生成AIとChatGPTの違い！
できることや活用事例・注意点を詳しく解説

生成AIは、近年世界中で注目が高まっている技術です。ChatGPTをはじめとしたAIサービスの増加や技術の発達に伴い、ビジネスだけでなくプライベートでも利用される身近な技術として広く普及しました。生成AIを本格的に業務で活用する企業は増えており、業務の効率化やサービス品質の向上、新しいビジネスチャンスの獲得につなげているケースも多く見られています。

この記事では、生成AIとChatGPTの違いやできること、活用事例などを解説しています。生成AIとChatGPTの特徴や活用シーンが把握できる内容になっているので、ぜひ最後までご覧ください。

生成AIとChatGPTの違いは？それぞれの概要を解説

生成AIとChatGPTは、お互いに深く関わりがありますが、2つは全く異なるものです。生成AIとChatGPTのそれぞれの概要を確認して、2つの違いを把握しましょう。

生成AIの概要

生成AI（Generative AI）とは、テキストや画像・動画・音声といったあらゆるコンテンツを生成できる人工知能です。従来のAIは与えられたデータから学習して物事を予測・分類するものが主流でしたが、生成AIには自身でオリジナルのコンテンツを生み出せる能力があります。

「ディープラーニング（深層学習）」というAI自身が答えを求めて学習する機械学習技術が利用されており、与えられた要求に応じて最適な回答を模索できます。

ChatGPTの概要

ChatGPTは、アメリカを拠点にしている企業・OpenAIが開発した生成AIです。ユーザーがチャット画面に入力した指示に対して、あらかじめ学習した情報をもとに、瞬時に回答を出力してくれます。

メールの本文作成や外国語の翻訳、資料の要約、画像の生成といったさまざまなタスクを実行できるのが特徴です。代表的な生成AIサービスとして注目を集めており、ビジネス目的だけでなくプライベートでも多く活用されています。

生成AIとChatGPTの違い

生成AIは、ChatGPTをはじめとした生成AIサービスに活用されている技術です。ChatGPTがテキストや画像などを生成できるのは、生成AI技術のおかげです。生成AIサービスには、ChatGPT以外にもGoogleの「Gemini」やMicrosoftの「Copilot」（Microsoft 365 Copilot）などがあります。他にも、画像生成・編集に特化したサービスや、動画生成に特化したものなどさまざまです。

ChatGPTと他の主要な生成AIサービスの違い

Copilotは、一般的な業務をサポートして作業を効率化できるMicrosoftの生成AIサービスです。メール本文やグラフ、議事録の作成といった作業の効率化に加えて、プログラミングや数学といった複雑な分野のタスクも得意としています。

一方、ChatGPTは、メールの本文作成や翻訳、質問への回答など特にテキスト生成を得意としたサービスです。具体的には、外国語の翻訳や新商品のアイデア出しなどのタスクに優れており、質問を重ねるにつれてより精度の高い回答が得られます。

ChatGPTとGeminiの違い

GeminiはChatGPTと同様に、画像に加えてテキストや動画、音楽などのさまざまなコンテンツを生成できる、Googleの生成AIサービスです。Geminiは検索エンジンであるGoogleから得られたデータをもとにユーザーへ情報を提供するため、情報の鮮度が高い点も大きな特徴です。

一方、ChatGPTはモデルによって参照する情報の期間が異なり、情報の鮮度はGeminiほど高くありません。ChatGPTの参照する情報の期間は、以下の通りです。

• GPT-3.5 Turbo：2021年9月までの情報
• GPT-4o：2023年10月までの情報

また、ChatGPTは自然な文章の生成や会話ができる点で優れていますが、画像や音声の生成・編集などの精度においては、Geminiよりも劣るとされています。

生成AIでできる4つのこと

生成AIは、汎用性の高さから業界を問わずあらゆる分野で活用されている技術です。近年注目が高まっており、現在多くの生成AIサービスがリリースされています。生成AIができることの代表例は、以下の4つです。

• テキスト生成
• 画像生成
• 動画生成
• 音声生成

テキスト生成

生成AIは、プロンプト(※1)の入力に応じてさまざまなテキストを生成できます。生成AIが生成できるテキストの具体例は、以下の通りです。

• メールの件名・本文
• 記事のタイトル・本文
• 報告書の本文
• 広告のキャッチコピー

商品・サービスの説明
テキストの生成機能は汎用性が高く、あらゆる業務に活用可能です。一般的な業務だけでなく、専門的な分野では、例えばプログラミングのコードを生成したり、任意の言語を別の言語へ翻訳したりできます。

※1. プロンプト：ユーザーが入力する指示文のこと

画像生成

生成AIを活用すれば、誰でも簡単にイラストやアート、ロゴ、写真といった画像の生成が可能です。イラストレーターやグラフィックデザイナーに依頼せずとも、コストをかけずにクリエイティブなコンテンツを生み出せます。

