Gmailを利用する際、受信メールのフォルダへの振り分けやラベル付け、重要・スターの設定といった処理を、手作業で行っている方も多いのではないでしょうか。一つひとつの作業は短時間で完了できるものの、特に膨大な量のメールを処理しなければならない場合は大きな手間がかかります。
その点、Gmailのフィルタ機能を利用すれば、上記のような作業を自動的に処理できます。特別な知識が不要で、誰でも容易に設定できるのも利点です。
本記事では、Gmailのフィルタ機能の特徴や仕組み、使い方を解説します。より便利に活用できるテクニックも紹介しているので、Gmailを最大限に活かしたい方は参考にしてください。
Gmailのフィルタとはメールの転送やラベル付けを自動的に行う機能
Gmailのフィルタとは、特定の条件に沿って受信メールを絞り込める機能です。絞り込んだ受信メールは、転送やラベル付け、既読、削除など、さまざまな自動処理を設定できます。
受信メールを絞り込む際は、送信アドレスや受信アドレス、件名、容量、添付ファイルの有無といった条件の指定が可能です。例えば、送信アドレスに「abc@gmail.com」を指定すると、そのメールアドレスから受信したメールのみを抽出できます。さらに「既読にしてスターを付ける」の設定を行った場合、指定した受信メールが自動的に既読・スター付きの状態になります。
転送したりラベルを付けたりと、メール受信後のルーティンが決まっている場合は、フィルタ機能を利用するのがおすすめです。条件に該当すれば作業を自動的に処理してくれるため、メール管理の効率化につながります。
Gmailのフィルタ機能でできること
Gmailのフィルタ機能を利用すると、次のようなことが可能になります。
フィルタのアクション | 効果 |
受信トレイをスキップする | メールを受信する際、受信トレイをスキップしてアーカイブフォルダに格納する |
既読にする | 受信した段階で特定のメールを既読状態にする |
スターを付ける | 受信した段階で特定のメールにスターを付ける |
ラベルを付ける | 受信した段階で特定のメールを指定したラベルスペースに格納する |
次のアドレスに転送する | 受信した段階で特定のメールを指定したメールアドレスに転送する |
削除する | 受信した段階で特定のメールを削除する |
迷惑メールにしない | 特定のメールを自動で迷惑メールフォルダに移動しないようにする |
常に重要マークを付ける | 受信した段階で特定のメールに重要マークを付ける |
重要マークを付けない | 特定のメールを自動で重要マークが付かないようにする |
適用するカテゴリ | 受信した段階で特定のメールを指定したカテゴリのフォルダに格納する |
一致するスレッドにもフィルタを適用する | 過去に受信したメールにも同じフィルタを反映させる |
本来、上記のような作業は人の手で行う必要があります。しかし、ラベル機能であれば条件を設定するだけで自動的に処理されるため、手作業の工程を大幅に削減可能です。
Gmailのフィルタ機能を利用する3つの手順
Gmailのフィルタ機能を利用する手順は次の通りです。
- Gmailの検索オプションを表示する
- フィルタの条件を設定する
- フィルタのアクションを決定する
それぞれの手順に沿って設定方法を解説します。
1. Gmailの検索オプションを表示する
フィルタ機能を利用するには、Gmailの検索オプションから設定を行います。フィルタ機能で受信メールを絞り込む場合、現在表示しているフォルダが適用されます。例えば、受信トレイを表示している場合は受信トレイのなかから、ゴミ箱を表示している場合はゴミ箱のなかから指定したメールが抽出される仕組みです。
そのため、まずは受信トレイやアーカイブ、スター付きといった選択対象となるフォルダを表示しましょう。そのフォルダを表示した状態で、画面上部の検索バーの右側にある検索オプションのアイコンをクリックします。
すると、フィルタの設定画面が表示されます。
2. フィルタの条件を設定する
フィルタの設定画面で受信メールを絞り込むための条件を指定します。
絞り込みの条件には次のような種類があります。複数の条件を指定することも可能です。
フィルタの条件 | 概要 |
From |
特定の送信アドレスでメールを絞り込む |
To | 特定の受信アドレスでメールを絞り込む |
件名 | 受信メールの件名に特定のキーワードが含まれたメールのみを絞り込む |
含む | 受信メールの件名や本文、添付ファイルのタイトルなどを対象に、特定のキーワードが含まれたメールのみを絞り込む |
含まない | 受信メールの件名や本文、添付ファイルのタイトルなどを対象に、特定のキーワードが含まれないメールのみを絞り込む |
