クラウドストレージは、データへのアクセスのしやすさやコスト削減、セキュリティリスクの低減など、さまざまなメリットを企業にもたらします。安い料金で利用できるクラウドストレージも登場しており、サービスの選択肢が多い現在は、どのクラウドストレージを導入すべきか迷うという方も多いでしょう。クラウドストレージは一度本格的に導入してしまうと、データの移行に手間がかかり、簡単にサービスの変更はできません。クラウドストレージの導入に失敗しないよう、導入には慎重な検討が必要です。
この記事では、クラウドストレージの特徴や安いクラウドストレージの注意点、法人契約で重視すべきポイントなどについて解説しています。クラウドストレージのサービス選定に役立つポイントをわかりやすく解説しているので、ぜひご覧ください。
クラウドストレージとは?概要や特徴を解説
クラウドストレージとは、テキストや画像、動画といったさまざまな種類のファイルをクラウド上に保管できるサービスです。「オンラインストレージ」や「ファイル共有サービス」とも呼ばれており、保管したデータは他の相手に共有もできます。
クラウドストレージでは、自社開発の場合を除いて通常はサービス事業者が管理するサーバーでファイルが管理されます。サーバーの運用・保守はすべてサービス事業者が行うため、機器の導入や運用などのコストを削減可能です。また、災害やサイバー攻撃の対策を行なっているクラウドストレージサービスも多いため、自社でデータを管理するよりも安全に機密情報を保護できます。
ファイルの共有機能にも優れており、簡単な操作で容量の大きなファイルを共有したり、一部の人にのみアクセス権限を付与したりもできます。クラウドストレージは、利便性に加えて、セキュリティ面とコスト面でも評価されており、多くの企業が導入しているサービスです。
【特徴1】 いつでも、どこからでもアクセスできる
クラウドストレージでは、クラウドを使ってファイルにアクセスするため、デバイスとインターネット環境さえあれば、場所にかかわらずどこからでもアクセス可能です。
また、マルチデバイス対応のサービスも多く、パソコンやタブレット、スマートフォンからも利用できます。外出先やリモートワーク中でも簡単に必要なファイルへアクセスでき、閲覧はもちろん、編集、削除、共有といった操作が可能です。
【特徴2】必要に合わせて容量を調整可能
クラウドストレージは、サービスプランを変更するだけで簡単に容量を増やしたり、減らしたりできます。オンプレミス型のストレージでは、容量の増加に機器の交換や購入が必要でコストも時間も多くかかりますが、クラウドストレージでは、コストを抑えて即日容量を変更可能です。自社の従業員数や事業などの状況に合わせて、ストレージ容量を柔軟に調整できます。
例えば、従業員数が少なく容量の大きいファイルを多く扱わない企業は、サービスの導入直後は少ない容量のプランに加入し、企業規模の拡大に合わせて容量を増やせば、無駄なコストを削減できます。
【特徴3】 保守・点検が不要
クラウドストレージでは、サービス事業者がサーバーのメンテナンスを行うため、自社で保守・点検を行う必要はありません。自社の情報システム担当者の負担を軽減でき、他の業務にリソースを回せます。保守・点検が適切に行われるかどうかは、サービス事業者にかかっているため、サービスを選定する際は事業者のセキュリティレベルを十分に確認しましょう。
無料版クラウドストレージと有料版クラウドストレージの違い
無料版クラウドストレージと有料版クラウドストレージの違いは、厳密にはサービスによって異なりますが、大きな傾向としてセキュリティ面や機能面、サポート面などに違いがあります。クラウドストレージをビジネスで活用する際は、2つの違いが特に重要になるため、確認しておきましょう。
無料版クラウドストレージの特徴
無料版クラウドストレージは、ストレージ容量や機能、セキュリティ対策、サポートサービスなどに制限があります。個人的なデータの保管や共有といったプライベートでの利用であれば十分ですが、複数人で利用したい場合や大容量のファイルを扱うときは、無料版クラウドストレージではすぐに容量がいっぱいになり、対応しきれません。