生成AIは、人が作成した数多くの画像データから学習して、オリジナルの画像を生成します。新しく斬新なアイデアの提案も得意としており、ポスターのデザインやゲームのキャラクターデザインも生成可能です。

動画生成

生成AIは、プロンプトをもとに短時間でオリジナルの動画を生成できます。動画広告や商品のプロモーション動画、新人研修で使用するトレーニングビデオなどに活用でき、動画の編集も簡単な指示で実行できます。

従来の動画作成は、キャストや監督の手配、撮影場所と機材の準備、動画編集といった工程が必要でしたが、生成AIを活用すれば、短時間で高品質な動画を生成可能です。人が撮影から編集までのすべての作業を行った場合と比べて、大幅にコストと時間を削減できます。

音声生成

生成AIは、特定の人の声をもとにオリジナルの音声を生成可能です。音声データに含まれる人の声を使って、指示された文章を読み上げたり、歌ったりできます。ビジネス上では、コールセンターの自動応答や解説動画のナレーション、多言語の通訳などで利用されています。

生成AIは、このような優れた機能を備えていますが、不得意なことや現在の技術では実現できないこともあります。生成AIについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もぜひご覧ください。

ChatGPTでできる5つのこと

ChatGPTは、さまざまな業務のサポートに活用できる汎用性に優れた生成AIサービスです。以前は質問への回答やテキスト生成で有名でしたが、現在は画像生成の機能でも知名度を上げています。ChatGPTができることの代表例は、以下の5つです。

• 質問に対する応答・対話
• 文章の生成
• 文章の要約
• プログラミング
• データの整理・集計

質問に対する応答・対話

ChatGPTは、自然な会話で質問に対する応答や対話が可能です。膨大な量のテキストデータを学習しているため、専門的な分野の質問にも柔軟に対応できます。

従来のAIサービスは、ユーザーからの質問を想定して事前に用意された回答を表示するものが主流だったことから、想定外の質問には対応できませんでした。ChatGPTは、回答としてそのまま引用できるような情報が見つからなくても、参考となる情報をもとに自ら回答を生成してユーザーの要望に応えられます。

また、ChatGPTを活用してチャットボットを構築すれば、顧客からの問い合わせ対応の一部を自動化できます。複雑な問い合わせ以外はすべてチャットボットが対応するため、従業員の負担を大幅に軽減可能です。また、メンテナンスを除いて24時間顧客からの問い合わせに対応できるようになり、顧客満足度の向上にもつながります。

文章の生成

ChatGPTは、プロンプトの内容に応じてさまざまなテキストを生成できます。メールの本文や記事、報告書などのテキストを生成でき、業務の効率化が可能です。プロンプトの内容を具体的かつ詳細にすることで、よりユーザーのニーズに合ったテキストを生成できます。

文章の要約

ChatGPTは、プレゼンテーション資料や論文、ニュースなどを瞬時に要約できます。既存のテキストを要約するだけでなく、自ら情報を検索して特定の物事について簡潔にまとめた解説も生成可能です。例えば、既存のテキストを入力して「要点を300文字程度でまとめてください」と指示したり「◯◯株式会社について簡潔に説明してください」と指示したりすれば、内容に対するわかりやすい要約を表示してくれます。

ChatGPTを活用したテキストの要約は、会議の議事録や市場分析レポートの作成などに利用できます。

プログラミング

ChatGPTは、プログラミングで使うコードの自動生成が可能です。実行したいプログラムの詳細を送るだけで、瞬時に要望に応じたコードを生成・表示してくれます。

また、ChatGPTは、コードのエラー修正も可能です。エラーの原因がわからない場合でも、コードとともに「エラーが起きている原因を教えてください」と入力すれば、問題のある箇所を指摘してくれます。手動でコードの作成やエラー修正を行った場合は、通常多くの手間と時間がかかりますが、ChatGPTを活用すれば、短時間でタスクを遂行可能です。

ChatGPTでは、GoogleスプレッドシートやExcelで使える関数の生成もできます。関数によって実現したいことやシートに記載の情報を入力すれば、目的に適した関数を自動で生成してくれます。

データの整理・集計

ChatGPTは、データの整理にも活用できます。例えば、情報を入力して「このデータを表形式で整理してください」と送れば、情報が表にまとまった状態で出力されます。

また、ChatGPTではデータの集計も可能です。データに含まれている項目や値とともに「平均値を教えてください」と送れば、平均値とそれを求める際に使った計算式を出力してくれます。

ビジネスにおける生成AIの活用事例

ビジネスにおける生成AIの活用事例として、以下の3つを紹介します。

• キャッチコピーのアイデアを創出する
• Webサイトの背景素材を作成する
• 会議の議事録を作成する

事例を確認して、自社での活用方法を具体的にイメージしましょう。

キャッチコピーのアイデアを創出する

生成AIは、広告で使うキャッチコピーのアイデア創出に活用されています。例えば「◯◯が特徴のこの商品に合うキャッチコピーのアイデアをください」というプロンプトによって、キャッチコピーのアイデアが複数得られます。アイデア創出には膨大な時間が必要になる場合も多くありますが、ChatGPTを活用すれば、業務の大幅な効率化が可能です。

