<img height="1" width="1" style="display:none" src="https://www.facebook.com/tr?id=445779107733115&amp;ev=PageView&amp;noscript=1">

Google Workspace が AI でさらに進化!
最新アップデートで働き方が変わる
(Google Cloud Next '25 発表内容まとめ)

 2025.06.23  河窪 伸弥

Google Workspace の最新アップデートをチェックしましたか?

先日開催された Google Cloud Next '25 では、AI、特に Gemini を活用した画期的な新機能が多数発表されました。これらは、情報過多や会議疲れといった日々の業務課題を解決し、私たちの働き方を大きく変える可能性を秘めています。

しかし、「具体的に何ができるようになるの?」「どう活用すればいいの?」といった疑問も多いかと思います。

そこで本記事では、Next '25 で発表された Google Workspace の主要な新機能について、その詳細から「こんな未来が待っているかも!」という活用例まで徹底解説します!

Google Cloud Next '25とは?

Google Cloud Nextは、Googleが毎年開催する、クラウドとAIの最前線を発表する旗艦イベントです。
Next '25は、米国ラスベガスのマンダレイ・ベイ・コンベンション・センターにて、2025年4月9日から11日まで開催されました。

このイベントでは、AIエージェントというキーワードが数多く出てきました。人工知能(AI)が具体的なビジネスアプリケーションへと移行する上で多くの発表が行われました。

Next '25は、大規模なグローバルイベントとして、基調講演、多数のセッション、デモンストレーション、ネットワーキング等が開催され、広大なExpo会場では最新技術やパートナーブースでのソリューションが展示され活発な交流が行われていました。

イベントでは、Google Cloudのプロダクトの進化や新しい働き方のヒントが数多く紹介され、Geminiをはじめとする生成AI関連の発表が多数登場しました。

今回の Google Cloud Next '25 では、「AIエージェント」と呼ばれる技術が、私たちの仕事の現場で具体的にどのように役立つのか、その未来像がたくさん示されました。
「AIエージェント」とは、まるで賢いデジタルアシスタントのようなものと考えていただくと分かりやすいかもしれません。
これは、AIが単に計算が得意になったり、知識が増えたりするだけではありません。私たちの日常的な作業を自動で肩代わりしてくれたり、今までバラバラで使いにくかった様々な業務ソフト(アプリケーション)同士をスムーズにつないでくれたりすることで、仕事のやり方そのものを大きく変える可能性を秘めている、ということです。

1 分でわかる Google Cloud Next '25 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=OIJywyYQrd8

この記事では、Google Workspace における発表内容を以下の3つの点に焦点を当てて解説します。

  1.  AI によるワークフロー自動化とアプリケーション連携の強化
  2. Gemini がもたらすコラボレーションと生産性の向上
  3. Google Workspace with Gemini の安全性について

それぞれの発表内容に加えてブースで現地のGooglerに聞いた内容や、筆者自身の「こうなるかも」「こんなことができるようになるかも」といったものも合わせて解説していきます。

1. AI によるワークフロー自動化とアプリケーション連携の強化

このセクションでは、「AI によるワークフロー自動化とアプリケーション連携の強化」に関する発表について解説します。

これまでのGoogle WorkspaceにおけるAI機能は、例えば「Gmailに〇〇のAI機能が追加された」「〇〇機能が日本語に対応した」といったように、主に単一のサービス内でのアップデートが中心でした。

しかし、今回のNext '25における発表の大きな特徴は、Google Workspaceの各アプリケーション間での連携機能を強化する点にあります。

例えば、これまでGmailでメールを処理し、その内容を元にGoogleドライブでドキュメントを作成・参照し、さらにカレンダーで予定を設定するといった一連の作業を各アプリケーションの画面を切り替えながら行っていたかと思います。
このセクションではそうしたアプリケーション間の連携がよりスムーズになるためのアップデートをまとめています。

Workspace Flows

google-workspace-evolves-even-further-with-ai-1

(YouTubeより引用)

今回のGoogle Cloud Next '25における発表で筆者も特に期待する機能がこの「Flows」です。

これまでGoogle Workspaceの各アプリケーションを連携させ、業務を自動化しようとする場合、Google Apps Script(GAS)を利用するのが主な手段の一つでした。

しかしこのFlows機能を利用することで、GASのようなコードの知識を必要とせず、Google Workspaceのアプリケーション同士をノーコードで連携させることができるようになります。

