本記事では「DMPの基本」についてわかりやすく解説しています。概要や種類、メリット、注意点、導入の手順など、基礎情報から導入までの流れを説明しています。マーケティングの効率向上のために、DMPの導入に興味のある方はぜひ参考にしてみてください。
DMPとはデータの分析・管理ツール
DMPは、データを分析・管理してくれるツールです。どのような働きをするのか、どのような種類があるのか解説します。
DMPの働き
DMPは「Data Management Platform(データ マネジメント プラットフォーム)」の略称で、さまざまなサーバーに蓄積されていくビッグデータや、自社に蓄積されたデータなどを一元管理・分析することが可能です。
DMPは2種類ある
DMPには、大きく分けるとオープンDMPとプライベートDMPの2種類があります。どのようなものか、それぞれ解説します。
H4:オープンDMP
オープンDMPは、3rd partyデータと呼ばれる、外部のデータ提供企業や自治体などが一元管理しているプラットフォームです。Webサイトの行動履歴や、年齢・性別などの属性情報など、自社では把握できない顧客情報を獲得できます。自社で抱えるデータとオープンDMPを組み合わせることで、顧客獲得に向けた適切なアプローチにつながるでしょう。
H4:プライベートDMP
プライベートDMPは、1st partyデータと呼ばれる、自社で集めたデータを一元管理しているプラットフォームです。Webマーケティングで収集したデータだけでなく、営業の顧客リスト、コールセンターのログ、店舗の販売情報などが含まれます。オープンDMPと異なり、他社と共有されることはありません。
DMPを導入する目的
DMPを導入する企業には、どのような目的があるのでしょうか。解説します。
広告配信に活用する
DMPを活用してデータを集め分析することで、広告配信を最適化できます。顧客をセグメント化して、それぞれに応じた広告を配信します。たとえば、Webサイトを訪れた見込み顧客に広告を表示すれば、CV数の増加につながりやすいでしょう。その他にも状況に応じてメルマガの配信やプッシュ通知などと組み合わせることで、集客力を上げられます。
顧客に適したアプローチをする
商品・サービスに興味を持っている新規顧客であれば、さらに詳しい説明や活用方法を提供したり、1度購入した既存顧客であれば以前購入した商品・サービスと似たものの紹介をしたりするなど、顧客の状況に応じたプロモーションができます。また、オープンDMPで得た顧客情報から、既存の顧客に似た行動履歴や、属性で新規顧客につながる可能性の高い顧客にアプローチできます。
DMPで扱う3種類のデータ
DMPで扱うデータは、データを保有する組織によって「1st partyデータ」「2nd partyデータ」「3rd partyデータ」の3種類にわけられます。それぞれどのようなものか、解説します。
1st partyデータ
自社で集め、保有するデータで、プライベートDMPで取得できるデータのことです。具体的には、自社のWebサイトへのアクセス履歴や行動履歴、顧客の属性や購買履歴などが当てはまります。
2nd partyデータ
自社ではなく、他企業が保有するデータです。具体的には、自社では得られない情報を関連会社やパートナー企業から得ることが多くなります。
3rd partyデータ
データ提供企業や国や自治体など、第三者が保有するデータです。オープンDMPで取得できるデータのことです。具体的には、データ提供企業が保有するWebサイトの行動履歴や年齢・性別などの属性情報や、国や自治体が公表しているオープンデータで、その組織からデータを取得します。
DMPとDWH・MAツールの違い
DMPと混合されがちなものとして、DWHやMAツールがあります。DMPとDWH、DMPとMAツールの違いを解説します。
DWHとの違い
データを一元管理するシステムには、DMPだけではなくDWH(データ・ウェア・ハウス)もあります。DWHとは、社内に蓄積される分析用のデータを保管するものです。DMPは、データの蓄積と分析が行えます。DMPはマーケティング分野で多用されており、マーケティング施策に用いるデータを管理して、活用することが多いです。DWHは様々な用途に対応できるデータを蓄積します。
MAツールとの違い
顧客の情報である購買履歴や行動履歴などを管理できるツールには、DMPだけでなくMA(マーケティングオートメーション)ツールもあります。MAツールは、得られた顧客行動データをもとに、マーケティング施策を自動的に実行するものです。DMPも顧客のデータを扱うため混合されがちですが、扱うデータと役割が異なります。MAツールでは、自社に関わり情報を取得するまでの顧客の行動は把握できません。DMPでは、自社に関わりを持つ前からデータ管理をしておくことで、情報を取得した際にそれ以前の顧客の行動も把握できます。両者を連携させることで、さらに効果的なマーケティングにつなげられるでしょう。
