日々膨大な量のデータに囲まれて仕事をしている皆さん。必要な情報を探すのに、いくつものアプリやシステムを開いていませんか?
Google が発表した Google Agentspace では、そんな課題を解決してくれるかもしれません。本記事では、Google Agentspace についての機能や活用メリット、想定できるユースケースを解説します。
Google Agentspace とは? 情報過多、タスクの煩雑化、人材不足を解決
Google Agentspace は、2024年12月13日(米国時間)に発表された、Google の高度な検索技術 と Gemini による高度な推論技術 を組み合わせた AI エージェントサービスです。企業内の検索機能を強化し、従業員の業務効率化を支援することを目的としています。
この AI エージェントサービスは、ユーザーが設定した目標に対して必要なデータを自動で収集し、そのデータをもとにタスクを実行する、まさに「エージェント(代理人)」のような存在です。
Google Agentspace の機能
Google Agentspace にはどのような機能が含まれているのでしょうか。
主に3つの機能があります。
- 情報検索: Google品質の検索機能により、保存場所を問わずデータ全体で最も関連性の高い情報を検索。
- 高度な推論:Geminiを利用できるため、テキスト、コード、画像、動画など、さまざまな種類の情報を同時に理解し、それらを統合して推論を行う。
- タスクの自動化:複数ステップのワークフローを含む反復タスクの自動化。
ユーザーはこれらの機能を持つGoogle Agentspace を使うことで、企業の専門知識を活用することができます。
ここからは、それぞれの機能について詳しく説明していきます。
情報検索
Google Agentspace では、保存場所に関係なく、データを横断検索できます。例えば、Confluence、Google Drive、Jira、Microsoft Sharepoint、ServiceNowなどに保存されたデータであっても、Googleの強力な検索機能を使って、必要な情報にアクセスすることができます。
高度な推論
Google Agentspace では Gemini を利用しています。Gemini の特徴のひとつは、マルチモーダルであること。テキストだけでなく、画像、音声、動画などの異なるデータ形式を同時に処理し、それらの情報を統合して理解することができるため、例えば、画像とテキストの説明を組み合わせた質問に答えたり、動画の内容を理解して要約したりすることが可能です。
また、Gemini は高度なコーディング能力を備えているため、様々なプログラミング言語を理解し、コードの生成、デバッグ、最適化を行うことができます。
タスクの自動化
Google Agentspace では、複数のステップが必要な煩雑なワークフローをAIが自動で処理し、複雑な業務をスムーズに実行する機能が含まれています。
これにより、
- 営業担当者が顧客へのメール送信やフォローアップを自動化する
- マーケティング担当者がキャンペーンの進捗状況をトラッキングしたり、レポートを作成したりする作業を自動化する
- 人事担当者が従業員の入社手続きや退職手続きを自動化する
といった業務の自動化が期待できます。
Google Agentspaceのエディション
Google Agentspace には、3つのエディションが用意されています。ユーザーは自社に相応しいエディションを選択して、これまでの煩雑な業務の効率化を実現することができます。
- NotebookLM Enterprise:
Gemini 搭載のリサーチおよびライティングに強い 「Notebook LM」の企業向けエディションです。Google アカウントと他サービスのIDにも対応しています。 - Google Agentspace Enterprise:
企業・組織全体を対象としたマルチモーダル検索エージェントです。社内に点在するさまざまな情報を横断的に検索し、複雑な質問への回答や翻訳、要約などを迅速かつ的確に行うことができます。また、サードパーティ製アプリケーションとのコネクタを活用することで、外部データとの連携も可能です。 - Google Agentspace Enterprise Plus:
Google Agentspace Enterprise のすべての機能に加え、Google 製とサードパーティ製のアプリケーションでのアクションやコンテキストに応じて生成AIを適用する独自のAIエージェントを構築できます。
【職種別】Google Agentspace の活用方法5選
