オンラインストレージサービスの利用を検討している方のなかには、Boxというサービスを目にした方もいらっしゃるのではないでしょうか。Boxは、無制限のストレージ容量を利用できるオンラインストレージサービスです。ストレージ容量の大きさは、必要なデータを集約して効率的に作業を進める上で、重要なポイントです。
この記事では、Boxのサービス概要や基本機能、拡張機能、無料プランと有料プランの違いなどについて解説します。Boxの導入を検討する際の参考になる内容になっているので、ぜひ最後までお読みください。
Boxとは容量無制限のファイル共有サービス
Boxは、海外で開発されたオンラインストレージサービスです。すべての有料プランで無制限のストレージ容量を利用でき、保管するデータ容量の心配をする必要がありません。マルチデバイス対応になっており、タブレットやスマートフォンからアプリを使って利用もできます。アプリをインストールしなくても、ブラウザからの利用も可能です。
Boxは、二要素認証(※1)や通信の暗号化、ウィルスチェック、IPS(不正侵入防止システム)などのさまざまなセキュリティ機能を備えており、政府機関も採用しているサービスです。ユーザーが実行した処理をログとして記録する機能もあり、レポートとしてダウンロードもできます。
また、ファイルの同期機能によって、パソコン内のファイルを円滑に編集・保管でき、階層構造でファイルが保存されるため、ローカルファイルを扱う感覚で操作できる点も魅力です。
※1. 二要素認証:通常のパスワード認証とは別に、ワンタイムパスワードによる認証を設定する機能
Boxの基本機能一覧
Boxは、簡単な操作でファイル作成、アップロード、ダウンロード、編集ができるツールです。Boxの基本機能を、以下に記載します。
- フォルダやファイルの作成
- ファイルやフォルダのアップロード
- ファイルやフォルダのダウンロード
- ファイルやフォルダの共有
- ファイルやフォルダの削除
基本機能を確認して、Boxでできることを把握しましょう。
フォルダやファイルの作成
Boxでは、フォルダとファイルの保管方法が階層構造になっており、ローカルファイルを扱う感覚で操作できます。Boxでフォルダやファイルを作成する方法は、以下の通りです。
- アプリもしくはブラウザからBoxにログインする
- 画面右上の「新規」をクリックする
- 「フォルダ」をクリックする
- フォルダ名を入力する
- 「作成」をクリックする
ファイルやフォルダのアップロード
Boxにファイルやフォルダをアップロードする方法は、以下の通りです。
- 画面右上にある「新規」をクリックする
- 「ファイルアップロード」もしくは「フォルダアップロード」をクリックする
- Boxにアップロードしたいファイルまたはフォルダを選択する
- 「開く」もしくは「アップロード」をクリックする
使用するブラウザがChrome、Safari、Firefoxのいずれかであれば、ドラッグアンドドロップで簡単にアップロードできます。
ファイルやフォルダのダウンロード
Boxからファイルやフォルダをダウンロードする方法は、以下の通りです。
- ファイル名もしくはフォルダ名の右側にある「…」をクリックする
- ツールバーが表示される
- ダウンロードアイコンをクリックする
複数のファイルやフォルダをまとめてダウンロードしたい場合は「Shiftキー」を押しながら複数の項目を選択します。2つ以上のファイルを選択した際は、1つのZipファイルとしてまとめてダウンロードされます。
ファイルやフォルダの共有
Boxでファイルやフォルダをほかの人に共有する方法は、以下の通りです。
ユーザーを招待する方法
- ファイルもしくはフォルダの行にカーソルを置く
- 「リンクアイコン」をクリックする
- 「ユーザーを招待」欄で共有したいユーザーのメールアドレスを入力する
- 「送信」をクリック
共有リンクでユーザーと共有する方法
- ファイルもしくはフォルダの行にカーソルを置く
- 「リンクアイコン」をクリックする
- 「ユーザーを招待」欄で共有したいユーザーのメールアドレスを入力する
- 「リンクを共有」欄にある共有リンクをコピーする
- チャットやメールなどで共有したい相手にURLを知らせる
共有されたユーザーは、Boxにログインしていつでも共有したファイルやフォルダにアクセスできます。設定する権限によって、ユーザーの操作範囲を制限可能です。
ファイルやフォルダの削除
Boxにあるファイルやフォルダを削除する方法は、以下の通りです。
- ファイルやフォルダを右クリックもしくは「…」をクリックする
- 「ごみ箱」をクリックする
ごみ箱に入れたファイルやフォルダは、一定期間削除されません。ごみ箱に入れて30日間保管されるため、30日以内であれば、いつでも復元可能です。
Boxの拡張機能一覧
Boxでは、拡張機能によって、より便利な機能を利用できます。Boxの主な拡張機能は、以下の通りです。
- Box Edit
- Box Drive
- Box Capture
- Box Relay
- 1500以上のアプリ連携
拡張機能を確認して、Boxの理解を深めましょう。
Box Edit
Box Editは、130種類を超えるファイル形式を閲覧できるアドオン(※1)です。Box Editをパソコンにインストールすれば、Box上で直接編集ができます。例えば、ExcelがインストールされたパソコンでBoxを開き、Excelファイルを編集・保存可能です。保存されたファイルは、Boxへ自動的にアップロードされます。
