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ファイルサーバーの基本|NASとの違いとクラウド化のメリット

 2023.02.01  2023.02.07

近年、さまざまな分野でDXの推進が求められており、全社横断的なファイル共有基盤の構築が重要な経営課題のひとつになっています。本記事では、ファイルサーバーの基礎知識やNASとの違いについて解説するとともに、クラウド化のメリットやおすすめのソリューションを紹介します。

ファイルサーバーとはネットワークでファイルを共有するコンピュータ

現代は社会のあらゆる場面でデジタル化が加速しており、企業が取り扱うデータの総量は指数関数的に増大しています。情報爆発時代とも呼ばれる現代において、企業が競争優位性を確立するためには、事業活動を通して収集・蓄積した膨大なデータ群の戦略的活用が欠かせません。そこで重要な役割を担うのが、ネットワーク上でデータを保管・共有できるファイルサーバーです。

ファイルサーバーとは?

ファイルサーバーとは、LANやWANなどのネットワーク環境下でファイルを保管・共有できるシステムを指し、社内ネットワークにおける情報共有基盤となります。Windows ServerやLinuxなどのOSに搭載されたファイル共有機能を利用して、ファイルサーバーを構築している企業は数多くあるでしょう。ファイルサーバーにはID管理やパスワード管理、アクセス権限設定、アクセスログの取得・監視といった機能があり、組織内でデータを安全に保管・共有することが可能です。

ファイルサーバーは2種類

ファイルサーバーには大きく分けて「オンプレミス型」と「クラウド型」の2種類があります。それぞれに一長一短があり、経営規模や事業形態、既存のITインフラなどを考慮して、自社に適した形態を選定する必要があります。

オンプレミス型ファイルサーバーとは

オンプレミス型とは、自社に物理的なサーバーやネットワーク機器などを導入し、OSや専用のソフトウェアを用いてファイルサーバーを構築する方式です。基本的にインターネットに接続することなく、ローカルネットワーク内のみ構築できるため、セキュアなファイル共有が可能です。社外ネットワークやテレワーク環境でファイルを共有するためには、仮想プライベートネットワーク(VPN)やデスクトップの仮想化(VDI)環境が必要です。

オンプレミス型の大きなメリットは、独自に要件を定義できることです。ハードウェアの導入から要件定義・設計・実装・テスト・運用といった各工程を自社で行うため、セキュリティや可用性、拡張性、保守性、移行性などを自由に設計できます。ただし、サーバーやネットワーク機器といった物理的なハードウェアの導入には相応の費用と期間が必要です。ITインフラの運用や管理も自社のリソースで賄わなくてはなりません。

クラウド型ファイルサーバーとは

クラウド型とは、クラウド上で提供されるサービスを基盤とするファイルサーバーです。たとえば、Googleが提供するGoogleドライブやMicrosoftのOneDriveなど、オンラインストレージサービスをファイルサーバーとして活用している企業は少なくありません。インターネット接続環境さえあれば時間や場所を問わずにアクセスできるため、テレワークやハイブリッドワークといった先進的な働き方に欠かせないソリューションです。

クラウド型のファイルサーバーでは、オンプレミス型のように物理的なハードウェアを導入する必要がありません。ITインフラの保守・運用における管理コストも大幅に削減できるので、システム管理部門の業務負荷を軽減し、業績の向上に直結するコア業務にリソースを集中できます。ただし、オンプレミス型ほどの自由度はなく、必ずしも自社の要件を満たせるとは限りません。

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ファイルサーバーとNASの違い

ファイルサーバーとNASはファイルの保管・共有に利用される点では同様ですが、厳密には異なります。NASは「Network Attached Storage」の略称で「LAN接続型HDD」とも呼ばれるストレージ機器です。ファイルサーバーは、ネットワーク環境でファイルを保管・共有するシステムそのものを意味するのに対し、NASはLAN接続型HDDという物理的なハードウェアを指しており、広義ではファイルサーバーの一種といえます。

一般的な外付けHDDは一対一の関係性でコンピュータとファイルを同期しますが、NASではネットワーク上で複数のコンピュータとファイルを共有できます。コンピュータの本体に内蔵されたタイプや外付けタイプがありますが、ファイルの保管・共有に必要な機能があらかじめ搭載されており、環境の構築は比較的容易です。ただし、NASにはファイルサーバーほどの柔軟性や拡張性はなく、搭載された機能の範囲でしか自由が利かない点がデメリットです。

ファイルサーバーの利用目的

ファイルサーバーの主な利用目的は「ファイルを保存する」「ファイルを共有する」「ファイルをバックアップする」の3点です。

ファイルを保存する

ファイルサーバーの主な役割は、事業活動を通じて収集・蓄積したデータの一元管理です。クライアント端末のローカル環境でのみファイルを保管している場合、情報のサイロ化を招く要因となり、データの重複や更新の遅れによって整合性が失われる可能性があります。またハードウェアの故障でデータが破損したり、消失したりといったリスクも懸念されます。ファイルサーバーはネットワーク上の複数のクライアント端末と接続し、こうしたリスクを最小化したうえで、膨大なファイルやデータを一元管理できます。

ファイルを共有する

大量のファイルを安全かつ効率的に共有できる点も、ファイルサーバーの利用によって得られる大きなメリットのひとつです。ファイルサーバーは組織内の膨大なデータを保管するだけでなく、LANやWANといったネットワーク上で膨大なファイルを共有し、それを各ユーザーが自由に編集したり、削除したりできます。情報の検索性に優れ、職務分掌規程に応じたアクセス権限の設定も可能なため、堅牢なセキュリティ環境のなかで全社横断的な情報共有や部門の垣根を超えた業務連携が可能です。