デモを見る限り、直感的に利用できそうでした。
「フォームの回答があったら」「特定のメールを受信したら」といったトリガーを設定し、それに応じて「Chat に通知する」「スプレッドシートに記録する」「Gemini に要約させる」「メールを作成して下書き保存する」等々様々なアクションを自動で実行させることができます。

さらに、発表ではGoogle Workspaceのアプリケーションに加えて、将来的にはサードパーティ製のアプリケーションとの連携も予定されており、自動化できる業務範囲が大幅に拡大する見込みです。

紹介動画の画面には下記のようなことができると記載されていました。

フロー (App連携) 使用例 (英語タイトル) ワークフローの内容
Gmail > Chat Notify me when my manager messages me マネージャーからメールが届いたら、Google Chatで通知を受け取ります。
時間トリガー > Chat Get team updates 毎週決まった時間にChatでチームメンバーにアップデート状況を確認します。
Chat > Chat Welcome new team members 新しいメンバーがChatスペースに参加した際に、自動で歓迎メッセージを送ります。
Calendar > Chat Get ready for a team meeting ミーティングの準備として、出席者がいるChatスペースで議題の更新を促します。
Forms > Chat Notify team about new form responses Google Formsに新しい回答があったら、その概要をチームのChatスペースに投稿します。

Geminiを含めたFlowには下記のようなものが記載されていました。

フロー (App連携) 使用例 (英語タイトル) ワークフローの内容(日本語説明)
Gmail > Gemini > Chat Notify me about new action items メールからAI(Gemini)がタスクを抽出し、Chatスペースに自動で投稿します。
Gmail > Gemini > Chat Notify team about new sales messages 顧客からのメールをAI(Gemini)が要約し、その要約をチームのChatスペースに共有します。
Gmail > Gemini > Chat Stay on top of urgent messages メールの重要度をAI(Gemini)が判定し、緊急度の高いものをChatで通知・共有します。

google-workspace-evolves-even-further-with-ai-2

(YouTubeより引用)

また、Google Workspace Flows の強力な機能の一つとして、「Gems」 をワークフロー内に組み込める点が挙げられます。

「Gems」とは、これまで Gemini アプリで利用可能だった機能で、特定のタスクを実行させるための詳細な指示(プロンプト)を事前に定義・保存しておける、いわば「カスタムチャットボット」のようなものです。
例えば、「この形式で週報を作成して」「この定型文で返信案を考えて」といった、繰り返し行う複雑な指示を Gem として保存しておくことができます。

そして、今回の Flows に関する発表の中では、このようにユーザーが事前に作成しておいた Gems を、自動化ワークフローのアクションの一つとして呼び出せるようになることも紹介されました。

これにより、複雑なプロンプトの再利用を簡単に行うことができます。
長文になりがちな詳細な指示を毎回入力する必要がなく、Flows の中で簡単に Gem を呼び出すだけで、カスタマイズされた一貫性のある処理を実行できます。

つまり、Flows が自動化の「流れ」を制御し、その流れの中で特定のカスタマイズされた処理が必要になった際に、最適な「Gem」を呼び出して実行させる、といった連携が可能になるのです。

このFlows機能の具体的な活用例としては、以下のようなシナリオが考えられそうです。

 

顧客からの問い合わせ対応(紹介映像での利用方法)
トリガー:Googleフォームからの問い合わせ受信

作業①:Geminiが概要要約と優先度の判断

作業②:要約した内容を特定のチャットスペースに投稿

これにより、問い合わせ対応のスピードと質の向上が期待されます。

日報の自動収集と要約
2つのFlowを連携させて下記のようなこともできそうです。
※この使い方ができない可能性もあります。まだ利用や検証ができていないため、推測の域を出ない部分も含みます。

■Flow①
トリガー:チームメンバーが特定の件名で日報メールを送信

作業①:その内容を自動でスプレッドシートに転記

■Flow②
トリガー:毎週末の時間トリガー

作業①:Gemini が全員分の日報が書かれたスプレッドシートを要約

作業②:管理者のChatに投稿する

これにより、各メールを確認することなく、情報共有の手間を大幅に削減することができそうですね。

Google Workspace Flows - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=fBmHNeDXYu8

Gemini Teammate

日々の業務において、チーム内外とのコミュニケーションや情報共有にGoogle Chatを活用されている方は多いかと思います。
リアルタイムでのやり取りは非常に便利ですが、一方で、活発なスペースや参加人数が多いスペースでは、情報が流れてしまったり、後から長文のスレッドの内容を把握するのが大変だと感じた経験はないでしょうか?

