GeminiアプリはGoogle社が開発した生成AIサービスで、テキストを入力したり、ファイルをアップロードしたりすることで、指示に沿ったアクションを実行してくれます。データ収集や分析、画像・動画生成、プログラミングなど活用範囲が広く、さまざまな業務を自動化・効率化できるのが利点です。
2024年11月、GeminiアプリのiOS版がリリースされたことで、パソコンだけでなくiPhoneでも利用できるようになりました。そのため、外出・出張先やテレワーク中など、社外でもGeminiアプリの活用が可能です。
本記事では、iPhone版Geminiアプリの使い方や機能、注意点などを詳しく解説します。生成AI技術を使って業務効率を高めたい方は、ぜひ参考にしてください。
そもそもGeminiアプリとは
Geminiアプリとは、Google社が開発した生成AIモデルのGeminiを、パソコンのWebブラウザやモバイルアプリから利用できるようにしたサービスです。Webブラウザからアクセスする、あるいはモバイルアプリをインストールするだけでGeminiを起動でき、手軽にサービスを利用できる点に特徴があります。
Geminiアプリを起動すると、プロンプト(テキストによる指示)の入力画面が表示されます。ユーザーがそのなかに質問や指示文を入力することで、AIがそれに沿ったアクションを自動で実行してくれる仕組みです。
Geminiが対応できるアクションは、情報収集やリサーチ、データ分析、プログラミング、画像・動画生成など多岐にわたります。
iPhoneでGeminiアプリを利用する方法
iPhoneには、もともとiOS版GoogleアプリにGeminiの機能が搭載されていました。iOS版Googleアプリには、Google検索やGoogleニュースといったGoogleの関連サービスが搭載されており、そのなかにGeminiの機能も含まれています。
しかし、2025年2月には、iOS版GoogleアプリからGeminiの機能が削除され、代わりにApp StoreでGeminiアプリとして提供されることになりました。そのため、2025年9月現在においては、App StoreにアクセスしてGeminiアプリをインストールする必要があります。
Geminiアプリをインストールして起動すると、「こんにちは、○○(Googleアカウント名)さん」というメッセージと、プロンプトの入力欄が表示されます。

このプロンプト欄に質問や指示文を入力することで、その内容に沿った作業をAIが実行してくれます。
iPhoneのGeminiアプリでできること10選
iPhoneのGeminiアプリでは、主に次のようなアクションを実行できます。
- 情報収集・リサーチ
- 文章や資料の要約・翻訳
- ドキュメントやキャッチコピーの作成
- 画像生成
- 動画生成
- データ分析
- プログラミング
- Gemini Live
- Googleサービスとの連携
- Gem
それぞれの活用例や具体的な使い方を詳しく解説します。
情報収集・リサーチ
Geminiアプリが最も得意とするのは、情報収集やリサーチです。「~~について調べて」といったプロンプトを入力するだけで、AIが短時間で情報を調べて簡潔な文章にまとめてくれます。画像や図表、数値データなどを読み込ませたり、情報を調べたいWebページのURLを入力したりと、単純なテキスト以外の指示にも対応しています。
また、2025年9月時点における最新モデルであるGemini 2.5 Proでは、「Deep Research」の機能を利用できるのも特徴です。Deep Researchでは、AIが数百ものWebページを横断検索し、そのなかに含まれた膨大な情報を分析・統合して、ユーザーにとってわかりやすい文章で出力してくれます。そのため、「A社の○○製品について、特徴や強み、価格、他社製品との違いを500文字程度でまとめる」といった本来であれば時間のかかるリサーチ業務でも、Geminiアプリを活用すれば短時間かつ自動で処理できるようになります。
Gemini 2.5 Proは旧モデルに比べ、最大100万トークンを処理できるなど性能が大幅に強化されています。これは、75万語近くの単語を理解できる性能を表します。また、提供元のGoogle社にはすでに膨大な検索データがあり、既存のデータと最新モデルの性能を組み合わせることで、複雑かつ難解な情報でも正確に理解し、適切な文章へと出力が可能です。
文章や資料の要約・翻訳
文章や資料などを要約できるのもGeminiアプリの特徴です。
プロンプトの入力欄にある「+」アイコンをタップすると、GoogleドライブやWordで作成した資料、PDFファイル、画像などをアップロードできます。それとともに要約の指示を与えることで、AIが資料内のテキストを解析し、簡潔かつわかりやすい文章にまとめてくれます。
