デジタル化が進んでいる現代では、さまざまな場所から企業のシステムにアクセスして、効率よく業務を進められるようになりました。場所を選ばずにシステムへアクセスできるのは、リモートワークや出張をしている場合に便利ですが、セキュリティ面には注意しなければなりません。
システムへのアクセス経路が増えれば、不正アクセスや情報漏えいのリスクは高まります。企業の情報システム担当者は、ログイン時のセキュリティ対策を強化して、不正アクセスや情報漏えいを防ぐ環境づくりに取り組みましょう。
本記事では「ログイン時のセキュリティパターン」「ログインのセキュリティが低い場合に生じる危険」「代表的な不正ログインの原因」「ログインのセキュリティを高める方法」「不正ログインがないか確かめる方法」を解説します。ログインのセキュリティに関して詳しく把握できる内容になっているので、ぜひセキュリティ対策を検討する際の参考にしてください。
ログイン時の4つのセキュリティパターン
ログイン時のセキュリティパターンの種類は、以下の4つです。
- ログインIDとパスワード
- ワンタイムパスワード
- 生体認証
- PIN番号
セキュリティパターンを確認して、ログイン時のセキュリティに関する基礎知識を身につけましょう。
ログインIDとパスワード
ログインIDとパスワードは、ログイン時のセキュリティパターンの種類のなかでも、特に活用されているものです。ログインIDは、システムの利用者を識別する情報として使用され、パスワードは、本人かどうかを識別するためにログインIDと組み合わせて利用されます。
ログインIDとパスワードは、セキュリティ対策として多く活用されていますが、利用者1人ひとりのリテラシーに依存してしまう欠点があります。また、ログインIDとパスワードの管理が難しい点も、欠点の1つです。仮にログインIDとパスワードを忘れないようにメモや付箋に書いて保管した場合、誰かに見られたり、紛失したりするリスクがあるため、情報の厳重な管理が求められます。
ログインIDとパスワードの情報をどこかで管理する際は、保管する環境自体にもセキュリティ対策が必要になり、管理者の負担が増えます。ログインIDとパスワードを自力で覚える方法もありますが、企業では複数のシステムやサービスを利用している場合が多いため、いくつもの情報を記憶しなければなりません。情報を忘れてしまった場合のリスクも考えると、現実的ではありません。
ワンタイムパスワード
ワンタイムパスワードは、1回しか利用できないパスワードでシステムにログインする方法です。ログインIDとパスワード以外の条件を増やす「多段階認証」と呼ばれる方法に属しています。
ワンタイムパスワードは、システムへログインする度に新しいパスワードが発行され、メールやSMSなどで通知されます。ワンタイムパスワードには有効期限が設定されているため、パスワードを確認してすぐにログインしなければなりません。
生体認証
生体認証は、顔や指紋、声などの身体の一部を使って本人かどうかを識別する仕組みです。事前に身体的特徴をシステムへ設定して、ログイン時の識別に利用します。生体認証は、身体的特徴を使用するため、盗まれる心配がなく、ログインIDとパスワードを活用したセキュリティ対策よりも高い安全性を確保できます。
PIN番号
PIN番号は、パソコンやスマートフォンなどのデバイスのロック解除に利用されているセキュリティパターンです。PINは、Personal Identification Numberの頭文字を取っています。PIN番号は、事前に設定した4桁から6桁程度のアルファベットや数字で構成され、ログイン時に使用されます。入力を数回間違えた際は、デバイスをロックして使用できなくする設定も可能です。
デバイスの設定によっては、PIN番号を使用せずにロックを解除できますが、業務用として支給されたパソコンやスマートフォンでは、PIN番号の設定を必須にしている企業も多くあります。
ログインのセキュリティが低い場合に生じる危険
ログインのセキュリティが低い場合に生じる危険は、以下の4つです。
- 不正アクセス
- 情報漏えい
- ハッキング(乗っ取り)
- ウイルス感染
ログインのセキュリティが低い企業は、サイバー攻撃の標的になりやすく、被害にあう可能性も高くなります。特に近年では、リモートワークを導入している企業も増えており、システムへアクセスする場所が多様化しています。簡単に突破されるようなセキュリティレベルでは、システムにログインされ、さまざまな機密情報を盗まれるリスクがあるため、セキュリティの見直しや強化が必要不可欠です。
