今や毎日のように目にするようになったAIですが、人工知能という言葉が生まれたのは実は1950年頃です。当時、様々な分野の科学者が人工頭脳を作る可能性を議論し始めましたが、理論を検証する為に必要なデータは不足しており、そのデータを処理するマシン性能も低かった為、私達の生活やビジネスにAIが取り入られることはほぼありませんでした。
しかし、現代ではスマホやIoTなどの普及もあり、企業は大量のデータを持ち、性能の高いハードウェアも気軽に利用できるようになった為、AIが現実的な存在となりました。本稿では、AI関連でよく耳にする「機械学習」に焦点を合わせてお話をしたいと思います。
機械学習という言葉を知ってはいるけど、実はよくわかっていないという方には是非必読頂きたい記事となっております。
機械学習とは?
機械学習とは、その名前が表す通り、「機械に自分で学習させること」です。ただ、これだといまいちピンと来ませんね...言葉を噛み砕いて、機械学習の意味を少しずつ探っていきましょう。
まずは、”機械に”。
機械学習における「機械」とは、ほとんどの場合「コンピューター」のことを指します。
機械学習はそもそもコンピューターに備えることのできる機能のひとつなのですね。
続いて、”自分で”。
当然ですが、これまで、機械がどんな働きをするかを決めていた(教えていた)のは人間です。人間が書いたプログラムを通して、人間が機械に言葉やルールを教えてきました。機械は人間から受け取ったプログラム通りに動いてくれます。逆に、プログラムに書かれていないことはしてくれなかったのです。
そこで「機械に事細かく言葉やルールを教えなくても、機械が自分で学べるようにしよう!」という考え方のもとに誕生したのが「機械学習」なのです。
最後に、”学習させる”。
ここで、二つの疑問が湧いてきますね。
「機械に、何を学習させるのか?」
「機械は、どうやって学習するのか?」
という疑問です。
機械が学習できるのは...端的に言ってしまえば、「人間が学習しうること全て!」です。
しかしながら、「機械が自分で学習”する”」という表現ではなく、「機械に自分で学習”させる”」と表現したように、機械に自分の意思はなく、あくまでもこの技術は人間が主導するものであり、機械が人間の活動をサポートするためのものであることを強調しておきます。
ところで、「人工知能」や「AI」という言葉を耳にしたことはありませんか?
ここ最近、いろんな会社が広告に用いたり、雑誌やテレビで特集が組まれたり、映画や書籍の題材になることが圧倒的に増し、すでにこれらの言葉を聞き慣れてしまっているという方も多いかもしれませんね!
「人工知能(AI)」は、「人間の脳の動きを機械にまねさせよう!」という発想のもとに作られた、ロボットやコンピューターの「脳」のようなものです。
そして、人間の脳が持つ「考える」、「学習する」という機能を機械に置き換えたのが「機械学習」なのです。したがって、機械学習は、人工知能を実現している機能の一部という位置づけになります。
さて、機械はどのようにして学習するのでしょうか。再び人間に置き換えて考えてみましょう。そもそも、私たち人間が何かを「学習する」ということはどういうことなのでしょうか。「学習する」、「学ぶ」といった言葉が持つ意味を、本文ではひとまず、「物事の特徴や内容を認識し、分類できること。」としましょう。
私たちが物事を認識する時、かならずその物事に関する「情報」が必要になります。機械にとっての「情報」というと、、、そう、「データ」です!まさに機械学習を実現するためには、「データ」が必要になるのです。
学習する目的やテーマによって形や内容は様々ですが、機械に入力するのは、どんな状況でもデータです。さらに言えば、私たちは情報(=データ)が多ければ多いほど、より正しく物事を理解できたくさんのことが学べますよね。機械も同じなのです。
最終的には、物事を分類できるようになった機械が、「これは何?」や「これはどういうこと?」といった質問を人間や他の機械から投げかけられたときに、答えを返せるようになることを目指して機械学習を行っていきます。
まとめると、「あらゆる物・事象に関するデータを取り込んだ機械が、物事の特徴や内容を人間が事細かく教えることなく自ら認識し、分類し、答えを出すこと」になりますね!
機械学習には大量のデータが必要とされる
例えば、どんなものが「花」なのかを学んで理解するということは、他のものと花を区別できるということですよね。世の中には、「花」の種類がたくさんあるのですが、「これは花だ!」と区別をする時、自分が持つ花のイメージ、つまり、花の「特徴」を思い浮かべながら判断するかと思います。
私たちの頭には様々な花を見てきた記憶があり、それらと照らし合わせて、目の前にある物体と共通の特徴があるかを、認識したり比較したりしながら、区別しているのですね。花をたくさんみたことがあればあるほど、花の特徴を知っていれば知っているほど、花と他のものが正確に区別できます。
繰り返しになりますが、機械が学習するときも多くのデータが必要なのです!どれだけ学習の精度が高くても、データが十分にないと正確な答えを出すことは難しいのです。
ピラミッドを想像して見てください。真横から見ると三角形ですが、上空から見ると四角形に見えます。
このように物事を様々な角度から捉えた情報を機械にデータとして与えないと、決められた角度の写真でしか判別してくれません。どんなに賢く物覚えがいい機械だったとしても、素材となるデータが十分にないと、判別どころか学習すら始まらないのです。
機械学習とは人の経験をデータに置き換えて機械が学ぶことである
読んでくださった皆様は、AI(人工知能)や機械学習に対してどんなイメージを持っていましたか?機械学習や人工知能のイメージは変わりましたか?
人間が何もしなくても、何でも解決してくれるような夢の道具を想像していた方、AI(人工知能)が人間の仕事を奪いとっていくのではないかと懸念されていた方、色んなイメージを持たれていたと思います。
ですが、現時点では、機械学習は無敵ではありません。クラウドコンピューティングによって、巨大な規模の計算が身近になり、多くの人が人工知能の開発や機械学習に携わることが多くなりましたが、まだまだ発展途上の技術なのです。さらに、人間が適切にデータを与えることができなければ、花を区別することさえ難しいというのが事実です。
本記事では、深く触れることはできませんでしたが、人工知能はあくまでも、人間をサポートする存在です。人間が機械を上手にコントロールしてこそ、機械の良いところが発揮されます。将来は、身近なことを手軽に学習させて、面倒な作業を代行してもらうのもアリですよね。
第一歩として、データを集め、正しく加工して機械学習モデルに投入し、適切に学習させてみませんか。電算システムでは、企業のデータ活用を支援します。