Webサイトの背景素材を作成する

画像生成AIを活用すれば、Webサイトに使う背景素材を短時間で作成可能です。背景素材の作成時間を削減でき、サービスで生成した素材をさらに手作業で編集してクオリティを高めることもできます。著作権を侵害している背景素材は使えませんが、権利に問題がなければ、Webサイトで自由に使用可能です。

会議の議事録を作成する

生成AIサービスの1種である文字起こしAIは、会議や打ち合わせの議事録作成に多く活用されています。従来は会議の録音データをもとに手動で文字起こしをしたり、担当者が会議と並行して議事録を作成したりする必要がありましたが、文字起こしAIを活用すれば、自動で録音データのテキスト化が可能です。

さらに、生成AIを活用すれば、その文字起こしをもとに議事録を瞬時に作成できます。会議や打ち合わせの内容確認や議事録作成を効率化でき、社内の生産性を向上できます。

生成AIをビジネスで活用する際の3つの注意点

生成AIをビジネスで活用する際には、以下の3つの点に注意が必要です。  

• 出力される情報が必ずしも全て正しいとは限らない
• 著作権や商標権を侵害するリスクがある
• 情報漏えいのリスクが高まる

注意点を確認して、生成AIを安全に利用しましょう。

出力される情報が必ずしも全て正しいとは限らない

生成AIで出力されたコンテンツには、事実ではない情報や存在しない情報が含まれている可能性があります。特に、生成AIのテキスト生成機能では、事実とは異なる情報が含まれるケースが多いため、利用する際には注意が必要です。

生成AIでは、こういった事実ではないことをあたかも正しい情報としてユーザーに回答するハルシネーションと呼ばれる現象が発生しています。生成AIを使ってコンテンツを出力する際は、このようなサービスの特性を理解して、細かく情報の正誤を確認する必要があります。

著作権や商標権を侵害するリスクがある

生成AIが出力するコンテンツの利用には、他人の著作権や商標権を侵害してしまうリスクがあります。生成AIには、学習データとして他人の商品や作品の情報を利用しているサービスも多くあり、コンテンツの内容や利用状況によっては、著作権法や商標法の違反になります。生成AIが出力したコンテンツを業務に活用する場合は、著作権法や商標法の違反にあたらないかどうかの事前確認が必要です。

また、法律に違反していない場合でも、コンテンツの内容が不適切であるとして顧客からのクレームにつながるケースもあります。モラル違反や差別にあたるコンテンツではないかどうかの確認も、ビジネス利用の際は特に重要です。

情報漏えいのリスクが高まる

生成AIをビジネスで活用する際は、セキュリティ面でも注意が必要です。クラウド型生成AIの多くは、ユーザーの入力情報を学習に利用しているため、情報漏えいのリスクがあります。入力した自社の機密情報がサービスのデータベースへ記録され、他のユーザーへの回答に利用される可能性があるからです。従業員や顧客の個人情報をはじめ、商品開発や非公開プロジェクトといった重要な情報は、生成AIに入力しないよう徹底しなければなりません。

生成AIによる情報漏えいのリスクは、サービスを利用する現場だけでなく、上層部や管理職も含めた企業全体で理解する必要があります。思わぬ形で情報漏えいにつながる場合もあるため、社内研修や勉強会などを通して、生成AIを利用する際の注意点とリスクを周知する動きが大切です。

テキスト生成ならChatGPT・幅広い業務への対応ならその他の生成AIの検討を

ChatGPTは生成AIの一種で、特にテキスト生成に優れているサービスです。ChatGPTを活用すれば、テキストの生成や要約、プログラミングに使うコードの生成などの作業を効率化できます。また、ChatGPTはチャットボットの構築にも役立ち、顧客や従業員からの問い合わせ対応の負担を軽減できます。

生成AIを活用して画像や動画、音声などの生成をしたい場合は、他の生成AIサービスも含めた利用の検討をおすすめします。生成AIによって得意とする分野が異なるため、サービス同士を比較して慎重に検討しましょう。

Googleでは、自社独自の生成AIツールを開発できるGoogle Cloudというサービスが提供されています。自社開発の生成AIツールであれば、自由にカスタマイズでき、情報漏えいのリスクも低減できます。Google Cloudを活用すれば、機械学習に必要な環境を効率良く構築でき、ツールの開発にかかる時間の大幅な削減が可能です。効率良く自社独自の生成AIツールを開発できるため、カスタマイズ性やセキュリティ面も優れた生成AIを利用したい場合は、Google Cloudをぜひ検討してください。

以下のページでは、Google Cloudについてわかりやすくまとめた資料を無料で提供しています。興味のある方は、ぜひご覧ください。