ログインのセキュリティ強化に向けて、セキュリティレベルの高い対策の実施や、複数のセキュリティ対策を組み合わせる工夫をしましょう。
代表的な不正ログインの原因2選
代表的な不正ログインの原因は、以下の2つです。
- IDとパスワードが流出する
- ログインしたままサービスを使い続ける
原因を確認して、ログインのセキュリティ対策を考える際の参考にしてください。
IDとパスワードが流出する
ログインIDとパスワードは「知識認証」と呼ばれており、知っていれば誰でもシステムへのアクセスが可能です。社内で共有すれば効率よくシステムへアクセスできますが、情報を第三者が手に入れた場合、本人を装って不正ログインをされるリスクがあります。
ログインIDとパスワードの流出は、多くの企業で実際に発生しているため、情報の厳重な管理と、推測されにくいパスワードの設定が必要です。パスワードを設定する際は、大文字・小文字・記号・数字を組み合わせた12文字以上のものにしましょう。
ログインしたままサービスを使い続ける
サービスにログインしたままパソコンやスマートフォンなどのデバイスを使い続ける行為も、不正ログインを招く原因の1つです。毎日サービスへログインする手間はなくなりますが、ブラウザやソフトを開くだけで第三者が利用できるため、セキュリティ上のリスクが大きく、おすすめできません。
また、ブラウザやソフトの設定を見られて、ログインIDやパスワードなどの情報を知られる可能性もあります。万が一デバイスを社外に置き忘れたり、盗まれたりした場合に、トラブルへと発展する恐れがあるため、勤務終了後や使用後などのタイミングで小まめにログアウトをしましょう。
ログインのセキュリティを高める7つの方法
ログインのセキュリティを高める方法は、以下の7つです。
- OSやソフトを最新の状態に保つ
- セキュリティソフトを導入する
- IDやパスワードを使い回さない
- 二段階認証を設定する
- 共有パソコンでのログインはしない
- 定期的にバックアップをとる
- ルーターのセキュリティ対策を行う
セキュリティを高める方法を把握して、自社で新たにできるセキュリティ対策がないかを確認しましょう。
OSやソフトを最新の状態に保つ
ログインのセキュリティを高めたい場合は、OSやソフトウェアのバージョンを最新の状態に維持しましょう。OSやソフトウェアでは、脆弱性(※1)を解消した新しいバージョンが適宜提供されます。バージョンのアップデートによってセキュリティが高まり、サイバー攻撃のリスクを低減できます。
新しいバージョンの情報は、デバイス上で確認でき、簡単な手順でアップデートが可能です。後回しにせず、早めにアップデートを実行すれば、セキュリティが高い状態を維持できます。OSやソフトウェアのアップデートは、自動で実行されるように設定可能です。新しいバージョンの確認や、アップデートを実行する手間も削減できるため、積極的に利用しましょう。
セキュリティソフトを導入する
ログインのセキュリティは、セキュリティソフトの導入によって強化できます。セキュリティソフトは、マルウェアを検知・排除できるため、サイバー攻撃による被害の発生を未然に防げます。導入手順も簡単で、各デバイスにインストールするだけで利用可能です。
セキュリティソフトには、無料版が提供されているサービスもありますが、機能が制限され、企業での利用には不向きな場合が多くあります。十分な導入効果を発揮してセキュリティを高めるためにも、有料版の利用を検討しましょう。
IDやパスワードを使い回さない
ログインIDとパスワードの使いまわし回しは、ログイン作業を効率化する上では便利ですが、サイバー攻撃による被害の拡大につながりやすいため、おすすめできません。万が一ログインIDとパスワードが1つでも流出した場合、複数のシステムでサイバー攻撃を受ける可能性があります。ログインのセキュリティを高めるために、ログインIDとパスワードはシステムごとで異なるものを使用しましょう。
二段階認証を設定する
二段階認証は、ログインID・パスワードによる認証と併せて、別の認証方法を使ってログイン時のセキュリティを強化できる仕組みです。不正ログインの防止に効果を発揮して、システムのセキュリティを高めます。二段階認証には、以下のような方法があります。
- メールでの認証
- 受信したメールに記載された認証コードを指定の画面に入力する方法
- SMSでの認証
- 受信したSMSに記載された認証コードを指定の画面に入力する方法
- 音声通話での認証
- 電話で聞いた認証コードを指定の画面に入力する方法
- アプリでの認証
- 専用アプリを使って認証する方法
- トークンでの認証
- 機器が発行したワンタイムパスワードを指定の画面に入力する方法