まさに、こうしたGoogle Chatにおける「困った」状況を解決してくれるのが、この新機能「Gemini Teammate」です。

この機能は、まるでチームに新しいメンバーが加わるかのように、GeminiをGoogle Chatのスペースに「チームメイト」として招待し、様々なタスクを依頼できる機能です。

「同僚Gemini」に話しかけるだけ!簡単操作で業務をサポート
Gemini Teammateの使い方はとてもシンプルです。
Chat内で @Gemini とメンションし、続けて依頼したい内容を言葉で入力するだけです。
まるで隣の席の同僚に「ちょっとこれお願い!」と声をかけるような感覚で、以下のような作業をGeminiに任せることができます。

・会話の要点まとめ
「@Gemini この会話の要点をまとめて」と依頼すれば、長くなったスレッドの内容を簡潔に整理してくれます。

・やり取りの内容の抽出
議論が白熱し長くなったスレッドでも、「@Gemini このスレッドの結論を教えて」と聞けば、Geminiが結論を的確に示してくれます。

・アクションアイテムのリストアップ
「@Gemini 次のアクションアイテムをリストアップして」と指示するだけで、やるべきことを明確にしてくれます。

デモ動画を見る限りでも、非常にスムーズかつ直感的に利用できることが伺えます。

google-workspace-evolves-even-further-with-ai-3

google-workspace-evolves-even-further-with-ai-4

Gemini in Google Chat conversations - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=F6PjqM55AHg

Gmail から Chat を開始

これまでGoogleカレンダーの予定に参加しているメンバーと、ワンクリックで簡単にGoogle Chatを開始できる便利な機能がありましたが、その「Gmail版」とも言える新機能が発表されました。

この機能により、Gmailで受け取ったメールの内容について、メール画面からワンクリックでGoogle Chatを開始できるようになり、関連するメンバーとの迅速な連携ができるようになります。

この新機能の以下の2つの点が便利な点だと感じました。

・宛先メンバーの自動提案
メールを受信した際、そのメールの受信者(To)やCCに含まれているメンバーを、チャットのダイレクトメッセージに自動的に追加してくれます。
これにより、「メールの宛先を確認して、チャットメンバーを一人ずつ追加して…」といった手間が完全に不要になります。関係者とのチャットを、文字通り「すぐに」開始できるようになります。

・メールの自動引用
新しく立ち上げたChatスペースには、元となったメールへのリンクが自動的に引用されるようになります(デモで確認)。
これにより、「どのメールについての相談・議論なのか」を改めて説明する必要がなくなり、参加者全員がスムーズに本題に入ることができます。

具体的な活用シーンとして、例えば、緊急度の高いお客様からの問い合わせメールを受信した場面を想像してみてください。

従来であれば、メールのTo、Ccを確認し、チャットグループを作成し、メールの内容をコピー&ペーストして状況を説明する…といった手順が必要でした。
しかし、この新機能を使えば、メール画面から関係者を含むChatを即座に開始し、引用されたメールリンクを元に、スピーディーに対応策の検討を始めることができます。

その他にも、下記のような場面で便利に利用できそうですね。

・複数人で内容を確認したい複雑なメール
・プロジェクトに関する重要な情報共有メール

Chat でのドキュメント要約

Google Chat で日々多くの情報やファイルが共有される中で、「後で確認しよう」と思ったまま、ファイルを開く手間から内容を見逃してしまった経験はありませんか?
そんな悩みを解決してくれる便利な機能が Google Chat に追加されています。
それが、Chatのサイドパネルを活用した「ドキュメント要約」機能です。

この機能を使えば、Google Chat 上で共有された Google ドキュメント、スプレッドシート、スライドなどのファイルを、わざわざ開くことなく内容の要約を確認できます。
すでに利用できる機能で、筆者も良く利用しています。

使い方は非常に簡単です。共有されたファイルのプレビュー画面に注目してください。以下のように「このファイルを要約」というボタンが表示されます。

google-workspace-evolves-even-further-with-ai-5

このボタンをクリックするだけで、 Gemini がファイルの内容を解析し、簡潔な概要を生成して Chat のサイドパネルに表示してくれます。
画像の例では、このブログの下書きドキュメントをワンクリックで要約をしてもらった結果です。

google-workspace-evolves-even-further-with-ai-6

「ドキュメント要約」機能は、特に以下のような場面で真価を発揮します。

・大量の共有資料の確認
プロジェクトメンバーから次々と資料が共有されるような状況でも、もう慌てる必要はありません。まずは Gemini の要約で各ファイルの概要を素早く把握し、本当に重要な資料だけを選んでじっくり確認すれば OK です。
これにより、情報収集の効率が劇的に向上し、時間を有効活用できるようになります。

