複数メンバー間で、容易に文書の作成・共有をしたいとお考えの方はいらっしゃらないでしょうか。
その場合に有用なツールが、Googleドキュメントです。これは、Google社提供の文書作成サービスであり、オンライン上で共同編集・共有を簡単に行えます。
一見シンプルな無料サービスですが、実は豊富な機能を有しており、便利な使い方を多数覚えているとビジネスシーンでも一層効果的な活用が可能です。
本記事においては、Googleドキュメントにおける使い方について基礎から応用まで幅広く解説します。業務でGoogleドキュメントを使いこなしたい方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
Googleドキュメントの概要
Googleドキュメントの基礎知識について、ここでは解説します。
具体的な使い方について解説する前に、その意味やメリット・注意点について解説します。
参照元:Google ドキュメント: オンライン ドキュメントと PDF エディタ | Google Workspace
文書作成・共有機能
Googleドキュメントは、Google社提供の無料サービスです。Googleアカウントがあれば誰でも利用可能で、ブラウザ上において文書の作成・共有ができます。専用アプリも存在しており、これを使えばスマホなどでも利用可能です。
後述しますが、Googleドキュメントには様々なメリットがあり、ビジネスシーンで活用される事例も増えてきました。
同時編集・自動保存・Word形式への対応
Googleドキュメントのメリットは、大きく分けて以下の3つです。
1.同時編集可能
Googleドキュメントを用いれば同時編集が可能で、共同作業で効率的に文書作成ができます。同時に作業ができる人数は、最大100ユーザーです。ユーザーごとに権限を選択できるため、一部のユーザーだけが閲覧・編集できるよう設定を行うことも可能です。
2.自動保存対応
編集したデータは、自分でバックアップせずとも自動保存されます。そのため、バックアップを怠った結果トラブルが発生して、編集内容が反映されなくなるリスクを最小限にできます。
変更履歴も保存され、そこから復元することも可能です。また、複数人での編集時には誰がどこを編集したか把握できるため、作業進捗に関してすぐにキャッチアップできます。
3.Word形式への対応
Googleドキュメントは、Word形式のファイルとしても編集・更新できます。同形式でファイルのダウンロードも可能で、その場合はPDF・TXT・HTMLなどの形式でもダウンロードが可能です。
オフラインでの作成・閲覧・編集
Google ドキュメントは、拡張機能(Googleオフラインドキュメント)を活用すればオフラインでも作成・閲覧・編集ができます。
ただ、クラウドサービスであるためインターネット環境がない場合や不安定な環境では、ファイルの共有や共同編集などを行うには不便です。そのため、Google ドキュメントを便利に使うには、安定したインターネット接続が必須です。
参照元:オフライン時に Google ドキュメント、スプレッドシート、スライドで作業する - パソコン - Google ドキュメント エディタ ヘルプ
【初心者向け】Googleドキュメントの基本的な使い方(PC)
ここでは、PCでGoogleドキュメントを取り扱う場合の基本的な使い方について、10個解説します。
いずれの機能も、ひん繁に使う可能性が高い機能です。
参照元:Google ドキュメントの使い方 - パソコン - Google ドキュメント エディタ ヘルプ
Googleアカウントを作成
Googleドキュメントを活用するには、Googleアカウントが必須です。もしGoogleアカウントをお持ちでなければ、以下の情報を入力してアカウントを作成します。
- 姓名
- メールアドレス
- パスワード
登録するメールアドレスはGmail以外でも可能で、アカウント再設定情報を入力すると、アカウントを保護できます。
参照元:Google アカウント
ブラウザ上でのGoogleドライブへのアクセス
ブラウザであれば、Google Chrome右上のアイコンをクリックします。
すると、アクセスできるサービスが一覧表示されるので、そこでGoogle ドライブのアイコンを選択すればアクセスできます。
Google ドライブからGoogleドキュメントファイルの新規作成
Googleドライブの「+新規」ボタンをクリックします。
すると、新規作成が可能なGoogleサービスの種類を一覧で選択できるため、「Googleドキュメント」アイコンをクリックします。また、「テンプレートから」を選択することで、テンプレートの活用も可能です。
メニューバーから見出し設定や太文字などの文字装飾
Googleドキュメントを開いたら、メニューバーで各種文字装飾が可能です。ここでは、代表的な文字装飾として、以下の2つを解説します。
1.見出し設定
見出し設定したい箇所をドラッグし、メニューバーの「スタイル」を選択します。
