昨今、ビジネスシーンではさまざまなクラウドサービスが誕生しています。そして、クラウドサービスの利用機会の増加に伴い、「リージョン」という言葉を見かけたことがある方も多いのではないでしょうか。
リージョンとは、クラウドサービスにおいてデータセンターが設置されているエリアを指します。しかし、単なるエリアという意味合いだけでなく、選択するリージョンによって通信速度や料金、利用できるサービスの種類などが変わってくるため、重要な側面をあわせ持ちます。
本記事では、クラウドサービスにおけるリージョンの意味や役割、エリア選択時のポイントを解説します。
リージョンとはクラウドサービスにおけるデータセンターの設置エリア
まずはクラウドサービスにおけるリージョンの意味や、ゾーンとの違いを解説します。
クラウドサービスにおけるリージョンの意味
クラウドサービスにおけるリージョンとは、サービス提供事業者が保有しているデータセンターの設置エリアです。特に大規模なクラウドサービスは世界各地にデータセンターを保有しており、そのなかからユーザーがリージョンを選択できます。ただし、自動的にリージョンが適用されるサービスもあります。
クラウドサービスの提供事業者が複数のデータセンターを保有しているのは、単にサービス提供範囲を広げるためだけでなく、万一のトラブルが発生した際の備えとして活用するためです。そのため、選択できるリージョン数が多いクラウドサービスは、可用性の高さに特徴があります。
リージョンとゾーンの違い
クラウドサービスでは、リージョンとともにゾーンという言葉もよく使用されています。ゾーンとは、各リージョン内に用意された運用区画です。アベイラビリティゾーンや可用性ゾーンとも呼ばれています。
例えば、東京リージョンのなかにあるゾーンA、ゾーンBといったように、一つのリージョンに複数のゾーンが配置されています。リージョンやゾーンは物理的に独立しているものの、同じリージョン内に存在する複数のゾーンは、共通のネットワークで運用するのが一般的です。そのため、同じリージョンであれば、互いのゾーン同士でデータの複製やリソースの参照が可能です。
リージョンが持つ2つの役割
同じクラウドサービスでも異なるリージョンが複数存在するのは、リージョンに次のような役割があるためです。
- システムの可用性を向上できる
- BCP対策として効果を発揮する
ここでは、リージョンの役割を詳しく解説します。
システムの可用性を向上できる
可用性はシステムの安定性を表す言葉で、水準が高いほどトラブル時でもシステムを停止することなく運用できます。クラウドサービス事業者が運用するデータセンターが複数のエリアに分かれていると、特定のデータセンターで問題が起きても、別のエリアでカバーできるので可用性が高まります。
つまり、システムダウンなどの障害に対処しやすいということです。具体的には、特定のリージョンやゾーンで障害が発生した場合、別のリージョンやゾーンに切り替えて対処し、その間に復旧作業を実施します。ユーザーにとっては、サービスを継続的かつ安全に利用できるのがメリットです。
BCP対策として効果を発揮する
BCPは「事業継続計画」を意味する言葉で、災害をはじめとする緊急事態が発生した際に、被害を押さえつつ事業の円滑な継続を図るための計画を表します。データセンターは地震や水災、サイバー攻撃など、さまざまなインシデントリスクを抱えています。その点、複数のデータセンターを保有していると、リスクを分散できるのが利点です。
ユーザー側からすると複数のリージョンを選択できることで、自然災害やサイバー攻撃のリスクにも備えやすくなり、BCP対策として効果を発揮します。
【目的別】リージョンを選択する際のポイント
クラウドサービスでは、複数のリージョンから目的のエリアを選択できることがあります。それは、選択するリージョンによってサービスの通信速度や料金などが異なるためです。リージョン選択時のポイントを押さえて、自社にとって最適なエリアを選びましょう。
通信速度を重視する場合
クラウドサービス選定時に通信速度を重視する場合は、なるべく拠点から近い場所のリージョンを選ぶのがおすすめです。システムの通信速度は基本的に、サーバーが設置されている場所と物理的な距離が近くなるほど速くなります。そのため、国内に拠点があり、国内向けのクラウドサービスを利用する際は、日本国内のリージョンを優先的に選ぶと良いでしょう。
コストの安さを重視する場合
クラウドサービスの多くは、リージョンごとに通信時間の単価やサービス価格が異なります。また、リージョン・ゾーン間でデータを転送する際に課金されるケースもあります。そのため、コストの安さを重視する場合、料金体系をよく確認したうえで複数のリージョンを比較検討することが重要です。
システムの安定性を重視する場合
クラウドサービスを利用する際、障害などでアクセスが遮断されると業務に大きな支障が出ます。システムの遮断リスクを軽減し、安定してサービスを利用したい場合は、複数のリージョン・ゾーンを組み合わせるのが効果的です。一つのエリアに集中するのではなく、離れた場所のリージョンを選択するのも良いでしょう。
使用したいサービスが決まっている場合
クラウドサービスのなかには、リージョンやゾーンによって使用できるサービスが異なる場合があります。そのため、物理的な距離以外にも、特定のリージョンやゾーンで目的のサービスが利用できるかを確認することも大切です。また、海外のリージョンを選択すると、その国の法律が適用されることもあるため、現地の法律を確認する、あるいはベンダーに注意事項を問い合わせる必要があります。
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さまざまなクラウドサービスを利用するなかで、オンプレミス環境そのものをクラウドへと移行したい場合は、Google Cloudが役立ちます。Google Cloudとは、100種類以上のプロダクトが搭載されたクラウドプラットフォームです。
Google Cloudでは、クラウド上のサーバーやネットワークはもちろん、OSやミドルウェアなど、さまざまなITインフラを従量課金制で利用できます。そのため、独自のデータセンターを構築したり、サーバーの設置スペースを用意したりする必要がありません。
また、利用可能な地域は200以上、選択できるリージョンは40を超え、選択肢が豊富な点も特徴です。東京や大阪、ロサンゼルス、ロンドンなど、多くの主要地域をカバーしています。目的のリージョンを選択し、サービス品質や利用料を最適化できるのは大きなメリットです。
最適なリージョンを選択してクラウドサービスを最大限に活用しよう
リージョンは単なるデータセンターが位置するエリアというだけでなく、クラウドサービスのプラン選択時の重要な要素でもあります。最適なリージョンを選択すれば、通信速度や料金などの最適化につながります。
数あるクラウドサービスのなかでも、Google Cloudはリージョンの選択肢の豊富さに特徴があります。また、クラウド移行やデータ分析基盤構築、アプリケーション開発などに関する100種類以上のプロダクトが搭載されているため、さまざまな用途で活用できるのも利点です。
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