本記事では、Googleが提供するVPNサービス「Google One VPN」を紹介しています。サービスの特徴やプランについても解説しています。VPNサービスの利用を検討している方、Google One VPNについて詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
VPNとは仮想の専用線を構築する技術
VPNの仕組みや必要性について解説します。そもそもVPNとはどのようなものかわかりやすくまとめていますので、ぜひご覧ください。
VPNの仕組み
VPNとは、Virtual Private Network(バーチャル プライベート ネットワーク)の略で、インターネット上に仮想の専用回線を構築し、許可されたユーザーだけが安全に通信できるネットワークを構築する技術を指します。具体的には「トンネリング」「認証」「暗号化」を行い、ネットワークの安全性を高める仕組みです。
「トンネリング」の技術は、離れた場所にあるネットワーク同士を仮想のトンネルでつなぎ、インターネットから情報が外部に流出するのを防ぎます。加えて、「認証」することにより、許可されたユーザーだけが通信できるよう管理します。さらに、情報の盗聴や改ざんを防止するために「暗号化」を行い、仮に情報が第三者に渡ってしまっても内容が読まれないようにします。
VPNの必要性
VPNは、通信の安全性を高めて、機密情報やプライバシーの流出・漏洩のリスクを回避するために必要だといえます。インターネット上には悪意のあるユーザーも存在します。そのため、保護されていない情報は、通信中に盗聴や改ざんが行われる危険性があります。
VPNの活用により、会社と自宅、本社と支社といった離れた拠点間でも、安全に社内サーバーや共有フォルダに接続することが可能です。
Googleの有料VPNサービス「Google One VPN」
Googleが提供する「Google One VPN」は、有料の個人向けVPNサービスで、前述のVPNの技術を利用しインターネットを安全に利用できる仕組みを提供します。「Google One VPN」は、一部の国や地域で有料のクラウドストレージサービス「Google One」の2TB以上のプレミアムプランを利用しているユーザーが利用できます。なお、保存容量の追加やGoogleのスペシャリストのサポート、メンバー限定の特典などのサービスとセットで提供されるため、VPNだけを利用することはできません。
ただし、Google Pixel 7・Google Pixel 7 Proのユーザーは、Google One アプリを使って「Google One」の契約なしでVPNを利用することが可能です。
クラウドストレージサービス「Google One」について詳しくはこちら
Google One VPNの3つの特徴
Google One VPNの3つの特徴を紹介します。Googleが提供するVPNサービスだからこそ実現できる特徴を詳しく見ていきましょう。
セキュリティが高い
Google One VPNは、セキュリティの高さが大きな特徴です。インターネットの利用において高度な暗号技術を駆使し、第三者によってネットワークアクティビティがユーザーIDと結び付けられるのを防ぎます。従来のVPNの脆弱性に対応するべく暗号化ブラインド署名手順を採用し、ユーザーの認証とVPNへの接続を分離したGoogle One VPNを構築しました。ネットワークトラフィックやIPアドレスが保護されることにより、情報を盗まれたりユーザーが特定されてしまったりするのを防ぐことが可能です。
最大5人のユーザーと共有できる
Google One VPNは、Google Oneをファミリーグループと共有すると、最大5人のユーザーと追加料金なしで共有することが可能です。ファミリーグループの管理者を含めて最大6人で利用できます。Android、iOS、Windows、Macに対応しており、デバイスを問わず利用できるため便利です。
なお、ファミリーグループに設定できるのは、年齢が18歳以上のユーザーです。また、ファミリーグループの管理者と同じ国に居住している必要があります。
インターネット速度が速い
Google One VPNは、インターネット速度が速い点も特徴といえます。Google One VPNは、Googleの高度なネットワークアーキテクチャが用いられています。優れた通信技術により、快適なインターネット速度を保ちながらVPNを利用することが可能です。安全性を維持しながらも高速なパフォーマンスを発揮し、ストレスなくアプリやブラウザを利用できるでしょう。
