サーバーの導入を検討している方のなかには、オンプレミスとクラウドのどちらにするか悩んでいるという方は、多いのではないでしょうか。オンプレミスとクラウドのそれぞれに特徴があり、企業の利用目的に応じて、適切な運用形態が選ばれています。
本記事では、オンプレミスとクラウドの概要、違い、おすすめのケースを解説します。オンプレミスとクラウドについて把握できる内容になっているので、ぜひ最後までご覧ください。
オンプレミスとクラウドの概要を解説
サーバーの運用形態には、オンプレミスとクラウドの2つがあります。それぞれの概要を把握して、サーバーを選ぶ際の参考にしてください。
オンプレミス
オンプレミスは、サーバー、ソフトウェア、ネットワーク機器などを自社に設置して、システムを利用する運用形態です。オンプレミスによって利用されているサーバーは、オンプレミスサーバーと呼ばれます。オンプレミスは、社内でネットワークを構築するため、インターネットを介さずに社内データへアクセス可能です。
また、サーバーやネットワーク機器を、自社の希望に合わせて選べる特徴があります。セキュリティ面やカスタマイズ性に優れており、自由度の高いシステム構築が可能です。自社の既存システムとの連携を可能にしたり、より高度なセキュリティ対策を施したりできます。
クラウド
クラウドは、インターネット上に構築されたサーバーを利用する運用形態です。システム構築に必要な機器を自社で準備する必要がなく、サービス利用料金のみで運用を開始できます。クラウドによって管理されているサーバーを、クラウドサーバーと呼びます。クラウドサーバーの特徴は、システムの管理をサービス事業者が行う点です。
オンプレミスサーバーと比較して、システムの導入・運用・保守・管理にかかるコストが抑えられます。低コストで素早く運用を開始したい場合に、おすすめの運用形態です。サーバーの機能は、サービスや利用プランによって決まっているため、利用を開始する前に、自社に必要な機能が揃っているかどうかの確認が大切です。
オンプレミスとクラウドの違いを7つの項目で比較
オンプレミスとクラウドの違いを、以下の7つの項目に着目して解説します。
- コスト
- カスタマイズ性
- 運用の負担
- 事業継続性
- 接続スピード
- セキュリティ
- 拡張性
違いを確認して、それぞれの特徴を詳しく把握しましょう。
コスト
オンプレミスは、パソコンや周辺機器などのさまざまな機器を購入する必要があるため、初期費用が高額になります。また、システムの保守・管理に伴う人件費や、機器を使用する際の電気代も必要です。初期費用だけではなく、システムの運用・メンテナンス費用がかかるため、十分な予算の確保が求められます。
クラウドでは、ネットワーク構築に使う機器の購入が不要です。パソコンやタブレットなどのデバイスとインターネット回線があれば、システムを利用できます。初期費用を抑えて、迅速に導入したい場合におすすめです。月または年単位でサービス利用料金がかかるため、長期的な利用では、ランニングコストが多くなります。
カスタマイズ性
オンプレミスとクラウドは、カスタマイズ性において大きな差はありません。どちらも機能のカスタマイズが可能です。オンプレミスは、ソフトウェアやハードウェアの選択に制約がなく、自社に合った柔軟なシステムにカスタマイズできます。
クラウドは、オンプレミスと比べた場合に、カスタマイズ性の自由度において若干劣ります。自由度がないわけではありませんが、サービス事業者が提供するサービス内容の範囲でカスタマイズしなければなりません。サービスやプランによっては、細かいカスタマイズができる場合もありますが、あくまでサービス事業者によって決められた範囲に留まります。
運用の負担
オンプレミスは、システムの構築から運用までのすべての作業を、自社で実行しなければなりません。運用開始までに多くの手間と時間がかかるため、企業側の負担は大きくなります。また、システムの保守・管理をする人材を用意する必要があり、人材の検討と確保にも手間がかかります。
クラウドは、サービス事業者が保守・管理するサービスを利用するため、システムの管理や更新
などのさまざまな負担を軽減可能です。オンプレミスと比べて、企業側の負担が少なく、最低限の人員でシステムの運用開始まで準備できます。
事業継続性
オンプレミスは、サーバー機器や周辺機器を自社に設置するため、機器の破損による物理的な被害でシステムが利用できなくなります。機器が破損すれば、社内データを紛失する可能性もあり、復旧までに時間も必要です。津波や地震などの天災で被害が大きければ、復旧そのものができない場合も考えられます。
クラウドは、サービス事業者が機器を管理しており、設置場所も分散されている場合が多いため、事業の継続性に優れています。万が一、1つの機器設置場所が被害にあっても、他の場所にある機器によって事業を継続可能です。また、データはインターネット上に保管されているため、データを紛失する心配がありません。
接続スピード
有線のLANケーブルを利用するオンプレミスを導入する場合は、処理速度が速く、接続も安定しています。他の電波による影響を受けないため、さまざまな作業を円滑に進められます。サーバーは、自社全体で頻繫にアクセスするシステムです。常に安定した通信で、迅速にアクセスできれば、社内の業務効率化にも貢献します。
クラウドは、インターネット回線を利用しており、場合によっては通信が不安定になる可能性があります。有線のLANケーブルによる通信に比べて、他の電波の影響を受けやすいため、事前に対策の検討が必要です。
