仕事や読書、ドライブなどの物事に取り組む際、スマホからの通知に気を取られて集中力を欠いてしまうことも多いものです。このような場合は、iPhoneに搭載されている集中モードの機能が役立ちます。
集中モードを利用すると、仕事中や運転中といったシーンを指定したうえで、その間に受信するiPhoneへの通知をすべてオフにできます。また、通知をオフにする連絡先やアプリの種類、時間帯などを細かく設定できるのも特徴です。
本記事では、集中モードの仕組みや特徴、設定方法などを詳しく解説します。普段からiPhoneで数多くの通知を受信する方は、ぜひ参考にしてください。
iPhoneの集中モードとはシーンごとに通知をカスタマイズできる機能
iPhoneに搭載されている集中モードとは、仕事中や運転中、就寝中といった複数のシーンごとに、スマホへの通知をカスタマイズできる機能です。何らかの物事に集中したいときの通知をオフにできるので、集中力の低下を防げます。また、通知を許可する連絡先やアプリを個別に追加できるため、重要な通知を見逃すこともありません。
例えば、仕事のシーンを選択し、取引先以外からの通知やアプリからの通知をオフにすることで、余計な通知に気を取られることなく、仕事に集中しやすい環境が整います。設定できるシーンは仕事やゲーム、フィットネスなどが用意されているほか、自身で自由に条件を設定することも可能です
iPhoneにおける集中モードの3つの特徴
iPhoneの集中モードには、次のような特徴があります。
- 必要な通知と不要な通知を別々に指定できる
- 時刻や場所を指定して自動で起動できる
- Apple Account内で設定が共有される
それぞれの特徴について詳しく解説します。
必要な通知と不要な通知を別々に指定できる
iPhoneの集中モードでは、一度にすべての通知をオフにすることもできますが、必要な通知と不要な通知を分けて設定することも可能です。集中モードを有効にする前に、連絡先またはアプリを一つずつ指定できます。
例えば、仕事の集中モードを使用する際、家族と取引先担当者の連絡先を指定しておくとしましょう。すると、家族と取引先担当者から連絡があった際は通知が届き、それ以外の連絡に関しては通知を受信しなくなります。また、アプリの場合でも、メールやLINE、iTunes Storeといった形で、通知を許可するアプリを個別に指定できる仕組みです。
時刻や場所を指定して自動で起動できる
集中モードは手動でも起動できますが、特定の条件を設定して自動的に起動させることも可能です。集中モードを起動させるトリガーは、時刻と場所、アプリの3種類に分かれます。
時刻の場合は、「平日10~15時」といった形で、曜日と時間帯を指定できます。指定した時刻になると集中モードが自動で起動する仕組みです。
場所の場合、例えば、勤め先の住所を指定しておくことで、オフィスで働いているときだけ集中モードが起動します。アプリの場合は、特定のアプリを指定すると、そのアプリが開いている間、集中モードが稼働し続けます。
このような点から、使用するシーンに合わせて条件を設定しておくと便利です。例えば、仕事のシーンを選ぶ場合は、勤務時間や勤務先が決まっていることも多いため、それに合わせて時刻や場所を指定しておくと、その都度集中モードを起動する必要がなくなります。
Apple Account内で設定が共有される
集中モードの設定は、同一のApple Accountで同期されます。そのため、iPhoneで集中モードを設定すると、同じApple Accountを使っているMacやApple Watchなどの端末にも同じ設定が反映されます。
Apple Account内で同じ設定を共有するには、集中モードの設定を行う際に[デバイス間で共有]の機能を有効にしておく必要があります。この機能を活用することで、端末ごとに集中モードの設定を行う必要がなくなります。
iPhoneの集中モード・おやすみモード・マナーモードの違い
iPhoneには、おやすみモードやマナーモードなど、集中モードとよく似た機能が搭載されています。それぞれ使い方が異なるので、違いを理解しておくことが大切です。
集中モードとおやすみモードの違い