・過去の情報の振り返り
Chat の履歴を遡って過去の共有ファイルを探す際も、ファイルを開かずに内容を把握できるため、目的の情報にたどり着きやすくなります。

AI エージェント用 Chat API

Google Cloud Next '25 では「エージェント」という単語が重要なキーワードとして繰り返し登場しました。
その流れの一環として、Google Chat を活用する AI エージェントのための、新しい Chat API が発表されました。
この API によって、エージェントができることをさらに拡張します。

これまでのChat APIはメッセージの送受信が中心でした。
今回、それらの API に加え、以下の操作についてもAPIから利用できると発表されました。


・会話履歴の読み込み
これにより、AI エージェントは過去の対話の流れや文脈を正確に理解できるようになります。これにより、単なる一問一答を超えた、より人間味のある深い対話や、状況に基づいた的確な判断、提案が可能になります。

・新しいスペースの作成
AI エージェントが自らの判断に基づき、特定の目的(インシデント対応、プロジェクトキックオフなど)に合わせた新しい Chat スペースを動的に作成できるようになります。これは、AI エージェントが状況に応じて能動的にコラボレーション環境を構築できることを意味します。

・メンバーの追加・削除
AI エージェントは、作成したスペースや既存のスペースに対して、必要に応じて関連するメンバーを自動で招待したり、退出させたりといった管理を行えるようになります。これにより、AI エージェントはタスクの進行に合わせて、適切な関係者を巻き込むといった、よりプロアクティブなアクションを実行できます。
これらの機能が組み合わさることで、AI エージェントは単なる情報応答ツールから、自ら考え、状況を判断し、必要なアクション(スペース作成、メンバー招集など)を実行する、真の意味での「エージェント」へと進化する可能性を秘めています。

上記の機能が追加されることで、AI エージェントによる下記のような活用例が考えられます。

・インシデント対応 エージェント
システム障害を検知すると、AI エージェントが関連エンジニアを特定し、即座に専用の Chat スペースを作成。会話履歴から過去の類似障害情報を検索・提示し、必要な追加メンバーを招待するなど、初動対応を自律的に主導します。これにより、問題解決までの時間を大幅に短縮できる可能性があります。

・社内問い合わせ対応 支援エージェント
問い合わせの内容を理解し、過去の 会話履歴やドキュメントから回答を生成するだけでなく、必要に応じて専門知識を持つ社員がいるスペースを作成したり、既存スペースにメンバーを追加してエスカレーションしたりするなど、より高度でスムーズな問題解決を支援します。

(補足:API 機能の応用)
ちなみに、今回追加されたスペース作成メンバー管理といった API 機能は、AI エージェントを介さずにこれらの機能を直接利用することもできます。
例えば年度初めに全部署の Chat スペースを一括で作成するといった、定型的なバッチ処理やシステム連携に応用することもできそうですね。

2.Gemini がもたらすコラボレーションと生産性の向上

Google Workspace に統合された Gemini は、私たちが日常的に使用する各アプリケーションの能力を拡張し、チーム全体のコラボレーションと生産性を飛躍的に向上させる可能性を秘めています。

このセクションでは、各アプリに搭載された、あるいは今後予定されている Gemini の新機能が、私たちの働き方をどのように変えていくのかをご紹介します。

スプレッドシートの AI 関数 (α版提供中)

これまで手作業で行っていたデータ整理や分析作業を自動化する、画期的な機能がスプレッドシートに登場しました。それが AI 関数です。

この機能は、スプレッドシートのセル内に、「=AI("プロンプト", 対象セル)」 と記述するだけで、Gemini の強力な AI 機能を手軽に呼び出せるというものです。

具体的には、以下のような処理を関数一つで実行できます。

  • テキスト生成: 指示に基づいた文章を作成
  • 要約: 長い文章を簡潔にまとめる
  • 翻訳: 指定した言語に翻訳する
  • 分類: テキストを任意のカテゴリに仕分ける
  • 感情分析: 文章がポジティブかネガティブかを判定する

例えば、顧客からのフィードバックコメントが入ったセルの横に、 
=AI("このフィードバックを『ポジティブ』『ネガティブ』『要望』に分類してください", A2)
のように入力するだけで、AI が内容を判断し、自動で分類してくれます。

