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Active Directory管理ツールとは?
役割や機能、6種類のおすすめ製品を紹介

 2025.12.11  株式会社電算システム

社内ネットワークのなかに含まれるパソコンやサーバー、プリンター、あるいはそれらのユーザー情報などを管理する際は、WindowsサーバーのActive Directoryを利用するのが一般的です。Active Directoryでは、社内リソースの情報を階層的に保存・管理できるため、管理効率やセキュリティレベルの向上といったメリットが期待できます。

しかし、組織規模が大きくなり、ハードウェア・ソフトウェアの種類やユーザーの数が増えてくると、Active Directoryを使っても作業が煩雑になりがちです。

そこで、このような課題を抱えている場合は、Active Directory管理ツールを活用することをおすすめします。Active Directory管理ツールには、リソース管理やレポート作成を数クリックで完了できたり、特定のタスクを自動化できたりする機能が搭載されているため、管理業務の効率化につながります。

本記事では、Active Directory管理ツールの役割や機能などを詳しく解説します。おすすめの製品についても紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

Active Directory管理ツールとはADの管理手続きを効率化するためのツール

まずは、Active Directoryの概要とActive Directory管理ツールの役割について解説します。

Active Directoryの概要

Active Directory(AD)とは、MicrosoftのWindowsサーバーにデフォルトで搭載されているディレクトリサービスです。ディレクトリは、「どこに何が保存されているか」という情報を階層構造で整理する仕組みを指します。Active Directoryを利用すると、ネットワーク上のハードウェア(パソコンやサーバーなど)やアプリケーション、アカウント情報など、さまざまなリソースを階層的かつ一元的に管理できます。

例えば、社内で複数のWindowsサーバーを運用する場合、それぞれのサーバーで端末一つひとつのユーザーIDやパスワードを設定しなければならず、管理者にとって大きな手間がかかります。その点、Active Directoryでは、アカウント情報の一元管理が可能なので、ユーザーIDやパスワードの一括設定が可能です。また、ユーザー・グループ単位でアクセス権を設定できるのも特徴です。

Active Directory管理ツールは、Active Directoryに標準搭載されているわけではなく、サードパーティー製品として提供されています。数多くのメーカーからさまざまな製品が提供されているため、それぞれの違いを理解して自社に最適なものを導入することが大切です。

Active Directory管理ツールの役割

本来、Active Directoryは社内リソースの管理効率を高めるために導入するのが一般的です。しかし、組織規模が大きくなるほど、その恩恵を得にくくなることもあります。

Active Directoryのなかでユーザーやグループ、ハードウェアなどを管理する場合、標準搭載されている「Active Directoryユーザーとコンピュータ(Active Directory Users and Computers/ADUC)」や「PowerShell」の機能を活用します。ただし、これらの機能は、2000年にActive Directoryがリリースされてから操作性やUIが大きく変化されておらず、初めて利用する人にとっては使いこなすまでに時間がかかることも珍しくありません。

さらに、組織規模が大きくなり、新しく配属となった担当者が使用する場合、操作方法を覚えるまでに多くの時間や手間がかかってしまいます。また、管理領域を広げるためにはオプションやプラグインを購入しなければならず、コスト的な負担が大きくなるのも難点です。

このような課題を解決するために生まれたのがActive Directory管理ツールです。Active Directory管理ツールを利用すると、わずか数クリックでリソースの一元管理やオブジェクトの棚卸しなどの作業を実行できます。加えて、グラフィカル要素に優れた独自のレポートを作成できるツールも多く、より視覚的・感覚的にセキュリティインシデントの原因究明や対策を行えるメリットもあります。

Active Directory管理ツールに搭載されている主な機能

Active Directory管理ツールには、主に次のような機能が搭載されています。

  • アカウント管理
  • セキュリティ管理
  • GPO管理
  • タスクの自動化
  • レポート作成
  • Active Directoryの委任

それぞれの機能の特徴や使い方を解説します。

アカウント管理

アカウント管理とは、ユーザーやグループといった単位でアカウントの情報を一元管理できる機能です。ログオン用のIDやパスワード、アクセス権限などを、まとめて変更したり削除したりできます。

この機能は、Active Directoryユーザーとコンピュータにも搭載されていますが、Active Directory管理ツールでは、より簡易的な操作で実行することが可能です。そのため、複数のアカウントを管理する際の複雑な手順を覚えたり、PowerShellを動かすためのスクリプトに関する広範な知識を習得したりする必要がありません。