Google One VPNが利用できる国と地域
Google One VPNが利用できる国と地域は限定されています。以下の国や地域で利用できます。
- オーストリア
- オーストラリア
- ベルギー
- カナダ
- デンマーク
- フィンランド
- フランス
- ドイツ
- アイスランド
- アイルランド
- イタリア
- 日本
- メキシコ
- オランダ
- ノルウェー
- 韓国
- スペイン
- スウェーデン
- スイス
- 台湾
- 英国
- 米国
住んでいる国や地域が上記に含まれている場合、Google One VPNを有効にしていれば国外に移動しても多くの場所でGoogle One VPNをそのまま利用できます。
なお、インドとシンガポールでは、Google Pixel 7とGoogle Pixel 7 Proは、Google One VPNの対象外です。
Google One VPNが利用できる「Google One」
Google One VPNが利用できる「Google One」の、他の具体的なサービス内容やプランについて解説します。
Google Oneのサービス内容
Google Oneでは、ストレージ容量を定期購入できるサービスが含まれます。追加購入したストレージ容量は、Googleドライブ、Googleフォト、Gmailに共通で使用できます。Googleアカウントに無料で提供されているストレージ15GBに、Google Oneで購入したストレージが追加される仕組みです。
また、ストレージ容量の追加のほかに、Googleのスペシャリストが提供するGoogleのサービス全体のサポートやメンバー限定の特典が受けられます。メンバー限定の特典は、3か月間YouTubeを広告なしで楽しめるYouTube Premiumトライアル、$5分のGoogle Playクレジットの進呈、Googleフォトの編集ツールなどが受けられる内容となっています。特典の内容は、国によって異なり、随時変更されます。
さらに、Google Oneのユーザーは、Google Workspaceのプレミアム機能を利用することが可能です。Google Workspaceについて詳しくは、以下をご覧ください。
ビジネス向けグループウェア「Google Workspace」について詳しくはこちら
Google Oneのプラン
Google Oneのプランは、7種類あります。100GB、200GB、2TB、5TB、10TB、20TB、30TBからストレージを選べます。Googleアカウントに提供されている無料の15GBプランを利用しているユーザーは、100GB、200GB、2TBの3つのプランのみ選択可能です。Google Oneに加入すると、5TB、10TB、20TB、30TBにアップグレードできます。なお、プランは国によって異なります。日本のプランは以下の通りです。
- 100GB……月額250円
- 200GB……月額380円
- 2TB……月額1,300円
- 5TB……月額3,250円
- 10TB……月額6,500円
- 20TB……月額13,000円
- 30TB……月額19,500円
Google Oneの気になる質問3選【Q&A】
Google Oneの気になるQ&Aを紹介します。特に気になる質問3選をまとめていますので、ぜひご覧ください。
ファミリーグループと共有されるものは?
ファミリーグループと共有されるのは、ストレージ容量と特典です。各メンバーがそれぞれ無料のストレージ15GBを使い切ると、共有のストレージが使われます。共有されたストレージ容量は、無料のストレージと同様にGoogleドライブ、Googleフォト、Gmailで共有できます。共有された特典は、特典内容によっては一つのファミリーグループあたり1人しか利用できないものもあります。
なお、Google Oneではファイルを個別に共有する操作をしない限り、ファミリーメンバーにファイルが共有されることはありません。
Google OneとGoogleドライブの違いは?
Google Oneは、Googleドライブをさらに便利にし、セキュリティを高める個人向けサービスです。文書や画像、動画などさまざまファイルを保存したり、ファイルを複数人で共有したりできるうえに、ストレージ容量を追加で定期購入できます。加えて、Googleによるサポートやさまざまな特典をファミリーグループのメンバーと共有することが可能です。
スマートフォンのデータをバックアップできる?