※注意点(2025年6月12日時点)
この AI 関数は現在アルファ版の機能として提供されています。
ご利用には、以下の点にご注意ください。

  • Google Workspace 管理コンソールでの「アルファ版機能」の有効化が必要です。
  • アカウントの言語設定を「英語」にする必要があります。
  • AI への指示(プロンプト)も、現時点では英語のみの対応となります。

この AI 関数を使えば、これまで多大な時間と労力を要していた作業を劇的に効率化できます。

・アンケート自由回答の分析
アンケートの自由回答欄は、顧客の貴重な本音が詰まった宝の山です。しかし、一つ一つ目を通して内容を把握するのは大変な作業でした。AI 関数を使えば、これらの回答をカテゴリ(例:「機能改善の要望」「価格に関する意見」など)に分類したり、一括でキーワードを抽出したり、ポジティブ/ネガティブ判定をしたりといった作業が一瞬で完了します。これにより、これまで時間がかかる作業として見過ごしていた顧客の重要なインサイトを発見し、迅速なサービス改善などに繋げることができます。

・競合製品情報の整理
Web サイトから収集した競合製品のスペックやレビュー情報。これらを AI 関数で項目ごとに整理・抽出すれば、比較表の作成が自動で完了します。市場調査や製品開発における情報収集と分析のスピードが、格段にアップするでしょう。

アンケートのデモデータ(Geminiに作ってもらいました)を基に、自由記述コメントを「ポジティブ」「ネガティブ」「どちらでもない」に分けてもらう作業を試してみました。

google-workspace-evolves-even-further-with-ai-7

Translate関数を使用して、プロンプト自体を英語に変換することで、日本語のプロンプトを考えるだけで実行しています。

自由コメントの右のセルに「=AI($E$4,D5)」 と入力して、「Generate and insert」をクリックします。

google-workspace-evolves-even-further-with-ai-8

すると、自由コメントの内容を読み取って、ポジティブだと判断してくれました。

次に、他の関数と同様に、一気に下に展開することも簡単に行えます。
再度「Generate and insert」をクリックすると、順次処理が行われていきます。

google-workspace-evolves-even-further-with-ai-9

日本語には未対応ですが、「in Japanese(日本語で)」と含めることで日本語で出力されるセルもあります
(実行ごとに日本語出力率はまちまちでした。)

このように、自由記述のコメントがどのような感情なのかを簡単に素早く分析することができました。

Help me analyze

google-workspace-evolves-even-further-with-ai-10

(YouTubeより引用)

Googleスプレッドシートでのデータ分析の新機能「Help me analyze」を発表しました。
この機能に対しては Googler(Google社員)がデモなどで「全員の横にデータアナリスト」と表現しています。

これまでもスプレッドシートのサイドパネルには、Geminiによる便利な機能が搭載されていました。

これまでの機能:

  • 関数を考えてくれる
  • 簡単なインサイト(ヒント)を教えてくれる
  • グラフを 「画像」として挿入してくれる

これらも十分に便利でしたが、「Help me analyze」は、さらにレベルアップした"賢さ"を備えているとのことです。

機能 これまでのサイドパネル 新機能「Help me analyze」
グラフ機能 画像として挿入*
変更できず、データ更新にも対応しない
データと連携し編集可能。
さらにグラフにマウスオーバーすると該当行がハイライトされる。
インサイト 簡単なヒントや傾向の提示 より正確に、深く内容を把握した専門家レベルの分析結果を提示。

*2025年6月現在、スプレッドシートのサイドパネルからAIでグラフを作成する際、以前の画像形式ではなく、データと連携した編集可能なグラフが生成されるようにアップデートされています。

このように、「Help me analyze」は単なる機能改善ではなく、データとの向き合い方そのものを変革するポテンシャルを秘めています。

・直感的な操作
「このデータの傾向を教えて」「どの顧客層のリスクが高い?」といった自然な言葉での質問に対し、Geminiが即座にデータを解析し、インタラクティブなグラフや分析結果を提示します。

・データとグラフの連携
生成されたグラフの一部にマウスカーソルを合わせると、元データであるスプレッドシートの該当行がハイライトされます。これにより、「この突出したグラフの数値は、どのデータに基づいているのか?」が一目瞭然となり、分析の精度とスピードが飛躍的に向上します。

・活用例
例えばマーケティング担当者の場合、「先月のキャンペーン効果は?」とGeminiに尋ねるだけで、関連データを自動で特定し、分かりやすいグラフを生成してくれます。
さらに、「キャンペーン接触顧客は非接触顧客に比べ、購入単価が15%高い傾向にあります」といった、これまで見過ごしていたかもしれないインサイトまで提供してくれるようなイメージです。

