<img height="1" width="1" style="display:none" src="https://www.facebook.com/tr?id=445779107733115&amp;ev=PageView&amp;noscript=1">

データ分析基盤とは何か?
仕組みやメリット、構築する際の手順を徹底解説!

 2025.09.25  株式会社電算システム

社内に蓄積された膨大な量のデータ、いわゆるビッグデータを最大限に活用したいと考えている方も多いのではないでしょうか。とはいえ、ビッグデータを活用するには、まずデータを収集し、それを保管するための環境を整え、そして加工・分析するためのツールを導入する必要があります。

今回紹介するデータ分析基盤は、上記のようなデータ活用プロセスの一連の流れを効率化するための仕組みを指します。データ分析基盤を構築することで、データ活用時に起こりがちな属人化や効率性の低下といった問題を解消しやすくなるのがメリットです。

本記事では、データ分析基盤の特徴や仕組み、導入メリットなどを詳しく解説します。また、基盤の構築手順についても紹介しているので、初めて取り組む方でも安心して進められます。

データ分析基盤とはデータの収集から分析までのプロセスを効率的に実施する仕組み

現代社会には多種多様で膨大なデータが存在していますが、そのままでは十分に活用することはできません。そこで、データの収集や蓄積、加工、分析といった一連の作業が求められます。これらの作業を統合的に行い、データを効率よく活用できるようにするためのシステムがデータ分析基盤です。

データ分析基盤は、データレイク・データウェアハウス・データマートの3層構造で成り立っています。データレイクは、収集した生データを保管する湖のような層で、データウェアハウスは加工済みのデータを保存する層、データマートは加工されたデータから特定の目的に使用されるものだけを保存する層を指します。

ここでは、各層の特徴や違いについて解説します。

データレイク(収集したデータを保管)

データレイクとは、さまざまなソースから取得した構造化データや非構造化データ、バイナリファイルなど、多様なデータを一元的に保存できるシステムです。データの形式にかかわらず、そのままの状態で保存できます。構造化データだけでなく、非構造化データの保存にも対応できるため、さまざまなデータソースからデータの収集や抽出が可能です。

企業が保有するデータは、テキストや画像、音声などの非構造化データが大部分を占めるといわれています。このようなデータを分析に活かすには、「データを貯めておく場所」と「それを整理する場所」が必要です。データレイクは、基幹システムや顧客管理システム、販売管理システムなどと連携し、収集したデータを1ヶ所に集約できるメリットがあります。

データウェアハウス(加工済みのデータを保管)

データウェアハウス(DWH)とは、分析用に加工した複数のデータを集約し、一元管理するためのシステムです。

Webやアプリケーション、業務システムなどから収集した未加工のデータは、「ローデータ(生データ)」と呼ばれています。ローデータには不要な情報やノイズが含まれていることがあるため、そのままの状態では分析には活かせません。そこで、ETL(Extract・Transform・Load)と呼ばれるツールを活用し、データレイクに保管されたデータを加工する必要があります。

そして、ETLで加工したデータを今度はデータウェアハウスに保管します。ローデータを保管するデータレイクと、加工済みのデータを保管するデータウェアハウスを分けることで、データ分析に必要なデータと不要なデータが区別され、管理工数の効率化につながります。

データマート(絞り込んだデータを保管)

加工したデータは最終的にBIツールへと移行し、データ分析やレポートへの可視化を行うのが一般的です。ただし、場合によってはデータウェアハウスとBIツールの間でデータマートを利用することもあります。

データマートとは、分析用に加工したデータをさらに細分化して保管できるシステムです。加工したデータはそのままの状態でも分析に使用できますが、部門やプロジェクトなどが多岐にわたる場合、「どの部門(プロジェクト)でそのデータを活用するのか」が不明瞭になる可能性があります。

そこでデータマートを導入すると、「どの部門(プロジェクト)でどのようなデータを使用するか」という基準をもとに、さまざまなデータを特定のジャンルごとに整理できます。利用目的を限定することでデータの活用範囲が明確になるのが利点です。

データ分析基盤を構築する2つのメリット

データ分析基盤を構築すると、次のようなメリットが生まれます。

  • 分析のスピードや質が向上する
  • データにもとづいた(データドリブンな)意思決定が可能になる

それぞれのポイントについて解説します。

分析のスピードや質が向上する

各部署や個々の従業員がデータを管理していると、データの保存場所がわからなかったり、最新データかどうかを判別しにくくなったりと、さまざまな課題が生じます。さらにこのような管理方法では、一部のデータを誤って削除・変更してしまうリスクがあり、正確なデータ分析が困難になる可能性もあります。

