電算システムは、6月30日に栃木県私立中学高等学校連合会から依頼を受けて、県内の私立学校18校50名を対象に「 Google で実現する働き方改革」をテーマに研修会を実施しました。今回は、その様子をレポートしたいと思います。
お客様からの声を大切に
そもそも今回の研修会は、電算システムの教育チームのメールアドレスに一通の講演依頼メールが届いたことがきっかけでした。
送り主は佐野日本大学中等教育学校の大島宏之教諭です。これは後からわかる話なのですが、栃木県私立中学高等学校連合会で研修を企画・実施する役目を担っていたということで、お声をかけていただいたそうです。
実際にどういったことを実施したいと思っているのか、期待していることはどういったことなのかなどを確認したいこともあって、大島教諭と一度お打ち合わせの時間をいただくことにしました。5月の中旬頃だったと思います。
お話をしてみると、働き方改革に取り組む際に Google ソリューションだとどういったことが実現できるのか紹介してほしいということでしたので、それならご期待に応えることができるのではないかと感じました。
そして何より、次のように語る大島教諭の姿にすっかり心を動かされ、お引き受けすることにしたのです。
「貴社の実施されているいくつかのオンラインセミナーにも参加させてもらい、Google のことを熟知していることを感じたので、今回のことをお願いできればと思いました」
何がゴールなのかを見据える
とはいいながらも、これまで当社のエデュケーション担当部門では、教員向けに Google Workspace for Education の利活用についてはトレーニングを実施した経験がありましたが、こと働き方改革についての経験は皆無だったので、一から手探りで検討を始めることになりました。
ただ、初動の段階で確認したのは、働き方改革とは何のために実施し、誰のために行うものなのかを明確にしようということでした。
働き方改革自体は幅広い切り口から語ることができます。だからこそ、的を絞って伝えることで、誤解のないように改革の先にある未来の姿を共有しようと心掛けました。
その目的とは、「働き方改革を行うのは先生たちの幸せの実現のため」ということです。
学校現場の明るい未来をつくっていくには、まずは先生たち自身のWell-beingが実現されなければなりません。そのためにICTでできること、Google のソリューションを使ってできることを伝えることが役目なのだと考えたのです。
当日の様子(前半)
当日の会場は宇都宮駅前にあるベルヴィ宇都宮でした。どうやら普段は結婚式場として使われることが多い施設のようで、建物のちょっとしたところにもラグジュアリーさがありました。
■会場の外観
■案内表示を見ると一気に緊張も高まります
研修のはじめは、講師役を務めた当社の水野 太輔が、教員経験がある自らの経歴を振り返りながら、「忙しいと言われるようになった先生方を手助けする仕事がしたい」と思うに至った経緯をお話しました。
続いて、学校の働き方改革をどのように捉えるかというパートです。
昨年1月に中央教育審議会で示された「令和の日本型学校教育」を進めていくには、
- 教育振興基本計画の理念の継承
- GIGAスクール構想の実現
- 新学習指導要領の着実な実施
- 学校における働き方改革の推進
という4つのポイントが示されており、必要な改革を躊躇なく進めることが大切であるということを共通認識しました。
そのうえで、働き方改革への取り組みとしては、「業務改善の推進」「部活動の負担軽減」「教職員の意識改革」「保護者や地域の理解と連携の促進」「教職員の負担軽減のための条件整備」「勤務時間に関する意識改革と時間外勤務の抑制」などの例が挙げられるものの、大切なのは「先生が幸せになるため」に改革に着手すべきだということをお伝えしました。
特に、「生徒のために」だけを考えていくと、そのことが原因で業務過多になってしまうこともあるため、教師自身がゆとりを取り戻したり、教師自身があるべき姿を見つめ直したり、教師自身のなりたい姿を実現することが大切であることも付け加えました。
なお、ご参加いただいた方には事前にアンケートにもご協力をいただいていましたので、必要に応じてその結果を示しながら解説も行いました。
例えば、「働き方改革実現後に、取り組みたいこと」をお聞きしていましたが、ご自身の職務に関係のあることが多く、いい意味で先生たちがとても真面目であることがわかりました。筆者としては「ジム通いの回数を増やす」「アフター5を楽しむ」「やけ酒の回数を減らす」といったプライベートな記述があっても良かったのにと思うのですが、このあたりは日本人気質とも関係があるのでしょうか。
いずれにしても働き方改革は「先生が幸せになるための改革」なので、改めて、今、教師としてのWell-being のあり様が問われているのだと思います。
当日の様子(後半)
後半は、Google を用いることでどういった働き方改革が実現できるのか、ワークを行ったり、事例紹介を交えながら進行しました。
■他の参加者とも働き方改革で取り組めそうなアイデアを共有する
校務の活用事例としては、ドライブやドキュメントを活用したペーパーレス化の促進をまずは共有しました。紙が不要になるだけでなく、タイムリーに情報共有したり、会議時間を短縮したり、机周辺の美化にもつながるなど一石五鳥ぐらいのメリットしかないので、ぜひ、取り組んでいただきたいと思います。ただ、教職員間のリアルなコミュニケーションもやはり大事なので、言葉をしっかり交わすことことでより効果的が上がることもお伝えしました。
保護者との情報のやりとりをデジタル化することもポイントの一つです。今回はフォームを用いた欠席連絡の仕組みやGoogleサイトを使った情報共有の仕方を紹介しましたが、運用に慣れてくればメリットの大きい使い方です。
学年集会などリアルで行っていた行事をオンラインにすることで、移動時間そのものや集合した際の指導なども減り、より実施しやすくなる例なども紹介しました。
授業の活用事例としては、フォームと Chromebook のテストモードを用いた定期テストのCBT化を取り上げました。採点時間の短縮や繰り返し学習がしやすくなったりといったメリットがあり、ここ最近では取り組む学校が急激に増えてきています。ただ、何を評価するためのテストなのかをしっかり吟味したり、どの単元・分野で取り組むかをしっかり検討する必要があります。
今回ご紹介した事例は、何のために実施するのか教師が理解していないまま進めることはできません。改めて働き方改革を行う理由やそこにICTを使う目的とゴールをしっかりと共有しながら、焦らずスモールステップで進めていくことが肝心です。働き方改革に正解はありませんので、学校それぞれの立ち位置で最適解を見つけていくようチャレンジしていただければと思います。
まとめ
今回は、先日実施した働き方改革についての講演の様子をご紹介しました。
一通のメールをきっかけに実現した今回の講演会ですが、振り返ってみると、事前アンケートやプレゼンテーションの作成など講師として伝える準備をするなかで、本当にさまざまな学びを得ることができました。その意味で、私どもの方こそ、講演会を通じて学ばせていただいたのだと思います。貴重な機会をいただいた大島教諭をはじめ、栃木県私立中学高等学校連合会のみなさまには、この場をお借りして改めてお礼を申し上げます。本当にありがとうございました!!
来年も違ったテーマでご依頼をお待ちしています!!笑
電算システムでは、 Google for Education のソリューションを中心に学校現場におけるDXを支援しています。学校現場における豊富な導入実績を誇る弊社ならではのご提案も可能です。Google Meet はもちろん、Chromebook や Google Workspace for Education などの導入や活用についてお困りごとなどございましたら、お気軽にお問い合わせいただければと思います。
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- Google for Education
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