社内システムを見直して、自社の業務を効率化したいと考えている方のなかには、どのようなサービスを導入すべきか悩んでいるという方が、いらっしゃるのではないでしょうか。業務効率化を進めて、より大きな成果を上げるには、クラウドコンピューティングの導入がおすすめです。クラウドコンピューティングは、社内の情報共有やデータ管理の効率化に役立ちます。アプリ開発をしている方のなかには、作業のしやすさや開発にかかるコストについて悩んでいる方がいらっしゃるのではないでしょうか。アプリ開発に利用するツールやプラットフォームは、開発スピードやコストに影響を与える重要な要素です。アプリ開発を効率化したい方には「Firebase」というプラットフォームがおすすめです。Firebaseには多くのサービスがあり、アプリ開発に便利な機能が揃っています。
そこでこの記事では、Firebaseの概要や特長、使用料金、Firebaseでできることを解説します。Firebaseについてわかりやすくまとめた内容になっているので、ぜひ最後までご覧ください。
Firebaseとは?特長や利用料金について解説
Firebaseの概要について、以下の項目に沿って解説します。
- Firebaseとは
- Firebaseの特長
- Firebaseの使用料金
概要を確認して、Firebaseの基礎知識を身につけましょう。
FirebaseとはGoogleが提供しているBaaS
Firebaseは、モバイルアプリケーションとWebアプリケーションの開発に活用できるサービスです。Googleが提供しているサービスで、クラウドサービスの形態はプラットフォームです。Firebaseはもともと、Firebase社が2011年にサービス提供を開始しましたが、Googleが2014年に買収して、Google Cloudに統合されました。
Firebaseは「mBaaS」という種類に分類されるサービスです。mBaaSは「Mobile」の頭文字と「BaaS」(※1)を合わせた用語で、モバイルアプリケーション開発におけるバックエンド側のインフラを提供するサービスを指します。
※1. BaaS(Backend as a Service):モバイルアプリケーション開発に必要な動作環境を提供するサービスのこと。開発・運用・機能改善における作業をサポートする
Firebaseの特長
Firebaseの利用には多くのメリットがありますが、なかでもデータをリアルタイムで同期できる機能は、サービスの大きな特長です。一般的なサービスでは、アプリケーションからクラウド上に構築されたデータベースへアクセスし、データの書き込みや読み込みをしますが、Firebaseはより効率的な作業ができる仕組みを採用しています。
Firebaseは、アプリケーション内に保存されたデータベースのローカルコピーで作業をします。ローカルコピーで行われた更新は、リアルタイムでデータベースと同期・統合される仕組みです。データをリアルタイムで同期できるFirebaseは、ほかのサービスに比べて応答が速いため、作業を効率的に進められます。
また、ローカルコピーでの作業により、オフライン環境での作業も可能です。オフライン環境で行われたローカルコピーでの更新は、インターネットでデータベースへと接続された段階で、自動的に同期されます。Firebaseを活用すれば、インターネットの有無にかかわらず、円滑な作業が可能です。Firebaseには、ほかにも以下のような多くのメリットがあります。
- サーバーの管理・保守に手間がかからない
- 幅広いニーズを満たす豊富な機能が備わっている
- クロスプラットフォーム(※1)に対応している
- ほかのGoogle Cloudサービスと併用して開発できる
Firebaseには、モバイルアプリケーションとWebアプリケーションの開発に便利な機能が豊富に揃っており、15以上の機能とサービスがあります。独自のビジネスロジックは組めませんが、煩わしいユーザー認証機能は「SDK」(※2)が「BaaS」と連携して開発をサポートしてくれます。クライアントは数行のコードを書けば、ユーザー認証機能を開発可能です。
※1. クロスプラットフォーム:AndroidとiOSなどの別のプラットフォーム上で、仕様が同じアプリケーションを動かすプログラムのこと
※2. SDK:ソフトウェア開発に必要なプログラムやAPIなどをパッケージ化したもの
Firebaseの使用料金
Firebaseで用意されているプランは、以下の2つです。
- Spark:無料プラン
- Blaze:従量課金制のプラン
「Spark」と「Blaze」は、料金だけでなく、利用可能な機能も異なります。2つのプランの料金と使用できる主な機能については、以下の表をご覧ください。
料金プラン | 料金体系 | 使用できる主な機能 |
Spark | 無料 |
|
Blaze | 従量課金制 |
|
「Spark」では、通信料やサービス利用量に制限が設けられていますが「Blaze」と使用できる機能は大きく変わりません。「Spark」でサービスの使用感を試してから、Firebaseを導入する方法をおすすめします。
Firebaseでできること9選【開発機能編】
Firebaseで利用できる主なアプリケーション開発機能は、以下の9つです。
- Cloud Firestore
- Realtime Database
- Firebase Extensions
- Firebase App Check
- Google Cloud Functions for Firebase
- Firebase Authentication
- Firebase Hosting
- Firebase Cloud Storage
- Firebase Machine Learning
アプリケーション開発機能を確認して、自社でどのように活用できるかをイメージしましょう。
Cloud Firestore
「Cloud Firestore」は、NoSQLのクラウド型データベースです。NoSQLは、RDB(リレーショナルデータベース)以外のデータベースを表します。Cloud Firestoreの特徴は、以下の2つです。
- 強力なクエリエンジンを利用できる
- 拡張性が高い