おやすみモードとは、就寝中に不要な通知をオフにできる機能です。特定のタイミングに通知をオフにできる点は集中モードと似ていますが、おやすみモードは就寝のタイミングに特化しています。
集中モードがiPhoneに搭載されたのはiOS 15からです。それまでのiPhoneには、おやすみモードのみが搭載されていました。そして、iOS 15がリリースして集中モードが追加されると、おやすみモードは集中モードの一つのシーンとして活用できるようになっています。
そのため、バージョンのアップグレードにより、おやすみモードが廃止されたわけではありません。集中モードのなかで利用するには、設定時に[おやすみモード]か[睡眠]のシーンを選択しましょう。
集中モードとマナーモードの違い
マナーモードとは、機能を有効にしている限り、電話の着信音や通知音、操作音などがオフになる、あるいはバイブレーションによって通知される機能です。ただし、通知そのものは届くため、集中モードとは大きく異なる機能だといえます。
マナーモードは集中モードのように、特定の連絡先やアプリを指定できるわけではありません。そのため、一度機能を有効にすると、すべての着信音や通知音がオフになります。
一方、集中モードは特定の時間帯のみ、「この連絡先からの通知は受け取りたい、それ以外の通知は受信したくない」といった柔軟な条件設定が可能です。仕事や読書、就寝など、集中できる環境を自分好みに設定したい場合は、マナーモードよりも集中モードを活用することをおすすめします。
iPhoneの集中モードにおけるシーンの種類
iPhoneの集中モードでは、仕事やゲーム、読書など、さまざまなシーンを選択できます。各シーンの特徴や設定可能な条件などを解説します。
仕事
仕事のシーンを選択すると、勤務中の通知を自由にカスタマイズできます。例えば、勤務時間を指定して、その時間帯の通知をオフにしたり、勤め先の住所を指定し、オフィスにいる間の通知をオフにしたりと、さまざまな設定が可能です。また、上司や同僚、取引先担当者のみ通知を許可するといった設定も行えます。
運転
運転中のスマホの操作は道路交通法で禁止されているため、集中モードで通知をオフにしておくことをおすすめします。ほかのシーンと同様、運転のシーンを選択した場合でも、特定の時間帯に受信する通知をオフにできます。そのほか、「端末が動きを検知する」「端末が車載BluetoothやCarPlayに接続する」といったトリガーを起点に、集中モードを自動で起動することも可能です。
ゲーム
ゲームのシーンを選択すると、ゲーム中に集中力が途切れることがないよう、特定の通知をオフにできます。その際、集中モードが自動で起動するようにトリガーを設定するのがおすすめです。トリガーは、「特定のゲームアプリが起動」「ワイヤレスコントローラを接続」といった形で、ゲームシーンならではの条件が用意されています。
そのほかのシーン
集中モードには、上記のほかにも読書やフィットネス、マインドフルネス(瞑想)などのシーンが用意されています。それぞれのシーンはすべて、特定の時間帯を指定して集中モードを有効にできます。そのほか、読書アプリを起動すれば通知をオフ、ワークアウト中は通知をオフといった形で、シーンごとにトリガーを設定して自動で集中モードを起動することも可能です。
カスタム
カスタムとは、集中モードに任意の名称を付けて独自のシーンを設定できる機能です。仕事や運転、ゲームなど、デフォルトで用意されているシーン以外にも、飲み会やショッピング、映画鑑賞といった形で、自身の生活スタイルに合わせて好みのシーンを作成できます。
カスタムで設定できる条件は、ほかのシーンと同様です。連絡先やアプリを一つずつ指定し、それらの通知をオン・オフに切り替えられるほか、時間帯や場所などをトリガーとして設定することもできます。
iPhoneの集中モードの設定方法
iPhoneの集中モードを設定する手順は次の通りです。
- シーンの選択
- 通知を許可する連絡先の設定
- 通知を許可するアプリの設定
- 集中モードの有効化
- 通知センターで通知の確認
手順ごとの進め方やポイントを解説します。
1. シーンの選択
集中モードは、iPhoneの設定アプリ内に用意されています。設定アプリを開いて[集中モード]をタップしましょう。