- USBでの認証
- セキュリティキーとして有効なUSBをパソコンに差し込んで認証する方法
共有パソコンでのログインはしない
社外で利用できる共有パソコンでのログインは、セキュリティ上のリスクの高い行為です。万が一共有パソコンでシステムにログインした場合、誤ってデバイス上でログインIDやパスワードを保存してしまったり、知らない間にツールによって情報抽出されたりする可能性があります。
共有パソコンでのログインを禁止するルールを設定・周知して、インターネットカフェや公共施設などでシステムにログインしないよう徹底しましょう。
定期的にバックアップをとる
セキュリティ対策を万全にしても、サイバー攻撃の被害にあう可能性をゼロにはできません。万が一被害にあった場合を想定して、システムやデータの定期的なバックアップを保管しておきましょう。バックアップがあれば、システムやデータを迅速に復旧でき、被害を最小限に抑えられます。
ルーターのセキュリティ対策を行う
ログインのセキュリティを高めるには、自社で利用しているルーターのセキュリティ対策も重要です。ルーターのセキュリティが低い場合、Wi-Fiの無断利用や不正サイトへの誘導、接続機器の通信傍受などの被害を受ける可能性があります。ログインのセキュリティを高める際は、デバイスだけでなく、ルーターのセキュリティ対策も忘れずに行いましょう。
不正ログインがないか確かめる2つの方法
不正ログインがないか確かめる方法は、以下の2つです。
- パスワードが変更されてないかチェックする
- ログイン履歴をチェックする
具体的な方法を把握して、不正ログインによる被害を防止できる体制構築に役立てましょう。
パスワードが変更されてないかチェックする
システムへログインする際のパスワードが、自分の知らない間に変更されている場合は、不正ログインをされた可能性があります。変更されたパスワードと関連するシステムやサービスの手順に沿って、アカウントの停止を申請しましょう。アカウントを停止した後は、不正ログインの有無や被害状況を確認して、問題が解決してから、アカウントの復元をします。
ログイン履歴をチェックする
最近提供されているWebサービスの多くは、ログイン履歴を一覧で確認できます。ログイン履歴を定期的に確認して、不正ログインにすばやく気づける体制をつくりしましょう。万が一ログイン履歴に不正の疑いがあるものを見つけた場合は、ログインIDとパスワードを変更します。金銭に関わるシステムやサービスで不正ログインの疑いがある時は、手順に沿って迅速に利用停止の手続きをすれば、被害を最小限にできます。
パスワードを使用しないログイン方法でセキュリティレベルの向上を
ログインのセキュリティを高めるには、生体認証の導入が効果的です。情報の盗難による不正ログインのリスクが少なく、ログインまでの時間も短縮できます。
「CloudGate UNO」は、さまざまなクラウドサービスと連携して、生体認証を導入できるプラットフォームです。パスワードを使用せずにシステムへログインできるため、セキュリティの強化におすすめです。生体認証と併せて別の方法も活用する多要素認証や、1度のログインで複数のクラウドサービスを利用できるシングルサインオンが採用されており、セキュリティと利便性の両面において優れています。
電算システムでは、CloudGate UNOの概要や料金体系についてわかりやすくまとめた資料を無料で提供しています。サイバー攻撃に備えてログインのセキュリティ対策を検討している方は、ぜひご覧ください。
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ログイン方法を見直してセキュリティを高めよう
ログイン時のセキュリティの低さは、不正アクセスや情報漏洩といったさまざまな被害リスクを高めます。ログインIDとパスワードによる認証では、情報流出で第三者にログインされる可能性があるため、生体認証や二段階認証の導入がおすすめです。
CloudGate UNOは、生体認証によってログイン時のセキュリティを強化できるアイデンティティ管理プラットフォームです。CloudGate UNOがあれば、各サービスのセキュリティをまとめて強化できます。リモートワークを導入している方や、自社のセキュリティ強化を検討している方は、CloudGate UNOを導入するとよいでしょう。
CloudGate UNOに興味のある方は、無料でダウンロードできる以下の資料をぜひご覧ください。
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