一方でデータ分析基盤には、あらゆる形式のデータを保存するデータレイク、分析用に加工されたデータを保管するデータウェアハウスやデータマートなどの要素が含まれます。データ分析基盤を活用してデータを一元管理することで、データの正確性を確保できるのがメリットです。社内で分散管理されていたデータを統合することで、条件を組み合わせた分析や時系列での比較など、多角的な分析が可能になるため、より精度の高い分析へと発展できます。

また、データ分析基盤ではデータの収集から分析までを一貫して行うため、一部の作業を自動化し、迅速なデータ分析を実現します。データの収集・保存・加工・分析の4ステップを統合された環境で連携させて実行できるため、データの活用を検討する際にすぐに作業へ取りかかれます。

データにもとづいた(データドリブンな)意思決定が可能になる

複雑な分析を行う場合、これまでは専門的な知識が求められ、データ分析やレポート作成などの業務が特定の担当者に依存しやすいという課題がありました。このような属人化が発生すると、データを扱える人材や部署が限られ、全社的なデータ活用の推進を妨げる要因にもなりかねません。

しかし、データ分析基盤を整備することで、専門知識がなくてもデータへアクセスできるようになります。すると、すべての従業員がデータにもとづいて業務を遂行できます。結果として、データにもとづいた(データドリブンな)意思決定ができる組織への第一歩を踏み出せるのがメリットです。

データ分析基盤を構築する際の5つの手順

データ分析基盤を構築する手順は次の通りです。

  1. 目的を明確にする
  2. プロジェクト推進チームを立ち上げる
  3. 基盤を設計する
  4. テスト検証を行う
  5. 本番環境への移行・PDCA

手順ごとのポイントや進め方について詳しく解説します。

1. 目的を明確にする

データの収集から始まり分析に終わるのが、データ分析基盤を構築する主な目的です。そのため、単にデータ管理の工数を削減したり、DXのきっかけを生み出したりといった目的では不十分だといえます。データ基盤を構築する際には、「どのようにデータを活用したいのか」という視点を持ち、明確な目的を設定することが重要です。

目的を明確にするためには、自社の課題を精査する必要があります。仮に、現状経験や勘に頼った戦略策定や意思決定が多く、競争優位性が低下しているのであれば、データ分析基盤を活かしてデータドリブンな考え方を組織に浸透させることが重要です。データ分析基盤の構築を通じてどのような課題を解決したいのかを踏まえ、自社ならではの目的を設定すると良いでしょう。

2. プロジェクト推進チームを立ち上げる

データ分析基盤を構築する際には、プロジェクトを推進するためのチームを編成しましょう。推進チームの中心には、全体の指揮を担うプロジェクトマネージャーを据え、データを保有する部門の担当者や実際にシステムを活用する現場担当者、さらには経営層も巻き込むことが理想的です。

特定の部署のみでチームを構成して進めてしまうと、完成後に使い勝手が悪くなったり、社内に定着しなかったりするリスクがあります。スムーズな構築と運用の定着を見据え、部署や部門を横断した推進チームを編成することが重要です。

3. 基盤を設計する

データの収集・加工・分析までの一連の流れを図式化し、各フェーズで必要となるシステムを決定します。基盤の設計方法は、データレイクやデータウェアハウスなどのツールを個別に導入するか、クラウドプラットフォームを活用するかによって大きく異なります。

最適な導入方法を検討するためには、収集・分析すべきデータの種類や量、分析結果の活用方法や適用範囲を明確にすることが重要です。さらに現状の社内リソースを把握し、無理なく運用できる作業量を見極める必要もあります。

4. テスト検証を行う

設計したデータ分析基盤をテスト環境で運用し、仮説検証や改善を行いましょう。

データ分析基盤は、導入するシステムが大規模になるケースが多く、費用も高額になりがちです。また、一度導入するとほかのシステムへの移行が容易ではなく、組織内の混乱を引き起こす可能性があります。そのため、事前のテスト検証が不可欠です。

テスト検証の段階で運用上の問題がないことを確認できれば、導入後の運用も円滑に進められます。もしボトルネックとなる部分が見つかった場合は、解消に向けた改善と検証を繰り返しましょう。

5. 本番環境への移行・PDCA

テスト検証が完了した後は本番環境へ移行します。ただし、入念にテストを実施していても、本番環境で新たな課題が発生することも珍しくありません。そのため、定期的に運用成果を確認しながら検証と改善を繰り返すことが重要です。

データ基盤を導入し効果的に活用するためには、データ戦略の策定や、各現場の業務プロセスの見直しが求められます。導入前に自社の課題やデータ活用の目的、必要な体制の構築方法を明確にしたうえで進めることが大切です。