また、Active Directory管理ツールによっては、アカウントやオブジェクトに固有のLDAP属性(ディレクトリサービス接続時に必要な通信プロトコル)を付与できるものもあります。ログオン名やディスプレイ名などを名前形式にカスタマイズできる製品を選ぶのも一案です。

セキュリティ管理

Active Directoryの安全性を高めるには、ユーザー・グループ単位で設定できるアクセス権管理の機能が欠かせません。Active Directoryユーザーとコンピュータを利用すると、特定のディレクトリやデータに対して、閲覧のみ許可や閲覧・編集を許可といった形で、柔軟に権限を設定できます。しかし、アカウント管理と同様、ユーザー数が増えると管理業務が煩雑になりがちです。

一方、Active Directory管理ツールには、セキュリティ管理用のテンプレートが搭載されていることも少なくありません。テンプレートには、ロールや職名などの単位別にアイデンティティや権限を登録できます。そのため、一人ひとりのユーザーに対して個別にアクセス権を付与する必要がなく、ロール・役職といった単位でまとめて権限を設定できます。

GPO管理

Active Directoryでは、グループポリシーを設定することで、運用上におけるルールや制限を定義でき、それをグループ単位で反映させることが可能です。そして、個別に定義したグループポリシーの集合体は、「グループポリシーオブジェクト(GPO)」と呼ばれます。実際にGPOを作成し、それを適用対象にリンクさせる(GPOリンク)ことで、グループ全体にそのポリシーが適用されるようになります。

ただし、組織内でのさまざまな変化に対応するには、GPOそのものやGPOリンクを頻繁に更新しなければならず、Active Directoryのみでは大きな手間を要します。その点、Active Directory管理ツールには、GPOを効率良く管理できる機能が搭載されているため、工数の削減が可能です。

具体的には、Active Directory管理ツールのインターフェース上で、GPOのコンフィグやGPOリンクの有効化・無効化、GPOリンクの追加・削除といった処理を数クリックのみで実行できます。また、GPOを強制的に適用させる設定を行うことも可能です。ダッシュボードではGPOに関するレポートを閲覧できるため、グループポリシーやその適用範囲といった詳細な情報を確認する際に役立ちます。

タスクの自動化

Active Directoryを使用するにあたり、一つひとつのタスクを手作業で行うのは非効率です。特に、企業規模が拡大してアカウントやハードウェアなどの数が増えると、タスクを処理するまでの時間や手間が大幅に増えます。

このような際に役立つのが、Active Directory管理ツールに搭載されているタスクを自動化する機能です。ユーザーの移動や削除、アンロック、端末の無効化、連絡先の削除といった手間がかかる作業を自動的に処理できます。自動化の機能を活用することで、Active Directoryを管理する際の工数削減につながります。

また、任意の時間間隔を指定してタスクを自動化できる製品も存在します。例えば、アカウント作成、グループへの移動、OU(Organizational Unit)への移動といった一連のプロセスを、1時間間隔で実行するよう指定すれば、その時間が来る度に自動で処理を行ってくれます。

レポート作成

Active Directoryの使用状況に関しては、レポートを参照することでさまざまな情報を確認できます。しかし、Active Directoryでレポートを作成するには、PowerShellを使って複雑なスクリプトを記述しなければならず、高度な知識や技術が求められます。

一方、Active Directory管理ツールに搭載されたレポート作成機能は、より簡易的な操作で使用できます。多くの場合、インターフェース上にレポートページ用のリンクが用意されており、それをクリックするだけで該当の情報を確認できる仕組みです。

確認できる情報はツールによって異なりますが、なかには100種類以上の情報を参照できる製品もあります。例えば、ログオンレポートでは、ユーザーの最終ログオン日時や最近ログオンしていないユーザーなどを確認できます。ほかにも、アカウントステータスレポートにアクセスすれば、アカウントロックされているユーザーやアカウント期限が近いユーザーなどを確認することも可能です。

レポートの情報をCSVやHTML、PDFなどの形式でダウンロードできるものもあります。レポートをダウンロードすることで、メールやチャットに添付して複数のユーザーと共有することも可能です。

Active Directoryの委任

Active Directoryの委任とは、管理者から別のユーザーへ、Active Directoryの管理権限を委譲できる機能です。管理権限を与えられると、アカウントやリソース情報の登録や削除、レポートの作成といった基本的な操作以外にも、コンテンツのリスト化や全プロパティの読み取り、オーナー情報の修正などの作業を実行可能になります。

また、ツールによっては非侵襲的な委任を行えるものもあります。この機能を利用すると、管理権限を委譲することなく、別のユーザーに対してログオン情報のリセットやアカウントのアンロック、アカウントの有効化・無効化などの作業を割り当てられるのが特徴です。