また、セキュリティ対策・サポートサービスの制限により、サイバー攻撃やシステムエラーなどの問題に適切に対応できない場合もあるため、ビジネス目的の場合は有料版クラウドストレージがおすすめです。
有料版クラウドストレージの特徴
有料版クラウドストレージは、ストレージ容量や機能、セキュリティ対策、サポートサービスのすべての面で無料版より優れています。クラウドストレージのほとんどの有料版サービスは、ビジネス利用に適したプランが用意されており、スムーズに事業で活用可能です。
企業は顧客や取引先の個人情報や経営状況などの機密情報を扱うため、有料版クラウドストレージを導入すれば、より高いセキュリティレベルで重要な情報を保護できます。有料版クラウドストレージのどのプランが自社に適しているかわからない場合は、無料版で一定期間試してから有料版を導入すると良いでしょう。
法人利用は要注意!安いクラウドストレージの6つの注意点
安いクラウドストレージは、コストは抑えられますが、法人利用には不向きな点が以下の6つあります。
- 個人アカウントでの利用に限られる
- 容量が少ない
- アップロードできる容量に制限がある
- セキュリティ機能が限定的
- 組織内での共有に不向き
- 機能追加が有料
注意点を確認して、クラウドストレージを選定する際の参考にしましょう。
個人アカウントでの利用に限られる
安いクラウドストレージの多くは、個人向けに設計されています。法人利用で導入しても、管理機能の制限によって業務効率が下がったり、サービスによっては、そもそも利用規約で商用利用や法人利用が制限されたりしている場合もあります。安いクラウドストレージの導入を検討している場合は、事前に利用規約や予定している使い方ができるかどうかの確認が必要です。
容量が少ない
クラウドストレージの価格が安いプランでは、ストレージ容量が少なく法人利用には不十分な場合が多くあります。プランを変更してストレージ容量の追加も可能ですが、結果的にクラウドストレージの導入前よりコストが高くなる場合もあるため、事前にストレージ容量とコストのバランスの確認が必要です。
アップロードできる容量に制限がある
安いクラウドストレージでは、アップロードできるファイル1つあたりの容量に制限がある場合があります。上限を超える場合は、ファイルの容量を減らしたり、分割したりする手間が必要になるため、容量の大きいファイルを多く扱う企業には向いていません。ファイルをアップロードする度に手間が増えて、業務効率の低下を招きます。
セキュリティ機能が限定的
安いクラウドストレージでは、最低限のセキュリティ機能しか用意されていなかったり、機能に制限があったりするため、法人利用には向いていません。
サービスの導入をきっかけに自社のセキュリティレベルが下がり、データの破損や紛失、漏洩などの問題が起きるリスクが高まります。法人利用の場合は、機密情報を安全に保護できるような高いセキュリティレベルのクラウドストレージが必要です。
組織内での共有に不向き
安いクラウドストレージは、ファイル共有が個別でしかできない場合があります。アカウントを1つずつ指定して個別に送ったり、共有用のリンクを個々に送る手間が発生し、ファイル共有に時間がかかります。また、ファイル共有の相手が数十人にもなれば、送る相手を間違えるリスクもあり、情報漏洩が発生しないとは言い切れません。
法人向けプランのクラウドストレージでは、部署やチームといった複数人へのファイル共有を簡単にできるため、効率的に作業可能です。ファイルを共有する際のミスも起きにくくなり、セキュリティリスクを低減できます。
機能追加が有料
安いクラウドストレージでは、最低限必要な機能のみが提供され、機能追加がすべて有料オプションになっている場合があります。導入した後に他の機能を追加することで、コストがかえって大きくなる場合もあるため、自社の求める機能がすべて揃っているサービスやプランを選ぶ必要があります。
法人契約で重視すべき4つのポイント
クラウドストレージの法人契約で重視すべきポイントは、以下の4つです。
- セキュリティ強化
- BCP対策
- 組織向けの管理機能
- 決済方法の確認
ポイントを確認して、法人契約において重要なことを事前に把握しておきましょう。