資料の内容が外国語で記載されていれば、日本語に翻訳することも可能です。また、資料をアップロードするだけでなく、実際の文章をコピー&ペーストでプロンプト欄に入力したり、要約・翻訳したいWebページのURLを指定したりと、さまざまな方法で指示を与えられます。
このような点から、例えば、「数十ページにおよぶ資料を読まなければならないが、すべてに目を通している時間がない」といった場合などに、Geminiアプリを活用することで作業時間を短縮できます。
ドキュメントやキャッチコピーの作成
iPhoneのGeminiアプリでは、オリジナルの文章を生成することもできます。プロンプトの入力欄で、「○○に関するメッセージを作成して」といった指示を与えると、AIがその内容に沿った文章を生成してくれます。文章作成時のテーマやコンセプト、文字数、トーン&マナーなど、具体的に指示を与えるほど理想に近い文章に仕上がります。

この機能を活用すれば、メールのタイトルや本文、広告のキャッチコピー、プレゼン資料の構成・スライドの内容など、さまざまな文章を短時間で作成できます。一度で理想的な形に仕上がらない場合でも、修正の指示を与えることで何度でもAIが文章を書き直してくれます。
画像生成
Geminiアプリはマルチモーダルの仕様に対応しており、テキスト以外にも画像や動画、音声など、さまざまなコンテンツを出力できます。例えば、画像を作成する際は、「猫の画像を作成して」と指示を与えるだけで済み、高度な知識がなくても扱えるのが特徴です。

注意すべき点は、Geminiアプリの全般の機能にいえることですが、できるだけ具体的に指示を与えることです。例えば、画像を作成する場合は、被写体の分類や特徴、ポーズ、表情、背景に写っている物体や風景など、具体的な指示を与えるほど理想通りのコンテンツを出力しやすくなります。
Geminiアプリの画像生成では、2025年9月時点において、「Imagen 4」と呼ばれるモデルが採用されています。旧モデルに比べて、人間の肌や質感などを緻密に再現でき、解像度も最大2K(約2,048×2,048)に対応しており、より高精度な画像を出力できるのが特徴です。
動画生成
動画生成も画像生成と同様、プロンプトの入力欄に指示を与えるだけで、AIが適切なコンテンツを生成してくれます。動画生成に使用されているモデルは「Veo 3(2025年9月時点の最新モデル)」と呼ばれ、旧モデルよりも処理性能と生成速度が大幅に向上しており、さらに音声付きの動画にも対応しています。
ただし、生成AIの分野では、画像や音声に比べて動画の生成は発展途上だとされています。そのため、Geminiアプリでも、最長8秒間の動画しか出力できない点には注意が必要です。
データ分析
最大100万トークンの処理が可能なGemini 2.5 Proは、データ分析にも活用が可能です。膨大な量のデータを扱う分析業務でも、Gemini 2.5 Proは約75万語の単語を理解できるため、高度な分析にも対応できます。
Geminiアプリでは、GoogleスプレッドシートやExcel・CSVファイルをアップロードできます。分析元のデータファイルを用意し、それとともにプロンプトを入力することで、AIが指示に沿ったデータ分析を実行してくれる仕組みです。
また、Google Cloud(クラウドコンピューティングやAI開発など100種類以上のサービスが使えるプラットフォーム)を利用している場合は、Gemini in BigQueryを活用するのも良いでしょう。Gemini in BigQueryでは、プロンプトを入力するだけで、SQL・Pythonのコーディングやデータ変換、分析用メタデータ生成といった作業を自動的に処理してくれます。
プログラミング
iPhoneのGeminiアプリでは、プロンプトを入力するだけで、AIが適切なプログラミングコードを自動生成してくれます。コーディングの作業を効率化・自動化できるほか、プログラミングの知識や技術がない従業員でも扱いやすいのがメリットです。
また、Geminiに搭載された「Canvas」と呼ばれる機能も役立ちます。Canvasでは、例えば、「20代女性向けのアパレルECサイトを構築したい」といった簡易的・感覚的な指示だけで、それに適したプログラミングコードの生成が可能です。
プログラミングコードの出力とともに、画面上にCanvas専用の編集枠が現れ、修正が必要な箇所はドラッグ&ドロップの操作だけで完結します。「この部分を○○に変えて」と、Geminiと繰り返し対話を行うことで、理想に近い形へと近付けられるのがポイントです。また、コード画面とプレビュー画面を切り替えて、実際のサイト画面やレイアウトを確認できるのも特徴です。
Gemini Live
iPhoneのGeminiアプリには、音声認識の技術が活用されています。その技術を用いて開発されたのがGemini Liveの機能です。
