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AI(人工知能)を利用すると何ができるのか?
具体的な事例や概要を紹介

 2023.02.07  株式会社電算システム

AIは、さまざまな産業においてすでに実用化が進んでおり、人間の業務負担を軽減したり、人間の能力では不可能だったことを可能にしたりする力を持っています。本記事では、AIの定義やビジネスに活用するメリット、各産業による活用事例などについて解説します。

AIの定義と歴史について解説!

AIとは何かを正しく理解するために、まずはAIの定義と開発の歴史、仕組みなど、AIについての基礎知識を解説します。

AIの定義

AIとは「Artificial Intelligence」の略で、直訳すると「人工知能」という意味になります。AIをどのような意味で捉えているかは企業や研究者によって異なり、明確な定義がなされているわけではありません。一般的には、人間の知能を人工的に再現し、言葉を認識する、絵を描くといった知的活動を行えるようにしたコンピューター、という意味で広く理解されています。

AIはまだ開発途上の段階にあり、人間の脳をそのまま代替できるような高精度なものは存在しません。現状のAIが可能とするのは、与えられたデータを繰り返し学習することによって、言語・音声・画像を認識すること、異常を検知すること、一定の条件下で最適な結果を予測・探索することなど、用途が限定された特定の知的活動のみです。

反対に、人間の感情や感性など、さまざまな条件を考慮して臨機応変な判断を下さなければならない複雑な作業や、ゼロから新しい作品を生み出すクリエイティブな作業などは、AIにとっては苦手分野です。

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AIの歴史

AIは、これまでに第一次から第三次までのブームを経験する中で発展してきた歴史があります。

第一次ブームは、AIの研究が盛んに行われるようになった1950年代後半~1960年代にあたります。初めてAIという言葉が提唱されたのは1956年、アメリカ・ニューハンプシャー州にあるダートマス大学にて開催された研究発表会でのことです。計算機学者のジョン・マッカーシー教授が、人間のように考える機械のことを「人工知能」と名付けたことが始まりとされています。当時のAIには、推論によって問題の答えを導き出すために明確なルールが定められていなければならない、という制限がありました。

第二次ブームが到来したのは1980年代〜1990年代です。ある専門分野の知識をコンピューターに記憶させて推論させることで、専門家のように振る舞えるようにした「エキスパートシステム」が登場します。これにより、第一次ブームの段階では不可能だった複雑な問題に対する回答も導き出せるようになったことで、AIに期待が寄せられるようになりました。

しかし、知識データを人間が用意して手作業でコンピューターに取り込む必要があることや、データ量が膨大なためにデータ間で矛盾が生じることなどから、AIが実際に活用できるデータ量には限界があることが判明し、AIは再び冬の時代に突入します。

そして、2000年代から現在に至るまで続いているのが第三次ブームです。詳しくは後述しますが、膨大なデータ同士の関連性やパターンをコンピューターに学習させる技術「機械学習」の実用化が進んだことや、特徴量(データを分類するために不可欠な情報)をコンピューターが自動的に抽出し、臨機応変な判断を可能にする「ディープラーニング(深層学習)」の提唱などがブームに拍車をかけ、さまざまな産業においてAIが活用されるようになっています。

AIのアルゴリズム

AIには主に、「ニューラルネットワーク」「エキスパートシステム」「遺伝的アルゴリズム」という3種類のアルゴリズム(計算手法)が用いられています。

・ニューラルネットワーク
ニューラルネットワークとは、人間の脳神経系・ニューロンに着想を得て開発された数学モデルです。人間の脳で行われる情報処理の仕組みを計算式に落とし込んだもので、技術的にはディープラーニングの一種とされます。

・エキスパートシステム
エキスパートシステムは、専門家(エキスパート)が問題の答えを導き出す手順を真似て開発されたアルゴリズムです。特定の専門分野における規則や事実などを収集した大量の知識データをもとに、コンピューターが推論して結論を導き出します。これによって専門知識のない人でも、専門家と同じレベルでの問題解決や判断が可能になります。

・遺伝的アルゴリズム
遺伝的アルゴリズムとは、1975年にアメリカ・ミシガン大学のジョン・ヘンリー・ホランド教授によって提唱されたアルゴリズムです。生物の進化の仕組みを再現するように、トライアンドエラーを繰り返しながら力技で正解を導き出すという確率的な探索方法で、偶然うまくいった組み合わせを採用していくため、膨大な時間とデータを必要とするのが特徴です。

AIと機械学習の違いは? 