Cloud Firestoreでは、並べ替え可能なクエリエンジンと複数のプロパティを横断したデータ検索機能が利用できます。また、拡張性に優れているため、アプリケーションへの負荷が増えても、高いパフォーマンスで作業可能です。Cloud Firestoreについて詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
Realtime Database
「Realtime Database」は、Cloud Firestoreと同じく、NoSQLのクラウド型データベースです。Realtime Databaseの特徴を、以下に記載します。
- アプリケーション間でデータをリアルタイムに同期・保存できる
- オフライン環境でもデータを利用できる
- ユーザーのアクセス制御によってセキュリティの安全性を高められる
Realtime Databaseは、アプリケーション間で同期したい場合におすすめです。複雑なクエリを活用したい場合は、Cloud Firestoreの利用が向いています。
Firebase Extensions
「Firebase Extensions」は、Firebaseのみに利用できる拡張機能です。Firebase Extensionsには、以下のような特徴があります。
- アプリケーションへ手軽に拡張機能を追加できる
- ニーズに応じて、拡張機能をカスタマイズしやすい
- カスタマイズ後の拡張機能は、実装後の保守管理が必要ない
Firebase Extensionsを活用すれば、コードの量を削減でき、複雑なシナリオであっても効率的な処理が可能です。
Firebase App Check
「Firebase App Check」は、Firebaseにおけるサービスの不正利用を防止できる機能です。Firebase App Checkを活用すれば、信頼できるリクエストのみを受けて、フィッシングや請求詐欺などの不正利用を防止できます。Firebase App Checkの特徴を、以下に記載します。
- iOSやAndroidなどの幅広いプラットフォームに対応できる
- Google Cloudのサービスに対応できる
- 簡単なコードで動かせる
Google Cloud Functions for Firebase
「Google Cloud Functions for Firebase」は、Firebaseの動作に連動した関数を作成できる機能です。Google Cloud Functions for Firebaseの特徴を、以下に記載します。
- サーバーなしであっても関数が動作する
- 自動スケーリング機能が利用できる
- 安全性と機密性が高く、リバースエンジニアリング(※1)を受けるリスクが低い
※1. リバースエンジニアリング:動作からプログラムの詳細を調査する手法
Firebase Authentication
「Firebase Authentication」は、アプリケーション認証システムを手軽に構築できる機能です。Firebase Authenticationの特徴を、以下に記載します。
- パスワードとメールアドレスの組み合わせや、SNSを活用した幅広い認証機能を利用できる
- Googleのノウハウと専門知識を集めた情報セキュリティ・認証システムを、簡単なコードで設定できる
Firebase Hosting
「Firebase Hosting」は、アプリケーションやWebページなどのコンテンツを手軽に配信できる機能です。Firebase Hostingの特徴を、以下に記載します。
- 全世界でコンテンツを配信できる
- カスタムドメイン用に無料のSSL証明書が自動で提供される
- 簡単にアプリケーションを実装できる
Firebase Cloud Storage
「Firebase Cloud Storage」は、写真や動画などの作成したコンテンツをクラウド上で管理できる機能です。Firebase Cloud Storageの特徴を、以下に記載します。
- Googleが保有している大規模なインフラを活用して、コンテンツを管理できる
- オフライン環境であっても、確実にユーザーへデータを転送できる
Firebase Machine Learning
「Firebase Machine Learning」は、アプリケーションに機械学習を追加できる機能です。Firebase Machine Learningの特徴を、以下に記載します。
- Google Cloudの高精度な機械学習を利用できる
- デバイスへ必要に応じて機械学習モデルを配信できる
Firebaseでできること9選【運用機能編】
Firebaseで利用できる主なアプリケーション運用機能は、以下の9つです。
- Firebase Analytics
- Firebase Remote Config
- Firebase Performance Monitoring
- Firebase Test Lab
- Firebase App Distribution
- Firebase A/B Testing
- Firebase Cloud Messaging
- Firebase Crashlytics
- Firebase In-App Messaging
各機能を確認して、アプリケーションを運用する際に役立つ機能を把握しましょう。
Firebase Analytics(アプリ開発)
「Firebase Analytics」は、ユーザー行動やアプリケーションの利用状況から、サービス改善もしくはマーケティングに役立つ情報を分析できる機能です。Firebase Analyticsの特徴を、以下に記載します。
- アプリケーションの使用やダウンロードなどのユーザー行動を分析できる
- デジタル広告を最適化できる
- BigQuery(Googleのビッグデータ解析サービス)と連携できる
Firebase Remote Config
「Firebase Remote Config」は、バージョンをアップデートしなくても、アプリケーションの外観や動作を変更できる機能です。Firebase Remote Configの特徴を、以下に記載します。
- バージョンのアップデートによる不具合やクラッシュのリスクを低減できる
- 利用地域やユーザー像によって、アプリケーションをカスタマイズできる
