PC を長年使用していると、端末寿命よりも先に、OS のサポート期限が切れてしまうことは多いかと思います。使用感に問題がないとしても、セキュリティプログラムの更新が停止され、セキュリティ面でのリスクが大幅に増幅します。では、期限切れの PC は今後使用できないのでしょうか。
実態としては、予算不足や利用しているシステムまたはソフトウェアの問題から、Windows 7 を未だに利用しているというケースを耳にすることがありますが、当然、スタンドアローンでのご利用以外についてはおすすめできません。また、大企業の場合はしっかり管理しているから大丈夫と思われているかもしれませんが、脆弱なセキュリティの下請けや孫請け会社から情報を搾取される可能性もあり、決して自社は大丈夫だから関係ないということはありません。
そこで話題になっているのが、CloudReady というソリューションです。CloudReady なら、OS のサポート期限が切れたPCを Chromebook と同等のセキュリティを保持する端末に復活させることができるかもしれません。
本稿では、CloudReady の有用性に触れ、最新のバージョンの紹介とバージョンアップの方法に関してご紹介致します。
そもそも CloudReady とは
CloudReady というソリューションについて、最新バージョンやバージョンアップ方法についてご説明するまえに、CloudReady とは一体何なのか、説明させていただきます。既に知っているという方は、本項をスキップして次項より読み進めてください。
OS のサポート期限切れPCを復活?
OS のサポート期限が切れ、アップデートもできないとなると、PC を買い換える、もしくは、セキュリティ面でのリスクを承知でやむを得ず使い続ける・・・そのどちらかを選択するしかないと考える方が多いのではないでしょうか。しかし、そのどちらでもなく、第3の選択肢として登場したのが、 CloudReady です。手持ちの端末( Windows や Mac )にインストールすることで、もともとのOSを Chromium に上書きします。Chromium は、Chrome 開発のベースになったオープンソースのプロジェクトで、CloudReady も Chromium をもとに開発されたため、 Chrome OS とかなり似ています。
さらに現在では、CloudReady の開発元が Google に買収されて Chrome ファミリーに組み込まれたこともあり、今後は CloudReady をインストールした端末と Chromebook は機能的にもさらに近づいていくのでは?と期待されています。
CloudReady 導入のメリットは下記の通りです。
- 保守切れ端末を再利用することによるコスト削減
- Chrome Enterprise Upgrade( Chrome Education Upgrade )での一元管理
※有償版(企業向けor文教向け)に限る - Chromebook 同等のセキュリティとOS自動更新
PC を買い換えるとなると、予算的になかなか難しいかもしれませんが、既にある端末をそのまま利用し続けることができるので、低コスト&導入までのステップが少ないところが、メリットです。
CloudReady の最新バージョン
2020 年 12 月に CloudReady を提供する Neverware 社が Google 社の Chrome OS チームに統合されることが発表され、今後の動向に注目が集まっている CloudReady。現在の OS のバージョンをご紹介します。
参照URL:https://www.neverware.com/blogcontent/releasescheduleupdate
現在のバージョン
2021/10/12 に v92.4 のリリースが発表されました。Chrome 94 に準拠しており、以下の変更点が挙げられています。
v94 のリリースノート
- .mobileconfig ファイルが適用可能に(Chrome iOS 版)
- サードパーティ コンテキストでの WebSQL のサポートを終了
- Android 版とパソコン版で HTTPS 優先モードをリリース
- Chrome が MK 外部プロトコルをブロック
- Chrome / Citrix Workspace(セルフサービス プラグイン)の安定性
- セキュリティで保護されていない一般公開ページから、限定公開 URL またはローカル URL に対するリクエストを禁止
- PWA が(プラットフォーム レベルの)URL ハンドラとして登録可能に
- Chrome 同期のサポートを終了(Chrome 48 以前)
- Chrome で共有ハブをリリース
- 管理者がエンタープライズ ポリシーを使用してプロファイルの分離を強制適用
- Web Serial API 用の新しいエンタープライズ ポリシー
- Chrome 設定のデザインを変更
- コンポーネント アップデート ツールを使用して Certificate Transparency(証明書の透明性)ログリストを更新
- タブグリッドの一括操作を導入
- iOS 版 Chrome の新しいオンボーディング画面
- UserAgentClientHintsEnabled ポリシーを削除
- ユーザーのアクティブ状態の検出をサイトに許可する API をリリース
- Chrome がディスプレイ キャプチャをリリース
- BeyondCorp Enterprise: カスタム警告とバイパスの理由
v94 の新機能
「Chrome の新機能」をリリース
上記が更新されております。
CloudReady の更新情報に関しては Neverware 社の Web ページにて都度公開されています。CloudReady の既知の問題点に関しても言及されているので、ユーザーの皆さまはぜひ確認してみてください。
参照URL:https://www.neverware.com/blog
バージョンアップの方法
結論からいうと Chrome OS の更新とほぼ変わらず、作業自体の負荷はほぼありません。
PC 起動時は「 実際に作業する OS 」と「 バックグラウンドで待機している OS 」の 2 つの OS が起動しており、バックグラウンド側で更新作業がされているので、更新している間にユーザーの作業が止まってしまったり、シャットダウン時に更新作業で時間がかかってしまうなんてこともありません。
実際の作業内容
画面右下の時計が表示されている箇所に「⇧」が表示されると更新が可能な合図です。
手順
- 右下の時計が表示されている箇所をクリック
- 再起動の項目が出るのでクリックして
- 再起動後に更新が適用
再起動自体も数秒で可能なのでまたすぐに作業を再開することが可能です。更新作業自体にストレスがないことは Chrome OS 、Chromium OS を使用する上での大きな利点です。
管理者側での制御
制御する場合のよくある利用シーン
- テレワークの際に携帯のテザリングを利用する為、データ通信が不安
- 社内で全社員が一斉にアップデートするとネットワークが重くなりそうで不安
前者のような不安は、Windows の更新が念頭にあるからだと思われますが、Chrome OS のフル アップデートの平均サイズは 400 MB 以上、マイナー アップデートの平均サイズは約 50 MBとのことですので(※出典:https://support.google.com/chrome/a/answer/3168106)、Windows 10 の年2回でリリースされる機能更新プログラム(フルサイズで2~3GB)のデータ容量とは桁違いに小さいため、過度に心配することはなさそうです。
また、後者のような不安を抱えたユーザー様でも CloudReady の有償版を購入し、併せて Chrome Enterprise Upgrade をご契約いただければ管理コンソールという管理画面でバージョンアップをスケジューリング(段階的に社内に展開)させることが可能です。
この機能は Chrome OS のみならず、CloudReady でも同様に可能です。組織区分を設定して管理者様が段階的に制御をすることもできるので、細やかで計画的なアップデートが可能です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。本稿では CloudReady 最新バージョンからバージョンアップのプロセスまでを紹介させていただきました。
当社では Chromebook および、CloudReady の導入支援を実施しております。これまでの経験やノウハウから、ニーズに合わせた形で幅広く提案させていただいておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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