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【生成AI】 Duet AI と Copilot を徹底比較 |
機能や仕組みの違いも解説

 2023.07.31  2023.11.07

OpenAI のChatGPTや、Google のBardを代表とする生成AIサービスが注目を集める中、私たちの使い慣れたオフィスアプリケーションと生成AIの統合によるさらなる業務の生産性向上が期待されています。2023年前半には、Google が Duet AI in Google Workspace、Microsoft が Microsoft 365 Copilot という名称でオフィスワークを支援するAIサービスを発表しました。

本記事ではDuet AI for Google Workspace とMicrosoft 365 Copilotの違いを比較しています。Google WorkspaceとMicrosoft 365という強力なグループウェアサービスを持つ両社のAIサービスの違いが理解できる内容になっていますので、ぜひ最後までお読みください。

2023年8月末に、GoogleCloud Next ‘23(GoogleCloudの年次イベント)が米国サンフランシスコで開催されました。イベントの中でDuet AIに関する最新情報がアップデートされましたので記事を更新しました。

Duet AI と Copilot のエコシステム

Duet AIとCopilotはどちらもLLM(大規模言語モデル)を利用したAIサービス群の総称であり、ターゲットとするユーザーや用途に応じて様々な機能が含まれています。

<Google Duet AI と Microsoft Copilot の主なサービス名>

  Google Microsoft
コーディング・開発支援 Duet AI in Google Cloud GitHub Copilot
オフィスワーク支援 Duet AI in Google Workspace Microsoft 365 Copilot
ノーコード・ローコード開発支援 Duet AI in AppSheet

Power Appsの Copilot

これまではDuet AI for ◯◯と、前置詞がforとなっていましたが、GoogleCloud Next ‘23以降はDuet AI in ◯◯と、前置詞がinに変更されました。こちらを正式名称として、記事内での表記を更新しています。

Duet AI

Duet AIは、Google が開発した生成AIを利用したサービス群の総称です。2023年5月のGoogle I/O(Googleが毎年実施する、開発者向けの発表会)ではDuet AI in Google Workspace、Duet AI in Google Cloud、Duet AI in AppSheetの3つのサービスが発表されました。2023年8月のGoogle Cloud Next ‘23ではDuet AI in Google Workspace の一般提供開始を発表、さらに大幅な機能拡張も発表されました。
Duet AI in Google Workspace は、Google Workspace の利用者向けに提供されるAIサービスで、メール、文書作成、プレゼンテーションやスライド作成といった業務で利用する作業をAIの力でサポートします。各機能の説明は、記事の後半「Duet AI と Copilot の機能比較6選

Duet AI in Google Cloud は主に開発者向けに提供されるAIサービスです。プログラムのコードを添削、修正してくれるコードアシスタンス機能や、Google Cloud の各サービスの使い方や仕様をAIがガイドしてくれるチャットアシスタンス機能など、Google Cloud 上での開発や運用作業をAIでサポートします。
Duet AI in AppSheet は、Google が提供するノーコードアプリ開発サービスであるAppSheet上に搭載されているAIサービスです。AIとチャットで対話しながら作りたいアプリを説明することで、コードを書くことなく目的のアプリケーションを構築できます。

Copilot

Copilot は、Microsoftや、Microsoft傘下のGitHubなど、Microsoftのエコシステムが提供するAIサービス群の総称です。代表的なサービスとしてGitHub Copilot(GitHub Copilot X)やMicrosoft 365 Copilotが挙げられます。

GitHub Copilotは、開発者向けの支援機能でGitHubとOpenAIによって開発されました。世界最大規模のアプリケーション開発プラットフォームであるGitHub上で学習が行われたことにより、多くのプログラミング言語やフレームワークに対して、コードの自動生成を含む高精度なサポートを提供します。MicrosoftのVisual Studio、Visual Studio Codeはもちろん、その他のIDE(統合開発環境)でも利用することができます。

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↑参照元:https://learn.microsoft.com/ja-jp/deployoffice/privacy/microsoft-365-copilot

Microsoft 365 Copilotは、Microsoft 365ユーザー向けに提供されるAIサービスです。ExcelやPowerPoint、OutlookといったOfficeサービス上に、ユーザーのタスクをサポートしてくれるアシスタントが搭載されます。詳しくは、記事の後半「Duet AI と Copilot の機能比較6選」で解説しています。

