleの生成AIサービスを利用する際は、以下の点に注意が必要です。
- 目的に合わせて適切な生成AIサービスを選ぶ
- 機密情報の取り扱いを徹底する
- 権利関係を侵害しないようにする
注意点を確認して、システム開発に利用する際の参考にしましょう。
目的に合わせて適切な生成AIサービスを選ぶ
Google Cloudでは、さまざまな生成AIサービスが提供されているため、自社に必要なサービスを見極めたうえで利用することが重要です。むやみに多くのサービスを活用しようとすれば、かえって業務効率を下げる可能性があります。各サービスの特徴や違いを把握して適切なものを選べば、業務効率化や新しいビジネスの創出につながるでしょう。
機密情報の取り扱いを徹底する
生成AIサービスの中には、入力された機密情報を学習データとして読み込み、利用するものがあります。万が一自社の機密情報が利用もしくは漏洩した場合、社会的な信用を失い、大きなトラブルに発展する可能性があるため、利用時には十分な注意が必要です。Google Cloudでは、ユーザーの情報を安全に保護するために、以下のような取り組みを行っています。
- 保管されたコンテンツの暗号化
- 複数の第三者認証の取得
- データセンターにおける物理的な多層防御
- Google独自のセキュリティ基準の設定・公開
Google Cloudを活用すれば、こうした安全な環境でシステム開発を進められます。しかし、サービスごとに提供されているセキュリティ設定をきちんと確認・適用し、自社の情報資産を保護することが大切です。
権利関係を侵害しないようにする
Google Cloudに限らず、生成AIサービスを利用する際は、権利関係の侵害に十分な注意が必要です。特に商用目的で画像やコンテンツを作成する場合には、著作権や意匠権、商標権、プライバシー、肖像権、パブリシティ権など、さまざまな法的リスクが存在します。
最近では、日本政府においてもAIによる知的財産権の扱いが重要なテーマとなっており、「AI時代の知的財産権検討会」という内閣府の有識者会議が実施されています。生成AIサービスを利用する際は、作成したコンテンツが権利を侵害していないか事前に細かく確認したうえで、活用するよう徹底しましょう。
Google が提供する生成AIサービスの活用事例4選
Googleが提供する生成AIサービスの活用事例として、以下の4つを紹介します。
- コンテンツ検索機能を構築する
- 商品カタログを作成する
- 新規コンテンツを生成する
- 膨大なデータから必要な情報のみ抽出する
事例を確認して、自社での活用方法を具体的にイメージしましょう。
コンテンツ検索機能を構築する
Google Cloudの「Generative AI App Builder」は、機械学習の専門知識がなくても簡単に検索アプリケーションやチャットボットを開発できるGoogleの生成AIサービスです。このツールを活用すれば、ユーザーがブログや動画、音楽といったコンテンツを素早く見つけられる検索機能を提供できます。
また、会話型チャットボットの開発によって、顧客一人ひとりに合わせて最適なサービスやコンテンツを提案可能です。こうした活用により、サイトやアプリの利便性が向上するだけでなく、表示率やエンゲージメントの向上にもつながります。
商品カタログを作成する
Google Cloudで提供されている以下のサービスを活用すれば、効果的な商品カタログを作成できます。
- Vision AI:画像認識サービス
- Vertex AI Embeddings:類似するコンテンツをマッチングできるサービス
- Vertex AI Matching Engine:コンテンツを保存・分類できるサービス
上記のサービスによって、カタログ内の商品説明の自動生成やカテゴライズの最適化、顧客への効果的なレコメンドが可能になり、オンラインショップでのエンゲージメントやUXの向上につながります。
新規コンテンツを生成する
Google Cloudの「Generative AI Studio」は、「Imagen」や「PaLM API for Text」などで構成される生成AIサービスです。このツールの活用によって、効果的なWebサイトやSNS投稿、広告コンテンツ、メルマガのテキストや画像などを素早く生成できます。
※1. PaLM API for Text:数行程度の文章をもとにコンテンツを生成できるAPI
膨大なデータから必要な情報のみ抽出する
Google Cloudの「Vertex AI Search」は、あらゆるシーンでの情報抽出を効率化できる生成AIサービスです。研究論文や企業の財務レポートといった複雑で膨大な量のテキストを分析でき、有益な情報を抽出できます。手動で行われることが多かった情報抽出の作業をVertex AI Searchで効率化すれば、工数削減だけでなく分析精度の向上も期待できます。
Googleの生成AIサービスを自社開発に活用しよう
システム開発にGoogle Cloudの生成AIサービスを活用すれば、業務効率化や生産性向上を実現できます。コンテンツの生成やデータ分析、情報抽出などのあらゆる業務を効率化でき、よりクオリティの高いシステム開発が可能です。Google Cloudでは、さまざまな生成AIサービスが提供されているため、自社の目的や事業内容などに適したサービスを慎重に検討して、活用しましょう。
電算システムでは、Google Cloudの生成AIサービスに関する豊富な知見と導入支援の実績をもとに、サービス活用をサポートしています。Google Cloudと生成AIについてわかりやすく解説している資料を無料で配布していますので、興味のある方は以下のページからダウンロードしてご覧ください。
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