Help me analyze in Sheets - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=EiwNgcIFgiI

まさに、あなたの隣に専属のデータアナリストが座っているような感覚ですね。
専門家でなくても、データに基づいた迅速かつ的確な意思決定が可能になるこの新機能が実装されるのが楽しみですね。

ドキュメントの音声概要出力

google-workspace-evolves-even-further-with-ai-11

(YouTubeより引用)

「Googleドキュメントで作成した長文の資料、移動中に手軽に確認できたら…」
そんなビジネスパーソンや学生の願いを叶える、画期的な機能が追加されます。
それが、AIによるドキュメントの音声出力機能です。

これまで画面上で読むことが当たり前だったドキュメントを、耳でインプットすることができるようになります。

Googleドキュメントで作成した資料の概要を、AIがまるで人間のように自然な音声で読み上げ、音声概要として生成できる機能です。

・資料の「ながら聞き」で生産性向上
満員電車での通勤中や、取引先への移動中に、作成したプレゼン資料や報告書の内容をイヤホンで手軽に確認。これまではデッドタイムになっていたり、スマホの小さな画面でたくさんスクロールして確認していた時間を、スムーズなインプットの時間に変えることができます。

Audio in Google Docs - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=FDnDnmIR5Ng

実は、このAIによる音声概要の便利さは、Googleの他のサービスで既に体験可能です。
AIノートアプリ「NotebookLM」「Geminiアプリ」には、テキストの概要を音声で出力する機能が搭載されています。

google-workspace-evolves-even-further-with-ai-12

NotebookLM

google-workspace-evolves-even-further-with-ai-13

Geminiアプリ

Googleドキュメントへの導入までに、まずは既存のアプリで、AI音声の自然さや利便性を一足先に体感してみましょう。

Vids で動画生成モデル「Veo2」を利用して動画生成

Google Workspaceに新たに追加された動画作成アプリ「Vids」の中で、Googleの最新動画生成AI「Veo2」を活用した動画生成機能が発表されました。これまで専門的なスキルや時間が必要だった動画制作の常識を覆す、画期的な機能と言えるでしょう。

この機能を使えば、テキストで簡単な指示(プロンプト)を入力するだけで、AIが自動で短い動画コンテンツを生成してくれます。例えば、「新しいスニーカーのスタイリッシュなプロモーション動画」といった文章だけで、プロが作ったような映像を手に入れることができるのです。

生成された動画はVids上で追加の編集もできます。不要な部分をカットしたり、テロップやBGMを追加したり、さらには自分の声でナレーションを吹き込んだりと、オリジナリティあふれる動画へと仕上げられます。

■Veo2を活用した動画生成の具体的なシーン
VidsとVeo2の組み合わせは、様々なビジネスシーンでその真価を発揮します。

例:SNS投稿用のショート動画作成
新商品の紹介やキャンペーンの告知、イベントのハイライトなど、SNSマーケティングに動画は欠かせません。「〇〇な雰囲気で、△△を紹介する動画」といった簡単な指示だけで、視聴者の目を引く魅力的なショート動画を短時間で量産できます。動画編集スキルがないマーケティング担当者でも、質の高いコンテンツをスピーディーに展開できるため、まさに「すごい!」の一言です。

「An animation of an Android character walking(Androidキャラクターが歩くアニメーション)」というプロンプトで試してみます。

google-workspace-evolves-even-further-with-ai-14

下記の動画が生成されました。
「insert」ボタンをクリックすることで、簡単に追加できます。

google-workspace-evolves-even-further-with-ai-15

GoogleのAI開発は驚異的なスピードで進んでいます。将来的にはGeminiアプリにもVeo2が統合される予定であり、先日開催された開発者向けイベント「Google I/O」では、音声まで同時に生成できる後継モデル「Veo3」も発表されました。

一般ユーザー向けのGoogle AI有料プラン(Google AI Ultra プラン)ではVeo3の利用が可能になるというアナウンスもあり、Google Workspaceへの本格展開が今から待ち遠しく、非常に期待度の高い機能です。

Chat での自動翻訳

海外の拠点や、外国籍のメンバーと仕事をする機会がある方もいらっしゃるかと思います。
そんな時に大きな助けとなるのが、Google Chatに搭載されている「自動翻訳機能」です。

この機能を活用すれば、言語の壁を気にすることなく、スムーズなコミュニケーションが実現します。

Google Chatの自動翻訳は、異なる言語を話すユーザー同士の会話を、リアルタイムで翻訳してくれる非常に便利な機能です。

設定を有効にしておくだけで、相手が入力した言語が、自分の設定言語(日本語など)に自動で翻訳されてチャット画面に表示されます。対応言語は128言語にも及び、ボーダーレスなコミュニケーションを可能にします。