Active Directory管理ツールのおすすめ製品6選

Active Directory管理ツールには、さまざまな種類があります。自社にとって最適なツールを選定するには、それぞれの特徴や機能などをよく押さえたうえで、複数の製品を比較することが重要です。各ツールの特徴やおすすめポイントを解説します。

ADManager Plus

ADManager Plusは、ゾーホージャパン株式会社が提供するActive Directory管理ツールです。同社が提供する、ITサービスやネットワーク製品などを管理するサービス群「ManageEngine」に属する製品の一つです。

ADManager Plusの特徴としては、直感的で簡潔なUIと豊富な機能にあります。GUIのカスタマイズが可能なWebベースで操作できるため、ノーコードでの運用が可能です。標準機能には、Active Directoryのアカウント管理やセキュリティ管理、レポート作成、委任といった数多くの種類が含まれています。

また、初めて利用する方に向けたオンボーディングサービスを提供しているのも特徴です。専任チームによる導入前のヒアリングやKPIの設定、初期設定サポートなど、さまざまな手厚いサポートを受けられるため、ツールの操作や設定に慣れない方でも安心だといえます。

AD360

AD360もADManager Plusと同様、ゾーホージャパン株式会社が提供する「ManageEngine」系列の製品にあたります。ADManager Plusと異なるのは、対応できるツールの種類が多い点です。

AD360は、Active Directoryに加え、Microsoft 365やWindowsサーバー、Exchangeサーバーに対応しています。いずれのツールにおいても、アカウントやセキュリティの一元管理、ログ監査、管理権限の委任といった機能を利用できます。また、200種類以上のレポートが用意されており、各ツールのセキュリティリスクを未然に把握できるのも利点です。

ワークフロー機能が搭載されているのも特徴だといえます。フロー形式で特定のタスクを登録すると、設定した条件に従ってコンピュータが自動的にその作業を実行してくれます。そのため、Active DirectoryやMicrosoft 365など、各種ツールを運用する際の効率性が高まります。

ADMS

ADMS(アダムス)は、株式会社ジインズが提供する統合ID管理ツールです。Active Directoryのほか、メールサーバーやクラウドシステム、グループウェアなど、さまざまなツールのアカウントを一元管理できます。

ADMSには、機能が異なる複数の製品が用意されています。アカウントの一元管理に特化した「ADMS IDM」、Active Directoryを異なるネットワーク間で利用する際のデータ同期を可能にする「ADMS Lite」、WebベースのSSO(シングルサインオン)を実装できる「ADMS SSO」などの種類があります。

Active Directory管理ツールとしては、指定日反映機能を搭載していたり、組織改正に対応していたりといった点が特徴です。また、最新版のVer.8では自動採番機能が強化され、要件に合わせて柔軟に採番ルールを定義できるようになっています。

Account Agent

Account Agentは、人事データベースとの連携が可能なActive Directory管理ツールです。社内で利用している人事データベースと自動的に連携できるため、人事・組織情報のCSV形式でのエクスポートや読み込みといった処理を効率的に実行できます。

Active Directory以外にも、オンプレミス環境のExchangeサーバーや、Active Directoryと同期しているMicrosoft 365のアカウント管理にも対応しています。Exchangeサーバーを利用する際は、ユーザーを作成すると同時にメールボックスが自動生成される仕組みです。また、Exchangeサーバーに保存された連絡先やグループなどの情報も管理できます。

上位エディションのEnterpriseに登録すると、メールボックスの初期値設定や共有メールボックスの管理、Box連携などの機能が拡張されます。

Active Administrator

Active Administratorは、Quest Software社が提供するActive Directory管理ツールです。アカウントやセキュリティの一元管理、レポート作成など、Active Directoryの管理に必要な幅広い機能が搭載されています。

また、データをバックアップする際にスケジュールを設定できます。日付や時間帯を指定するだけで、自動的にバックアップが実行されます。また、バックアップ機能を活用すれば、セキュリティの設定内容や属性をリカバリしたり、GPOを素早くリストアしたりといった処理が可能です。

「Active Administrator for AD Health」と呼ばれるアドオンを実装できるのも特徴です。同アドオンを実装すると、Active Directoryのリアルタイムなパフォーマンスを監視できるほか、トラブルシューティングや診断ツールとしても活用できます。診断データにもとづいて問題点を迅速に解決できるのが大きな利点です。