集中モードのなかには、「おやすみモード・パーソナル・仕事・睡眠」のデフォルトのシーンが用意されています。目的のシーンをタップし、それぞれ設定を行います。また、iPhone以外のデバイス間で設定内容を共有したい場合は、[デバイス間で共有]をオンのままにしておきましょう。

上記のなかに好みのシーンがない場合は、画面左上のプラスマークをタップします。すると、「カスタム・ゲーム・フィットネス」といった形で、そのほかのシーンを選択できるようになります。

なお、カスタムのシーンを選択した場合は、独自の名称を設定することが可能です。また、アイコンの種類や色も自由に選択できるため、自身にとってわかりやすいシーンを設定しましょう。
2. 通知を許可する連絡先の設定
シーンを選択した後は、通知を許可する連絡先を設定します。集中モードを有効にすると通知がオフになりますが、ここで設定した連絡先からの通知のみ受信できるようになります。そのため、「仕事中に上司からの通知だけ受け取りたい」といった場合は、その上司の連絡先を追加しておきましょう。
連絡先を追加する際は、[許可された連絡先]の項目にある[追加]をタップします。

すると、iPhoneの連絡先アプリが開くので、追加したい連絡先を選択しましょう。通知を許可する連絡先は複数追加することも可能です。
また、[許可された連絡先]の下にある[その他の人 > 着信]をタップすると、集中モード利用中の着信の許可を設定できます。

それぞれの項目の意味は次の通りです。
- すべての人:
連絡先アプリに登録されたユーザーも含め、すべての人からの着信を許可する - 誰も許可しない:
連絡先アプリに登録されたユーザーも含め、すべての人からの着信を拒否する - よく使う項目:
連絡先アプリのよく使う項目に登録された連絡先からの着信を許可する - すべての連絡先:
連絡先アプリに登録された連絡先のみの着信を許可する
また、[繰り返しの着信を許可]をオンにしておくと、同じ人から3分以内に二度目の着信があった際、通知が届くようになります。
3. 通知を許可するアプリの設定
続いて、通知を許可するアプリを設定します。特定のアプリを追加することで、集中モード利用中でも、そのアプリからの通知が届くようになります。アプリからの通知が不要な場合は、この画面をスキップしても構いません。
アプリを追加する際は、[許可されたApp]の項目から[追加]をタップします。

すると、iPhone内に保存されているアプリ一覧が表示されるので、通知を受け取りたいアプリを選択しましょう。
また、[即時通知]の機能を有効にすると、通知を許可したアプリ以外からも通知を受信し、集中モード利用中でも、その通知がロック画面に1時間だけ表示されます。即時通知に対応しているか否かはアプリごとに異なり、iOS標準搭載のカレンダーやウォレット、GmailやTwitterなどは対応しています。
対応しているアプリから緊急時の通知が届いた場合、アプリの通知を許可していない場合でも、即時通知をオンにしていれば通知を受信できる仕組みです。そのため、メールやSNSの投稿など、見逃したくない通知がある場合は、即時通知をオンにしておくことをおすすめします。
4. 集中モードの有効化
すべての設定が完了すれば、画面下部の[許可]をタップします。これで集中モードの初期設定はすべて完了です。
集中モードを有効にする場合は、iPhoneのコントロールセンターを表示します(画面右上隅から下に向けてスワイプ)。そのなかに先ほど設定したシーンが表示されています。例えば、おやすみモードを設定した場合は、コントロールセンター内に[おやすみモード]と表示されているので、タップすると集中モードが有効になります。

なお、集中モードをオフにする場合は、同じアイコンをもう一度タップします。
5. 通知センターで通知の確認
集中モードの利用中に通知を受信すると、その通知を許可していない限り、受信した内容は一時的に通知センターに保管されます。そのため、集中モードが終了した後は、自身にとって必要な通知が届いていないかを通知センターに確認することをおすすめします。
通知センターを確認するには、ロック画面とそのほかの画面で方法が異なります。ロック画面では、画面の中央から上側にスワイプすると通知センターが表示されます。それ以外の画面では、画面左上から下に向かってスワイプすると通知センターが表示されます。
iPhoneの集中モードにおけるオプションの設定方法
iPhoneの集中モードでは、集中モード状況を共有したり、集中モード利用中のホーム画面を設定したりと、オプションを設定できます。ここでは、オプションの設定方法を解説します。
1. 集中モード状況の共有
集中モードのシーンを選択すると、オプションの画面が表示されます。