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Duet AI と Copilot の言語モデル

Google のDuet AIとMicrosoftのCopilotはどちらもAIとの対話を通してユーザーを支援してくれる強力なAIです。対話を実現するためには、LLM(大規模言語モデル)と呼ばれる自然言語を処理し、推論や文章の生成をおこなうためのAIモデルが搭載されていますが、両者では異なる言語モデルが採用されています。Duet AIもCopilotもまだ開発段階にありますので、モデルの違いによってどちらがより優れているかといったことを現時点で判断はできません。

Duet AI の言語モデル PaLM2

Duet AIは Google が開発したPaLM2という言語モデルがベースとなっています。PaLM2は、Googleがこれまで使用していたLaMDAと呼ばれる言語モデルと比較して、文章の生成やコードの生成、数式の処理や推論といった分野に対して大幅に強化されているのが特徴です。日本語にも対応し、J.TEST実用日本語検定の上級者向け(A-C)において94%の正解率を達成しています。
参照元:https://cloud.google.com/blog/ja/products/ai-machine-learning/began-offering-a-generative-ai-service-for-japanese-companies?hl=ja

Copilot の言語モデル GPT-4 

Copilotは、OpenAIが開発している言語モデルの最新バージョン(2023年6月時点)であるGPT-4をベースとしています。前身であるGPT-3やGPT-3.5でもコード生成や推論に優れていましたが、さらに性能が強化されています。また、マルチモーダル化によって、文章だけでなく画像も入力として扱えるようになったことも特徴です。OpenAIは、GPT-4が米国の司法試験にて上位10%の成績を記録したと公表しています。ベースとなる言語モデルが異なることによって、同じようなタスクをAIに依頼したときの結果に差が出てくる可能性があり、興味深いポイントだといえるでしょう。

参照元:https://japan.googleblog.com/2023/05/palm-2.html

Duet AI と Copilot の機能比較6選

ここでは、Duet AI in Google WorkspaceとMicrosoft 365 Copilotの機能について、支援してくれるタスク別に比較していきます。なお、2023年8月現在で発表のある情報を基にしていますので、今後新たな機能が発表される可能性もあります。

メール

メールの作成や返信は、オフィスワークの中でも最もポピュラーなタスクのひとつです。Duet AI、Copilotのどちらも、メールに関わるタスクを支援してくれます。Duet AIは Gmail に、CopilotはOutlookにそれぞれ統合されます。Duet AIは、Gmail 右側のサイドバーから呼び出して利用することができます。なお Google はデモの中でこのサイドバーのことを「SidePanel」と呼んでいます。このSidePanelは Gmail に限らず、後述するドキュメント、スライド、スプレッドシートなど他のGoogle Workspace アプリケーションでも共通で使用でき、各アプリケーションとDuet AIとのシームレスな連携を実現するインターフェースとなっていることが特徴です。

メールに関するタスク支援について、両者に大きな違いは現状ありません。現在はCopilotのみ、受信トレイのメールを整理して優先順位を付けてくれる機能がありますが、Duet AIの場合は、プラットフォームであるGoogle Workspaceの機能としてメールの優先順位付けが既に実装されています。

他アプリケーションの参照についても、2023年8月のGoogle Cloud Next ‘23でDuet AIの大幅な機能拡張が発表され、差が無くなっています。Copilotは、Microsoft Graphと呼ばれる仕組みを通して、ExcelやPowerPointといった他のOfficeアプリケーションのデータにアクセスすることができますので、メールに関係のあるExcelファイル内のデータを参照し、必要なグラフをメールに挿入するといったタスクもこなします。Duet AIも同様に、SidePanelからドキュメント、スライド、スプレッドシートの情報にアクセスし、他のデータを参照した結果を返してくれます。

違いがあるとすると、Duet AIではSidePanelの他に、Gmailに特化した機能として「Help me write」というライティング支援機能が提供されます。どのようなメールを書きたいかを入力することで、フォーマルな内容から簡潔な文章まで様々な下書きを生成することが可能です。

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  Duet AI Copilot
受信メールの要約
受信トレイの優先順位付け
指示に合わせた下書きの生成
受信内容に沿った返信内容の提案
他アプリケーションの参照

