GCP(Google Cloud)は、企業の業務効率化や新しいビジネスチャンスの創出に役立つGoogleのサービスです。AI技術を活用して膨大な量のデータを分析したり、カスタマイズされた自社独自の機械学習モデルを開発したりすることができ、事業の大きな成長につなげられます。この記事では、GCP(Google Cloud)の概要やできること、主なサービスなどを解説しています。導入事例も紹介しているので、サービスに興味のある方はぜひご覧ください。
GCP(Google Cloud)とは?AWSとの違いも解説
GCP(Google Cloud)は、データ運用やアプリ開発などの幅広い分野で業務をサポートしてくれるサービスです。概要を確認して、サービスの基礎知識を身につけましょう。
GCP(Google Cloud)はGoogleが提供するクラウドコンピューティングサービス
GCP(Google Cloud)とは、Googleが提供するクラウドコンピューティングサービス群の総称です。Google Cloud Platformの頭文字を取った名称で、2022年6月に「Google Cloud」へと名称が変更されました。
GCP(Google Cloud)には、Google社内で実際に利用されている技術やインフラが活用されており、高度なデータ解析や機械学習、AI活用などをサポートするサービスが提供されています。これらの活用によって、大幅な業務効率化が可能です。
また、GCP(Google Cloud)はクラウドサービスであるため、ソフトをダウンロードせずにあらゆるデバイスで素早く利用できます。リモートワークや出張など、場所を問わない働き方に対応し、業務効率を落とさずに高い生産性を実現します。
GCP(Google Cloud)とAWSの違い
AWS(Amazon Web Services)とは、Amazonが提供するクラウドコンピューティングサービス群の総称です。AWSには、複雑なシステム構築を可能にする機能が備わっており、OracleやSQL Serverといった商用ライセンスのサポート範囲も広いという優れた特徴があります。
一方、GCP(Google Cloud)は、機械学習機能やビッグデータ解析ができる機能が備わっており、最新技術を活用した高度な機能を利用可能です。特にデータ解析の際には、Googleが持つデータセンター内のリソースを利用して負荷の大きい処理も素早く実行できます。
GCP(Google Cloud)とAWSは、クラウドサービスという点では同じですが、それぞれ異なる強みを持つため、導入目的に応じて自社に適切なサービスを選ぶことが重要です。
GCP(Google Cloud)を使ってできることの一例
GCP(Google Cloud)は、以下のような目的に活用できます。
- データ運用
- ゲーム開発
- 画像分類
- 需要予測
- 負荷に対応できる環境構築
詳細を確認して、GCP(Google Cloud)の活用例として参考にしましょう。
データ運用
GCP(Google Cloud)のサービスの1つであるBigQueryは、データ分析の効率化に役立つツールです。データ分析に必要な労力や時間を大幅に削減できるため、効率良くデータを活用できます。
また、BigQueryはGoogle Analytics 4(GA4)と連携でき、Google Analytics 4で収集したデータをより効率的かつ詳細に分析できます。
ゲーム開発
GCP(Google Cloud)には、システム開発の効率化に役立つApp Engineというサービスが備わっています。App Engineを活用すれば、インフラ管理の負担が軽減し、低コストで効率良くゲーム開発が可能です。また、Ruby、Java、Node.js、C#、Python、Goといった多くのプログラミング言語に対応しているため、柔軟な開発を実現します。
画像分類
GCP(Google Cloud)のAuto MLを活用すれば、専門知識がない人でも、AI技術を利用して精度の高い機械学習モデルを作成可能です。数個の項目を直感的に設定するだけで、カスタマイズされた機械学習モデルを自動かつ短時間で作成でき、画像分類をはじめとしたさまざまな作業の自動化に活用できます。
需要予測
GCP(Google Cloud)は、顧客データをもとに商品の需要予測が可能です。AI技術を利用して効率良く高い精度で需要予測ができるため、商品の発注業務を最適化でき、余剰在庫の削減に貢献します。また、GCP(Google Cloud)によって需要予測を自動化すれば、データ分析を行う従業員の負担を減らし、他の業務に注力できます。
負荷に対応できる環境構築
GCP(Google Cloud)には、データ処理量の増減に合わせてシステムへの負荷を分散できるオートスケール機能が備わっています。これによって、急激にデータ処理量が増えた場合でも、システムが停止することなく安定した処理を実行できます。
GCP(Google Cloud)の主なサービス8選
GCP(Google Cloud)には、以下のような代表的なサービスがあります。
- BigQuery
- Cloud Machine Learning Engine
- Google App Engine
- Compute Engine
- Cloud Storage
- Cloud Dataflow
- Agentspace
- Vertex AI
サービスの特徴を把握して、GCP(Google Cloud)の理解を深めましょう。
BigQuery