Google Oneを使用すると、スマートフォンのデータをバックアップできます。万が一スマートフォンの破損や紛失が発生しても、バックアップからデータを復元することが可能です。なお、バックアップできる内容は、AndroidとiOSで異なります。Androidでは、写真、動画、電話番号やメールアドレスなどの連絡先、メッセージ、アプリデータ、通話履歴、設定がバックアップできます。iOSでは、写真、動画、電話番号やメールアドレスなどの連絡先、カレンダーの予定をバックアップできます。
Google Oneのユーザーが利用できる4つのプレミアム機能
Google Oneのユーザーは、Google Workspaceのプレミアム機能の一部である、Google Meetの機能を利用できます。Google Oneのユーザーが利用できるプレミアム機能は、以下の4つです。
- 最長24時間のグループビデオ通話
- ノイズキャンセル
- ビデオ通話の録画
- YouTubeでのライブ配信
最長24時間のグループビデオ通話
プレミアム機能では、Google Meetで最長24時間のグループビデオ通話ができます。プレミアム以外の通話時間の上限は1時間です。ストレージ容量が2TB以上のプレミアムプランを利用している場合、グループビデオ通話に参加できる人数の上限は100人となっています。長時間・大人数でのグループビデオ通話は、オンラインでの懇親会の開催などに適しています。
ノイズキャンセル
Google Oneのユーザーは、Google Meetのノイズキャンセルを使用できます。ノイズキャンセルとは、通話の妨げにならないように周囲の雑音を除去する機能です。タイピング音やドアの開閉音、犬の鳴き声、近くの建設現場の音といった雑音を判別します。そのため、人の声は除去されません。音声でない音を流す必要がある場合は、ノイズキャンセルをオフにできます。
また、ノイズキャンセルは雑音を除去するだけでなく、通話の参加者の音声を快適に聞こえる音量に調整します。
ビデオ通話の録画
プレミアム機能では、ビデオ通話を録画することが可能です。最長8時間録画でき、8時間経過すると自動的に停止します。録画中のチャットのやり取りも録画に含まれます。ビデオ通話の録画機能は、会議を録画するのに役立ちます。後から会議の内容を確認したり、会議に参加していないユーザーに共有したりする場合に便利です。
なお、ビデオ通話の録画機能はパソコンでのみ利用できます。アプリでは録画できない点に留意しておきましょう。
YouTubeでのライブ配信
Google Oneのユーザーは、YouTubeでライブ配信を一般公開できます。YouTubeでのライブ配信は、ワークショップやイベントの開催に最適です。YouTubeでライブ配信を行うには、事前にYouTubeチャンネルでライブ配信を承認しておく必要があります。YouTubeアカウントの確認が済んでいる、過去90日間にYouTubeライブ配信への制限を受けていないの二つの条件をクリアする必要があります。また、承認には最長24時間かかるので早めに準備しましょう。
【ビジネス向けグループウェア】Google Workspace
Google Workspaceは、クラウド型のビジネス向けグループウェアです。Google Workspaceのストレージは、Google Oneと同様にGoogleドライブ、Googleフォト、Gmailで利用できます。Google Workspaceで利用できるストレージ容量は、各プランによって異なります。Google Workspaceのストレージ容量について詳しくは、こちらをご覧ください。
Google Workspaceは、ストレージ容量を増やせるだけでなく、ビジネスに役立つさまざまな機能が集約されています。設定の一元管理が可能な管理コンソールが備わっており、組織内の全ユーザーの設定を行えます。また、24時間の管理体制、データの保全を行うGoogle Vaultなどのセキュリティ対策が充実しています。
さらに、Googleの他のサービスと連携でき、連携作業や情報共有をスムーズに行うことが可能です。Googleのサービスを利用されている企業のご担当者様は、ぜひ以下のページから資料をご覧ください。
「Google Workspace」の機能・料金について詳しくはこちら
Google One VPNでセキュリティを強化しよう
Googleが提供するVPNサービス「Google One VPN」は、インターネットの利用において高いセキュリティと快適な通信速度を提供し、最大5人のユーザーと共有可能な優れた特徴があります。Android、iOS、Windows、Macに対応しており、すべてのデバイスで利用でき便利です。高い安全性と効率性を備えたGoogle One VPNを使って、セキュリティを強化しましょう。加えて、Google Oneのユーザーは、Google Workspaceのプレミアム機能を利用できます。Google Workspaceは、多くの企業や教育機関で導入されている高品質で信頼性の高いサービスです。ぜひGoogle Workspaceの導入もご検討ください。
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