AI(人工知能)を利用すると何ができるのか? 具体的な事例や概要を紹介-01

機械学習は、AIを活用した技術のひとつです。コンピューターに大量のデータを取り込み、それらのデータを反復的に学習させることで、データの背景にある隠れた関連性や類似性といったパターンを見つけ出し、それに基づいて未知のものについて予測したり判断したりできます。人間が正解のパターンを示す必要がなく、コンピューターが自立的に分析の精度を高めていけるのがメリットです。

機械学習は、答えにたどり着くための特定の数式が存在せず、変数の多い大量のデータ群を分析する際に役立ちます。たとえば、エネルギーの需要予測や消費トレンドといった、常にデータの性質が変化し続けるような場合に最適です。

なお、近年注目されている深層学習は機械学習の手法のひとつで、ニューラルネットワークに基づくアルゴリズムにより、従来の機械学習よりも高精度な分析を行えるのが特徴です。

機械学習をビジネスで活用する際の注意点

機械学習をビジネスに活用する際は、学習に必要なデータを十分に準備できるか、コストに見合う成果が出せるかについて検討する必要があります。

コンピューターに機械学習を行わせるためには、学習データを用意しなければなりません。精度の高い分析を可能にするには、大量かつ良質なデータが必要で、データ量が少なすぎたり、事実に反するデータが含まれていたりすると正しい分析ができません。社内に十分なデータが蓄積されていない場合、政府や研究所、大学、企業など外部組織が公開しているデータを活用するか、インターネットから目的に適ったデータを抽出する、「スクレイピング」という手法によってデータを収集する方法があります。

また、AIを導入するとなると、システム開発費用やデータの収集・加工費用、人件費などがかかります。決して安い投資ではないため、業務にAIを導入することがどの程度のコストカットにつながるのか、なるべく具体的に費用対効果を算出してから導入を検討したほうがよいでしょう。

コンピューターによる膨大な処理プロセスによって解答を導き出すディープラーニングでは、その判断の根拠を人間が理解することは非常に難しく、AIの内部構造がブラックボックス化する問題も懸念されています。特に医療診断や自動運転といった、人間の生死に関わる分野でAIを活用する際には、その結論に至った判断基準や思考プロセスが重視されるため、AIが下した判断の根拠を探るための技術開発が進められている段階です。

AIは人間の負担を軽減したり、人間ができないことを可能にしたりする優れた技術ではありますが、ビジネスに利用する場合は、業務の性質を踏まえたうえで活用シーンを適切に判断することも必要でしょう。

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AIを活用するとどのようなメリットがあるのか?

AIをビジネスに活用するメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。

・人手不足の解消
これまで人間が担っていた業務の一部をAIが代行することで、労働力不足を補えます。たとえば、製造業の外観検査においてAIを活用すれば、これまで人間が目視で判断してきた検品業務を画像認識によって自動化できるため、人間の業務負担を軽減できると同時に、人間が行うよりも高速かつ正確な業務の遂行が期待できます。

・業務の効率化
AIは、業務効率を向上させるための手段としても有効です。近年では、営業やマーケティングの現場でもAIを導入する事例が増えてきています。たとえば、AIを搭載したMA(マーケティングオートメーション)ツールを使えば、自社のWebサイトを訪問した顧客の行動データなどを収集し、それらをもとに顧客が好みそうな商品や、メールを開封しそうな時間帯といった情報を自動的に解析して、適切な情報を適切なタイミングで提供できるようになります。

・人件費の削減
AIによって業務効率が改善されれば、少ない人数でこれまでと同じ業務量をこなせるようになるため、人件費の削減につながります。さらに、業務の自動化によって労働時間が短縮されることで、残業代や休日手当の削減も見込めるでしょう。

AIの活用事例4選

AIは幅広い業界で活用が進んでいます。ここでは、実際の業務にAIが採用されている4つの事例をご紹介します。

さまざまな場面で活躍するロボットに搭載

人手不足の解消を目指して、AIを搭載したロボットを導入している業界は少なくありません。すでに実用化されているサービスの例としては、飲食業界で活用されている配膳サービスロボットが挙げられます。自己位置の特定と環境地図の作成を同時に行えるSLAM技術や、3Dカメラ、赤外線センサーなどを搭載することで、障害物を避けた安定的な走行を可能にし、混雑時においても厨房から客席まで自動的に料理を運ぶことが可能です。

我々の生活により身近な例として挙げられるのが、掃除ロボットやペット型ロボットです。掃除ロボットは、家庭だけでなくビルメンテナンス業界や清掃業界などでも活用されています。自律走行できることはもちろん、回収した汚水が満タンになると、内部に装着されたフィルターで自動的に汚水を清水に変えて再利用したり、学習機能によって走行ルートを記憶したりできる製品が登場しています。

ペット型ロボットは、画像認識技術によって人間の顔を見分け、会話や動作を通じて人間とコミュニケーションが図れるロボットです。日常のストレスや一人暮らしの孤独感を軽減するためのソリューションとして注目を集めているほか、「住宅事情により動物を飼育できないが、ペットはほしい」というニーズを満たす手段として利用されています。