BigQueryは、ビックデータ解析を可能にするGoogleクラウドデータベースです。Googleの社内で使用していたDremelというシステムが元となっているツールで、数千万や数億万にもなる規模のビックデータを短時間で分析できます。
BigQueryでは、API連携によってより優れた機能を利用可能です。例えば、BigQueryとPythonを連携して、ユーザーの行動をリアルタイムで分析できます。BigQueryについてより詳しく知りたい方は、以下のページも併せてご覧ください。
Cloud Machine Learning Engine
Cloud Machine Learning Engineは、機械学習モデルの構築作業をサポートしてくれるホスト型プラットフォームサービスです。機械学習を利用する上で必要なモデルの作成、トレーニング、モデル展開、予測、モニタリングまでの作業をサポートでき、複雑な機械学習モデルの構築も可能にします。Cloud Machine Learning Engineは、外部で作成されたモデルの展開もでき、機械学習の活用を幅広くサポートします。
Google App Engine
Google App Engineは、Googleのサーバー上でアプリの開発・実行・管理ができるプラットフォームサービスです。Ruby、Java、Node.jsといった6つのプログラミング言語に対応しており、高い安定性を持つGoogleのインフラ上で柔軟なアプリ開発ができます。
Compute Engine
Compute Engineは、仮想マシンを利用してクラウド上でコンピューティング環境を構築できるサービスです。これにより、ユーザーはネットワークをはじめとしたインフラ環境をクラウド上で柔軟に利用できます。また、WindowsやLinuxなどの仮想サーバーを自由に選択して構築することも可能です。
Cloud Storage
Cloud Storageは、低価格で無制限のストレージ容量を利用できるGoogleのクラウドストレージサービスです。バックアップデータを自動で生成する機能が備わっていたり、複数のデータセンターでデータを管理していたりと、可用性や耐久性にも優れており、機密情報を保管するサービスとして適しています。
Cloud Dataflow
Cloud Dataflowは、パッチ処理やストリームデータ処理を可能にしたクラウドサービスです。大規模なデータを処理できるスペックを備えており、データ分析だけでなく、データの取得・変換・分類もできます。
Google Agentspace
Google Agentspaceは、企業向けに開発されたAIエージェントプラットフォームです。Googleの生成AI技術であるGeminiを利用しており、社内データの効果的な活用をサポートできます。例えば、社内データから必要な情報を検索したり、人に代わって複雑な作業を実行したりできるため、生産性の向上に貢献します。
Vertex AI
Vertex AIは、生成AIモデルの構築・トレーニングができるAI開発プラットフォームです。モデルのパフォーマンスの監視もでき、機械学習モデルの構築や運用の効率化に貢献します。Vertex AIを活用すれば、連携されたツールでスムーズにモデル開発を進められるため、手動でのツール間のデータ移動やコピーの必要がなくなり、エンジニアの負担を減らせます。
GCP(Google Cloud)を導入する5つのメリット
GCP(Google Cloud)を導入するメリットは、以下の5つです。
- インフラ環境が安定している
- ネットワークのスピードが速い
- AI分野やデータ解析のサービスが充実している
- 高度なセキュリティが保たれている
- 低コストで運用できる
メリットを把握して、サービスを導入する価値を確認しておきましょう。
インフラ環境が安定している
GCP(Google Cloud)のサービスは、トラフィックの増減に素早く対応できよう設計されており、急激にアクセス数が増加しても安定したシステム状態を維持できます。また、容量制限のないストレージが利用できたり、Stackdriver Monitoringの使用でアプリやインフラのパフォーマンスを確認できたりするため、自社における安定したインフラ環境を整備できます。
ネットワークのスピードが速い
GCP(Google Cloud)では、Google独自のネットワーク機器が利用されており、ネットワークのスピードが速く安定しています。また、同じグローバルIPアドレスであればマルチ拠点でシステムへのアクセスが可能です。
AI分野やデータ解析のサービスが充実している
GCP(Google Cloud)を導入すれば、AI技術を活用した高度なデータ解析や機械学習モデル開発を事業に取り入れられます。AIは、手動のみでは難しい膨大な量のデータを処理できるため、これまで難しかったことも実行できます。
例えば、GCP(Google Cloud)の機能を利用して顧客データの分析や市場のトレンド予測を行えば、効果的なマーケティング戦略の立案が可能です。また、GCP(Google Cloud)を使ったデータ分析の結果をもとに事業方針を検討すれば、自社が注力すべきことも明確に見えてきます。
高度なセキュリティが保たれている
GCP(Google Cloud)は、Googleの厳しいルールと高度な対策のもとで運用される、安全性の高いクラウドサービスです。FIPS 140-2というセキュリティ基準の第三者認証も受けており、ユーザーのプライバシーとセキュリティ上の安全性が保護されています。
GCP(Google Cloud)はその信頼性から、銀行や医療機関など高い機密性が求められる組織でも採用が進んでおり、自社のセキュリティをより強固にできます。