すると、タイトルや見出しなどを選択できます。
今回は、「見出し2」を選択しました。
2.各種フォント設定
上記「スタイル」の右横で、各種フォント設定を実行できます。左から順に、それぞれ以下のとおり文字設定が可能です。
- フォント
- フォントサイズ
- 太文字
- 斜体
- 下線
- テキストの色
- ハイライトの色
図表等の挿入も可能
Googleドキュメントに図表と表を入れる方法について、それぞれ解説します。
1.Googleドキュメントに画像を挿入する方法
メニューバーより、「挿入」>「描画」>「ドライブから」を選択します。
すると、画像の選択が可能です。
もしくは、Googleドキュメント上で直接描画することも可能で、その場合はメニューバーより、「挿入」>「描画」>「新規」を選択します。
描画画面が出てくるので、そこで描いた図をそのままアップできます。
2.Googleドキュメントに表を挿入する方法
メニューバーより「挿入」>「表」を選択し、縦横それぞれ何マス分の表を挿入したいか選択します。後はクリックするだけで、任意の箇所に表の挿入が可能です。
リンク挿入は貼り付けたいURLの直接入力でも可能
テキストにリンクを挿入することも可能です。
リンクを挿入したい箇所をドラッグしたら、「挿入」>「リンク」と選択します。
リンクさせたいURLを入力、もしくはWeb検索することで挿入が完了します。
テキストや表の位置をそろえるのに便利なルーラーの表示・非表示
ルーラーは、テキストや表の位置をそろえるために便利な機能です。Googleドキュメントでルーラーを使う場合は、「表示」>「ルーラーを表示」と選択することで表示されます。
ルーラーの表示・非表示を切り替えたい場合も、「ルーラーを表示」をクリックするだけです。
参照元:ドキュメントの概要、要約、ルーラー、印刷されない文字を表示する - パソコン - Google ドキュメント エディタ ヘルプ
情報を整理しやすくする箇条書きの挿入
情報を整理した上でテキストを記述したい場合、箇条書きをうまく取り入れることも有効です。そのまま「・」を入力して箇条書きにすることも可能ですが、メニューバーで箇条書きを選択することも可能です。
▼Googleドキュメントで箇条書きを追加する手
1.箇条書きにしたいテキストをドラッグする
2.ツールバーから、リストの種類を選択する(キャプチャでは、左から順番にチェックリスト・箇条書き・番号付きリスト)
3.今回は箇条書きを選択した。すると、テキストに反映される
参照元:番号付きリスト、箇条書き、チェックリストを追加する - パソコン - Google ドキュメント エディタ ヘルプ
文章チェックに使いたい誤字脱字チェック
Googleドキュメントで長文を作成すると、多かれ少なかれ誤字脱字が発生する可能性があります。その場合に試していただきたいのが誤字脱字チェック機能です。
まず、誤字が疑われる箇所では自動で〜が該当箇所の下に入ります。そこにカーソルを合わせると修正案が表示されるので、もしその修正案が正解であればそのままクリックするだけで修正可能です。
今回は、あえて「Googleドキュメン」と記載しているので、「Googleドキュメント」が修正案として提案されました。
また、メニューバーの「A」マークをクリックしても誤字脱字チェックができます。修正案が表示されるので、修正案どおりに変更したい場合は「承諾」、反対に修正案をあえてスキップしたい場合は「無視」を選びます。
すべての誤字脱字を見つけ出せるとは限りませんが、ケアレスミス対策としては有用です。
社内の情報共有に役立つファイル共有機能
Googleドキュメントは、オンライン上でドキュメント作成できるだけではなく、容易に文書の共有が可能です。この共有機能を活用することで、リモートワークやアウトソーシングなどで離れた場所で作業するメンバー同士でも、効率的に文書作成や内容確認を実施できます。
文書を共有したい場合は「共有」ボタンを選択し、共有先のメールアドレスを入力します。後は、「リンクをコピー」でURLの発行ができるので、それを共有先に共有するだけです。
ここで、「一般的なアクセス」を「制限つき」から「リンクを知っている全員」に変更すれば、「リンクをコピー」で発行したURLを知っていれば誰でもアクセスできます。
また、編集権限についても以下3つから選択可能です。
- 閲覧者
- 閲覧者(コメント可)
- 編集者
Googleドキュメントの基本的な使い方(スマホ)
Googleドキュメントは、スマホでも利用可能です。
ここでは、PCと異なる部分に絞って、AndroidでGoogleドキュメントを用いる方法について解説します。
参照元:Google ドキュメントの使い方 - Android - Google ドキュメント エディタ ヘルプ
参照元:Google ドキュメントの使い方 - iPhone と iPad - Google ドキュメント エディタ ヘルプ
Googleドキュメントのアプリをインストール