・活用例:グローバルチームの連携を加速
グローバルチームとの連携や海外拠点のメンバーとのChatでのやり取りも、もう言語で悩む必要はありません。翻訳ツールを別で開いてコピー&ペーストするといった手間が一切なくなり、テンポ良く会話することができます。

・自動翻訳の設定方法
設定はとても簡単です。以下の手順ですぐに始められます。

  • 設定画面を開く: Google Chatの画面右上にある歯車アイコン(設定)をクリックします。
  • メッセージ設定へ: 表示されたメニューから「メッセージとメディア」を選択します。
  • 自動翻訳をオンにする: 「自動翻訳」の項目にチェックを入れ、設定を保存します。

たったこれだけで、次から受信するメッセージが自動で翻訳されるようになります。

google-workspace-evolves-even-further-with-ai-16

・ワンクリックで原文も確認可能
翻訳されたメッセージの下には、「原文を表示」ボタンが表示されます。

これをクリックするだけで、いつでも元の言語のメッセージを確認できるので、翻訳のニュアンスが気になる時も安心です。

google-workspace-evolves-even-further-with-ai-17

まるで相手が初めから日本語でメッセージを送ってきているかのように自然に表示されるため、ストレスなくコミュニケーションに集中できる、非常に強力な機能です。

NotebookLM と Meet の議事録の連携活用

「Google Meet」の議事録機能とAIノートアプリ「NotebookLM」の機能について、それぞれ便利なツールですが、この2つの既存機能を組み合わせることで、会議後の業務が劇的に効率化できる活用方法も発表されていました。

特別な連携機能が追加されたというわけではなく、ちょっとした工夫で、まるで専属のAIアシスタントがいるような体験が可能になります。

Nextで発表されていた活用アイデアをご紹介します。

  1. Google Meetの「自動議事録」機能で、会議の「要約・文字起こしデータ」を生成する。
  2. そのデータを、NotebookLMの機能で「ソース(情報源)」として追加する。

たったこれだけです。この2ステップによって、NotebookLMは指定された会議の内容を理解し、あなたのための強力なアシスタントになります。

NotebookLMに会議の議事録・文字起こしを読み込ませることで、以下のような便利な使い方ができるようになります。

・長時間の会議も、AIが瞬時に要約
「この会議の要点を教えて」と指示するだけで、AIが的確なサマリーを作成。もう自分で全体を読み返す必要はありません。

・「あの決定事項は?」AIに聞けば一発回答
会議の内容について「〇〇の予算について決まったことは?」と質問すれば、AIが膨大なテキストの中から関連箇所を探し出し、答えを教えてくれます。

・面倒なToDoリストも自動で抽出
会議で発生した「誰が」「何を」「いつまでに行うか」といったアクションアイテムを、AIが自動でリストアップしてくれます。議事録からの転記作業はもう不要です。

・「いつの話だっけ問題」の解消
これまで過去の会議内容を振り返るには、Google ドライブでキーワード検索などを利用して検索し、「確かこの頃の会議だったはず…」とファイルの見当をつけて探すしかありませんでした。

しかし、この方法なら、NotebookLMが「いつのどの会議について話しているか」を明確に注釈付きで示してくれます。
文脈を理解した上で必要な情報をピンポイントで引き出せるため、情報検索の効率が格段に向上するのです。

会議の議事録作成にかかっていた時間を大幅に削減し、その後の振り返り、内容の確認もすぐに行えます。そうして削減された時間で、もっと創造的な仕事に時間を使えるようになります。
ぜひ、この組み合わせ活用法をお試しください。

google-workspace-evolves-even-further-with-ai-18

ドキュメントでの AI による添削

Google ドキュメントで文章を作成する際、「もっと良い表現はないか」「構成はこれで伝わるだろうか」と悩んだ経験はありませんか? そんな時、この「AIによる添削」機能ではAIがあなたの専属エディターとして、文章の品質を向上させてくれます。

この機能の素晴らしい点は、まるで優秀な同僚に相談するように、いつでも気軽にAIから客観的なフィードバックをもらえることです。コメント機能のような形で改善案が提示されるため、一つひとつ確認しながら、納得のいく形で文章を仕上げられます。