※1. アドオン:ソフトウェアに新しい機能を追加するプログラムのこと
Box Drive
Box Driveは、パソコンのデスクトップから直接Boxを操作できるアドオンです。パソコンからBoxを利用する場合は、ブラウザからアクセスしなければなりませんが、Box Driveがあれば、パソコンのデスクトップからBox内のファイルを編集できます。
Box Driveは、PDFファイルやWord文書などをデスクトップから直接編集して、Boxにアップロードできるため、パソコンのストレージ容量を利用しません。ストレージ容量を使わずに、効率よく作業が進められます。
Box Capture
Box Captureは、iPadやiPhoneで撮影した写真や動画を、Box内のフォルダに自動でアップロードできるモバイルデバイス専用のアプリです。Box Captureを使えば、写真や動画をカメラロールに保存して、Boxにアップロードする手間がかかりません。
データのアップロード先となるフォルダを任意の相手に共有しておけば、現場の状況や紙資料のスキャン画像などを複数人でリアルタイムに確認できます。円滑にファイルの共有ができ、業務の効率化につながるでしょう。
Box Relay
Box Relayは、Box内でワークフローの自動化ができるツールです。ワークフローの作成、自動化、管理ができ、業務の効率化を実現できます。ファイルの作成やアップロードなどをきっかけとして、データのレビュー・承認をするユーザーの割り当てや共有を紐づけながら、一連のワークフローを自動化します。
1500以上のアプリ連携
Boxは、1,500を超えるアプリと連携できるオンラインストレージサービスです。外部アプリで扱うファイルをセキュアな環境で一元管理できます。各アプリにファイルを保存する場合と比べて、ストレージ容量を気にせずに、より効率的にファイルを管理可能です。また、Boxは、50世代を超えるバージョンのファイルを自動で保存できるため、すべてのコンテンツの編集履歴を確認できます。
Boxの便利機能一覧
Boxには、ビジネスに役立つ便利な機能が備わっています。Boxの主な便利機能は、以下の通りです。
- アクセス権限
- アクション通知
- アクセスログ確認
機能を確認して、Boxの導入を検討する際の参考にしてください。
アクセス権限の設定
Boxでは、ユーザー別にファイルの操作権限を細かく設定できます。設定できる操作権限は、以下の通りです。
- プレビューアー:ファイルを閲覧できる
- アップローダー:ファイルをアップロードできる
- プレビューアー・アップローダー:ファイルの閲覧とアップロードができる
- ビューアー:ファイルの閲覧とダウンロード、リンクの取得ができる
- ビューアー・アップローダー:ファイルのアップロードとダウンロード、編集ができる
- 編集者:ビューアー・アップローダーの権限に加えて、ファイルの削除ができる
- 共同所有者:編集者の権限に加えて、コラボレータ(※1)の追加や削除、フォルダの設定変更などができる
※1. コラボレータ:特定のフォルダに関して、閲覧や変更の権限を付与されたユーザーのこと
アクション通知
Boxは、メールによるアクション通知を利用できます。例えば、自分がアクセス権限を持っているフォルダに変更があった場合、メールで自動的に通知が届きます。アクション通知を受け取れる変更の例は、以下の通りです。
- ファイルのアップロード
- ファイルのダウンロード
- ファイル内でのコメント
- ファイルのプレビュー
- ファイルの削除
アクション通知は、フォルダやアクション種別ごとに設定でき、セキュリティ対策や業務連絡の簡略化に活用できます。ほかにも、コラボレータ招待の承諾や共有リンクの期限切れなどに関しても、メール通知を設定可能です。
アクセスログ確認
Boxでは、ユーザーのアクセスログを確認できる機能があります。ファイル単位で閲覧、編集、コメント、ダウンロードのログを追跡しているため、ユーザーのアクションを細かく把握できます。アクセスログは、特定のユーザーやアクションに絞って、エクスポートが可能です。
また、Boxは、50世代を超えるファイルのバージョン履歴と、70種類を超える監査ログを自動的に保存するため、ファイルの消失や流出防止に貢献します。
無料プランと有料プランの違い
Boxの無料プランと有料プランでは、管理機能の有無やストレージ容量、アップロードファイル容量の上限などに違いがあります。Boxの無料プランと有料プランの代表的な違いは、以下の通りです。
プラン名 | 無料プラン | 有料プラン |
---|---|---|
認証機能 | パスワード設定のみできる | スワード設定、パスワード期限設定、IPアドレス制限ができる |
外部への公開・共有の制御 | 不可 | 可能 |
ログ管理 | 不可 | 可能 |
ストレージ容量 | 10GB | 無制限 |
1ファイルのアップロード上限 | 250MB | 最大で225GB |
Boxの無料プランには、管理機能がなく、個人向けに提供されているプランです。有料プランでは、管理機能や無制限のストレージ容量が利用でき「Business」「Business Plus」「Enterprise」「Enterprise Plus」の4つのプランが用意されています。企業や団体などの組織で利用する場合は、有料プランがおすすめです。
Boxを利用する際の3つの注意点
Boxを利用する際の注意点は、以下の3つです。
