Firebase analyticsは、Google Analyticsよりもユーザー行動を詳しく分析できるFirebaseの優れた機能です。Firebase analyticsを活用すれば、自社のアプリケーション開発の効率化や、アプリケーションの品質向上に役立ちます。開発業務を効率化したい方や、より優れたアプリケーションを開発したい方は、Firebase analyticsの導入を前向きに検討しましょう。
この記事では、Firebase analyticsの概要やできること、導入するメリットなどを解説しています。Firebase analyticsについてわかりやすくまとめた内容になっているので、導入を検討する際の参考にしてみてください。
Firebaseとは?7つの主な機能を解説
Firebase analyticsは、Firebaseで提供されている機能の1つです。Firebase analyticsの概要を知る前に、まずはFirebaseの概要と主な機能を把握しておきましょう。
Firebaseの概要
Firebaseは、モバイルアプリケーションやWebアプリケーションの開発・運用を支援する、Googleが提供するクラウドベースのプラットフォームです。アプリケーションの開発・運用では、サーバーの設置や管理、データベースの設計といった環境構築が必要ですが、Firebaseを活用すれば、アプリケーション開発に必要な環境構築を迅速に完了できます。
また、データ分析やレポート集計に活用できるFirebase analyticsも備わっており、マーケティングやサービス品質の向上に役立ちます。
Firebaseの7つの主な機能
Firebaseには、モバイルアプリケーションやWebアプリケーションの開発・運用に役立つ以下のような機能が備わっています。
主な機能 | 概要 |
Firebase Analytics | アプリケーションにおけるユーザーの行動を分析できる機能 |
Firebase Hosting | HTMLやCSS、JavaScript、画像などのファイルをインターネット上にアップロードして、WebアプリケーションやWebサイトを公開できる機能 |
Firebase Cloud Messaging | モバイルアプリケーションにプッシュ通知やメッセージ送信を実装できる機能 |
Cloud Firestore | NoSQL(Not Only SQL)でデータベースを構築できる機能 |
Cloud Functions for Firebase | Firebaseに備わった複数の機能を組み合わせて利用できる機能 |
Firebase Authentication | アプリケーションにユーザー認証を実装できる機能 |
Cloud Storage for Firebase | クラウド上でファイルの保存や管理、配信ができる機能 |
Firebaseについてより詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
Firebase Analyticsでできること
Firebaseに搭載されているFirebase Analyticsでは、モバイルアプリケーションのユーザー分析やレポート集計が可能です。取得したデータの分析結果をレポートとして可視化でき、ユーザー行動を分析できます。Firebase Analyticsには他にも以下のような機能があります。
Firebase Analyticsの機能の例 | 概要 |
ダッシュボード機能 | ダッシュボード上であらゆる指標を用いてデータを統合・閲覧できる |
Admobとの連携 | AdMob(※1)と連携すれば、広告における指標とAdMobの収益を表示でき、広告施策の成果把握やLTVの分析に活用できる |
Google広告との連携 | Google広告との連携でGoogleのサービスに広告を掲載できるようになる |
※1. AdMob(アドモブ):Googleが開発したモバイルアプリケーションの収益化をサポートする広告配信プラットフォーム
Googleのサービスには、企業のマーケティング活動やサービス品質の向上に役立つものが多くあります。Googleのサービスを活用したデータ分析に興味のある方は、以下のページから無料でダウンロードできる資料をぜひご覧ください。
Firebase AnalyticsとGoogle Analyticsの4つの違い
Firebase Analyticsとよく混同されるデータ分析サービスに、Google Analyticsがあります。Firebase AnalyticsとGoogle Analyticsの違いは、以下の4つです。
- 分析対象
- レポート項目
- データの計測方法
- UI設計
2つの違いを確認して、Firebase Analyticsを正しく理解しましょう。
分析対象
Firebase AnalyticsとGoogle Analyticsの違いの1つは、分析対象です。Firebase Analyticsは、アプリケーションのユーザーを対象としてデータ分析やレポート集計を行いますが、Google Analyticsでは、Webサイトの訪問者を対象としてアクセス解析を行います。
レポート項目
Firebase AnalyticsとGoogle Analyticsでは、作成されるレポートの項目も異なります。2つのサービスのレポート項目の例は、以下の通りです。
サービス名 | レポート項目 | 概要 |
Firebase Analytics | Dashboard |
以下の項目を表示する
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Events |
以下の項目におけるユーザー数やイベント数、ユーザーあたりの平均イベント数を表示する
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Conversions |
コンバージョンのイベントにおける収益や購入回数、LTVなどを表示する
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Latest Release |
アプリケーションの最新リリースバージョン別に以下の項目を表示する
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StreamView |
ユーザー別の使用方法のイベントデータを表示する |
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Google Analytics | リアルタイム |
以下の項目を直近30分間のものに限定して表示する
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集客 |
以下の項目を表示する
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エンゲージメント |
エンゲージメントにおける以下の項目を表示する
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収益 |
収益における以下の項目を表示する
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維持率 |
以下の項目を表示する
