働き方改革の一環としてよく取り組まれている「テレワーク(Tele-Work)」。ICT(Internet and Communication Technology)をフルに活用して、オフィス外の遠隔地にいる社員が自由に仕事を行える環境を整えることで、労働生産性向上などの効果が期待できるといいます。
その普及状況はというと、総務省が発表した情報通信白書では、従業員数300人以下の企業でテレワークを既に導入している企業はわずか3%となります。ただし、従業員数301人以上の企業も合わせて、合計34.7%の企業がテレワーク導入準可能群として位置づけられているようです。
その一方で、東京都が都内企業10,000社に対して実施したテレワーク導入状況についてのアンケート調査では、テレワークを既に導入しているという企業は80.2%に達し、「具体的な予定あり」「現時点で導入していないが、今後の導入を検討中」と回答した企業も合わせると93.2%とかなり高い水準をマークしています。
このことから、都内または都市部に所在している企業ほど、テレワーク導入率が高いものと言えるでしょう。
本稿では、そんなテレワークを導入するにあたり注意すべきポイントをご紹介します。テレワーク導入企業のすべてが成功しているわけではありません。注意ポイントを理解し、正しく導入することがまず大切です。現在、あるいは今後テレワークを導入するという場合は、ぜひ参考にしてください。
<ポイント1>労務管理方法の検討
初めてテレワークを導入する企業においては、週1日~2日程度の頻度でテレワークを実施するという企業が多く、それに伴って労務管理方法を変更する企業は少ないでしょう。しかし、将来的には週3日~4日、あるいは完全なテレワークを実施したいと考えているのならば、労務管理方法の検討は欠かせません。
時間管理
具体的なポイントとしてはまず、労働中の時間管理方法です。テレワークでは通常の労働時間制、事業場外みなし労働時間制、裁量労働制のいずれも採用可能なので、企業ごとの環境に合わせて選択するのが一般的です。
労働災害
私的行為による原因であるものは、ワーカーが怪我や病気をしても労働災害の対象にはなりません。ただし、業務起因性や業務遂行性の要件を満たしていると、労働災害の対象になり労災保険給付を受けられることがあります。テレワークにおける労働災害についての検討も欠かせないでしょう。
評価制度
週1日~2日程度のテレワークならば評価制度を変更する必要はありません。しかし、週3日~4日、あるいは完全テレワークを実施するならば今までとは違った評価制度を取り入れることが大切です。テレワーク導入から成果主義に変更する企業も少なくありません。
<ポイント2>ICTシステム・機器の検討
テレワーク導入で絶対に欠かせないものがICTシステム・機器であり、これ無くしてテレワークは実現できません。遠隔地にいるワーカー同士や企業を繋ぐためには、ICTによって円滑なコミュニケーションが取れる環境を整えることが何より大切です。
通信インフラ
在宅勤務型のテレワークでは自宅のインターネット環境を利用することが多く、企業として追加費用が発生することはありません。ただし、社内の通信インフラに比べてセキュリティ性が低い可能性があるため、事前のセキュリティチェックが肝要になります。在宅勤務型以外のテレワークでも、カフェやオフィス施設のWi-Fiが利用できることから追加費用を抑えることができます。
ICT機器
安心安全なテレワークを導入するためのICT機器、いわゆるワーカーが使用するパソコンについて、環境を整えるのにいくつかのパターンがあります。まず、通常のパソコンとVPN(Virtual Private Network:仮想プライベート回線)通信を利用する方法。次に、シンクライアントパソコンとシンクライアント専用サーバーを利用する方法。最後が、通常のパソコンに認証用USBフラッシュメモリを挿し込み、仮想シンクライアント環境を構築する方法です。いずれの方法でも一定のセキュリティ性が保たれるため、コストバランスや運用負荷を考慮して最適な方法を選択します。
電話
企業が支給している携帯電話の利用方法、個人の携帯電話の永久先を企業と個人に分けるなど、電話はビジネスで欠かせないツールなので、管理方法や料金支払いについて十分に検討する必要があります。また、内線にかかってきた電話を、携帯電話やパソコンで受信することも検討しましょう。
Web会議システム
昨今のテレワークに最も必要とされているICTシステム・機器がWeb会議システムです。遠隔地にいるワーカー同士で、フェイスtoフェイスでのコミュニケーションが可能になり、複数人で同時に接続することも可能なので、会議や打ち合わせにも使用できます。クライアントを招待してコミュニケーションが取れるWeb会議システムがおすすめです。
<ポイント3>ワーカーの執務環境の検討
最後のポイントはワーカーの執務環境、いわゆる仕事をする際の環境に関する検討です。たとえば、在学勤務型テレワークだとしても執務環境を管理すべきなのは企業であり、テレワーク導入において従業員に金銭的・肉体的負担を与えるのは得策ではありません。従って、下記のポイントで執務環境について検討する必要があります。
作業環境
在宅勤務型テレワークの場合、自宅で作業をすることが多くなるため企業はプライバシーに配慮しなければいけません。たとえば、休憩時間を家族と過ごすワーカーとのコミュニケーションに配慮したり、場合によっては映像ではなく音声のみでのコミュニケーションを取ったりと配慮するポイントはたくさんあります。また、机、椅子、照明設備、空調等の作業環境を企業から支給するというケースも考慮しておくことが大切です。
作業管理
在宅勤務型テレワークでは、パソコンのディスプレイを見て仕事をすることが必然的に多くなります。したがって、ワーカーの中には今までと働き方が大きく変化する場合もあり、執務環境の変化によって精神的・身体的負担がかかる場合もあります。少し古い情報ですが、厚生労働省が策定している「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」を参考にし、作業管理について考えるとよいでしょう。
テレワーク導入はポイントを押さえつつ慎重に!
テレワークは、ワーカーを管理したりコミュニケーションを取ったりするためのICTシステム・機器さえ揃えれば簡単に導入できる、と考えられることも多いでしょう。しかし、これまでとの労働環境が一変するため、テレワーク導入ではポイントを押さえつつ、慎重に導入していくことが大切です。また、企業によってはテレワーク導入で大きな効果を得られないケースもあるため、事前に導入効果を測定してみることも大切なポイントです。
参考資料
「平成29年情報通信白書のポイント第1部 特集 データ主導経済と社会変革」
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まとめ
いかがでしょうか。働き方改革など政府主導の流れもありますが、実際企業にとって利便性や業務効率改善、従業員に対する就労環境の改善などのメリットも大きく、テレワークの利用はかなり進んできていると言えると思います。
一方で、新しいコラボレーションの方法やセキュリティ対策など、テクノロジーや環境の変化に応じて使用するシステムやツールも日々変化しています。
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