生成AIを利用したサービスが急速に普及している近年、実際の業務に生成AIを活用する企業が増えています。生成AIを活用すれば、画像の作成や調査・分析を短時間で完了でき、業務を大幅に効率化できます。Geminiは、Googleが開発した生成AIで、多くの企業から注目を集めているツールです。日本語に対応しており、短時間で高品質な画像を生成できます。
この記事では、Geminiの概要や画像生成機能の特徴、プロンプトの書き方などを解説しています。Geminiの使い方や活用事例も紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
Geminiの画像生成に使用されている「Imagen3」とは?概要を解説
Imagen3とは、Geminiで利用できるGoogle独自の画像生成AIです。Googleにおける最新の画像生成モデルで、Geminiを通してImagen3を活用すれば、チャット形式で簡単にクオリティの高い画像を生成できます。
チャットでの指示で画像の修正もできるため、ユーザーの理想に近い画像を作成可能です。Imagen3は、もともとImageFXという名前のプラットフォームでのみ利用できる画像生成モデルでしたが、2024年10月からGeminiで使用できるようになりました。
Geminiは2024年8月に画像生成機能が大幅にアップデートされ、現在は従来モデルよりもさらに鮮明な画像を生成可能です。また、任意の画像からテキストの指示にもとづいて物体を追加・削除したり、カメラのアングルを変えたりもできます。Geminiの画像生成機能は「Gemini API」と「Google AI Studio」で利用できますが、現在のバージョンはあくまで開発者向けにリリースされたものであり、一般向けの製品版ではありません。今後開発が進み、製品版がリリースされる見込みです。
Geminiの画像生成における4つの特徴
Geminiの画像生成における特徴は、以下の4つです。
- 高品質な画像を生成できる
- プロンプトの理解力が高い
- 日本語に対応している
- 電子透かし技術が組み込まれている
ツールの特徴を把握して、Geminiの理解を深めましょう。
高品質な画像を生成できる
Geminiの画像生成に利用されているImagen3は、数多くある画像生成モデルの中でも最高品質と言われるほどの優れた画像生成モデルです。アニメーション風や油絵風などの豊富なスタイルに対応しており、リアルで鮮明な画像を短時間で生成できます。
Geminiを活用すれば、誰でも簡単にクオリティの高い画像を作成可能です。あらゆるニーズに対応でき、クリエイティブな活動を強力にサポートしてくれます。
プロンプトの理解力が高い
Geminiでの画像生成には、プロンプト(指示)の入力が必要です。入力されたプロンプトを自然言語処理によって正確に理解して、画像を生成できます。プロンプトの内容に専門的な用語は不要なため、クリエイティブなコンテンツの製作に関わりのない人でも、理想的な画像の作成が可能です。
日本語に対応している
Geminiは英語だけでなく、日本語にも対応している画像生成モデルです。画像生成モデルの中には日本語に非対応なものも多く、その場合は英語でプロンプトを入力する必要がありますが、Geminiであれば日本語でそのままプロンプトを入力できます。慣れない英語を使う必要がなく、プロンプトの入力にストレスを感じることはありません。
ただし、場合によっては英語のプロンプトの方が画像の品質が高くなるケースもあるため、日本語を英語に翻訳してプロンプトを入力する活用方法もあると理解しておきましょう。
電子透かし技術が組み込まれている
Geminiには、SynthIDという技術が利用されています。SynthIDとは、生成画像のピクセル内に電子透かしを入れる技術です。特殊な検出技術でのみ識別できる透かしで、生成画像の出所を確認できます。SynthIDの活用で、生成画像の真正性や著作権を明確にでき、問題が起きた際に適切な対処が可能です。
【ケース別】Geminiで画像を生成する方法
Geminiで画像を生成する方法を以下のケース別に解説します。
- 画像を生成して確認する場合
- 画像付きのコンテンツを生成する場合
Geminiでの画像生成は、スマートフォンとパソコンとで使い方に違いはありません。今回はパソコンでの方法をもとに紹介します。
画像を生成して確認する場合
Geminiで画像を生成して確認する手順は、以下の通りです。
- パソコンでgemini.google.comにアクセスする
- 作成したい画像に関するプロンプトを入力する
Geminiで生成された画像をダウンロードする手順は、以下の通りです。
【1枚の画像をダウンロードする場合】
- ダウンロードしたい画像にカーソルを合わせる
- 「フルサイズでダウンロード」のアイコンをクリックする
【すべての画像をまとめてダウンロードする場合】
- ダウンロードしたい画像の下にある「共有とエクスポート」をクリックする
- 「すべての画像をダウンロード」のアイコンをクリックする
Geminiで生成された画像をフルサイズでダウンロードするときは、画像を1枚ずつダウンロードしなければなりません。
画像付きのコンテンツを生成する場合
