工程管理にWBSを活用したいと考えているのなら、正しい作り方や手順、注意点をおさえておく必要があります。作成したWBSに誤りがあると、プロジェクトの進行に影響を及ぼしてしまうおそれがあるからです。本記事では、正しいWBSの作り方や手順、注意点などを解説します。記事の内容を参考に、工程管理へ役立ててみましょう。
そもそもWBSとは?
WBS(Work Breakdown Structure:作業分解構成図)とは、目的を達成するまでの作業を分解し、構造化した図を指します。作業を意味するWork、分解のBreakdown、構造化のStructureから頭文字をとり略した言葉です。
たとえば、車の製造が最終的な目的と仮定しましょう。このケースでは、車体やエンジンの設計、計器類の組み付け、コンピューターや足回りのセッティング、テスト走行など、さまざまな作業が発生します。
これらの作業を漏れなく洗い出し、構造化したものがWBSです。作業の構造化により、何を優先するのか、誰がどの業務を担当するのかを可視化でき、作業の漏れも回避できます。また、WBSをガントチャートに反映させれば、プロジェクトの進捗をひと目で把握できます。
WBS作成のメリットとは
WBS作成のメリットは、主に以下の3点です。
- 業務の可視化ができる
- ミスやタスク漏れを防止できる
- 業務生産性が向上する
以下、それぞれのメリットについてひとつずつ解説します。
プロジェクトメンバー業務の可視化
やるべき作業を洗い出し、担当者も決めるため、誰がどの業務を担当しているのか容易に把握できます。各メンバーの担当業務が明確になるため、何をすればよいのかわからない、何から手をつければよいのか悩む、といったことがなくなります。
業務を可視化できれば、優先的に着手すべき工程の把握が可能です。メンバーは優先的に取り組むべき業務が明らかになり、効率よく作業を進められます。
ミス防止やタスク漏れ防止
WBSでは、成果物が完成するまでに必要な作業を、すべて洗い出します。そのため、ミスやタスク漏れの防止を回避できるのが大きなメリットといえるでしょう。
必要な作業を抽出し、可視化できていないと、ミスやタスク漏れが発生しても気づけません。そのままプロジェクトを進めてしまい、終盤に差し掛かって漏れに気づく、といったことも考えられるでしょう。
WBSで作業を可視化しておけば、担当者本人がミスをしても、他のメンバーが発見してくれます。結果的に、プロジェクトの遅延を回避できるのです。
業務生産性向上
徹底した作業の可視化により、ミスやタスク漏れを防止でき、生産性の向上が期待できます。ミスやタスク漏れがなくなれば、遅延によるスケジュールの狂いや、二度手間の発生を回避できるため、生産性が向上するのです。
WBSの活用で、スムーズにプロジェクトを進行できる環境が整えば、人的資源の有効活用にもつながります。少ない人員で効率よくプロジェクトを進められるからです。人員が限られている企業や部門こそ、WBSを活用すべきといえるでしょう。
WBSの作成方法
WBSの作成方法や書き方がわからない、といったプロジェクト管理者は意外と少なくありません。ですが、作り方のコツさえおさえておけば、初心者でも問題なく作成できます。
1.プロジェクトのゴールを明確化
WBSは、成果物から作業を分解、構造化した図なので、まずはプロジェクトのゴールを明確にしなくてはなりません。最終的なゴールによって、必要となる作業の内容や数が大きく変わってくるため、明確な目的を設定しましょう。
例を挙げると、顧客管理システムの開発や自社サイトの作成、展示会プロジェクト、アルバイトの教育等です。あくまで一例なので、実際には自社で取り組むプロジェクトの最終的なゴールを明確に設定しましょう。
2.作業項目を出す
設定したゴールに基づき、必要な作業項目を洗い出すプロセスです。WBS作成において、もっとも重要なプロセスなので、漏れがないよう丁寧に洗い出しを行いましょう。
漏れなく作業を抽出するには、大きな作業から細かく分類していくとよいでしょう。たとえば、管理画面の設計であれば、そこからさらにレイアウト決め、デザイン、システムのテスト、といった具合に作業を細分化します。
3.作業工程を構造化
洗い出した作業項目を、大、中、小目標に構造化しましょう。図にするときは、ツリー構造にすると見た目にもわかりやすくなります。構造化の段階で、作業の漏れに気づいたのなら、忘れず追加しておきましょう。
構造化するときは、同じ工程に属する作業や、類似する作業をまとめていくとわかりやすいでしょう。
4.役割や担当者を決定
それぞれの作業を単位毎に区切ってタスク化し、役割や担当者を設定します。これにより、誰が何の作業を担当するのかを、ひと目で把握できます。1つのタスクに複数の担当者を設定してしまうと、責任の所在が曖昧になるおそれがあるため、できることなら1タスクには1人の担当者を設定しましょう。
5.日程に落とし込む
それぞれの項目やタスク、目標などを日程に落とし込みます。ここまでで、各タスクを誰がいつまでに完遂しなくてはいけないのか、明確になりました。よりスケジュールを把握しやすくしたいのなら、ガントチャートも併せて活用してみましょう。
WBS作成の注意点
WBSで工数を見積もるときは、現実的なスケジュールで考えることが大切です。そのうえで、プロジェクト完遂までの期間に余裕をもたせ、イレギュラーな事態が発生したときには、確保しておいた余裕分を消費するスタイルがおすすめです。
また、作業項目を書くときは、把握しやすいよう明確に記すのも大切なポイントといえるでしょう。曖昧な書き方をしてしまうと、メンバー間で認識のずれが生じるかもしれません。
エクセルを用いたWBSの作成はポピュラーですが、Asanaのようなツールを利用すると、より効率的な工程管理を実現できます。Asanaは、プロジェクト管理やタスク管理のほか、定型作業の自動化機能、コミュニケーション機能なども実装されています。
プロジェクトやタスク管理に留まらず、ナレッジの共有・蓄積にも優れています。業務効率化の強力な武器になってくれることは間違いありません。このようなツールの活用も、併せて検討してみましょう。
まとめ
WBSの作成により、業務の可視化やタスク漏れの防止、生産性向上などのメリットが得られます。作成にあたっては、ゴールを明確化したうえで作業を洗い出し、構造化や担当者決めを進めましょう。
本記事でもお伝えしましたが、より効率的なプロジェクト管理を求めるのなら、Asanaの導入がおすすめです。1つのプラットフォームでメンバーの行動、予定を把握でき、リアルタイムなやり取りも行えます。オンラインで速やかな情報共有ができるため、プロジェクトをよりスムーズに進められるでしょう。この機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。