DMPを導入する3つのメリット
DMPは、自社のマーケティングにさまざまな効果をもたらします。おもな3つのメリットを解説します。
データを一元管理できる
企業内で別々に管理していたデータをまとめて管理することで、探し出す手間を削減できます。外部から得たデータも合わせて一元管理できるため、効率的な管理・分析といった運用が可能です。また、まとまっていることで、データの処理を素早く行えます。
ターゲットが明確になる
DMPが用いられるまでは、見込みのない顧客も含めて広い範囲に広告を表示しており、精度に課題がありました。しかし、DMPでは一元管理するデータを分析することで細かなターゲティングができ、誰がどのような興味をどれほど持っているのか把握できます。そのため、ターゲットの絞り込みを明確に行えます。
マーケティング施策の効果を向上できる
多大なデータから顧客を分析することで、1人ひとりに適したアプローチを施行できます。購入に至る可能性の高い顧客から順に、イベント開催・Web広告・メルマガ配信・クーポン配布など多くの手法から最適なものを選択して行うことで、マーケティング施策の効果を向上できるでしょう。
DMP導入時の3つの注意点
多くのメリットがあるDMPですが、多大なデータを一元管理するからには、気をつけなければならない点もあります。おもな注意点である、3つを解説します。
情報流出のリスクがある
DMPではデータを一元管理するため、アクセスできる人ならば誰でも多大なデータにアクセスできます。情報流出のリスクを考慮して、セキュリティ対策やガバナンスの考慮した設計が必要です。また、プライバシーへの配慮などを考えた管理方法をマニュアル化しなければなりません。
データの質を見極める必要がある
オープンDMPでは特に、多大なデータを得ることになります。そのなかには質の低いものも含まれているケースがあるため、データの質を見極めて、分析に活用する必要があります。
人材の確保が必要となる
データ分析を行うためには、SQLなどの言語を使えることに加えて、上記で述べたようなルール内でのデータの取り扱いができることや、データに対して高いリテラシーを持った人材を確保することが必要です。
DMP導入までの3つの手順
DMPを導入する際には、3つの流れを経ることをおすすめします。ただ導入しても、多大なデータをどのように扱えばよいのかわからなくなりやすいためです。
DMP導入の目的を考える
「どのような課題があるのか」「どのような効果を得たいのか」「どのような結果が欲しいのか」といった目的を明確にすることが大切です。DMPを導入して多大なデータを手にしたとしても、あやふやな目的しかなければ、必要なデータがわからず活用できません。
目的に適した種類を選ぶ
目的を明確にすることで、必要なデータが明らかになります。たとえば、既存顧客の維持が目的であれば、リテンションマーケティングのためのプライベートDMPが必要です。新規顧客の開拓が目的であれば、データ提供企業から取得できるオープンDMPが必要です。
条件を満たすDMPの提供企業を選ぶ
目的や必要なデータの種類から、企業を選びましょう。さまざまな企業がDMPを提供しているため、自社に適していることに加えて、初期費用やランニングコストといったコストと自社の予算が合致するかを考えなければなりません。
DMPの活用事例2選
実際にDMPを利用して、事業に役立てている企業の事例を2つ解説します。
化粧品メーカーの事例
多くのブランドを持つとある化粧品メーカーでは、以前は各ブランドが独自に宣伝活動を行っていました。しかし、プライベートDMPとオープンDMPを導入して、顧客情報を共有化しました。それ以降はブランド間を横断したマーケティング施策に取り組み、これまで見えていなかったニーズを発見してアプローチに役立てています。
スキー場の事例
近年ウィンタースポーツ人口は減少傾向にあり、各スキー場は厳しい状況にあります。現状を打破するためプライベートDMPを導入し、マーケティング施策に活用しています。たとえば3回来場すると1回無料になるスタンプ会員を集め、リピーターの獲得に成功しました。また、ポップアップでのアンケートを実施して多くの回答を得ることで、より多くのデータをDMPへ蓄積しています。
DMPを活用してマーケティングの効率を向上させよう
DMPとは、インターネット上に蓄積されたデータを一元的に分析・管理するプラットフォームのことです。DMPにはデータ提供企業や自治体が保有するデータを利用するオープンDMPと、自社が蓄積したデータを利用するプライベートDMPがあります。データを一元管理することで効率的に活用でき、ターゲットを明確にできます。情報流出に対するセキュリティ対策は欠かせませんが、適切な手順を踏み導入することで、マーケティングの効率を向上させましょう。
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