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Firebase Analyticsには、Google Analyticsにはない「Latest Release」や「StreamView」などのレポート項目があります。
データの計測方法
Firebase AnalyticsとGoogle Analyticsは、異なる計測方法でデータを取得しています。それぞれの計測方法は、以下の通りです。
サービス名 | 計測方法 | 概要 |
Firebase Analytics | イベントベース |
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Google Analytics | スクリーンビューベース |
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UI設計
Firebase AnalyticsとGoogle Analyticsでは、UI設計にも違いがあります。UI設計とは、アプリケーションやWebサイトなどのデジタル製品における画面構成や操作性です。Firebase AnalyticsとGoogle AnalyticsそれぞれのUI設計の特徴は、以下の通りです。
サービス名 | UI設計の特徴 |
Firebase Analytics |
|
Google Analytics |
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Firebaseを利用するメリット4選
Firebaseを利用するメリットは、主に4つです。
- 多くの機能が搭載されている
- アプリケーションの構築が簡単にできる
- プラットフォーム上で管理ができる
- モバイル間でデータの同期ができる
メリットを確認して、Firebase Analyticsの理解を深めましょう。
多くの機能が搭載されている
Firebaseにはさまざまな機能が搭載されており、ワンストップでアプリケーション開発に必要な環境構築を完了できます。Firebaseを活用すれば、開発業務にかかる時間や労力を大幅に削減でき、より優れたアプリケーションの開発が可能です。
アプリケーションの構築が簡単にできる
Firebaseには、ツールの使い方に困った際のサポートが用意されているため、アプリケーション開発のベテランでなくてもツールを利用できます。Firebaseを初めて利用する場合は、サポートを活用しながら開発業務を進めると良いでしょう。
プラットフォーム上で管理ができる
Firebaseでは、アプリケーションの開発から運用までの工程をまとめて管理可能です。Firebaseによって開発されたアプリケーションは、すべての機能がFirebaseを介して動作するため、管理を効率化できます。
モバイル間でデータの同期ができる
FirebaseのCloud Firestoreやリアルタイムデータベースを活用すれば、データの更新がリアルタイムで他のデバイスに自動反映されます。オフライン環境でもローカルにデータの更新情報がキャッシュされ、オンラインになった際に他のデバイスに自動で同期されるため、オフライン環境でも安心して作業可能です。Firebaseのデータ同期機能によって、複数人でのアプリケーション開発を効率的に進められます。
Firebase Analyticsを利用するときの3つの注意点
Firebase Analyticsは、アプリのユーザー行動を可視化し、改善施策の立案に役立つ強力なツールですが、活用するうえで事前に把握しておくべき注意点も存在します。ここでは、Firebase Analyticsの利用前に押さえておきたい3つのポイントをご紹介します。
アプリケーションとの連携
Firebaseを導入する際には、対象のアプリケーションとの連携が必要です。アプリケーションとの連携は、手順通りに行わないとエラーが出る恐れがあるため、公式サイトを確認しながら慎重に進めることをおすすめします。
イベントの設定
Firebase Analyticsを導入する際は、アプリケーション内のユーザーの行動を分析するためのイベントの設定が必要です。Firebase Analyticsにおけるイベントとは、データ収集を行う条件を指します。主要なイベントでは自動でデータが収集されますが、アプリケーションの目的や仕様に応じてイベントをカスタマイズすることで、より精度の高い分析が可能です。
セキュリティルールの設定
Firebaseでは、ツール上でセキュリティルールを利用者自身が設定できます。しかし、設定ミスによりFirebaseのシステムに脆弱性が見つかり、情報漏洩をはじめとする被害につながったケースも報告されています。そのため、セキュリティルールの設定は慎重に行い、厳格なアクセス管理を徹底しましょう。
Firebaseの2つの料金プラン
Firebaseには、以下の2つの料金プランがあります。
- Spark(無料プラン)
- Blaze(有料プラン)
料金プランの詳細を確認して、Firebaseの導入を検討する際に役立てましょう。
Spark(無料プラン)
Sparkプランは、Firebaseの基本機能の一部を無料で使用できるプランです。アプリインデックスやプッシュ通知など、機能によっては制限があるため、Sparkプランを利用する際は、自社のアプリケーション開発に必要な機能が揃っているかどうかを事前に確認しましょう。
Blaze(有料プラン)
Blazeプランは、使用したリソースに応じて料金が算出される従量課金制の有料プランです。従量課金制の対象は、ストレージの使用量やネットワーキングのデータ転送量、リアルタイムデータベースの書き込みや読み取りです。それぞれの機能に無料枠が設けられていますが、一定の利用量を超えた場合は料金がかかります。
Blazeプランを検討する際は、事前にGoogleの料金計算シミュレーターを使って、予算内に収まるかどうかを確認すると良いでしょう。
Firebase Analyticsを活用してデータを分析しよう
Firebaseとは、モバイルアプリケーションやWebアプリケーションの開発をサポートするGoogle独自のプラットフォームです。Firebase analyticsは、Firebaseの機能の1つとして提供されており、アプリケーションのユーザー分析やレポート集計ができます。最大で500個のイベントを自動取得でき、レポートを無制限で生成可能です。Firebase Analyticsの活用により、アプリケーションにおけるユーザー行動を詳しく分析できます。
Firebase AnalyticsはGoogle Analyticsと混同されがちですが、分析対象やレポート項目、データの計測方法、UI設計などに大きな違いがあります。Firebase Analyticsは、Google Analyticsと比較してより詳細なユーザー行動のデータ分析が可能です。ユーザー行動の分析によってより優れたアプリケーションを開発したい方は、Firebase Analyticsを積極的に活用しましょう。
Googleのサービスには、Firebase Analyticsの他にも高度なデータ分析を可能にするツールが多くあります。Googleのサービスを利用したデータ分析に興味のある方は、以下のページから無料でダウンロードできる資料をぜひご覧ください。
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