Gemini Liveとは、Geminiとリアルタイムで音声による対話を行える機能です。対話はテキストを使ったプロンプトと同様、質問や指示を与えることで、AIが情報収集やアイデア出しといった特定のアクションを実行してくれます。また、リアルタイムな対話ならではの、スマートフォンで撮影してその画像や映像について尋ねたり、スピーチやプレゼンテーションなどの練習に付き合ってもらったりと、さまざまな活用が可能です。

Gemini Liveを利用するには、プロンプトの入力欄の右下にあるアイコンをタップします。初回利用時のみ設定が必須で、スマートフォンの画面を共有したい場合は[画面共有]をオンに、Geminiとの対話内容を保存したい場合は[アクティビティ]をオンにする必要があります。
Googleサービスとの連携
GeminiアプリはGoogle社が提供しているサービスだけあり、ほかのGoogleサービスとの親和性に優れます。

プロンプトの入力欄に「@Googleドライブ」や「@Gmail」といった形で「@」を付け、その後にテキストで指示を与えることで連携が可能です。各種Googleサービスと連携することで、次のようなことが可能になります。
| 連携するGoogleサービス | 活用例 |
| Googleドライブ |
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| Gmail |
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| Google ToDoリスト |
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| Googleマップ |
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このように、既存のGoogleサービスの機能と組み合わせることで、Geminiアプリの利便性が向上します。
Gem
Gemは、自分専用のAIエージェントを作成できる機能です。AIに特定の役割を与えることで、Geminiがその役割になりきってアドバイスや特定のアクションを行ってくれます。また、よく利用するプロンプトをカスタム設定として保存することで、次回からそれを呼び出すだけで、より短時間で指示を与えられるのも特徴です。
例えば、AIにプロの翻訳家という役割を与えるとします。初回はカスタム設定を登録するために、「日本人が読みやすい意訳を行う、200文字以内にまとめる」といった指示が必要です。
そして、特定の文章を入力することで、AIがプロの翻訳家になりきって翻訳を行ってくれます。次回からは保存したカスタム設定を呼び出すと、「前回と同じように翻訳して」といった簡易的な指示だけでも、AIが適切に翻訳を行ってくれる仕組みです。
iPhoneでGeminiアプリを利用する際の注意点
iPhoneでGeminiアプリを利用する際は、いくつか注意すべきポイントが存在します。その注意点について複数の観点から解説します。
出力される情報が必ずしも正しいとは限らない
Web上やアップロードしたファイルからデータを収集し、さまざまな情報を出力できるGeminiアプリですが、出力結果の真偽性については十分に注意が必要です。AIが調べたからといって、その情報が必ずしも正しいとは限りません。
例えば、Web上には、データが更新されておらず古い情報がそのまま掲載されているケースがあります。AIがその情報を鵜呑みにして出力した場合、最新情報が反映されず、関係者が誤った情報を参照してしまうことになります。
このような点から、Geminiアプリの出力結果をむやみに信じるのは避けたほうが良いでしょう。情報が出力されたタイミングで参照URLからソースを探したり、人手を介したファクトチェックやダブルチェックを行ったりといった対策が必要です。
出力履歴が自動で削除されることがある
Geminiアプリのアクティビティ(メッセージのやり取りや過去の出力結果など)は、デフォルトの状態では18ヶ月が経過すると自動的に削除されます。アクティビティが削除されると、その情報を閲覧できなくなるので注意が必要です。
アクティビティの保存期間は、Geminiアプリの設定画面から変更できます。デフォルトでは18ヶ月になっていますが、そのほかに3ヶ月、36ヶ月、無期限(自動削除しない)に変更が可能です。
機密情報を入力しない
Geminiアプリでプロンプトを入力したり、ファイルをアップロードする際は、機密情報の取り扱いに注意しましょう。仮に、顧客や従業員の個人情報、製品の開発データ、内部資料などを入力・アップロードした場合、その情報がAIの学習データに使用される、あるいは第三者の目に触れる可能性もゼロではありません。そのため、Geminiアプリでは機密情報を扱わないほうが賢明です。
万が一の情報漏洩のリスクを避けるには、Geminiアプリ利用時のルールやマニュアルを作成することをおすすめします。機密情報を入力しないことを周知徹底し、違反した場合には罰則を設けるなど、事前に対策を立てることで、より安全にGeminiアプリを利用できるようになります。