CSV Sync for Active Directory

CSV Sync for Active Directoryは、丸紅ITソリューションズ株式会社が提供するActive Directory管理ツールです。ユーザーや組織に関する情報ファイルをアップロードすることで、Active DirectoryやMicrosoft 365、Exchangeサーバーの情報を一括で更新できます。

オプションを利用して機能を拡張できるのもポイントです。例えば、「CSV Sync for AD 人事連携」のオプションを導入すると、人事データベースとActive Directoryを連携したうえで、アカウント管理を完全に自動化できます。また、「CSV Sync for AD Web Access」のオプションを使用することで、管理権限の委任・分担機能を活用できるようになります。

CSV Sync for Active Directory、60日間の無料トライアルに対応しています。比較的長い期間、同ツールの操作性や機能性を検証できるため、導入前に無料トライアルを最大限に活用するのがおすすめです。

ファイルサーバーを運用するならGoogleドライブがおすすめ

Active Directoryは、あくまでネットワーク内の端末やアプリケーション、サーバーなどに含まれた情報を一元管理するためのツールなので、ファイルを管理するためには別途ファイルサーバーの導入が必要です。

Windowsサーバーでは、役割と機能の追加設定でファイルサーバーをインストールでき、Windowsサーバーとファイルサーバーでアクセス制御の設定内容やID情報などを統一できるため、初期設定の手間を抑えられます。一方で、Windows以外のOSには対応しにくく、設定に専門的な知識が求められたり、導入コストが発生したりするのが難点です。

そこで、ファイルサーバーを構築する際は、クラウド上でファイルを一元管理できるGoogleドライブを活用することをおすすめします。

ファイルサーバーとしてGoogleドライブを活用するメリット

Googleドライブとは、Googleが提供するクラウドストレージサービスです。GoogleドキュメントやGoogleスプレッドシート、Excel・Word、PDF、画像など、あらゆるファイルをクラウド上で一元管理できるため、物理的なサーバーを用意する必要がありません。また、1ユーザーあたり15GBまでの容量であれば、無料で利用できるのも利点です。

Googleドライブ内ではファイルのフォルダ分けや検索に加え、複数人による共同編集も可能です。Googleアカウントをもとにほかのユーザーを招待できるほか、閲覧や編集といった細かい権限を設定できるため、情報漏えいや不正アクセスのリスクにも備えられます。

Google Workspaceにアップグレードすることで容量拡張が可能

ストレージ容量が不足する場合は、有料版のGoogleドライブにアップグレードするのも一案です。有料版のGoogleドライブにアップグレードするには、Google Workspaceに登録します。すると、契約プランに応じて1ユーザーあたり30GB~5TBまでストレージ容量を拡張できます。

Google WorkspaceにはGoogleドライブのほかにも、GmailやGoogle Meet、Googleカレンダーなど、20種類近くの有料サービスが含まれています。管理コンソール上で各種サービスを一元管理できるほか、ユーザー権限やセキュリティを一括設定できるのが特徴です。また、充実したセキュリティ機能やユーザーサポートが用意されているため、より安全に、かつ安心してGoogleサービスを利用できるメリットがあります。

管理ツールを導入してActive Directoryの管理工数を削減しよう

大規模な組織でActive Directoryを利用する際は、アカウントやセキュリティの管理、レポート生成、ログ監視などに大きな手間や時間がかかってしまいます。管理工数を最小限に抑えるには、簡易的な操作でさまざまな情報を一元管理できるActive Directory管理ツールを導入するのがおすすめです。ただし、Active Directory管理ツールには数多くの種類があり、それぞれ料金や機能が異なるため、複数の製品をしっかりと比較して自社に合ったものを選びましょう。

Active Directoryを導入する際、あわせてファイルサーバーを構築したいなら、Googleドライブを活用するのがおすすめです。Googleドライブでは、クラウド上でファイルを一元管理できるため、オンプレミス環境のように物理的なサーバーを用意する必要がありません。

電算システムでは、環境構築やコンサルティングなど、Googleサービスの導入支援サービスを提供しています。GmailやGoogleドライブといった個別のサービスはもちろん、Google Workspaceのサポートにも対応しています。専門領域に精通した数多くのエンジニアが在籍しているので、スピーディかつ質の高いサポートを行えるのが強みです。「Googleサービスを活用したいが具体的なイメージが湧かない」といったお悩みを抱える方は、ぜひ電算システムへと気軽にお問い合わせください。

監修者

松浦 星太
松浦 星太
入社16年目。株式会社電算システムのデータセンター事業のインフラ・ネットワークについて立ち上げから携わり、得られた経験を元に、Google Cloudの事業では、インフラ・ネットワークの構築支援を精力的に実施中。