Geminiでは、画像とコンテンツを一度にまとめて生成可能です。例えば、短編の物語の執筆と挿入画像の生成を同時に実行できます。Geminiで画像付きのコンテンツを生成する手順は、以下の通りです。
- パソコンでgemini.google.comにアクセスする
- 画像付きのコンテンツ(物語やブログ)を生成するようにプロンプトを入力する
生成された画像が希望通りにならなかった場合は、以下の手順で修正できます。
- 修正したい画像にカーソルを合わせる
- 「画像を変更」のアイコンをクリックする
- 希望の画像を選択もしくは「さらに生成」のアイコンをクリックする
- 希望の画像を選択した後「更新」をクリックする
Geminiの画像生成で入力するプロンプトの書き方
Geminiを使って画像を生成する場合は、プロンプトの書き方が重要です。プロンプトを書く際のポイントは、以下の3つです。
- 被写体や場面を指定する
- 画像のスタイルを指定する
- 補足情報・生成を促す言葉を加える
プロンプトを書く際のポイントを確認して、Geminiで希望に沿った画像を生成しましょう。
被写体や場面を指定する
Geminiでの画像生成を目的にプロンプトを書く際は、できる限り簡潔で具体的な内容になるよう意識しましょう。例えば「犬の画像を生成してほしい」ではなく「黒色で長い毛と耳、首輪をしていて庭を走っている犬の画像を生成してほしい」というように具体的な色や場所を記載します。また、長文でプロンプトを書くよりも、複数の要素を箇条書きで書く方法がおすすめです。プロンプトの具体的な内容をもとに、ユーザーの理想により近い画像を生成できます。
画像のスタイルを指定する
Geminiでプロンプトを書く際は、生成したい画像のスタイルを指定しましょう。Geminiでは、以下のようなスタイルの画像を生成できます。
- リアルな表現の写真やアート
- 油絵風アート
- アニメーション風アート
- ピクセルアート
- 浮世絵風アート
- アイコン
- ロゴ
指定する画像のスタイルによって仕上がりは大きく変わるため、自身のイメージに近いものを選んでプロンプトに記載します。Geminiが上記の中でも特に得意な画像スタイルは、リアルな表現の写真やアートです。
補足情報・生成を促す言葉を加える
プロンプトには、必要に応じてアングルや構図などの補足情報も加えると、より理想に近い画像を生成可能です。例えば「犬がこちらを見上げて微笑んでいる画像を生成してほしい」というプロンプトにすれば、モチーフの目線や表情まで指定された画像を生成できます。
また、プロンプトの最後には「描いてほしい」や「生成してほしい」などのGeminiにしてほしい作業の内容も書くようにしましょう。Geminiが行う作業の記載を忘れると、正常に画像が生成されない場合があります。
Geminiの画像生成機能における3つの活用事例
Geminiの画像生成機能は、すでにあらゆる業界の企業や組織が利用しています。Geminiの画像生成機能における活用事例を確認して、ツールの具体的な活用方法をイメージしましょう。
画像の調査・分析を行う
Geminiは、画像の調査や分析に活用可能です。画像に含まれる人物や風景、物を識別し、関連する情報の収集・要約をしてユーザーに表示してくれます。短時間で画像を調査・分析できるだけでなく、人では気づけない情報まで引き出せるため、マーケティングや研究、教育などのあらゆる分野・目的に活用できます。
具体的には、商品画像を分析して消費者のニーズを調査したり、科学や歴史に関する本の画像を分析してわかりやすく要約したりするなどの用途に利用可能です。
資料の表紙を作成する
Geminiは、プレゼンテーション資料や企画書などに使う画像の生成にも利用できます。資料に合う画像が見つからないときは、画像に含めたい情報をプロンプトとして入力して、求める画像を生成可能です。Geminiを活用すれば、インターネットで検索して最適な画像を探す手間をなくし、資料作成を効率化できます。
独自のキャラクターを作る
ビジネスで利用するキャラクター作りにも、Geminiを活用可能です。Geminiを使えば、自分では思いつかないようなアイデアが得られるため、キャラクター作りの可能性を広げられます。
例えば、企業やサービスをPRするキャラクターを作りたい場合、草案をGeminiで作成してからアイデアをブラッシュアップすれば、より完成度の高いキャラクターを生み出せるでしょう。アイデアの創出に行き詰まったときは、Geminiを使って新しいアイデアのきっかけを得るのも、効果的な活用方法の1つです。
Geminiで画像生成する際の5つの注意点
Geminiで画像を生成する際は、画像のアスペクト比や使用用途などに関して注意すべきポイントがあります。Geminiで画像生成する際の注意点は、以下の5つです。
- 人物画像の生成はGemini Advanced(最初の1ヶ月は0円)へのアップグレードが必要
- 画像サイズをアスペクト比で指定できない
- Gemとの併用はできない
- 商用利用の可否は利用規約に明記されていない
- 生成された画像がGeminiアプリによって削除される場合がある
注意点を確認して、Geminiの画像生成機能を効果的に活用しましょう。
人物画像の生成はGemini Advancedへのアップグレードが必要
