現在、多くの企業では、蓄積したデータをいかに分析し活用していくか、という課題を抱えています。この記事では、データ分析において重要な5つのプロセスを分かりやすく解説します。また、データ分析を成功させるためのポイントも併せてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
データ分析とは
企業のIT化が進んでいる現在、蓄積した膨大なデータを分析してビジネスに活かそうとする動きが大きくなってきています。そもそも「データ分析」とは、あるゴール(目的)に向かって、必要な数値や文字などの情報を集め、それらを分類・整理・加工し、さらに取捨選択することで有意な結果を得ることを指します。
経営者の経験や勘といった不確かなものではなく、信頼できる客観的なデータを用いた分析結果は、主張を支える根拠として非常に有効です。主張に説得力をもたせやすく、意思決定もスピーディーに行えるようになります。また、データ分析を行っていると、疑問を感じる結果にぶつかることがありますが、その原因を探り仮説を立てて検証し続け、施策につなげていくサイクルが大切です。
データ分析の5つのプロセス
実際にデータ分析を行うにあたっては、標準的な5つのプロセスがあります。ツールやデータを扱うためには、あらかじめこれらのことを意識しながら取り組む必要があります。以下、順を追って見ていきましょう。
分析の目的を明らかにする
まずは、データの意味やその背景にある状況などを踏まえ、「なぜ分析を行うのか」といった方針を決めます。現状の課題を明確にすると、分析したい目的はおのずと見えてくるはずです。ただ、最初からはっきりとした目的がない場合は、少なくとも「分析で何をしたいのか」ということを用意しておきます。データ分析は、あくまで目的達成のための手段に過ぎないことを忘れないようにしましょう。
分析課題を見つけ、仮説を洗い出す
分析目的を明確化したあとは、その目的を果たすために必要な「解くべき問い」を見つけます。目的設定では「何をしたいのか」をもとにしていましたが、分析課題では「何を知りたいのか」を突き詰めていきます。分析目的や分析課題が定まっていない間は、分析をしても不明瞭な結果しか導けないため、この作業は非常に重要なプロセスといえます。
また、この「問い」は分析を続ける中で変化していくことがよくあります。それでも、分析する目的を他メンバーと共有し、その問いを全員で刷新していく姿勢が必要です。
そして「真偽はともかくとして、最も確からしい答え」、つまり仮説を洗い出し、その検証のためにデータ分析を行います。仮説を立ててデータ分析を行うことで、より精度の高い結果を期待できます。ただし、課題が多い場合には優先順位をつけて、データ分析をしながら優先順位に沿って検証するようにしましょう。
データを収集する
ここまでくると、ようやく次のステップに移ります。明確にした「分析目的」や「解決したい課題(仮説)」を意識しながら、必要と思われるデータを収集していきます。その際、対象や時期、形式など、データの種類や条件などにも注意を払っておくと、その後の工程がスムーズに行えるようになります。
データを加工・分析する
さまざまなシステムから収集した膨大なデータの中身を確認してみると、形式が異なるものや重複したもの、目的と無関係なものまで混じっていることがあります。しかし、それらを放置して分析を進めてしまうと、集計や分析に時間がかかったり、結果が不明瞭なものになったりする可能性があります。そのため、必要なデータを集めてからデータ分析に入る前に、ある程度データの前処理が必要となるのです。
この前処理のことを「データクレンジング」と呼び、データ分析において最も時間や手間がかかるプロセスといわれています。実際、総務省が作成した「ICTスキル総合習得教材」によると、データサイエンティストの約53%が「データの前処理に最も時間がかかった」と回答しているほどです
(参照元:https://www.soumu.go.jp/ict_skill/pdf/ict_skill_3_1.pdf)
具体的なデータの前処理方法としては、まずアタリをつけた情報を使って、検討したロジックで処理が完結できるかどうかを検証します。そして、より効果の高い分析方法やデータ種類などを選別するのがおすすめです。
適切なデータクレンジングを終えたあとは、「Tableau」などの「BI(Business Intelligence)ツール」と呼ばれる分析ツールを使って分析を実践し、一目で分かるよう可視化していきます。なお、データ分析には「クラスター分析」や「RFM分析」など、さまざまな手法やフレームワークがあります。分析目的や用法に応じて、最適な手法を選ぶようにしましょう。
分析結果をビジネスへ活かす
先ほども触れましたが、データ分析はあくまで手段です。得られた結果について、想定していたかどうかは別にして、「なぜその結果になったのか」「それを使って次にどうするのか」といったことを考え、実際にアクションを打ってこそ、真にデータ分析が活きてきます。ただ、必要と思われるデータを収集しても、100%カバーすることは現実的に困難なため、想定できる別の要素も含めて次のアクションにつなげていく姿勢が大切といえます。
結果から導かれた考察をもとに、複数パターンの施策を企画し、次の分析タイミングで分析軸として再利用することも可能です。このようにデータ分析においては、「目的や課題設定」「分析」「改善」を1つのサイクルとして何度も回していくことで、スピーディーなPDCAが可能になり、ビジネスの成長が期待できるようになります。
データ分析を成功させるには?
では、データ分析を成功させるためには何が必要なのでしょうか。以下では、特に重要なポイントを2つご紹介します。
スピード向上のためツールを導入する
1つ目のポイントは、分析スピードの向上のためにツールを導入することです。
従来、データ分析を行うにあたっては、データに関連する高度なスキルが必要でした。しかし、先述したBIツールを利用すれば、データサイエンティストでなくても少しのスキルでデータを取り込み、自動で分析し、レポート化まで実現できます。代表的なBIツールとしてはTableauなどが挙げられ、分析結果を一目で理解できるようなビジュアル化も容易です。
現在、企業はDX化が進み、日々蓄積されるデータ量や種類が激増しています。また、それら膨大なデータの中から必要な分のみ取得・分析し、PDCAをより早く回して意思決定することが求められます。そのためにも、データ分析のための最適なツールを導入することは不可欠といえるでしょう。
データ分析や活用に詳しい人材を確保する
2つ目のポイントは、データ分析・活用のノウハウをもった人材の確保です。便利なBIツールがあるとはいえ、データ分析の目的や課題設定から始まり、データ収集の条件などを検討するには、経験やスキルのある優秀なデータサイエンティストの存在が欠かせません。
自社で育成する方法もありますが、スキル習得には相当の期間が必要になるため、よりスピーディーに体制を整えたい場合は、外部への委託を検討してみてもよいでしょう。なお、外部委託する際には、「解くべき問い」について、委託先と認識を合わせることが大切です。
まとめ
これまでの企業は、勘や経験などに頼って経営判断を下すことが多くありましたが、現在はデータ分析によって確かな根拠を立て、素早く意思決定を行える環境が整ってきています。分析したい目的や課題を明確化し、仮説を立て、データを収集・加工したのち、その先の活用についても検討していくことで、業務改善に向けたよいサイクルを回せるようになるはずです。その際、BIツールなどの分析ツールの導入や、データ分析に通じる人材の確保が成功のカギとなるでしょう。DSKではLookerを始めとしたBIツールの導入支援から、データエンジニアによる教育やワークショップ、トレーニングサービスなど、データに関するさまざまな領域のサービスを提供しています。一歩進んだデータ利活用を実現するために、是非DSKのサービスをご活用ください。
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