最近では、クラウド上で文書を作成したり、共有したりする方法が一般化しつつあります。Wordのようにローカル環境で作業する場合と比べ、リアルタイムに情報が同期されるため、複数人での共同編集にはクラウド環境が欠かせません。
Googleドキュメントはクラウド型の文書作成ツールで、基本無料でサービスを利用できます。コメントや校正、共有など、Googleドキュメントならではの機能が搭載されており、効率良く文書を作成できるのが特徴です。
本記事では、Googleドキュメントの特徴や機能、使い方などを詳しく解説します。
Googleドキュメントとはクラウド型の文書作成ツール
Googleドキュメントとは、Googleが提供するクラウド型の文書作成ツールです。ソフトウェアをインストールする必要がなく、Googleアカウントがあれば誰でも利用できます。
オンライン上で文書の作成・編集を行えるほか、Googleアカウントでほかのユーザーを招待できるため、複数人での共同編集に向いています。共同編集の際は情報がリアルタイムで同期され、コメントの添付によってコミュニケーションを図れるのもポイントです。作成したファイルはGoogleドライブに保存されるため、ファイル管理の効率化や情報共有の円滑化にも効果を発揮します。
Googleドキュメントの5つの特徴
Googleドキュメントには次のような特徴があります。
- 基本無料で利用できる
- クラウド上でデータを管理できる
- 自動保存やリアルタイム同期に対応している
- さまざまなファイル形式に対応している
- スマートフォンやタブレットでも文書の作成・編集が可能
このような特徴は、Googleドキュメントを利用するうえでのメリットにもつながります。それぞれの要点を詳しく解説します。
基本無料で利用できる
Googleドキュメントには有料プランもありますが、無料版でも標準搭載されているほとんどの機能を利用できます。ソフトウェアを利用するためのライセンス料や、サーバー・ネットワークの導入コストも不要です。無料にもかかわらず、文書作成に必要な数多くの機能が搭載されています。
クラウド上でデータを管理できる
Googleドキュメントはクラウドベースのサービスです。サービスを利用する際は、Webブラウザでサービス利用画面にアクセスし、Googleアカウントでログインするだけで済みます。文書の作成や編集、ユーザーの招待、共有といった一連の流れが、すべてオンライン上で完結します。
作成した文書は、同じくクラウドサービスのGoogleドライブに保存される仕組みです。ローカル上にデータを落とし込む必要がなく、ファイルの保存や検索、共有などのプロセスまでオンライン上で完結できるのが特徴です。他者が作成したファイルでも検索や編集が可能なので、組織内でのスムーズな情報共有につながります。
自動保存やリアルタイム同期に対応している
Googleドキュメントで文書を作成する際は、テキスト入力や画像の挿入など、何らかの編集を行う度に自動でデータが保存されます。新規で保存や上書き保存などの工程を省けます。「ファイルを保存するのを忘れてしまい、一から文書を作り直さなければならない」といったリスクを抑えられるのも利点です。
また、複数のユーザーが同じ文書にアクセスする際、保存したデータがリアルタイムに同期されます。複数人で共同編集を行う場合でも、常に最新状態のデータを参照できるため、情報の上書きや誤入力などのミスを防げます。
さまざまなファイル形式に対応している
Googleドキュメントは一から文書を作成できますが、Wordのファイルを読み込んで、そのまま編集することも可能です。また、保存したファイルを出力する際は、Word(.docx)やPDF(.pdf)、OpenDocument(.odt)、書式なしテキスト(.txt)などの形式を選べます。Google以外のサービスと互換性が高いのもGoogleドキュメントの特徴です。
スマートフォンやタブレットでも文書の作成・編集が可能
GoogleドキュメントにはWebブラウザ版のほかに、iOS・Android用のモバイルアプリが用意されています。モバイルアプリにはWebブラウザ版とほぼ同様の機能が搭載されており、社外からでも文書の作成や編集、共有が可能です。
Googleドキュメントの9つの機能
Googleドキュメントは単に文書を作成するためのツールではなく、共有やコメント、スマートチップなど、さまざまな機能が搭載されています。Googleドキュメントの代表的な機能を紹介します。
文書作成
文書作成はGoogleドキュメントの最も基本となる機能です。単にテキストを入力するだけでなく、次のような編集機能を利用できます。
- 太字・斜体・テキストカラーなどの文字装飾
- 見出し・目次設定
- 画像挿入
- リンク挿入
- 表・グラフ作成
- 描画ツール
など
このような機能を活用することで、文書作成時のレイアウトやデザインの柔軟性が高まります。
コメント