Geminiでは、有料プランだけでなく無料プランも提供されています。無料プランでは、質問への回答やテキストの生成などができますが、人物画像の生成はできません。Geminiで人物画像を生成したい場合は、Gemini Advancedへのアップグレードが必要です。
Geminiの画像生成機能は、2024年2月から提供が開始されましたが、不適切な画像生成が確認されたことにより、人物画像の生成が一時的に停止される問題が発生しました。AIによる画像生成は近年急速に普及した優れた技術ですが、不適切な画像も簡単に生成できてしまうため、生成する画像やその取り扱いには十分に注意しなければなりません。Geminiで人物画像を生成したい方は、以下の手順でGemini Advancedにアップグレードしましょう。
- gemini.google.comにアクセスする
- 画面上部にあるメニューアイコンをクリックする
- 画面下部にある「Gemini Advancedにアップグレード」をクリックする
- 画面上の指示に従って操作する
以前は、Geminiで人物画像を生成する際に英語でプロンプトを入力する必要がありましたが、現在は日本語のプロンプトで人物画像を生成できます。
画像サイズをアスペクト比で指定できない
Geminiで生成される画像のアスペクト比は、すべて正方形です。縦長や横長といった特定のアスペクト比を自由に指定できません。また解像度の指定もできないため、希望するアスペクト比や解像度がある場合は、自身で編集する必要があります。現在はGeminiでアスペクト比や解像度を指定できませんが、今後のアップデートで改善される可能性は十分にあります。
Gemとの併用はできない
Geminiでの画像生成機能は、Gemとの併用ができません。Gemとは、Geminiをカスタマイズするための機能です。Gemを活用すれば、それぞれのユーザーのニーズに合った自分専用のGeminiにカスタマイズできますが、Gemを使っている間は画像生成ができないため、注意しましょう。
参考:https://support.google.com/gemini/answer/14286560?hl=ja&co=GENIE.Platform%3DDesktop
商用利用の可否は利用規約に明記されていない
Geminiによって生成された画像を商用利用できるかどうかについて、利用規約に具体的な記載はありません。生成された画像が商用利用できるかどうかは、個別の判断に委ねられます。
Geminiで生成した画像を商用利用したい場合は、人が描いたアートの画像における取り扱いと同じような点に注意すれば、問題なく利用できます。具体的には「類似性(人が見た際に明らかに既存の著作物と類似している)」と「依拠性(既存の著作物を意識して作られている)」などへの注意が必要です。また、Googleの利用規約では、以下のような行為が禁止されています。
- 生成AIが生み出したコンテンツを人が作成したものであると誤解させる行為
- 機械学習モデルもしくは関連したAI技術の開発を目的とした生成画像の利用
Geminiにかかわらず、生成AIが生み出した画像は著作権やモラルの面などで問題視されるケースが多くあります。万が一にも画像の取り扱いを間違えて自社が批判の対象とならないように、慎重な取り扱いが求められます。
生成された画像がGeminiアプリによって削除される場合がある
Googleの利用規約(生成AIの使用禁止に関するポリシーを含む)に違反しているとシステムに判断された場合、Geminiアプリによって生成された画像が削除されるケースがあります。第三者のプライバシーや著作権を侵害する恐れのある画像の生成・利用は避けて、それ以外でもGeminiで生成した画像が権利的に問題がないかを常に確認するようにしましょう。
Geminiの画像生成機能を利用する場合は、事前にGoogleの利用規約を確認して、社内での運用ルールを定めておけば、問題が発生しにくい体制を整備できます。
Geminiを使って質の高い画像を生成しよう
Geminiでは、Imagen3というGoogle独自の画像生成AIを利用して、質の高い画像を自由に生成できます。アニメーション風や油絵風などのあらゆる画像スタイルで画像を生成でき、個人や企業のクリエイティブなコンテンツ制作を支援してくれるツールです。
Geminiは、入力されたプロンプトを自然言語処理によって正確に理解でき、ユーザーの希望する画像をあらゆる条件で作成可能です。生成AIは英語にのみ対応している場合が多くありますが、Geminiは日本語にも対応しているため、言語的なストレスがなく生成したい画像に対する指示を送れます。生成AIを使って効率良く画像を作成したい方は、Geminiの画像生成機能を利用すると良いでしょう。
画像生成だけでなく、生成AIを活用して他の業務も効率化させたい場合は、Google Workspace with Geminiの利用がおすすめです。ツールを活用すれば、テキストの生成やデータ分析などの業務をAIの力で効率化できます。Google Workspace with Gemini の詳細を知りたい方は、以下のページから無料でダウンロードできる資料をぜひご覧ください。
- カテゴリ:
- Google Workspace
- キーワード:
- gemini 画像生成