データの整理や統一ができていないとお困りではありませんか? この記事では、データを修正して保存する「データクレンジング」について、概要や方法、メリットを紹介します。データの質を高めたい方は、ぜひ参考にしてください。
データクレンジングとは?
近年、IT化の進展もあり、多くの企業で活用できるデータの量が増えてきています。その一方で、データの不具合なども起きやすくなっています。これまでに一度は、データの形が整っていなかったり、欠損したデータが混じっていたりと、データの不具合に遭遇した経験があることでしょう。
そこで役立つのがデータクレンジングです。データクレンジングとは、データベースに保存されたデータに修正・加工などの調整を施し、データの統一化を行う処理や作業のことです。たとえば、重複したデータを削除したり、データの項目を揃えたりすることができます。
データクレンジングを実施することは、企業において非常に重要です。例えば、データベースの質が向上すると、データ分析のスピードや精度が向上し、営業・マーケティングなどの業務においても役立つからです。
なぜデータが汚れるのか
そもそもなぜ、データクレンジングが必要になるのでしょうか?
データが汚れるというのは、データベース内の会社名の表記が微妙に異なっていたり、電話番号のハイフンの有無が異なっていたりと、データが整っていない状態を指します。
これは、普段からデータの取り扱いについて社内で管理を徹底していない場合に起こりがちです。決められた定義がないと、個人や部署ごとに異なる方法でデータを入力してしまうことがあります。
また、きちんと管理していたとしても、M&Aや事業統合で異なるデータベースを併用したり、システムの刷新でデータの保存方法が変わったりすることがあります。いずれの場合も、結果的に、データベースが汚れるという事態を招いてしまいます。
一方で、データが統一されていなくても、見てわかれば問題ないと考える方もいるでしょう。
しかし、データを汚れたままにしておくと、表記ゆれなどで同じ項目のデータと認識されず、その都度データを出し直さなければならなかったり、検索しても出てこなかったりと、無駄なコストや時間がかかります。
また、きちんとデータが管理できていないことは、企業の信頼度低下にもつながってしまうかもしれません。
データクレンジングのメリット
データクレンジングには、業務の効率化やコスト削減など、さまざまなメリットがあります。ここでは、代表的な3つのメリットを紹介します。
業務効率の向上
データクレンジングを実施することにより、データベース上で検索すれば、必要なデータがすぐに取り出せます。
これまで必要とされていた、データ修正や整理の時間がなくなるため、企業全体の業務効率化につながります。
その結果、データの準備以外の業務に時間を割くことができ、より業務上の成果も出しやすくなるでしょう。
コスト削減
データが汚れていると、データの修正のために無駄な時間がかかり、その結果人的コストが増大してしまいます。しかしデータが整っていれば、業務のスピードが上がり、コスト削減が可能です。
また、データが整備されていれば、データ分析で誤った結果が出る可能性も減らすことができ、データの正確性も確保できます。
データが正確であれば、データの修正に時間を取られることもありません。
迅速な意思決定
企業の意思決定をするためには、正確なデータが必要です。データクレンジングによって、正確なデータがすぐに出せれば、意思決定のスピードも向上するでしょう。
また、これまではうまく抽出できていなかったデータも扱えるようになるため、正確なデータを元に、意思決定が行えます。
そのことで、競合他社の中で優位に立つという効果が得られるかもしれません。
データクレンジングの方法
では、データクレンジングはどのように行うのでしょうか? ここでは、データクレンジングの具体的な方法を説明します。
1. データの収集
まずはデータの収集を行います。データベースすべてのデータクレンジングを行いたい場合は収集する必要はありませんが、特定のデータの場合は、必要なものを抽出しておくことで、データの修正が素早く行えます。
2. データの取り込み
続いて行うのが、収集したデータの取り込みです。データをひとつのデータベースにまとめます。ひとつにまとめることで、データの確認がしやすくなるだけでなく、データ同士の新たな関連性も見えてくることがあります。
3. クレンジングの実行
データクレンジングのメイン作業となるのが、クレンジングの実行です。データの誤りやゆらぎを探し出して、データの修正を行います。
このクレンジングを行う前に、データの修正基準を決めておきましょう。例としては、「半角英数字に統一する」「株式会社を(株)に統一する」「電話番号のハイフンは抜く」などがあります。また、データの重複削除も行いましょう。
4. データの整理
最後に、データの整理を行います。データの整理とは、データクレンジングが終わったデータを、目的に合わせてリスト化し、適切な保存場所に保存しておくことを指します。
今後、クレンジングしたデータをどのように利用するかを想定しながら整理しましょう。データベースにそのまま放置せず、整理まで行うことで、必要なときにすぐデータを参照できます。
上記の作業は、手動で行うことも可能ですが、データクレンジングツールを使って自動で行うことも可能です。
ツールには、ゆらぎの抽出や重複削除を自動的に行い、修正されたデータを指定した組み合わせで保存してくれるといった機能などがあります。
データクレンジングを行う時間がないという場合には、ツールの導入がおすすめです。ツールごとに、搭載されている機能や特長が異なるので、自社に合ったツールを選択しましょう。
データクレンジングの注意点
上記では、データクレンジングの具体的な方法について説明しました。ここでは、データクレンジングを行ううえで、押さえておきたい2つの注意点を紹介します。
1つ目の注意点は、データクレンジングを定期的に行うことです。データベースには、毎日新しいものが取り込まれるため、月に1回程度の頻度で定期的に行うようにしましょう。
2つ目の注意点は、目視でのチェックを行うことです。
データクレンジングをツールで行う場合、どうしても人の目で確認しなければわからないデータの重複などが起きる可能性があります。より正確なデータにするためにも、データクレンジングの最後に目視での確認を行うようにしましょう。
データクレンジングの課題
ここまで述べてきた様に、データクレンジングには手間と時間がかかります。実はこれがデータクレンジングにおける最大の課題です。
世界各国に展開しているクラウドソーシングサービスを運営する米国 CrowdFlowerが2017年に行った調査によると、データ分析者にとって、データクレンジングを含むデータの前処理は最も時間を割かれるものであり、最も楽しめない業務として挙げられています。
そのため、クレンジング作業を効率化し、実施者の心理的負担を減少させられるようにしなければなりません。
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まとめ
データクレンジングとは、取り溜めたデータの修正や加工をして、データを整理することをいいます。データを整理しておくことにより、必要なときに必要なデータをすぐに取り出せたり、データの不備を減らせたりと、企業の実務において役立ちます。
その一方で、データクレンジングには、時間がかかることが課題として挙げられているため、適切な手順に沿ってデータの修正を行うことが大切です。
データの収集、データの取り込み、クレンジングの実行、データの整理の順に、データクレンジングを行いましょう。もし時間や人員が足りない場合は、データクレンジング専用のツール導入や、専門サービスを利用する事も検討しましょう。
データを活用すればビジネスは変わる。
さぁ、データ・ドリブン経営へ舵を切りましょう。
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