セキュリティ
オンプレミスは、サーバー機器やネットワークのすべてを自社で管理するため、安全性の高い運用形態といわれています。一方で、セキュリティ対策の実施や管理もすべて自社で行う必要があり、常に安全性を保つには、手間と時間がかかります。また、強固なセキュリティ対策をするには、専門知識と技術を持った人材の確保が必要不可欠です。
クラウドは、インターネット上でデータを保管します。オンプレミスと比べて、セキュリティ面で劣るといわれていますが、サービス事業者が強固なセキュリティ対策を実施していれば、データの安全性を確保できます。セキュリティ対策の実施は、サービス事業者がするため、自社のコスト削減にもつながるでしょう。
オンプレミスとクラウドのどちらであっても、適切なセキュリティ対策を実施できる環境の整備が欠かせません。整備が不十分な状態では、セキュリティの安全性を確保するのは、難しいでしょう。
拡張性
オンプレミスとクラウドの2つとも、導入後の機能拡張が可能です。拡張のしやすさにおいては、クラウドの方が優れています。オンプレミスで機能を拡張するには、アプリケーションやサーバーの買い替えが必要です。拡張の完了までには、手間と時間がかかるため、手軽に実施はできません。クラウドであれば、契約プランの変更で簡単に機能を拡張できます。
オンプレミスがおすすめのケース3選
オンプレミスがおすすめのケースは、以下の3つです。
- セキュリティを強化したい
- IT人材や十分な費用を確保できる
- 情報の一括管理を行いたい
おすすめのケースを把握して、具体的な活用シーンをイメージする際の参考にしてください。
セキュリティを強化したい
強固なセキュリティ対策を実施して、機密情報を保管したい場合は、オンプレミスがおすすめです。自社の要件に合ったセキュリティ対策を柔軟に実装できます。また、外部からシステムへアクセスされることがないため、セキュリティリスクを低減可能です。
IT人材や十分な費用を確保できる
オンプレミスは、自社でサーバーや情報システムに関する専門知識と技術を持った人材が確保できる場合におすすめです。同時に、必要設備の導入や保守・管理に伴う人件費などの費用が確保できる場合は、オンプレミスを検討しましょう。カスタマイズ性に優れているため、自社が希望するシステムを構築できます。
情報の一括管理を行いたい
オンプレミスは、既存システムとの連携がしたい場合におすすめです。サーバーを柔軟にカスタマイズして、自社のシステムと連携できます。連携できていない複数のシステムを利用している場合は、情報が分散してしまいますが、オンプレミスであれば、システムを連携させて情報を一括管理可能です。
クラウドがおすすめなケース3選
クラウドがおすすめなケースは、以下の3つです。
- 新規事業立ち上げやスタートアップ
- システム構築や運用リソースが不足している
- 外部アクセスを想定している
おすすめのケースを参考にして、導入を検討する際に役立てましょう。
新規事業立ち上げやスタートアップ
クラウドは、初期費用を抑えられるため、新規事業立ち上げやスタートアップの展開におすすめです。コストだけではなく、導入期間も短縮できます。新しいビジネスをスピード感を大切にして始めたい人におすすめの運用形態です。
システム構築や運用リソースが不足している
クラウドは、システム構築や運用リソース不足の解消に役立ちます。システム構築や保守・管理などの作業をサービス事業者が行うため、社内リソースが足りない場合におすすめです。万が一、災害によってシステムが被害にあった際にも、サービス事業者による復旧の知らせを待つ以外に、特別な作業は必要ありません。企業側の負担を最小限に抑えて、限られた社内リソースを活用できます。
外部アクセスを想定している
クラウドは、パソコンやタブレットなどのデバイスとインターネット環境があれば、あらゆる場所からアクセス可能です。クラウドを利用すれば、働き方の多様化にも柔軟に対応できます。出張やリモートワークなどの外部からアクセスしなければならない状況において、クラウドが役立ちます。リモートワークの推進をしている企業におすすめです。
オンプレミス・クラウドの違いを意識して自社にあった方を選ぼう
オンプレミスとクラウドは、以下の点で違いがあります。
- コスト
- カスタマイズ性
- 運用の負担
- 事業継続性
- 接続スピード
- セキュリティ
- 拡張性
オンプレミスは初期費用が高額ですが、カスタマイズ性に優れており、自社の要件に合ったセキュリティ対策を実装可能です。また、有線LANケーブルを利用したオンプレミスの場合、安定した通信品質と接続スピードで業務の効率化につながります。機能拡張の自由度も高いため、自社に最適なシステムが構築可能です。
クラウドは、初期費用を抑えて、コスト削減に貢献する運用形態です。カスタマイズ性では、オンプレミスよりも自由度は高くありませんが、サービスやプランによっては、細かい設定変更もできます。また、万が一、天災による被害が発生しても、事業を継続できる対策が整備されています。
株式会社電算システムは、オンプレミスからクラウドへ移行する際に役立つ資料を無料で提供しています。クラウドへの移行を検討している方は、まずは以下のページから資料をダウンロードしてみてください。
- カテゴリ:
- Google Workspace
- キーワード:
- サーバー