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高等学校における1人1台の端末導入を考える

 2021.05.31  2023.03.28

GIGAスクール構想によって、全国の小中学校に1人1台の端末が導入され、ICTを活用した授業が始まりつつあります。早くもそうした環境で学習している生徒たちがいますので、高等学校においても1人1台の環境をいち早く整えて活用できる段階まで引き上げておくことが、新しい学習指導要領の実施に向けて必要なことと言えるでしょう。

そこで本ブログでは、高等学校における1人1台の端末導入について考えていきたいと思います。

新学習指導要領を確認する

今の高校生が大人になった社会を想像してみましょう。未来の社会構造を予想することは困難ではないでしょうか。

オックスフォード大学などの調査研究の結果によれば、今後10〜20年間の間に約半数の仕事が自動化される可能性があるといいます。例えば、私たちの生活を見渡してみても、無人コンビニ、無人レジ、お掃除ロボット、自動運転車など、AI技術を活用したさまざまな取り組みが現実のものとなってきました。

現在のところ、このブログを書いているのは生身の人間ですが、すでにAIによる記事作成もできる世の中になっていますので、今後の技術革新の度合いによっては、ライティングという仕事がAIに取って代わられるかもしれません。

逆に、高度なコミュニケーションが求められたり、単純化できない業務や、収集したデータを分析・活用したりすることは、AIには難しいと言われていますので、そうした仕事こそ、人が介在して、価値を生み出していくことが求められていくでしょう。

そうした世の中の変化を踏まえ、新しい高等学校学習指導要領では、「社会に開かれた教育課程」、「知識・技能の習得と思考力、判断力、表現力の育成」などがポイントとして示され、これまで以上に生きる力の育成を明確にしながら、知識の理解の質を高め、確かな学力を育成しようとしています。

ICTに関わる記述に目を向けると、総則では、言語能力、情報活用能力、問題発見力・解決能力が学習の基盤となる資質・能力であることが示され、教科のみならず、教科を横断しながら育成することが記載されています。

情報活用能力とは、「世の中の様々な事象を情報とその結び付きとして捉え、情報及び情報技術を適切かつ効果的に活用して、問題を発見・解決したり自分の考えを形成したりしていくために必要な資質・能力」と説明されています。(文部科学省・高等学校学習指導要領解説P54-55)

(参考:情報活用能力を構成する資質・能力)


(知識・技能)
 情報と情報技術を活用した問題の発見 ・ 解決等の方法や,情報化の進展が社会の中で果たす役割や影響,情報に関する法 ・ 制度やマナー,個人が果たす役割や責任等について,情報の科学的な理解に裏打ちされた形で理解し,情報と情報技術を適切に活用するために必要な技能を身に付けていること。


(思考力・判断力 ・ 表現力等)
 様々な事象を情報とその結びつきの視点から捉え,複数の情報を結びつけて新たな意味を見出す力や,問題の発見 ・ 解決等に向けて情報技術を適切かつ効果的に活用する力を身に付けていること。


(学びに向かう力・人間性等)
 情報や情報技術を適切かつ効果的に活用して情報社会に主体的に参画し,その発展に寄与しようとする態度等を身に付けていること。


【平成 28 年 12 月の中央教育審議会答申 別紙3-1】

 

このように見ると、ICTを手段として活用することは、情報科などの特定の教科に必要なだけでなく、あらゆる場面で汎用的に必要であることがわかります。

GIGAスクール構想によって、小中学校には高速ネット環境と1人1台の端末が導入されつつあります。早くもそうした環境で学習している生徒たちがいますので、高等学校においても1人1台の環境をいち早く整えて活用できる段階まで引き上げておくことが、学習指導要領の実施に向けて必要なことと言えるでしょう。

はじめてのオンライン授業 Google Meet でつながろう vol.1
Google Workspace for Education のご紹介

高等学校における端末整備の捉え方

GIGAスクール構想を実現するための手立てとして、文部科学省では学校設置者が活用できる補助金を準備していましたが、当初より、高等学校はネットワーク環境の整備のみが補助対象になっていました。この点で、1人1台の端末整備までを含んだ義務教育段階とでは、明確な線引きがされていました。