[オプション]の項目内の[集中モード状況]をタップすると、集中モードの利用中にメールやメッセージを送った人に対し、自身が集中モードを利用しており通知を受け取れない状態だと知らせることができます。
例えば、集中モードを利用しているAさんに対して、Bさんがメールを送ったとしましょう。しかし、Aさんは集中モード利用中のメールの通知をオフにしているので、Bさんからのメール受信の通知は届きません。[集中モード状況]の機能が有効になっていると、このBさんに対して、「Aさんは通知を受け取らないようにしています」といったメッセージが届くため、AさんとBさんとの間の不要なトラブルを避けやすくなります。
設定を有効にするには、[集中モード状況]をタップし、そのなかの[集中モード状況を共有]のトグルボタンをオンにしておきましょう。これで通知が届かない場合でも、相手にその状況が伝わるようになります。

ただし、アプリによってはこの機能に非対応であり、相手にメッセージが届かないこともあります。そのため、集中モード利用中の通知をオフにする場合は、事前に相手にその旨を伝えておくことが理想だといえるでしょう。
2. ホーム画面の設定
[オプション]の項目内の[ホーム画面]をタップすると、次のような設定画面が現れます。

[通知バッジを非表示]のトグルボタンをオンにすると、集中モードを利用中、ホーム画面に通知バッジが表示されなくなります。
[ページをカスタマイズ]のトグルボタンをオンにした場合は、集中モードを利用しているときのホーム画面をカスタマイズできます。集中モードを利用しているときのみ、ホーム画面に指定したページのみを表示できるため、例えば、集中力を阻害するようなアプリが表示されたページを除外しておくと、仕事や運転などにより集中できます。
3. ロック画面の設定
[オプション]の項目内の[ロック画面]をタップすると、次のような設定画面が現れます。

[ロック画面を暗くする]のトグルボタンをオンにすると、集中モード利用中のみロック画面が暗くなり、仕事や運転などに集中しやすくなります。
また、[ロック画面に表示]のトグルボタンをオンにした場合は、集中モード利用中に届かなかった通知を、ロック画面にのみ表示しておくことが可能です。受信しなかった通知を見逃すリスクも低くなるため、必要であれば機能を有効にしておきましょう。
4. スケジュールやオートメーションの設定
[オプション]の項目内の[スケジュールまたはオートメーションを追加]をタップすると、次のような画面が表示され、集中モードが起動する時刻や場所などを指定できます。

スケジュールやオートメーションを設定することで、条件を満たしたときに集中モードが自動的に起動するようになります。設定できる条件には次のような種類があります。
- 時刻:
集中モードを開始する時間と終了する時間を設定できる。また、曜日を指定しておくことで、毎週その曜日になると自動で集中モードを起動することも可能。 - 場所:
検索または入力によって任意の住所を登録できる。登録した住所に着いたとき、集中モードが自動的に起動する仕組み。 - App:
指定したアプリが開くと同時に、集中モードが自動的に起動する。例えば、特定のゲームアプリを指定すれば、通知を気にせずゲームに集中できる。
また、[スマートアクティベーション]の機能を有効にすると、iPhoneに記録された位置情報や各アプリの利用状況などにもとづき、集中モードを自動的に起動することが可能です。
スマートアクティベーションには、過去に登録した集中モードのシーンや、条件として設定した時刻・場所などの情報も反映され、AIが最適だと思われるタイミングで集中モードを自動起動してくれます。そのため、条件の設定が複雑な場合や、面倒に感じる場合などは、スマートアクティベーションに集中モードの発動条件をお任せするのも一案です。
iPhoneの集中モードの削除方法
登録した集中モードを削除する場合は、設定アプリから[集中モード]をタップします。

登録したシーンが一覧で表示されているため、削除したいシーンをタップしましょう。すると、以下のような設定画面が表示されます。

画面を最下部までスクロールすると、[集中モードを削除]と表示されているのでタップします。

これで登録した集中モードが削除されます。
iPhoneの集中モードを活用して仕事に集中できる環境を整えよう
iPhoneの集中モードはiOS 15から追加された機能で、これまでのおやすみモードやマナーモードよりも、仕事や読書、運転などに集中しやすい環境を作りやすくなっています。集中モードを設定することで、登録した連絡先やアプリ以外からの通知をすべてオフにできます。また、時刻や場所などを指定して、自動的に集中モードを起動することも可能なので、柔軟性が高く、独自の環境を構築できるのも魅力だといえるでしょう。
集中モードを設定する際は、シーンを選択し、オプションを設定するだけで済みます。面倒な設定手続きは不要なので、この記事で紹介した集中モードの使い方や設定方法を参考に、さっそく活用してみてはいかがでしょうか。
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