ドキュメント作成

Duet AIはGoogleドキュメントに、CopilotはMicrosoft Wordに組み込まれ、ユーザーの文書作成をサポートする機能を提供します。Duet AIは、他のGoogle Workspaceアプリケーションと同様にSidePanelから利用することができ、スライドやスプレッドシート、Gmailなどのデータに基づいた結果を生成することができます。Googleドキュメントでは、Duet AIのSidePanelに加え「Help me write」というライティング支援機能が搭載されていることも特徴です。この機能はGoogleドキュメント上の「Help me write」というボックスから呼び出すことができ、要約や箇条書き、言い換えといった体裁の指定や、フォーマルやカジュアルといった文体の指定を調整しながら文章を生成することができます。デモの中では、途中まで書いた物語の続きを提案したり、ユーザーの簡潔な指示から顧客への提案書のドラフトを作成できることが示されていました。

Copilotも同様に、Copilotも同様に、ユーザーが簡単な指示を与えることによって文章を生成できることが発表されており、もちろんOneNoteやPowerPoint、Wordといった他のアプリケーションのデータを参照した結果を生成することも可能です。例えば、OneNote上にあるこれまでの顧客とのやり取りのメモを参照し、現在の取引状況に合わせた提案を生成したり、過去に作成した提案書に揃えたフォーマットで文章を生成することができるとされています。

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  Duet AI(Google ドキュメント) Copilot(Microsoft Word)
原稿の提案
他アプリケーションの参照

表計算

Duet AIはGoogleスプレッドシート、CopilotはMicrosoft Excelに統合され、使い慣れたアプリケーション上でAIの支援を受けられます。どちらも、セル上のデータがどういった意味を持つのかをAIが認識してデータに関する洞察を得たり、必要なテーブルを新たに自動生成するといったことができます。Duet AIのデモでは、ビジネスの詳細について簡潔に伝えることでAIが必要な項目を考え、顧客の管理表を自動生成する様子が示されました。また、グラフやチャートの生成機能も今後の実装が検討されています。一方Copilotでは、強力なデータの分析機能が注目されています。例えば、AIにデータについて質問して洞察を得たり、必要なデータのみを抽出して、別のシートに移動する、といったタスクもCopilotがこなします。また、AIと対話しながらグラフを作成してもらったり、手持ちのデータから未来の予測をしてもらうといった機能も明らかになっています。

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  Duet AI(Google スプレッドシート) Copilot( Microsoft Excel)
プランやタスク表の生成 ×
データ表の生成
シート上データの分析
データの要約
グラフの生成
データモデルの作成と予測 ×

プレゼンテーション

プレゼンテーション作成の支援機能は、Duet AIではGoogleスライドに、CopilotではMicrosoft PowerPointに組み込まれます。両者とも、スライド内の画像やテキストからスピーカーノートを自動生成してくれたり、スライドの雰囲気に適した画像をAIが生成してくれる機能があります。
Duet AIのデモでは、スライド内のテキストから画像を生成し、生成した画像をユーザーの好みに合わせて実写風に変更してもらうといった一連の流れが示されました。また、画像だけでなく音楽を生成する機能の実装も検討されています。また、両者とも他アプリケーションとの統合を推進しています。Copilotでは、他のOfficeアプリケーションとの統合がアピールされており、例えば、顧客とのやり取りをメモしたWord文書がある場合、その文書からスライドを作ってとCopilotに依頼すれば、これまでの顧客の情報に基づいたスライドをゼロから作成してくれます。Duet AIでも、SidePanelから他アプリケーションとの連携が可能になっており、例えば、Gmailやドキュメントのデータを参照しながら、指定した内容に沿って新しいプレゼンテーションを作成する様子がデモで示されています。

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  Duet AI(Google スライド) Copilot( Microsoft PowerPoint)
スピーカーノートの生成
画像の生成と挿入
音楽の生成 ×
アニメーションの追加 ×
他データを参照したスライド生成

ミーティング作成

Webミーティング、ビデオ会議機能にも、AIが搭載される予定です。Duet AIはGoogle Meetに、CopilotはMicrosoft Teamsに組み込まれます。Duet AIでは、AIによる画像生成機能を利用できることが現時点で明らかになっています。ユーザーが独自にバーチャル背景を生成することができるので、例えば営業担当者が顧客に合った背景を適用することでインパクトを高めるといったユースケースが想定されています。また、Duet AIがミーティングの内容についてリアルタイムで議事録を作成し、タスクをリスト化したり、会議の重要なポイントをまとめるといった要約機能も発表されています。加えて、翻訳機能との連携により、話者の言語を自動的に認識したリアルタイム翻訳機能も発表されています。