車の自動運転技術に搭載

車の自動運転技術にもAIが活用されています。車の運転中には、道路を横断する歩行者や路肩に停止している車、動物の飛び出しなど、思いもよらない障害物に遭遇するシーンが少なくありません。しかし、AI搭載の自動運転技術であれば、機械学習によって高精度な画像解析とパターン予測が可能になるため、そうした想定外の状況でも臨機応変に走行できるのが特徴です。

ただし、AIが状況を読み間違えて、誤った判断を下す可能性もあります。また、ブレーキが故障した場合に、ドライバーの命を優先して目の前の歩行者と衝突するか、もしくは歩行者の命を優先して車を壁に衝突させることで停止するか、といった判断の難しい倫理的な問題も議論されており、完全な実用化までにはもう少し時間がかかると予測されています。

医療現場で活躍

医療現場においては、質問の解答から患者の病名を診断する自動問診アプリや、MRI・CT・レントゲンといった各種画像データをディープラーニングで解析し異常を発見する技術、病歴や薬の効きやすさといった患者の基礎データから生活習慣病リスクや余命を予測する技術などが登場しています。

医療現場にAIを導入することの問題点としては、学習していない症状には対応できないことや、前述の通りディープラーニングでは判断過程がブラックボックス化し、AIの誤診によって患者の症状が悪化した場合に、その原因を究明できないことなどが挙げられます。

スポーツ分野での予測などデータ活用で活躍

スポーツでは、選手の特徴や過去の試合でのパフォーマンスなどを分析して戦略を立てることが、勝利への重要な鍵を握ります。AIを活用したスポーツテックのひとつとして、たとえばAIを搭載したカメラで試合を撮影すると、独自のアルゴリズムで選手のコンディションやチームの状況を解析できる映像分析ツールなどが開発されています。ほかには、AIを使った画像解析技術によって、選手同士が接触した際の位置や姿勢、速度などから怪我をしにくい動作を分析し、怪我予防に役立てるサービスなどもあります。

また、リアルタイムな選手情報の分析だけでなく、AIが試合会場の混雑状況を予想してチケットの価格を決定する仕組み「ダイナミックプライシング」や、より臨場感のある映像を撮影できる自動追尾ドローンなども、すでに実用化が進んでいます。

Googleの提供する最新のAI技術とは?

アメリカの大手インターネット関連企業のGoogleでも、最新のAI技術を活用したサービスを展開しています。最後に、代表的なGoogleのAIサービスをいくつかご紹介します。

AIによる自然な会話を実現させる「LaMDA」

「LaMDA(ラムダ)」は、高度な会話能力を備えた大規模言語モデルです。ニューラルネットワークをベースに構築された技術で、会話に出てくる単語同士の関連性を理解し、次の会話に出てくるであろう単語を予測することで、自然な会話を可能とします。

学習データから会話を合成しているため、一般的なチャットボットと違って、会話のトピックが移り変わったとしても自然に対応できるそうです。この技術を活用すれば、Googleが提供する検索サービスにおいて、音声による具体的なリクエストに応えることが可能になります。

複数の要素を同時に解析する「Pathways」

「Pathways(パスウェイ)」は、ひとつの機械学習モデルで最大数百万種類のタスクに対応できる汎用型AIです。現在普及しているAIの大半は専用型と呼ばれ、ひとつの機械学習モデルでひとつのタスクにしか対応できず、ほかのタスクを処理させるためには、新たに専用の学習データを大量に準備しなければなりませんでした。

対してパスウェイでは、ひとつの機械学習モデルでさまざまなタスクおよび多言語によるタスクに対応できるため、従来のAIに比べて機械学習に必要なデータ量が少なくなり、コンピューターの電気効率や処理速度、分析精度が向上することが期待されています。

製造業で活用できる検査精度の高い「Visual Inspection AI」

「Visual Inspection AI」は、製品に欠陥がないかを検査する製造業向けのツールです。自動車や半導体、電子機器などさまざまな製品に対応しており、従来のGoogle製AIツールよりも正確で効率的な検査が可能になりました。

同社が実施した試験によれば、これまでよりも少ないデータ量で機械学習モデルを構築できることに加え、検査精度も改善されており、専門的な知識がなくとも利用できるとのことです。

まとめ

AIは今後、さまざまな産業および分野で実用化が進み、人間を上回る精度が達成されていくことが予測されます。ただし、学習範囲外の状況に弱く、判断の理由や過程までは説明できなかったり、社会的ルールに反する振る舞いを学習したりする可能性もあり、いまだ多くの課題が残されている状況です。

これらの課題を克服するため、現在ではパターン処理を行うだけでなく、人間のように意味の理解や判断過程の説明といった高度な処理ができる、より安全で信頼できる「第四世代AI」の実現に向けた開発が進んでいます。さまざまな技術をうまく活用し、AIをより使いやすい技術へと発展させていけるかどうかが、さらなるAIの普及への鍵となるでしょう。

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