7月14日に Google から正式版がリリースされた「Chrome OS Flex」。古くなったPCに最新のオペレーティングシステムであるChrome OS Flexを搭載することで、ハードウェアの寿命を延ばし、セキュアな環境をつくれるとあって注目を集めています。今回はこの Chrome OS Flex についてご紹介します。
Chrome OS Flex の概要
Chrome OS Flex は、動作が速く、管理も簡単、かつセキュアなクラウド ファーストのオペレーティング システムです。Windows や Mac などの古いPCを最新の環境に変換してパフォーマンスを向上させ、教育と学習の効率化が図れるように開発されています。
古くなったPCが最新の状態になるだなんてまるで魔法のような仕掛けですが、平たく言うとPCに搭載されたOSの乗り換えということになりますので、土地はそのままに家をリフォームする言えば、イメージしやすいでしょうか。
この商品はもともとネバーウェア社が、オープンソースプロジェクトである Chromium OS をベースとして開発し、「CloudReady」というOSとして提供していたのですが、Google が同社を買収して、名称を Chrome OS Flex へと変更し、今年の2月からβ版を公開していました。そして、ユーザーからの改善要求を反映しながら、今回の正式版のリリースとなりました。
ここで少し整理致しますと、
Chrome OS → Chromebook にインストール済みのOS
Chrome OS Flex → WindowsやMacにインストール可能なOS
となります。
どちらも Chromium OS をベースとしたOSのため、シンプルで安全なクラウドベースのオペレーティング システムを利用することができる、兄弟OSと思っていただければ、分かりやすいかと思います。ただ、いくつか違いがありますので、ご注意ください。
詳しくはヘルプページをご参照ください。
Chrome OS Flex を使うメリット
学校には職員室をはじめ、パソコン教室や特別教室などあらゆる場所に多数の端末が整備されています。
時に、古くなったパソコンが手つかずのまま保管されているといった事態もあるでしょう。そして、古くなっているために搭載されている OS のサポート期間が終了していたり、セキュリティソフトの更新が行われていないために、立ち上げること事態が脅威となっているケースも想定されます。
こうした場面で Chrome OS Flex を利用すれば、最新のOSを搭載したPCに変身させられるので、これまで廃棄に回していた端末を長く利用することができ、新しい端末の購入費用を削減することができます。
OSを入れ替えたデバイスはクラウドベースで起動するため、Chromebook 同様に起動が早く、授業の進行を妨げることがありません。ですから、すでに Chromebook を導入している学校や地域では、ユーザーはほぼ同等な環境で校務や学習を進めることができるようになります。
セキュリティ面でも、Chromebook と同様に、OS自動アップデート、ウイルス対策ソフトウェアは不要になっています。また、大部分のデータとファイルがデバイスではなくクラウドに保存されるため、ランサムウェアの脅威を軽減できます。
このほか、Chrome Education Upgrade を追加することで、既存の Chromebook と一緒に管理コンソール上からデバイスポリシーを設定したり、ユーザーアクセスの制御、アプリの管理を行うことができます。
このように、クラウドをベースにしたオペレーティングシステムのあらゆる恩恵を受けながら、古くなったPCを蘇らせることができるのが ChromeOS Flex です。
Chrome OS Flex を利用する手順
Chrome OS Flex の利用手順は3つのステップになります。全部で20分程度の作業で済むので、簡単に試すことができます。
まず、Chrome ブラウザの拡張機能である[Chromebook リカバリ ユーティリティ]から、起動可能な Chrome OS Flex USB ドライブを作成し、これを使用して、インストールする前に Chrome OS Flex を試してみます。
次に、問題がなければ、Chrome OS Flex を PC または Mac にインストールして、既存のオペレーティング システムと置き換えます。
最後に、USB ドライブまたはネットワーク経由で、Chrome OS Flex を組織の他のデバイスにも紐づけします。
詳細のインストール手順については、以下を参照ください。
https://support.google.com/chromeosflex/answer/11541904?hl=ja&ref_topic=11551271
なお、OS が定期的にアップデートされても Chrome OS Flex が正常に動作し続けるように、Google は Chrome OS Flex の機能を各種モデルで定期的にテスト、管理、認定しています。また、認定デバイス、認定の期限、インストールに関する注意事項、サポートしている機能とサポートされていない機能の詳細をリストで管理しており、これを認定モデルリストと呼んでいます。
動作が保証されている機能などについての記載もありますので、一度、ヘルプページをご参照ください。
まとめ
今回は、Googleから新たにリリースされた Chrome OS Flex についてご紹介しました。
WindowsでもMacでもすべてのデバイスに Chrome OS Flex をインストールすることで、管理しやすく安全な学習環境を整えることができます。それでいて、端末の廃棄を回避し、新しい端末の購入費用を削減し、端末の寿命を延ばしてくれるなど、サステナビリティの点でも利用するメリットがあります。
また、料金面でも、Chrome OS Flex 自体は無料で利用できるのも学校現場には優しい点です。ただ、新しいOSを搭載したPCを安全に利用するには、Chrome Education Upgrade が欠かせませんので、その点は考慮に入れて計画的に利用していただければと思います。
電算システムでは、Google for Education のソリューションを中心に学校現場におけるDXを支援しています。学校現場における豊富な導入実績を誇る弊社ならではのご提案も可能です。Chromebook や Google Workspace for Education などの導入や活用についてお困りごとなどございましたら、お気軽にお問い合わせいただければと思います。
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