Copilotでは、特に会議の要約機能にフォーカスした機能が発表されています。Teams会議中の発言を要約してもらったり、会議参加者の誰がどのような主張を持っているか人物同士の関係を整理するといった機能が明らかになっています。また、この機能を活用することで、欠席した会議の議事録をCopilotが作成してくれ、後から見返すことができます。

  Duet AI(Google Meet ) Copilot(Microsoft Teams)

背景ビジュアルの作成

×

会議の要約・議事録作成

人物相関の整理

欠席した会議の議事録共有

ノーコード作成

オフィスアプリケーションの支援以外にも、ノーコードでのアプリケーション開発に生成AIが組み込まれることとなっています。Duet AIは、Duet AI in AppSheetとして、Googleのノーコードアプリケーション開発環境である AppSheet に組み込まれます。これによりユーザーは、接続するデータや作成するアプリケーションの要件といった必要事項をDuet AIと対話しながら入力することで、簡単にアプリケーションを構築することができます。

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Google Workspace 事例
Google Workspace

Duet AI と Copilot の利用料金

次は各サービスの料金について解説します。
Microsoft 365 Copilotについては、2023年7月に料金が公表されました。公表された情報によると、Microsoft 365 E3、E5、Buisiness Standerd、Buisiness Premiumのユーザーに対して、1ユーザーあたり月額30ドルからの提供になります。GitHub Copilotについては、個人サブスクリプションの場合は月額10ドル、ビジネスサブスクリプションの場合は月額19ドルとなっています。また、学生など一部のユーザーは無料のサブスクリプションで利用できます。
Duet AIについては、Duet AI in Google Workspaceの料金が2023年8月に公表され、同日一般提供が開始されました。

サービス名 料金
Microsoft 365 Copilot 30ドル / ユーザー / 月
GitHub Copilot 10ドル / ユーザー / 月 ※ Businessは19ドル / 月
Duet AI in Google Workspace 30ドル / ユーザー / 月
Duet AI in Google Cloud 価格未定
Duet AI in AppSheet 価格未定

業務用途に応じてDuet AI と Copilot を比較検討、選択が重要

ここまで、GoogleのDuet AI in Google Workspace とMicrosoft社のMicrosoft 365 Copilotを比較してきました。 まとめると、Copilot の強みはベースに Microsoft Graph があることです。 現時点で公開されている情報からも、過去の文章を参照したり、メモから提案書を作成したりと、アプリケーション間連携の強力さがアピールされています。一方 Duet AIの強みは、SidePanelによるアプリケーション間連携に加え、全てがクラウドネイティブなGoogleのサービス群の上で動作することです。Microsoft Office のようにスタンドアロンのアプリケーションを持たず、ブラウザとインターネット接続があれば誰もが最新バージョンのサービスを利用できるGoogleのエコシステムは、Duet AIの登場によってさらに強化されていくと考えられます。

どちらの会社も世界中に利用者がいる Google WorkspaceとMicrosoft 365というグループウェアを提供していますので、そのサービス上で動作する生成AIは、私たちの仕事をサポートしてくれる機能となるでしょう。ドキュメント作成やスプレッドシート、プレゼンテーションやスライド作成やメール機能など、似ている機能が多いからこそ、そもそもの機能、AI機能による違いを把握してサービスを検討していきましょう。

監修者

松原 颯
株式会社電算システム 松原 颯
入社5年目。データエンジニアとしてGoogle Cloudを活用したデータ分析・活用基盤の構築を支援する。実際のデータ分析現場での知見を活かし、高校生向け情報授業の特別講師を務めた経験もある。Google Cloud Professional認定資格を全て保有している。BigQueryが大好き。
<保有資格>
・Associate Cloud Engineer
・Professional Cloud Architectr
・Professional Data Engineer
・Professional Cloud Database Engineer
・Professional Cloud DevOps Engineer
・Professional Cloud Developer
・Professional Cloud Security Engineer
・Professional Cloud Network Engineer
・Professional Workspace Administrator
・Professional Machine Learning Engineer
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