- Box Driveのダウンロードで容量が圧迫される可能性がある
- ファイルの管理が煩雑になりがち
- 無料プランは1人しか使えない
Boxを利用しているなかでトラブルが発生した場合は、状況確認や対処法の検討をします。事前にトラブル防止に向けた対策も必要です。Boxで障害が発生した場合は、Box Statusで確認しましょう。
Box Driveのダウンロードで容量が圧迫される可能性がある
Box Driveをパソコンにインストールした後に、ディスクの空き容量が大きく減る場合があります。キャッシュもしくはログファイルが大容量になって、ディスクの容量を消費している可能性があるため、以下の原因と対処法を確認して、適切に対応しましょう。
キャッシュが大容量になっている場合
- 原因:キャッシュ機能(※1)によって、ディスクの容量を大量に消費している
- 対処法:タスクバーにあるBox Driveのアイコンを右クリックして「ログアウト」する
ログファイルが大容量になっている場合
- 原因:大容量のファイルが共有されているフォルダへアップロードされた場合に、ログファイルとしてすべて保存される仕組みになっている
- 対処法:大容量になっているログを削除する
※1. キャッシュ機能:1度開いたファイルを次回すぐに開けるようにする機能
ファイルの管理が煩雑になりがち
Boxを利用する際は、ファイル管理が煩雑にならないように注意しましょう。Boxの有料プランでは、無制限のストレージ容量が利用できるため、無限にファイルやフォルダを保管できます。ファイルが増えれば、フォルダも増えていき、階層が深くなる傾向にあります。
ファイル管理が煩雑になった場合、目的の情報にアクセスしにくくなるため、注意が必要です。小まめにファイルやフォルダを整理して、管理しやすい状態を維持しましょう。
無料プランは1人しか使えない
Boxの無料プランは、10GBのストレージ容量が利用できますが、利用人数が1人に限定されているため、ビジネスでの使用には向いていません。セキュリティ機能が限定的で、管理機能も利用できない点を考えれば、企業には有料プランが適しています。有料プランでは、複数人でサービスを利用でき、外部の人とも簡単にファイルを共有できます。
Boxと比較検討されるオンラインストレージ3選
Boxとよく比較検討されるオンラインストレージは、以下の3つです。
- OneDrive
- Dropbox
- Google Drive
ほかのオンラインストレージと比較して、Boxが自社にとって最適かどうかの判断材料にしましょう。
One Drive
OneDriveは、マイクロソフト社が開発したオンラインストレージサービスです。Boxと比較して、コストを抑えて利用できます。OneDriveは、Microsoft365(旧Office365)の1つとしても利用できるため、エクセルやワードといったほかのツールと併せて業務に活用可能です。Microsoft 365(旧Office 365)のユーザーで1TB、無料版で5GBのストレージ容量が利用できます。
公式ページ:One Driveのサービスサイト
Dropbox
Dropboxは、Dropbox.incが開発したオンラインストレージサービスです。無料プランの場合、ストレージ容量の上限は2GBであるため、ビジネスでの利用には有料プランがおすすめです。Dropboxには、boxと同様にストレージ容量が無制限のプランもあります。SlackやZoomなどのビジネスツールとの連携に優れており、チーム間のやり取りに便利なサービスです。
公式ページ:Dropboxのサービスサイト
Google Drive
Google Driveは、Googleが開発したオンラインストレージサービスです。無料プランでは、15GBのストレージ容量が利用できます。マイクロソフトと同様に、グループウェア(※1)の1つとして利用でき、Google WorkspaceやGmailをはじめとしたカレンダー、オンライン会議、チャットなどのビジネスツールとしても活用できます。
タブレットやスマートフォンなどのモバイル端末では、パソコンにあるほとんどの機能が使用できるため、社内外問わず利用しやすいツールです。
※1. グループウェア:企業におけるコミュニケーションや業務の活性化に役立つツール
公式ページ:Google Driveのサービスサイト
容量などのポイントを重視してストレージを選定しよう
オンラインストレージサービスを選定する際は、以下のようなポイントを意識した比較・検討が大切です。
- 企業で利用する際に重要視するものは何か
- セキュリティ対策が整っているかどうか
- 機能が充実しているかどうか
- ユーザが活用しやすいかどうか
- 利便性が高いかどうか
- コストが適切かどうか
1度導入した後に、ほかのサービスへデータを移行するのは大きな手間と時間を要します。最初のサービス選びが重要になるため、慎重に検討しましょう。Google Workspace(Google Drive)は、ストレージ容量の大きさに加えて、ほかのツールとの連携性にも優れたサービスです。新しいツールを導入する場合でも、連携できるかどうかの心配を少なくできます。
Google Workspaceに興味のある方は、Google Driveについてわかりやすくまとめた以下の資料をぜひご覧ください。無料でGoogle Driveへの移行に関する知識が身につけられます。
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