サイズ | 指定した受信メールの容量より大きい、または小さいメールのみを絞り込む |
検索する前後期間 | 指定した受信メールの受信日よりも前、または後に受け取ったメールのみを絞り込む |
検索 | メールを絞り込む対象範囲を指定 |
添付ファイルあり | チェックを入れると、添付ファイルありのメールのみに絞り込める |
チャットは除外する | チェックを入れると、チャット以外のメールのみに絞り込める |
条件を指定した後は、[フィルタを作成]をクリックしましょう。
3. フィルタのアクションを決定する
続いて、フィルタのアクションを設定する画面が表示されます。
フィルタのアクションとは、先ほど紹介した「受信トレイをスキップする」や「既読にする」など自動処理の仕方を指します。それぞれの項目にチェックを入れると、条件に該当した場合にそのアクションが自動的に行われます。複数の項目にチェックを入れることも可能です。
アクションを設定すれば、最後に[フィルタを作成]をクリックしましょう。これでフィルタの設定は完了です。
Gmailのフィルタ機能をより便利に活用する方法
次のような方法を用いることで、フィルタ機能をより便利に活用できます。
- 特定のメールからフィルタを作成
- フィルタの編集・削除
- 複数アカウントでのフィルタ設定の共有
それぞれの手順や設定方法を解説します。
特定のメールからフィルタを作成
フィルタは、検索バーの検索オプションから設定する以外にも、特定のメールから直接設定することも可能です。設定するには、まずフィルタを作成したいメールをクリックし、メッセージ画面を開きましょう。そのメールの画面右上の三点リーダをクリックし、[メールの自動振り分け設定]を選択します。
すると、フィルタの設定画面が開き、[From]の項目にそのメールのメールアドレスが自動的に記載されます。
その後の手順は、先ほど紹介したフィルタ設定方法と同じです。この方法では、[From]の項目に手入力する必要がないので、より短時間で絞り込みの設定を行えます。
フィルタの編集・削除
設定したフィルタの内容は設定画面で確認できます。フィルタの条件の処理方法が一目でわかるほか、編集や削除もワンクリックで済みます。フィルタの内容を確認するには、画面右上の[設定]アイコンから[すべての設定を表示]をクリックします。
上部のタブを[フィルタとブロック中のアドレス]に切り替えると、画面上部にフィルタ一覧が表示されています。[編集]または[削除]をクリックすると、フィルタの編集や削除が可能です。
複数アカウントでのフィルタ設定の共有
複数のGmailアカウントを運用している場合、特定のアカウントで設定したフィルタの内容をエクスポートし、別のアカウントにインポートできます。この方法を活用すると、別々のアカウントで一から同じフィルタの設定を行う必要がなくなるため、効率性が向上します。
フィルタの内容をエクスポートするには、画面右上の[設定]アイコンから[すべての設定を表示]をクリックし、設定画面にアクセスします。上部のタブを[フィルタとブロック中のアドレス]に切り替え、エクスポートしたいフィルタの左側にチェックを入れましょう。
その状態で[エクスポート]をクリックします。
そして、保存先を指定しましょう。エクスポートすると、指定した保存先に「.xml」ファイルが書き出されます。
そのファイルをインポートするには、インポートしたいGmailアカウントにログインします。そして設定画面にアクセスし、[フィルタとブロック中のアドレス]のタブに切り替えた後、[フィルタをインポート]をクリックしましょう。
先ほど保存した「.xml」ファイルを開くと、同アカウントにも同じフィルタ設定が反映されます。
[含む]のフィルタと演算子をうまく活用する
フィルタを設定する際の[含む]の項目には、メールの件名や本文、添付ファイルのタイトルなどを対象に特定のキーワードを指定できます。例えば、件名に「重要」と記載されたメールのみを絞り込む、「営業資料」というタイトルのファイルが添付されたメールのみを絞り込むといった設定が可能です。
この[含む]の項目を設定する際に演算子を活用すれば、より詳細な条件でメールを絞り込めます。Gmailにおける演算子とは、特定の語句やキーワードを使って目的の検索結果を素早く探し出す機能です。主に次のような演算子があり、[含む]の項目に入力することでさまざまな設定を行えます。
演算子の種類 | [含む]の項目への入力例 |
from | 「from:gmail.com」と入力すると、Gmailアカウントから受信したメールのみに絞り込める(独自ドメインから受信したメールを排除する) |
cc | 「cc:(任意のメールアドレス)」と入力すると、CCでそのメールアドレスに送信されたメールのみに絞り込める |
