『 Chromebook を導入したいが、まだ Windows 端末を買ってから日が浅いため、予算が通りそうにない。』
『 保守切れ間近の(切れてしまった)Windows 端末 や Mac 端末が社内にたくさんあるが、もったいなくても使いみちがない。 』
・・・そんな課題を抱える、情報システム部門の方が検索の末にたどり着く先のひとつに、既存 PC の OS を上書きして Chromebook ライクな端末に生まれ変わらせることのできるサービス、 CloudReady があります。調べても調べても、消費者向けの情報ばかりで、当社のサイトに漂着する方が多いようです。果たして CloudReady は、企業にとって Chromebook の代替品として、古い PC 端末を蘇らせる救世主になり得るのでしょうか?
本稿では、企業向けの CloudReady の情報を求める方向けに、概要・特徴・料金から注意点までをお伝えしたいと思います。
CloudReady とは
CloudReady は、オープンソースプロジェクトである Chromium をベースに開発された OS で、Chrome OS と源流を同じくするものです。Mac、Windows、Linux など、主に x86ベースの H/W に対応しており、サーバーには非対応となっています。開発元の Neverware 社が、2020年に Google による M & A を発表し、CloudReady と Chrome OS は、名実ともにファミリーになりました。
CloudReady は、上述の既存端末の OS を上書きし古いPC端末を蘇らせます。Chrome OS に近しい OS となりますが、ブラウザ が Chromium である点など、Chrome OS とは似て非なるものなので、若干の違いはあります。
ただ、ユーザーがブラウジングするだけであれば、ほとんど差異は感じないと言っていいでしょう。現状( 2021年8月2日現在 )では、Android が使えないといった大きな違いはありますが、Chrome ファミリー と緩やかに統合されていくという公式な発表※もありましたので、今後、差異はだんだん小さくなっていくものと予想されます。
Chromebook や Chromebox よりも更にブラウジングに特化した設計になりますので、Google Workspace や Microsoft 365 、サイボウズなどのクラウドサービスをメインに利用するユーザーへの配布や、ブラウザベースのリモートデスクトップの操作端末( 接続元 PC )、シンクライアントやキオスク端末としての利用用途に適しています。
エディションごとの特徴と料金プラン
CloudReady には無償版:個人向け(ホームエディション)・有償版:企業向け(エンタープライズエディション)・有償版:文教向け(エデュケーションエディション)の3エディションが存在します。
一般に個人ブロガーの方が記事にしているのは、無償版(ホームエディション)がほとんどかと思います。実際に企業や学校で利用する場合でも端末管理の必要がなければ、十分無償版でご利用いただけます。
有償版と無償版の一番の違いは何かというと、管理機能が付与されているかいないかの違いです。企業で Chromebook を導入する場合、Chrome OS を管理する MDM のような管理機能を一緒に利用することがほとんどですが、CloudReady の有償版は、 Chromebook と同様に Google 管理コンソール上( Chrome Enterprise Upgrade または Chrome Education Upgrade )で端末とユーザーの管理ができるようになります。
以下、エディションごとに特徴や価格についてまとめました。
個人向け | 企業向け | 文教向け | |
エディション名 | ホーム | エンタープライズ | エデュケーション |
価格(年額・税別) | 無償 | 6,600円 / 台 | 3,120円 / 台〜※ |
初回最小購入数 | ー | 20 | 30 |
管理機能 | ✕ | ○ | ○ |
Google 管理 コンソールでの管理 |
✕ | ○ | ○ |
サポート | ✕ | ○ | ○ |
備考 | ※1・2・3・5 年から選択 |
ライセンスはデバイスに依存しないため、購入後のデバイスの入れ替えも自由です。
なお、有償版 CloudReady のライセンスには、英語でのメールによるメーカーサポートが含まれていますが、当社経由でご購入いただいた場合は、日本語でのメールサポートを提供しています。
注意点
Cloudready の導入にあたっては、以下の注意点があります。
- OS を元に戻すために、予めバックアップをとっておく必要がある
- Android がまだ利用できない(買収されたので今後に期待!)
- Chrome Enterprise Upgrade を利用しないなら、無償版で良い
- インストールできる・できない、正常に動作する・しない は、
実際に無償版をインストールして検証する必要がある - 最小導入数が20ACから(導入台数が20台を下回る場合は要検討)
CloudReady の公式サイトにサポート対象端末のモデルが列挙されていますが、日本製品は掲載されていないものも多いです。ただ、掲載されていないから使えないということはなく、実際にインストールしてみて正常に動作すれば問題ありません。検証サポートについては、電算システムにて無償でお手伝い可能ですので、お気軽にご相談ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?自作 PC の好きな方の『やってみた』系ブログや、ライフハック系のまとめブログで個人で無償版を利用しているという方の記事は多いのですが、企業導入事例や企業での利用についての情報が少ないなと感じましたので、企業での導入を検討されている方に向けて、本稿にて基本情報をまとめてみました。
今後も、CloudReady 関連の記事は積極的に公開できればと思っておりますので、引き続きチェックいただければ嬉しいです。また、当社の CloudReady 関連のページも、より見やすく、より分かりやすくリニューアルいたしましたので、ぜひ、こちらもご一読ください。
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