質の高いデータ分析基盤を構築するためのポイント

質の高いデータ分析基盤を構築するには、いくつか押さえておくべきポイントが存在します。それぞれのポイントを理解したうえで、自社にとって最適な環境を整えましょう。

ユースケースを確保する

データ分析基盤の最大の利点は、企業全体でデータを効率的に再利用できることです。そのため、基盤を構築する際には、現在データを活用している担当者のユースケースを把握することが重要となります。

すでに確立された環境でデータを活用している場合、必ずしもそのツールやシステムに汎用性が求められるわけではありません。一方で複雑なデータの加工や集計など、汎用的な処理が必要なユースケースを洗い出し、企業全体としてデータ活用のコストを最適化する視点を持つことが重要です。

定着化を見据えてツールやシステムを導入する

データ分析基盤において活用されるデータレイクやデータウェアハウスなどのシステムは、その使い勝手が定着率に大きく影響します。操作性が悪かったり、機能が複雑で使いこなすのが難しかったりすると、利用の定着が進みにくくなります。

本番環境へ移行する前に、必ずトライアルやデモ操作を活用し、使い勝手を確認しましょう。テスト検証の際には、実際にシステムを利用する担当者を交え、UIの操作性や視認性、機能性、設定方法などをしっかりと確認することが重要です。

スモールスタートを意識する

プロジェクトの初期段階でウォーターフォール的なアプローチを採用し、長期間かけて検討することはあまり推奨できません。具体的には、社内標準の策定や多数のステークホルダーの意見をまとめた要件定義などがあげられます。全社規模のプロジェクトであっても、まずは特定のビジネス部門やビジネスゴールに関連するシナリオを中心に、迅速かつ小規模に進めることが成功の鍵となります。

その後、次のシナリオに取り組む際には、常に新しいサービスや技術を柔軟に検討・試行・採用しましょう。すると、進化が速く種類も多いデータ関連サービスや技術の恩恵を最大限に活用できます。

スキーマに則ってデータを蓄積・加工する

データスキーマはデータベースの設計図にあたり、その定義方法によってデータの格納方法が決まります。データウェアハウスに保存された非構造化データは、定義されたスキーマに従って構造化される仕組みです。スキーマの定義はシステム担当者が行いますが、スキーマの数が増えると管理コストが増加する可能性があります。

データソースが変更した際でも柔軟に対応できるように、データの加工ロジックがデータ間で過度に依存しないようにすることが重要です。

データ分析基盤を構築するならGoogle Cloudの活用がおすすめ

データ分析基盤を構築する際はGoogle Cloudを活用することをおすすめします。Google Cloudには、データレイクやデータウェアハウス、データマートなど、データ分析基盤構築に欠かせないサービスがまとめて搭載されているためです。

具体的には、ストリームとパッチデータの処理に対応できるデータレイク「Dataflow」や、フルマネージドのデータウェアハウスである「BigQuery」、ETLやデータ統合などの機能を持つ「Cloud Data Fusion」などのサービスがあります。単体はもちろん、複数を自由に組み合わせることも可能なので、柔軟性に優れます。

Google Cloudの料金は従量課金制です。必要な分だけサービスを利用できて、なおかつ費用も使用した分のみしか発生しないため、高額になりがちなデータ分析基盤構築を最適化されたコストで進められます。

Google Cloudの特徴やサービスの種類、使い方などについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

自社に合ったデータ分析基盤を構築してデータ活用の幅を広げよう

ビッグデータの活用やスピーディな意思決定にはデータ分析基盤が不可欠です。基盤を構築すれば、データの収集から加工、蓄積、分析までの流れがスムーズになり、より効率的なデータ活用が可能になります。そのためにも、現状どのような箇所でデータ活用の課題が発生しているのかを把握し、適切な目的のもとで必要なツールやシステムを選定することが重要です。

電算システムでは、Google Cloudのスターターパックサービスや技術コンサルティングサービスなどを提供しています。Google Cloudを活用したデータ分析基盤の構築方法や、データの活用方法などに関して、プロの観点からアドバイスを行っています。

本格的なデータの活用や分析を考えている方は、まず以下の資料に目を通してみてください。データ分析の手法や手順、Googleサービスを用いた分析のポイントなどを紹介しているので、慣れない方でも素早くデータ活用方法を理解できます。資料は無料でダウンロードできるため、さっそく取得してみてはいかがでしょうか。

監修者

新 直哉
新 直哉
入社5年目。データエンジニアとして、BigQueryを主としたデータ分析基盤の提案・導入支援や、ウェブセミナーの講師などを務める。現在はプリセールスエンジニアの卵として奮闘中。

<保有資格>
・Professional Data Engineer
Professional Data Engineer