利用する機能によっては年齢制限が設けられている
Geminiアプリを利用するには、基本的に13歳以上という条件を満たさなければなりません。13歳未満のユーザーがGeminiアプリを利用する場合は、Googleファミリーリンク(保護者が子どもの端末を管理できる機能)を導入し、保護者側で利用を管理・許可する必要があります。
また、利用する機能によって年齢制限が設けられている点にも注意が必要です。例えば、Google Liveでは、18歳以上という年齢制限が設定されています。そのため、年齢が低いユーザーが扱う場合は、このような規約をよく確認しておく必要があります。
iPhone版Geminiアプリの料金
iPhone版Geminiアプリは基本無料で利用できますが、有料プランにアップグレードすることで、さまざまな機能が拡張されます。有料プランの料金体系は次の通りです。
| プラン名 | 基本料金 | キャンペーン料金 |
| Google AI Pro | 月額2,900円 | 無料(1ヶ月間のみ) |
| Google AI Ultra | 月額36,400円 | 月額18,000円(3ヶ月間のみ) |
有料プランへのアップグレードで解放される機能としては、映像制作をより効率化できる「Flow」や、視覚的な操作で画像生成を行える「Whisk」などがあげられます。また、Flowの動画生成可能数やNotebookLM(AI搭載の情報整理ツール)の出力上限などが引き上げられるのもポイントです。GoogleドライブやGmailなどで使用するストレージ容量も、最大30TBまで拡張されるため、組織全体で情報共有を行う際にも役立ちます。
さらにビジネス効率を高めるならGoogle Workspace with Geminiがおすすめ
GoogleにはGeminiアプリのほかにも、Google Workspace with Geminiという生成AI関連のサービスが用意されています。GmailやGoogleドライブ、Google Meetなど、普段からGoogleサービスを利用する機会が多い場合は、Geminiアプリ単体ではなく、Google Workspace with Geminiを活用するのがおすすめです。
Google Workspace with Geminiでは、情報収集やリサーチ、プログラミングなど、Geminiの基本機能を利用できます
また、Gemini in GmailやGemini in Googleドキュメントといったコラボレーションツールも用意されており、各種Googleサービスと連携することでメールやドキュメントの自動生成、ドライブ内のデータ分析・要約、会議の議事録作成などが可能になります。そのほか、各種Googleサービスの画面に「Geminiサイドパネル」と呼ばれるAIアシスタントが表示され、一つのUIのなかでGeminiへの指示ややり取りを行えるのも特徴です。
Geminiの仕組みを活用してビジネス効率を最大限に高めよう
Geminiアプリは、パソコン以外にもiOS・Androidのスマートフォンでも利用でき、活用の幅が広い特徴があります。オフィスだけでなく出張中やテレワーク中でも、Geminiアプリを使ってリサーチや資料作成、データ分析、プログラミングといった作業を自動化し、業務効率を高められるのがメリットです。
とはいえ、GmailやGoogleドライブなど、Googleサービスの利用機会が多い場合は、コラボレーションツールが充実したGoogle Workspace with Geminiを活用するのがおすすめです。Google Workspace with Geminiは各種Googleサービスとの親和性が高く、Gmailを使ったメール作成やGoogleドライブを用いた要約・分析など、組み合わせ次第でよりスムーズな社内コミュニケーションが実現します。
電算システムでは、Google Workspaceだけでなく、Google Workspace with Geminiの導入支援サービスを提供しています。Geminiの活用方法や体系的な知識を学べるハンズオントレーニングやワークショップ、カスタマイズトレーニングを提供しており、Google Workspace with Geminiのスムーズな定着を支援します。Google Workspace with Geminiの特徴や機能、最新情報などに関しては、以下の資料で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
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- Google Workspace
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