bcc | 「bcc:(任意のメールアドレス)」と入力すると、BCCでそのメールアドレスに送信されたメールのみに絞り込める |
has | 「has:attachment」と入力すると、ファイルが添付されたメールのみに絞り込める |
filename | 「filename:pdf」と入力すると、PDFファイルが添付されたメールのみに絞り込める |
before | 「before:2025/01/01」と入力すると、2025年1月1日より前に受信したメールのみに絞り込める |
is | 「is:unread」と入力すると、未読メールのみに絞り込める(「is:read」で既読メールのみ) |
or | 「cc:gmail.com or bcc:gmail.com」と入力すると、CCで指定されたメール、あるいはBCCで指定されたメールのいずれか一方の条件にあてはまるもののみを絞り込める |
複数の演算子を[含む]の項目で指定することも可能です。その場合は、「from:gmail.com has:attachment」といった形で、演算子と演算子の間に半角スペースを入力します。
スマートフォンで設定する場合はWebブラウザからアクセスする
スマートフォンでフィルタの設定を行う場合は、Webブラウザ版のGmailにアクセスしましょう。モバイルアプリ版のGmailではフィルタの設定ができないためです。スマートフォンのWebブラウザを開いて「Gmail」と検索し、GoogleアカウントにログインすることでGmailにアクセスできます。
ただし、Webブラウザ版のGmailがスマートフォン表示になっている場合、フィルタの設定ができません。そのため、パソコン版の表示に切り替える必要があります。切り替え方法は端末によって異なりますが、Androidの場合は画面右上の三点リーダから[PC版サイト]にチェックを入れる、iOSではアドレスバー左端の設定ボタンから[デスクトップ用Webサイトを表示]をタップする方法が一般的です。
パソコン版のGmailでフィルタを設定する手順は、先ほど紹介した内容と変わりません。検索バーの右側にある検索オプションをタップし、フィルタの設定とアクションの条件を指定しましょう。
Gmailを最大限に活用するならGoogle Workspaceがおすすめ
Gmailの活用の幅を広げるなら、Google Workspaceに登録するのがおすすめです。Google Workspaceとは、GmailやGoogleドライブ、Google Meetといった20種類近くのGoogleサービスが搭載されているグループウェアサービスです。有料版になると機能や容量などが拡張されるほか、サポートも充実しています。
Gmailの場合、有料版にアップグレードすることで、独自ドメインを利用できます。また、ストレージ容量が無料版の15GB/ユーザーから、最安値エディションでも30GB、最上位エディションなら5TBへと拡張されます。GmailだけでなくGoogleドライブやGoogleフォトに保存できる容量も増えるのがメリットです。
また、セキュリティに関しては、Google Workspace内で利用する端末を一元管理できるエンドポイント管理や、安全なデータ移行が可能なGoogle Workspace Migrate、機密情報を管理者側で別途管理できるGoogle Vaultといった機能が解放されます。個人情報や機密情報を扱う機会が多いGmailだけあり、Google Workspaceを導入してセキュアな環境を構築することをおすすめします。
Gmailのフィルタ機能を活用して効率的なメール管理を
Gmailのフィルタ機能を利用すると、特定の条件に沿って受信メールを絞り込んだうえで、アーカイブへの移行や削除、ラベル付けといったアクションを自動的に実行できます。手作業で処理する必要がないため、メール管理の効率化が可能です。
フィルタはGmailの基本的な機能ですが、さらに便利にツールを活用したい場合はGoogle Workspaceの導入を検討してみてはいかがでしょうか。Google Workspaceに登録すると、独自ドメインの実装や容量拡張、セキュリティの拡充など、さまざまなメリットが生まれます。
電算システムでは、環境構築やコンサルティングなど、Googleサービスの導入支援サービスを提供しています。Gmailはもちろん、Google Workspaceのサポートにも対応しています。専門領域に精通した数多くのエンジニアが在籍しているので、スピーディかつ質の高いサポートを行えるのが強みです。「Googleサービスを活用したいが具体的なイメージが湧かない」といったお悩みを抱える方は、ぜひ電算システムへと気軽にお問い合わせください。
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