Googleドキュメントはスマホから利用することも可能ですが、それにはまずはGoogleドキュメント用アプリのダウンロードが必須です。
1.Google Playでの表示状況
2.ダウンロード済みのアプリが表示
Googleドキュメントのアプリからファイルの新規作成
Googleドキュメント用アプリをタップすると、右下に「+」ボタンが表示されます。
すると、PCと同じく「テンプレートを選択」と「新規ドキュメント」よりタップが可能です。
後はドキュメント名をつければ、スマホからでも新規作成できます。
Googleドキュメントの応用的な使い方
ここまで解説してきた使い方以外にも、Googleドキュメントを便利に使う方法は様々です。
最後に、Googleドキュメントをより使いこなすために覚えておきたい使い方について、13個解説します。
入力スピードを加速させる音声入力
Googleドキュメントの文書作成スピードを向上させたい場合に便利な機能が、音声入力機能です。100%の精度ではありませんが、ある程度手直しすることを踏まえても文書作成スピードの向上が可能です。
音声入力を起動するには、まず「ツール」>「音声入力」を選択します。
すると、マイクアイコンが出てきます。
後はマイクアイコンをクリックすればアクティブ状態になるので、その間は音声入力が可能です。再度マイクアイコンをクリックすると、音声入力を止められます。
参照元:音声で入力、編集する - Google ドキュメント エディタ ヘルプ
画像の体裁を整える文章内画像編集
先ほどGoogleドキュメントに画像を挿入する方法について解説しましたが、その画像を後で編集することも可能です。
挿入した画像をクリックすると、「編集」ボタンが表示されます。
それをクリックすると「図形描画」画面になるので、後は周りへの色付けやトリミングなどやりたい画像編集を実行して「保存して閉じる」だけです。
外国語の文書で使いたい翻訳機能
Googleドキュメントで外国語の文書を取り扱う場合、100カ国語以上に対応している翻訳機能が便利です。
翻訳機能を使うには、「ツール」>「ドキュメントの翻訳機能」と選択します。
後は、変換したい言語を選んでから、「翻訳」ボタンを押すと翻訳した新規ファイルが作成されます。
参照元:ドキュメントを別の言語に翻訳する、ドキュメントに別の言語を入力する - パソコン - Google ドキュメント エディタ ヘルプ
文字数を考慮しないといけないケースで使いたい単語数表示
作成したい文書の種類によっては、文字数を考慮しないといけないケースもあります。その場合にぜひ使いたい機能が単語数表示機能です。
単語数表示機能を使うには、「ツール」>「文字カウント」と選択します。
すると、文字カウントダイアログボックスで文字数をカウントできます。
また、「入力中に文字数を表示」を選択すれば、画面左下で入力中に文字数をカウントするよう設定変更することも可能です。
参照元:ドキュメントのワード数を数える - パソコン - Google ドキュメント エディタ ヘルプ
目次設定に便利なセクションのブックマーク
セクションのブックマークを使えば、リンクの挿入でハイパーリンクができるため、目次設定や読みたい場所に飛ばしたいケースで便利です。
それには、まずブックマーク対象のテキストを選択してから、「挿入」>「ブックマーク」と選択します。
次に、ブックマーク対象のテキストを選択し、リンクをコピーします。
後は、ハイパーリンク設定したいテキストをドラッグし、右クリックで「リンクの挿入」を選択の上前述のリンクを貼り付ければ完成です。
効率よく必要な書類を作成できる各種テンプレート
Googleドキュメントのホームページには、テンプレートギャラリーが用意されています。ここを参照すると、請求書や会議メモなど様々な用途のテンプレートを選択可能です。
これらのテンプレートはすでにテキストなどが入った状態で公開されており、完成時の見映えを事前確認できます。請求書など、用途が特定している場合には使いこなしたい機能です。
Googleドキュメントの作業を自動化するカスタムショートカット
長文の定型文・専門用語を入力することが手間と感じる場合、カスタムショートの活用がおすすめです。この機能を使えば、略語で特定の用語を呼び出せます。
それには、「ツール」>「設定」と選択することが必要です。
ここで「置換」タブを開き、「自動置換」で略語と呼び出したい文言を記入してから、「OK」をクリックします。
今回は、「イギリス」を「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」に置き換える操作を試しました。
こうすると、「イギリス」と入力すると自動的に「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」に置き換えられます。
置き換えをキャンセルしたい場合は、「元に戻す」をクリックするだけでキャンセル可能です。
この機能は、定型文や専門分野に特化した文書に便利です。
原稿チェックに役立つ文書同士の比較