Firebase Performance Monitoring
「Firebase Performance Monitoring」は、アプリケーションの動作を細かく追跡できる機能です。Firebase Performance Monitoringの特徴を、以下に記載します。
- アプリケーションのエラー発生状況や応答速度などのさまざまな項目で分析ができる
- アプリケーションのバージョンや利用するデバイスの種類によって、パフォーマンスを細かく追跡できる
- エラーの発生状況を再現して、解決策を考えられる
Firebase Test Lab
「Firebase Test Lab」は、仮想デバイスもしくは物理環境で、アプリケーションの動作をシミュレーションできる機能です。Firebase Test Labの特徴を、以下に記載します。
- さまざまな使用環境でのテストに対応できる
- アプリケーションにおける問題点を、スクリーンショットやログなどの視覚的にわかりやすい形式で出力できる
Firebase App Distribution
「Firebase App Distribution」は、開発段階もしくはプレリリース版のアプリケーションを、テスターに配布できる機能です。Firebase App Distributionの特徴を、以下に記載します。
- テスターの登録や通知などの管理がしやすい
- プレリリース版アプリケーションにおけるテスターのデータ分析結果を、ダッシュボードで確認できる
Firebase A/B Testing
「Firebase A/B Testing」は、アプリケーションの機能やUI、キャンペーンの変更をテストできる機能です。Firebase A/B Testingの特徴を、以下に記載します。
- アプリケーションの変更によるマーケティングへの影響を細かく追跡できる
- 専用の分析機能を利用して、テスト結果が統計的に有意かどうかを確認できる
- インフラを意識しなくても、テストができる
Firebase Cloud Messaging(FCM)
「Firebase Cloud Messaging」は、デバイスとアプリケーション間で通知やメッセージなどのコンテンツを送受信する機能です。Firebase Cloud Messagingの特徴を、以下に記載します。
- 信頼性が高い
- 電池消費量を抑えた通信ができる
- 地域やユーザー像を指定して通知もしくはメッセージを送受信できる
- 送信するコンテンツを柔軟にカスタマイズできる
Firebase Crashlytics
「Firebase Crashlytics」は、アプリケーションにおけるクラッシュデータの統計機能です。Firebase Crashlyticsの特徴を、以下に記載します。
- クラッシュが発生した際の分析情報から、バグを再現してすばやく修正できる
- クラッシュの発生に関するリアルタイムなアラートを設定できる
Firebase In-App Messaging
「Firebase In-App Messaging」は、ユーザー行動や興味・関心をもとにした適切なタイミングでメッセージを送信できる機能です。Firebase In-App Messagingの特徴を、以下に記載します。
- 統計情報をもとにして、さまざまなユーザー像に合った関連性の高いメッセージを提示できる
- バナーや画像などの形式でメッセージを表示できる
- メッセージのクリック数やコンバージョン数などの統計を出せる
Firebaseの導入は電算システムに相談ください
Firebaseの導入を検討している企業様は、Googleサービスの導入・運用サポートをしている「株式会社電算システム」へぜひご相談ください。電算システムは、Googleサービスに精通しており、Google Cloudに関する多くのノウハウを持っています。
Firebaseは、同じGoogleのサービスであるGoogle Cloudとの併用によって、より柔軟かつ高度な開発が可能になります。Firebaseの導入を検討している場合は、Google Cloudの導入も併せて検討しましょう。Google Cloudの導入サポートをしている電算システムの特徴は、以下の通りです。
- Googleの専門資格者が多数在籍している
- Googleが提供するサービスの導入サポート実績が、3,000社以上ある
- 全国展開している企業である
Google Cloudや電算システムについて詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
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Firebaseでアプリ開発にかかる手間やコストを削減しよう
Firebaseは、モバイルアプリケーションとWebアプリケーションに特化したmBaaSです。アプリケーションの開発・運用の効率化に役立つさまざまな機能が備わっています。Firebaseを導入するメリットは、以下の通りです。
- サーバーの管理・保守に手間がかからない
- データをリアルタイムで同期・保存できる
- 幅広いニーズを満たす豊富な機能が備わっている
- クロスプラットフォームに対応している
- ほかのGoogle Cloudサービスと併用して開発できる
Firebaseを導入する際は、Google Cloudとの併用がおすすめです。FirebaseとGoogle Cloudを併用すれば、より柔軟かつ高度な開発が可能になります。Firebaseの導入を検討している場合は、Google Cloudの導入も併せて検討しましょう。
サービスを導入する際は、Google Cloudの導入サポートをしている電算システムのリセールサービスがおすすめです。リセールサービスを活用すれば、以下のような特典が得られます。
- Google Cloudの利用料が3%割引される
- 無償のIT保険とメールサポートを利用できる
- 日本円で指定銀行への振込ができる
電算システムは、Google系統のサービスに特化しており、サービスの導入サポート実績が多くあります。サービスを導入・運用する際は、電算システムにぜひご相談ください。
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