低コストで運用できる
GCP(Google Cloud)は従量課金制のサービスであるため、使用した分のみ料金が請求されて、月額定額制に比べて無駄なコストがかかりません。また、長期間利用割引をはじめとした複数の割引サービスも提供されており、予算の確保が難しい企業でも低コストで導入が可能です。
GCP(Google Cloud)を導入する3つのデメリット
GCP(Google Cloud)は機能面・コスト面・セキュリティ面において優れたサービスですが、以下のような導入する際の注意点もあります。
- 日本語の情報が少ない
- AWSに比べてサービスの種類が少ない
- リージョンが少ない
詳細を事前に確認して、リスクと対策を見積もっておくことが重要です。
日本語の情報が少ない
GCP(Google Cloud)では、サービスに関する情報の多くが英語で提供されます。中でも、アップデートによる最新機能や技術的な情報については、Googleからまず英語で公式に発信され、その後しばらくしてからインターネット上で日本語訳が見られるようになるという流れがほとんどです。技術的な単語も含めたビジネスレベルの英語を理解できる人材がいない限り、情報を素早く正確に把握するのは困難なため、サービス導入後に不便さを感じる場合があります。
AWSに比べてサービスの種類が少ない
GCP(Google Cloud)は、AWSほど多様なサービスを提供していません。AWSでは200種類以上のサービスを利用でき、ユーザーのニーズに合わせて開発環境を柔軟に構築できます。
一方、GCP(Google Cloud)はAWSより後発のサービスであることからサービスの種類は少ないですが、各サービスの品質が高く、低コストで利用できる点が大きな強みです。
リージョンが少ない
GCP(Google Cloud)は複数のデータセンターでシステムを管理していますが、他の大手サービスと比較してリージョンは多くありません。リージョンとは、データセンターがある独立した地域を指します。リージョン数が多いと、災害や障害が発生した際に他の地域のデータセンターを利用しやすく、サービスの海外展開もしやすくなります。GCP(Google Cloud)は、リージョン数が多くないため、災害時対策や海外展開を重要視する企業にとっては、不便を感じる場合があります。
ビジネスにおけるGCP(Google Cloud)の導入事例
GCP(Google Cloud)は、業務効率を飛躍的に向上できるサービスであることから、さまざまな業界で利用されています。サービスの導入事例を確認して、GCP(Google Cloud)のより具体的な活用方法を把握しましょう。
グループ会社共通のデータ分析基盤にGCP(Google Cloud)を導入した事例
グループ会社を持つ某大手小売会社では、データ分析基盤としてGCP(Google Cloud)を導入しています。各小売店舗や外部システムに散在している膨大なデータをBigQueryで分析し、経営判断に活用しています。GCP(Google Cloud)の導入によって、利用できていなかったデータの収集・分析・活用を可能にした事例です。
営業力や業務効率化を実現するためにGCP(Google Cloud)を導入した事例
某大手ディベロッパーは、見込み顧客のデータや物件資料といった不動産売買で必要なデータをGCP(Google Cloud)に集め、営業力や業務効率の向上を実現しています。Google AnalyticsでWebサイトへのアクセスを分析したり、広告の効果測定に機械学習モデルを利用したりすることで、データを活用した営業スタイルを手に入れました。また、BigQueryを使った地理情報システムの分析により、営業ルートや物件所在地の確認作業の効率化にも成功しています。
多言語に対応するためにGCP(Google Cloud)を導入した事例
某大手航空会社では、多言語のあらゆる意見を効率良く処理するために、GCP(Google Cloud)のAI翻訳サービスであるCloud Translation APIが利用されています。航空業界をはじめとしたグローバル企業は、意見や要望があらゆる言語で寄せられます。GCP(Google Cloud)による自動翻訳で、利用者の意見や要望を正確に素早く把握でき、業務効率化が可能です。
GCP(Google Cloud)を導入してGoogleのインフラを活用しよう
GCP(Google Cloud)とは、Google Cloud Platform の略で、Googleのクラウドコンピューティングサービス群の総称です。ストレージの利用やビッグデータ分析、機械学習モデルの開発といったさまざまな機能を利用でき、高度な技術を活用して自社の業務効率化を進められます。
また、GCP(Google Cloud)を活用すれば、Googleの優れたインフラ環境を業務に利用できるため、安定したデータ処理とシステム管理ができる環境を整備できます。サーバーやネットワークの運用・管理を自社で担う必要がなく、低コストでAI機能をはじめとした多くの機能も利用可能です。AI技術を業務に活用したい方や現場の業務効率化を進めたい方は、GCP(Google Cloud)の導入がおすすめです。
Googleのプレミアパートナーである電算システムは、GCP(Google Cloud)についてわかりやすく解説した資料を無料で提供しています。サービスについてより詳しく知りたい方は、以下の資料をご覧ください。
- カテゴリ:
- Google Cloud(GCP)
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