Googleドキュメントの原稿チェックで役立つ機能が、文書同士の比較機能です。これを使えば、2つの文書を比較した情報が提示されるため、正誤比較などに役立てられます。
文書同士の比較を行うには、「ツール」>「ドキュメントの比較」を選択します。今回は、片方の文書では「イギリス」と記載し、もう片方の文書では「アイルランド」と記載しました。
すると、「ドキュメントの比較」が出てくるので、比較したい文書を呼び出します。
すると、新規ドキュメントが作成され、比較対象と異なる部分は提案コメントとして表示されます。今回は、「アイルランド」が消されて「イギリス」が提案されました。
画像やPDFのテキストデータを読み取るOCR機能
OCR(Optical Character Recognition:光学文字認識)は、画像・PDF等のデジタルデータに含まれる文字データを認識し、そこからテキストデータを抽出する技術です。この技術を活用すれば、紙や写真の文字情報も容易に編集・検索できます。
Googleドキュメントにおいても、OCR機能の活用が可能です。それには、まずOCRで文字情報を読み取りたい画像・PDF等のデジタルデータについて、Googleドライブにアップします。
そのファイル(ここでは画像データ)を右クリックし、「アプリで開く」>「Google ドキュメント」と選択します。
すると、新たなGoogleドキュメントファイルが作成され、画像データから文字情報が抽出されました。
変更内容が一目でわかる提案モード
提案モードを活用すると、何が提案されたか見える状態で編集可能なので、修正指示と修正を同時に実行でき効率的に文書作成・編集を行えます。
画面右上において、デフォルトでは「編集」モードですが「提案」モードへの変更が可能です。
「提案」モードで文書の書き換えや削除を行うと、その内容が画面右に表示されます。原文は残るので、変更提案内容が一目瞭然です。
「チェック」マークをクリックするとその内容がそのまま反映されますが、「バツ」マークをクリックするとその変更は取り消されます。
コメントを残したい場合に便利なコメント機能
コメント機能を使えば、共同編集中のドキュメントに意見・提案を記述できるため、意見交換や重要部分の強調、さらには履歴の保存などに有用です。
コメント機能を使うには、まずコメントを入れたい 部分(テキストや画像など)に対しドラッグを行います。コメントアイコンは、上部と右側にあるコメントアイコンをクリックするだけで、コメントが可能です。
追加したコメントは、「チェック」ボタンで解決できます。また、「︙」を選択すれば、すでに行ったコメントの編集や削除も可能です。
有料版Google Workspace搭載のGeminiで使えるAI機能
有料版のGoogle Workspaceでは、Google社開発のマルチモーダルAI「Gemini」を活用できます。マルチモーダルAIは、テキストや画像などさまざまな情報を関連づけて回答できるAIです。そのため、質問そのものに対する文書の回答だけでなく、画像や関連情報などの提示も可能です。
Google WorkspaceでGoogleドキュメントを開くと、Geminiアイコンが出てきます。これをクリックすることで画面右側にGeminiが登場します。ここに文章が入っていれば要約を自動作成してくれる上、新たな質問も可能です。
「Gemini」のアイコンを挿入
画像やリンクなどの挿入を簡単にできるスマートチップ機能
スマートチップ機能とは、Google ドキュメントなどで「@」をつければテキスト・画像・リンクなどを容易に挿入できる機能です。入力補完や検索結果の表示などで活用できます。
▼スマートチップで埋め込める情報の例
- ユーザー情報
- ファイルプレビュー
- スケジュール
ここでは、日付の挿入を試みました。「@」マークを入れると、スマートチップが表示されます。
ここでは日付を選択すると、カレンダーが表示されました。
後は希望する日にちを選択して「OK」ボタンをクリックすれば(今回は2/28)、指定の日付が挿入されました。
参照元:Google ドキュメントにスマートチップを挿入する - Google ドキュメント エディタ ヘルプ
Googleドキュメントを使いこなして効率的に文書作成・共有しよう
Googleドキュメントは、Google社提供の無料オンライン文書作成・共有サービスです。Wordのように基本的なテキスト作成や図表挿入が可能である上に、URLを共有するだけで容易にデータを共有できます。
また、同時編集が可能な点や自動同期が実行される点もメリットです。オンラインサービスであるものの、拡張機能を使えばオフラインでも使えます。
Googleアカウントを保有していれば、文書作成やフォント作成などの基本的機能はすぐ使える上、アプリをダウンロードすればスマホでも利用可能です。
音声入力や翻訳など便利な機能も豊富なので、ビジネスシーンの文書作成においてもGoogleドキュメントが役立つ場面が多く存在します。
- カテゴリ:
- Google Workspace
- キーワード:
- googleドキュメント 使い方