セキュリティ強化
クラウドストレージの法人利用において、データの保護は最重要事項です。不正アクセスやマルウェア感染による情報漏洩は、企業の社会的信用を失う重要な問題になります。クラウドストレージを導入する際は、二要素認証や高度な暗号化技術、アクセス管理機能といった効果の高いセキュリティ機能が充実しているかどうかを必ず確認しましょう。
BCP対策
BCP対策として、事故や災害が発生したときでも事業を継続できるように、データのバックアップや復旧ができるクラウドストレージを選ぶ必要があります。BCP対策に有効なクラウドストレージを選べば、データ紛失のリスクを低減でき、万が一問題が起きても適切に対応できます。導入するサービスを検討する際は、バックアップの機能の有無や頻度、データセンターの場所や数、稼働率の保証などを確認して、信頼性の高いものを選択しましょう。
組織向けの管理管理
法人利用において、アカウントの追加や削除、ログ機能、アクセス権限の設定といった組織向けの管理機能は必要不可欠です。
管理者によるアカウントの一元管理でサービスの運用を効率化するだけではなく、情報漏洩やデータ改ざんなどのリスクを低減でき、万が一トラブルが発生しても、ユーザーの行動履歴を確認して原因究明と対策の検討ができます。
決済方法の確認
クラウドストレージで法人契約をする場合、決済方法の種類も重要なポイントです。請求書払いの可否や年間契約での割引サービスがあるなど、企業向けの決済オプションが用意されているかを事前に確認します。クラウドストレージの中には、サービス事業者の公式で対応していない決済方法でも、代理店経由の契約で適用できる場合があるため、販売店を調べて相談してみると良いでしょう。
企業での使用には「Google ドライブ」がおすすめ
クラウドストレージの法人利用を検討している方には「Google ドライブ」の導入がおすすめです。Google ドライブは、Google Workspaceというビジネスに役立つアプリケーションが集約されたクラウド型グループウェアに含まれるクラウドストレージです。Googleが開発したGoogle ドライブには、以下のような特徴があります。
- ファイル管理がしやすい
- 簡単な操作で社内外の相手にファイルを共有できる
- 部署やチーム単位で簡単にファイル共有ができる
- フォルダやファイルにアクセス権限を設定できる
- セキュリティ機能が充実している
Google ドライブを無料プランで利用もできますが、Google Workspaceの有料プランの導入により、複数アカウントを一元管理できるアプリケーションが利用可能です。アカウントの追加や削除、ログ機能、アクセス権限の設定といった組織での利用をサポートする機能が充実しており、利便性とセキュリティの両面を満たした運用ができます。
どのクラウドストレージを導入すれば良いか迷うという方は、Google ドライブの利用を検討してみると良いでしょう。Google ドライブが利用できるGoogle Workspaceについては、以下の記事でわかりやすく解説しています。興味のある方は、併せてご覧ください。
自社に合うクラウドストレージを選定し安心・安全に活用しよう
クラウドストレージのサービスを選択する際は、価格だけではなく容量・セキュリティ・拡張性などのさまざまな要素を総合的に考慮する必要があります。特に法人契約の場合は、コストの安さ以上に「セキュリティ上の安全性」や「管理のしやすさ」が重要です。
セキュリティが不十分なサービスを導入してしまうと、サイバー攻撃の被害にあうリスクが高まります。また、アカウントの管理がしにくいサービスでは、人事異動や退職、休職などで作業の手間が重なり、管理者の負担が大きくなります。セキュリティ面や管理機能の充実度も含めて費用対効果を把握し、長期的な視点でサービスを検討しましょう。
電算システムでは、オンプレミスからクラウドストレージへの移行に役立つ資料を無料で提供しています。クラウドストレージへの移行を検討している方は、以下のページからダウンロードしてみてください。
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