しかしながら、誰一人取り残されることなく対面指導とオンラインを組み合わせた新しい学び方を実現すべきという提言(「国民の命と暮らしを守る希望のための総合経済対策」)や、高等学校においても1人1台端末環境を実現するべきという指摘(中央教育審議会での答申)がされたことから、小中学校で実現した学習環境が高等学校においても切れ目なく実現されるよう要望が出されたところです。

現段階での高等学校での端末整備の実態としては、自治体財源による設置者負担、補助金を活用した設置者負担、保護者による負担などがあります。新型コロナウイルスおよび変異株による感染拡大が止まらない現状を考えると早急な環境整備が必要になりますが、今回整備すればそれで終わりというわけではありませんので、今後のことも見据えながら持続可能な方法を検討するのがよいでしょう。

端末選びと新しい導入方法「BYAD」

小・中学校での1人1台の端末整備で最も選ばれたのは、Chromebook でした。

Chromebook は Google が教育機関向けに開発し、今年で発売10周年を迎えた比較的新しい端末です。 ChromeOS を搭載しブラウザベースで起動するため、操作がしやすく電源を入れてわずか8秒で使い始められるといった特徴を持っています。

小・中学校での整備では、こうした点のほか、端末管理のしやすさ、運用のトータルコスト、Google Workspace for Education との親和性といったことも評価されました。運用を見据えた端末選びをすることで、結果的に、余計なトラブルが少なくよりスムーズな活用につながりますので、高等学校の整備でもそうした点も心掛けると良いでしょう。

端末整備にはいくつか方法がありますが、最近話題に上がる方法にBYAD(=Bring Your Assigned Device)という考え方があります。

これは教育委員会や学校が推奨端末を指定し、費用は保護者負担によって整備をする方法のことです。機種を指定できたり、端末を管理するMDMを使えるため、生徒が自由に端末を持ち込む「BYOD」と比べ、安心して端末を使える環境を整備・運用できます。

また、以下のようなメリットもあります。

  • 機種統⼀が可能のため、操作やトラブルの対応が統⼀され、教員の負担が⼩さい
  • 家庭の経済格差によって、低スペック端末や中古端末を使うことによるいじめ等の問題が発⽣しない
  • 端末の故障や紛失などトラブルの際の対応フローが明確でシンプル
  • 機種や OS バージョンが統⼀されているため、アプリやソフトウェアのバージョン管理が容易
  • 授業中に不必要なサービスやアプリの利⽤を制限することが可能

端末を自由に選べる「BYOD」にももちろん魅力はありますが、教員や管理者の手間軽減を考えると、「BYAD」は働き方改革時代にあった端末選択と言えるでしょう。

Google for Education
Google for Education

一元管理を実現するCEU(Chrome Education Upgrade)

端末購入の際、もう一つ大切になるのが、CEU(Chrome Education Upgrade)という Chromebook 専用の MDM(Mobile Device Manegement)です。

CEU は1つの端末から同じドメインすべての端末を設定できる管理コンソールで、
何千台の Chromebook でも、数回のクリックだけで簡単に管理できます。

CEU を利用すれば、学校で使う端末にユーザー設定やセキュリティ、端末情報などの設定を一括で行うことができます。例えば、授業に必要のないアプリのインストールを防いだり、OSのバージョンを一括で管理することで、スムーズな授業の進行を支えます。

CEU は1台につき1ライセンスを購入する必要があり、ライセンス数に応じた端末の200項目以上のセキュリティなどに関わる一元管理や端末設定が簡単にできるようになります。しかもブラウザ上で操作できるので、いつでも・どこからでも作業することができます。

このように IT 管理者に求められている課題を解決し、セキュリティやコストを管理しながら、作業の効率化・簡易化を実現するには CEU が必要不可⽋です。

まとめ

今回のブログでは高等学校における1人1台端末の整備の考え方や導入方法をご紹介しました。

電算システムでは、最新の端末導入方法である「BYAD」をはじめ、各学校のご要望に応じた端末整備をご支援しています。特に「BYAD」については、入金管理も弊社で請け負わせていただくことで先生方の負担軽減を実現できます。このほか、キッティングや端末の保証を延長するサービスなど、弊社ならではのメニューもご用意していますので、お気軽にお問い合わせいただければと思います。

1人1台端末に必要なセキュリティを確保する Chromebook

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