コメントとは、文書内の文章に対してメッセージを挿入できる機能です。文書を作成したユーザーだけでなく、特定の権限を与えられた別のユーザーでもコメントできます。
修正してほしい箇所を指定したり、文章を補足するためにソースを掲載したりと、さまざまな形で利用できるため、複数人で共同編集する際に役立ちます。相手のコメントに対して返信もできるため、簡易的なコミュニケーションも可能です。コメントに対する反応(解決と拒否)は履歴として残ります。
また、特定の人物を指定する際は、Googleアカウント名の前に「@」を付けることで相手に通知を送れます。
提案
提案とは、もとの文章を残しつつ加筆や修正ができる機能です。例えば、文章内に「あがりとうございます」といった誤字があれば、その横に「ありがとうございます」の正解文を記載できます。そのため、共同編集時に効率良く文章の校正が可能です。
相手の提案に対してはコメントと同様、「解決」と「拒否」を選べます。「解決」を選んだ場合は、提案によって修正された文章が反映され、「拒否」の場合は提案が却下され、もとの文章がそのままの状態で残ります。
校正
校正とは、文法やスペルの誤り、表現の一貫性などをチェックできる機能です。編集ページ上部の[ツール > スペルと文法 > スペルと文法のチェック]を選択するだけで、機械が自動的に文章をチェックしてくれます。また、自動校正の機能を有効にすると、執筆中にミスが発生する度に間違いを指摘してくれます。
校正機能は提案機能とともに、文章の内容をチェックする際に役立ちます。例えば、自身で執筆した文章は校正機能によって機械がチェックを行い、その後、別のユーザーが文章をチェックして、誤りがあった箇所を提案機能で指摘するといった形です。両方の機能を活用することで、誤字や脱字などのミスを減らせます。
スマートチップ
スマートチップとは、Googleドキュメントの作業をより効率良く実行するための機能です。文章の入力中に「@」と入力すると、次のような機能をワンクリックで利用できます。
- 基本機能:プルダウンやタスク、タイマーなどの要素を挿入できる
- ユーザー:指定したGoogleアカウントを文章中に表示する
- 日付:指定した日付を挿入できる
- 予定:Googleカレンダーの予定表を挿入できる
- 構成要素:会議メモやメールの下書きなどを呼び出す
- ファイル:Googleドライブに保存されているファイルのリンクを表示する
例えば、文書内に表を挿入する際、ユーザーや日付のスマートチップを選択すると、「担当者」や「期日」などの項目を入力する際の時間短縮につながります。
編集履歴
編集履歴とは、文書内での執筆や修正、コメントの解決・拒否、提案といった履歴を時系列で表示できる機能です。文書内で編集を行った日時だけでなく、ユーザー名も表示されるため、共同編集を行う際、「誰がいつ内容を変更したのか」という情報が一目でわかります。データの復元にも対応しており、特定のタイミングまで作業内容を戻せます。
履歴の箇所を押すと変更した箇所に色がつきます。
共有・権限設定
Googleドキュメントで作成した文書は、複数のユーザーと共有できます。共有手段としては、共有リンクを通知する方法と、Googleアカウントを追加する方法の2つです。
いずれの場合でも、共有したユーザーの権限を設定できます。権限は次の3種類に分かれており、文書内でできることが異なります。
- 閲覧者:文書の閲覧のみ可能
- 閲覧者(コメント可):文書の閲覧とコメントの添付のみ可能
- 編集者:文書の閲覧、コメント添付、文書の編集が可能
この権限設定は、情報セキュリティを向上させるうえでも重要です。すべてのユーザーに対して編集権限を与えると、情報の窃取や改ざんのリスクが高まります。そのため、チームメンバーや重要な人物のみ編集者、取引先や非正規雇用者などは閲覧者といったように、細かく権限を設定すると良いでしょう。
Google Meetでの会話や画面共有
文書を作成中にほかのユーザーと打ち合わせしたい場合は、その場でGoogle Meetを起動できます。Google Meetでは相手の顔を見ながら会話できるほか、作成中の画面を相手と共有することも可能です。そのため、コメントや提案のみでは相手に意図を伝えにくい場合に役立ちます。
Geminiを用いたコンテンツ生成
Geminiとは、Googleが提供する生成AIモデルです。Webブラウザ上でGeminiに質問することで、AIがオリジナルのテキストを生成し、適切な回答を与えてくれます。
有料版のさまざまなGoogleサービスが搭載されたGoogle Workspaceを導入し、Geminiのアドオンを有効にすると、Googleドキュメント上でGeminiの機能を利用できます。GoogleドキュメントでGeminiに質問すると、それに応じた文章コンテンツを作成してくれる仕組みです。