■AI添削でできること
・構成の改善
話の流れを論理的に整え、読者が理解しやすい構成を提案します。

・表現の明確化
曖昧な表現を検出し、より具体的で分かりやすい言葉に置き換えるサポートをします。

・活用例:提案書や報告書の品質向上
大事な提案書や報告書の作成は、特に気を使うかと思います。AIに添削を依頼すれば、客観的な視点で内容をいつでも確認、指摘してくれます。簡単に説得力のある文章にブラッシュアップできるので、重要なビジネス文書も、自信を持って提出できるようになりますね。

google-workspace-evolves-even-further-with-ai-19

(YouTubeより引用)

Help me refine in Google Docs - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=uBf8ysZ_QtM

現時点ではまだリリースされていませんが、利用できるようになるのが楽しみですね。

3.Google Workspace with Gemini の安全性について

AIの進化は目覚ましく、業務効率を飛躍的に向上させる可能性を秘めています。しかし、その一方で「会社の機密情報や顧客データを入力しても大丈夫だろうか?」といった、安全性やセキュリティに関する懸念をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

Google Workspace with Gemini は、その便利な機能だけでなく、エンタープライズレベルの堅牢なセキュリティを基盤として設計されています。企業のデータを保護し、安心してAIを活用できる環境を提供するために、Googleは継続的なアップデートと厳しい基準への対応を行っています。

厳格なセキュリティ/コンプライアンス要件に対応

「セキュリティ」と一言で言っても、その基準は業界や国によって様々です。特に、政府機関や金融機関など、極めて高度な機密情報を取り扱う組織では、非常に厳しい要件が課せられます。

Google Workspace with Gemini は、こうした世界各国の厳格なセキュリティ基準やコンプライアンス要件に対応しています。

今回のNextでは下記の各国の基準の認証を新たに取得したと発表されました。

  • FedRAMP High (米国)
    ・米国政府が利用するクラウドサービスのセキュリティ評価制度における最高レベルの認証です。
  • BSI C5 (ドイツ)
    ・ドイツ連邦情報セキュリティ庁が定めた、クラウドコンピューティングのセキュリティ基準です。

Geminiが他の主要なAIアシスタントと比較しても、極めて高いレベルのセキュリティを確保していることの客観的な証明と言えます。

Nextでの発表ではありませんが、既に日本の政府情報システムにも対応しています。
・ISMAP
日本政府が求めるセキュリティ要求を満たしているクラウドサービスを評価・登録する制度です。
Google Workspace with Geminiはすでに対応しており、日本の政府機関や地方公共団体、重要インフラ企業などでも安心してご利用いただける基盤が整っています。

その他の詳細は下記のページもご確認ください。
Google Workspace の生成 AI に関するプライバシー ハブ - Google Workspace 管理者 ヘルプ
https://support.google.com/a/answer/15706919?hl=ja

 感想まとめ

Google Cloud Next '25で発表されたアップデートは、AIが私たちの仕事を根本から変える「未来の働き方」を強く感じさせる内容でした。
(筆者も初海外、初ラスベガス、とても刺激的でした!)

特に特徴的だったのは、ノーコード、ノースクリプトで業務を自動化できる「Workspace Flows」です。
これまでは各アプリ単体が便利になっていましたが、その各アプリの「点」を業務という「線」にする大きな進化だと言えます。

同時に、「Help me analyze」によるデータ分析や「Vids」による動画生成は、専門スキルを誰もが使えるようになる点が特徴的でした。
Chatを中心としたコラボレーション機能の進化も、情報共有の効率化につながると思います。

今回のNextの発表は、AIが単なる「便利な道具」から「賢い同僚・エージェント」へと進化する大きな転換点だと感じました。
定型業務をAIに任せ、私たち人間はより本質的な仕事に集中する。そんな新しい働き方の実現が、今から非常に楽しみです。

監修者

河窪 伸弥
株式会社電算システム 河窪 伸弥
文教向けの Google Workspace の導入支援に携わる。
Google Workspace のエンジニア資格はもちろん、ChromeOS、Google Cloud (旧GCP)の資格も保有。
顧客と伴走し Google サービスを効果的に活用していただく支援をしております。
趣味は落語。

<保有資格>
・Associate Cloud Engineer
・Professional Google Workspace Administrator
・Professional Cloud Architect
・Professional Cloud Security Engineer
・Professional ChromeOS Administrator
・Certified Educator Level 1
・Certified Educator Level 2
Associate Cloud Engineer Professional Google Workspace Administrator Professional Cloud Architect Professional Cloud Security Engineer Professional ChromeOS Administrator
Certified Educator Level 1 Certified Educator Level 2