2020年に正式に Google Cloud™ の一員となったデータプラットフォーム Looker。前回はBI ツール選定やデータ分析に悩めるご担当者様に向けて、Looker が解決できる課題のタイプをピックアップしてみました。
本稿では、既に Looker を導入されている企業の導入背景をご紹介いたします。
Looker の用途
Looker は国内でも企業規模や業界は関係なく、様々な課題や要望をもつ多くのお客様にご利用いただいております。その利用方法は従来の BI が担ってきた“社内向けの分析・共有”と、自社サービスへの組み込みや加工した自社データの社外提供などの“外部向けの分析・共有”の大きく2つの用途に分けられます。
日本国内では、“社内向けの分析・共有”のお問い合わせが多いですが、デジタルトランスフォーメーションの観点で、自社データの活用/マネタイズを目的として“外部向けの分析・共有”のために導入されるケースが目立ってきました。国内外を含めた Looker 導入企業の3割以上は“外部向けの分析・共有”のご利用となります。
それでは、いくつかの実例をもとに Looker 導入の背景をみていきましょう。
実例:既存BIツールへの不満
日本国内ではTableau や PoweBI など、各種BIツールを利用されている企業が、以下に記載する不満や課題を解決するために、Looker に乗り換えるというパターンが一番多く見受けられます。
◎既存 BI ツールの仕様によりデータカオスとなっていた
指標や計算式を各部門で自由に定義できるため、上がってきた結果/レポートの定義が曖昧で分析の信頼性が担保されていない。
▼
Looker は、言葉の定義やその裏にある計算式を管理者が一括管理するため、異なる部署やグループ企業間であっても同じ指標・用語を共有できる。そのため、データの信頼性が上がる。
◎データマートのメンテナンスに追われていた
ECサイト運営会社やゲーム配信会社など、膨大なデータが蓄積されるとともに、プロダクトや市場の変化が激しいサービスで分析項目の変更頻度が高く、データマートのメンテナンスで担当者が手一杯となっていた。
▼
Looker は、データベースを内部にもたず、データソースとなるDWHを直接、リアルタイムに参照するため、DWHにデータが収集・整備されていれば、データマートのメンテナンスは必要ない。
◎分析担当者が細かい集計作業に追われていた
分析業務を出来る人材が少ないため、細かい集計作業やデータ抽出の依頼がデータ分析担当者に集中してしまい、結果的に本来の分析業務に時間を取れない。
▼
Looker は、細かい集計やデータ抽出を信頼性を担保した状態で、エンドユーザーが行えるようになり、データの民主化を進めることが出来る。
◎属人化していた
ダッシュボードのメンテナンスは担当者がSQLを駆使して行っていた。担当者の異動により、過去の経緯もメンテナンス方法も分からなくなり、そのまま放置されてしまった。
▼
Looker は、Gitにより複数人が編集をコラボレーションすることもでき、バージョン管理を行うことも出来るようになる。
実例:データドリブン組織への変化
一部の部門でしかBIツールを利用していなかった企業でも、デジタルトランスフォーメーション(DX)やデータの民主化といった、社内のデジタル化を急務と考えて、データプラットフォームとして Looker を導入されています。歴史ある老舗企業など、比較的保守的で古い体質をもった企業であっても、デジタル変革を意識した事業方針に合わせて、Looker によるデータドリブンな組織を目指す会社が増えています。
◎データガバナンス
部門や人によってレポート項目の定義が曖昧で分析精度が異なる。定義が統一されていないため、同じ項目名であっても、データソースや集計値が異なるという事態が起きてしまい、正しい数字で意思決定をすることができない。
▼
Looker は、データ分析担当者により統制された定義をエンドユーザーが使うことになり、全社で統一の数字を見ることができるようになる。
◎データの民主化
『分析業務を行える人、組織、環境が限定されている』『営業やマーケティング以外の部門で数字への関心・執着が希薄である』『データを見るために、ログインしてダッシュボードを見なければいけない』など、データと業務が身近な関係になっていない。
▼
Looker は、100%webのソリューションであり、ダッシュボードごとにユニークなURLが振られるため社内共有がしやすい。ライセンスをもたないユーザーにもSlackなどの社内SNSを利用したり、クラウドのストレージへの保存や、ポータルサイトへグラフを埋め込むなどの方法で簡単に共有できるため、全員が日常業務の中でデータを活用することができるようになる。
実例:自社サービスへの組み込み
自社サービスの中にダッシュボード機能や分析機能を提供する場合、開発費用も運用費用も発生してしまいます。Looker をパーツとして組み込むことで、開発にかかるコストを省き、サービス提供の期間を最小限に抑え、収益と売上の拡大を見込めます。
◎リッチな分析機能
自社サービス内で、顧客に有償オプションとして提供していた分析機能(他社BIツール)は顧客要望に対応出来ておらず、利用頻度は低く、顧客満足度も低かった。
▼
既存の BI サービスから Looker にリプレイス。リアルタイム分析機能を提供できるようになり有償の契約数の増加に寄与し、顧客満足度も向上。
◎開発工数の削減
自社開発では開発工数がかかるため、お客様やビジネスサイドからの要望を反映することが出来ずにいた。
▼
サービスへの Looker を埋め込むことにより、開発工数を削減。ビジネスサイドからのフィードバックを早期に反映させることができるようになった。
まとめ
ここまで、実際に Looker をご利用されている企業の導入理由を簡単に整理してみました。みなさまの企業内での課題や問題点と比較して頂ければと思います。電算システムでは Looker 導入検討のお客様にはPoCの支援も行っておりますので、ご興味ございましたらお問い合わせ下さい。
電算システムでは、データを収集、統合、可視化する様々な「データプラットフォームサービス」を提供しています。Looker についてもっと詳しく知りたい方はこちらの資料もご覧ください。