例えば、「Googleドキュメントの活用方法について、3,000文字程度のコンテンツを作成してください」と指示した場合、AIがその通りに作業を行います。そのため、社内向けの資料やブログを作成する際の工数を大幅に軽減できます。ただし、生成したコンテンツは必ずしも情報が正しいわけではないため、外部に公開する際はファクトチェックや誤字・脱字の確認が必要です。
Googleドキュメントの使い方
Googleドキュメントを利用する際は、次の手順で作業を行います。
- Googleドキュメントにアクセス
- 新規文書の作成
- 文書の共有
手順ごとにGoogleドキュメントの使い方を解説します。
1. Googleドキュメントにアクセス
Googleの公式サイト、またはGoogle Chromeのトップページの右上にあるアプリ一覧から、[ドキュメント]をクリックしてGoogleドキュメントにアクセスします。
ログイン画面が表示されるので、Googleアカウント(Gmailアドレスとパスワード)を入力しましょう。なお、Googleアカウントを保有していない場合、こちらの記事で作成方法を紹介しているので参考にしてください。
2. 新規文書の作成
Googleドキュメントの管理画面にアクセスした後は、[空白のドキュメント]をクリックして新規文書の編集画面を開きます。
また、テンプレートをもとに文書を作成することも可能です。その場合は、[テンプレートギャラリー]をクリックし、任意のテンプレートを選択します。テンプレートギャラリーには、プロジェクト提案書や会議メモ、パンフレットなどの種類が用意されています。
編集画面に移行すると、まずタイトルを設定します。その後、執筆スペースに文章を記述しつつ、場合に応じて見出し設定や編集ツールなどの機能を使いましょう。
作成した文書は自動保存されるため、上書き保存などの操作は不要です。
3. 文書の共有
作成した文書をほかのユーザーと共有する際は、編集画面右上の[共有]をクリックします。
すると共有設定画面が開きます。
共有リンクを知っている全員と文書を共有する場合、[一般的なアクセス]の[制限付き]を[リンクを知っている全員]に変更します。また、その横の[閲覧者]の権限も必要に応じて変更しましょう。
その状態で[リンクをコピー]をクリックして、共有リンクを別のユーザーにメールやチャットなどで通知すれば完了です。
Googleアカウントで特定のユーザーを指定して文書を共有するなら、[ユーザー、グループ、カレンダーの予定を追加]の欄に共有したいGoogleアカウントを入力します。
この場合はユーザーごとに閲覧者や編集者といった権限を設定できます。Googleアカウントを追加した時点で、そのユーザーに自動でGmailの通知が送られる仕組みです。
GoogleドキュメントとMicrosoft Wordとの違い
文書作成ツールはGoogleドキュメントだけでなく、Microsoftが提供するWordも代表的です。どちらも基本的な機能や操作方法はよく似ていますが、次のような細かい違いがあります。
Googleドキュメント | Microsoft Word | |
提供形態 | クラウドのみ ※オフライン編集は可能 |
クラウド・オンプレミスの両方に対応 |
無料プランの有無 | 有り | 有り |
有料プランの価格 | 月額680~2,040円 ※年間契約時の価格 |
月額899~3,298円 ※年間契約時の価格 |
データ保存場所 | Googleドキュメント | OneDrive |
ストレージ容量 | ・無料版:15GB/ユーザー ・有料版:30GB~5TB/ユーザー |
・無料版:5GB/ユーザー
・有料版:1TB/ユーザー |
有料版を利用する際は、GoogleドキュメントはGoogle Workspace、WordはMicrosoft 365という、グループウェア(多彩なコミュニケーション機能が搭載されたツール)への登録が必要です。無料版と有料版の機能はほとんど変わりませんが、保存できるファイルの容量が増える、充実したセキュリティ機能を使えるなど、さまざまなメリットがあります。
Googleドキュメントを活用して効率的な文書作成を
Googleドキュメントは、クラウド上で文書の作成や編集、共有を行えるのが特徴です。ソフトウェアをインストールせずに済むため、導入コストを抑えられるほか、複数人での共同編集にも向いています。そのため、Googleドキュメントは効率良く文書作成するために欠かせないツールです。
電算システムでは、環境構築やコンサルティングなど、Googleサービスの導入支援サービスを提供しています。Googleドキュメントはもちろん、Google Workspaceのサポートにも対応しています。専門領域に精通した数多くのエンジニアが在籍しているので、スピーディかつ質の高いサポートを行えるのが強みです。「Googleサービスを活用したいが具体的なイメージが湧かない」といったお悩みを抱える方は、ぜひ電算システムへと気軽にお問い合わせください。
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