Google の高度な生成 AI エージェント機能を活用できる Google Agentspace について、具体的にどのような場面で役立つのかをご紹介します。
あわせて、実際にご活用いただけるプロンプト例も掲載しておりますので、ぜひ参考にしてください。
ビジネスアナリスト
膨大な市場データから業界トレンドを特定し、説得力あるプレゼンテーションを作成できます。
プロンプト例
「最新のeコマース業界のトレンドを、過去3年間のニュース記事と業界レポートを分析して抽出してください。」
「競合A社の最新のマーケティングキャンペーンを分析し、ターゲット層とメッセージを抽出してください。」
「〇〇市場の成長トレンドに関する分析結果を、プレゼンテーション資料として作成してください。グラフと図表を含めてください。」
管理部門(人事・総務・経理)
確定拠出年金の選択のような複雑なタスクであっても、合理化されたオンボーディングで従業員に必要なサポートを提供できます。
プロンプト例
「2025 年の確定拠出年金を上限まで拠出する方法を教えてください。」
「従業員からの有給休暇申請に関する問い合わせに対して、社内規定に基づいて回答してください。」
「過去1年間の経費データを分析し、部門ごとの経費使用状況をグラフで表示してください。」
ソフトウェアエンジニア
バグを積極的に特定して解決できるため、より効率的に構築および反復し、デプロイサイクルを加速できます。最新トレンドの取得にも活用できます。
プロンプト例
「このJavaScriptコードにセキュリティ上の脆弱性がないかチェックし、改善点を提案してください。」
「〇〇プロジェクトの開発プロセスを自動化するためのスクリプトを作成してください。」
「最新のGoogle Cloud のトレンドについて音声で要約し、説明してください。」
マーケティング
マーケティング施策のパフォーマンスに関する週次レポート作成など、繰り返し発生する作業を自動化できます。また、多言語サポートにより、複数の言語に対応したコンテンツを効率的に作成することも可能です。
プロンプト例
「〇〇キャンペーンの効果測定レポートを作成し、改善点を提案してください。」
「競合企業〇〇社のSNS投稿やWebサイトを分析し、彼らのマーケティング戦略とターゲット層を特定してください。」
「以下のマーケティング資料を、英語、スペイン語、ポルトガル語に翻訳してください。各言語版で、それぞれの文化圏における適切な画像とレイアウトに置き換えてください。」
営業
顧客企業の過去の購買履歴や問い合わせ履歴を分析し、ニーズや課題を特定することができます。また、営業担当者の引き継ぎがあった際にも、顧客企業とのコミュニケーション履歴から次回訪問の際のアクションを引き出すことも可能です。
プロンプト例
「〇〇株式会社の過去の購買履歴から、彼らの課題とニーズを特定してください。」
「〇〇業界における市場機会とリスクを分析し、〇〇株式会社への営業戦略を立案してください。」
「A社の営業担当を引き継ぐので、A社の概要とこれまでの状況を教えてください。また、そこから考えられる次回のアクションを提案してください。」
このように、Google Agentspaceは、業種や職種を問わず、様々なビジネスシーンで活用することができます。特に、情報過多、タスクの煩雑化、人材不足などの課題を抱える企業にとって、Google Agentspaceは救世主ともなりうるでしょう。
Google Agentspace が現代のビジネス課題を解決する鍵に!?
Google Agentspace は、企業の人材不足が深刻化する中で、今後欠かせないプラットフォームとなるでしょう。情報が多すぎて必要なものが探せない、雑多なタスクに追われて本来の業務に集中できない、人手が足りず対応が後手に回る業務を自動化し、これまでにないイノベーションの創出に大きく貢献することが期待されています。
特に限られた人員で多様な業務をこなさなければならない企業にとって、Google Agentspace は強力な味方です。日々の業務で発生する「主要業務以外のタスク」を AI によって自動化することで、従業員がより重要な業務に集中できる環境を整えます。このように、生産性向上 や 業務効率化 という現代のビジネス課題に対しても、的確なアプローチが可能です。
現在、Google Agentspace の早期アクセスユーザーの登録が可能です。まだ Google Agentspaceを試していない方は、ぜひこの機会に試してみて下さい!
またGoogle Agentspace の導入や活用方法について気になることがあれば 電算システムにお問い合わせください。
執筆者紹介

- カテゴリ:
- Google Cloud(GCP)
- キーワード:
- AgentSpace