ファイルをバックアップする

企業にとって、ITインフラの可用性確保は重要な経営課題のひとつです。ハードウェアの故障やネットワーク障害、サーバーダウン、あるいは地震や火災などでITインフラが停止した場合、データが破損・消失するだけでなく、最悪の場合は事業停止にまで追い込まれるかもしれません。ファイルサーバーを冗長化してバックアップ環境を構築すれば、有事の際のBCP対策として有効です。またITシステムのリプレイスやクラウド移行時などのバックアップ環境としても利用可能です。

Google Workspace 事例
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ファイルサーバーの4つのメリット

DXの実現が喫緊の経営課題となっている現代では、事業活動を通して収集・蓄積したデータの戦略的な活用が欠かせません。そしてデータの戦略的活用に欠かせないのがファイルサーバーです。ファイルサーバーの導入は以下のようなメリットを組織にもたらします。

・ファイル共有を効率化できる
・柔軟に拡張できる
・安全にデータを管理できる
・アクセス権限を設定できる

ファイル共有を効率化できる

コンピュータのローカル環境にあるファイルを外部に保存するだけであれば、USBメモリや外付けHDDなどで十分です。しかし、それではファイルの共有時に機器を受け渡す手間が生じるため、組織やグループでの円滑な情報共有は困難です。ファイルサーバーはネットワークを通じて大容量データの高速転送が可能であり、機器の受け渡しも不要です。複数のユーザーがファイルを閲覧・編集できるため、組織全体における情報共有の円滑化に寄与します。

柔軟に拡張できる

自社でITインフラを構築してファイルサーバーを運用する場合は、ストレージ容量の追加や機能の拡張が容易です。たとえば事業拡大に伴ってストレージ容量を増設する必要が出てきた場合や、可用性を向上するためにバックアップ環境を整備する場合でも、自社の企業規模や組織体制に適したシステム環境を柔軟に構築できます。DXの推進とビッグデータの戦略的活用が求められている現代では、ファイルサーバーの拡張性と柔軟性は重要度の高い要素です。

安全にデータを管理できる

事業活動を通して収集・蓄積したデータを安全に管理できる点もファイルサーバーを利用するメリットのひとつです。個々のクライアント端末でファイルを管理している場合、情報管理の甘さやデバイスの誤操作によって重要なデータが失われてしまう可能性があります。ファイルサーバーはネットワーク環境を通して組織内のデータを一元管理するため、万が一誤操作によるファイルの削除や機器の故障が発生しても、情報が失われることはありません。

アクセス権限を設定できる

ファイルサーバーには組織内のさまざまなデータが一元管理されているため、堅牢なセキュリティが必要です。情報漏洩インシデントの原因はマルウェアや不正アクセスといった外部の脅威だけでなく、内部の人間による意図的な情報流出によって引き起こされることもあります。ファイルサーバーにはアクセス権限を設定する機能があります。役職や部署に応じてファイルの閲覧・編集を細かく制限できるため、内部環境要因に起因する情報漏洩インシデントを最小限に抑えられます。

ファイルサーバーのデメリット3点

ファイルサーバーは組織全体のセキュアな情報共有に寄与するものの、決してメリットばかりではありません。ファイルサーバーのデメリットとして挙げられるのが以下の3点です。

・コストがかかる
・トラブル時に専門知識が必要になる
・設定や複数サーバーの管理が難しい

コストがかかる

ファイルサーバーはシステム環境の規模が大きくなるほどコストが増大します。特にオンプレミス型のファイルサーバーは自由度が高く、独自の機能要件を定義できるものの、ハードウェアの導入とシステムの設計・実装に相応の初期費用が必要です。さらに物理的なサーバーやネットワーク機器の保守・運用コスト、ソフトウェアのライセンス費用などのランニングコストも発生します。サーバー規模に応じた管理コストの増大も考慮する必要があります。ITインフラの運用や管理といったノンコア業務の領域に貴重な人的資源を投入しなくてはならない点も大きなデメリットです。

トラブル時に専門知識が必要になる

ファイルサーバーを安定稼働させるためには、ITインフラの保守と運用が欠かせません。保守とはシステムの故障や不具合を復旧することであり、運用はサーバーの点検やメンテナンスといったシステムのトラブルを未然に防止する施策のことです。サーバーやネットワーク機器などの保守業務は販売メーカーの担当ですが、運用に関しては自社のリソースで賄うのが一般的です。こうした業務には専門的な知識が求められるため、高度なスキルを有するIT人材の発掘・育成が必要です。しかし、国内では少子高齢化に伴って人材不足が深刻化しており、優れたIT人材の確保は容易ではありません。

設定や複数サーバーの管理が難しい

サーバーサイドの設定やハードウェアの複数管理が困難である点もファイルサーバーのデメリットです。ファイルサーバーを運用するために、優れたIT人材が必要となるのはトラブル発生時だけではありません。ファイルサーバーは基本的にLANやWANといったネットワークを介した設定になるため、継続的に安定稼働させるためには高度な専門知識が必要です。近年はデジタル技術の進歩・発展に伴ってサイバー攻撃の脅威も多様化かつ高度化する傾向にあるため、セキュリティに関する深い知見も求められます。またITインフラの規模が大きくなるほどサーバーの管理も複雑化し、システム管理部門の業務負荷が増大する点もデメリットのひとつです。

ファイルサーバーの構築方法

ここではオンプレミス型とクラウド型の構築方法について簡単に解説します。システム環境の規模によって必要な工程やリソースは異なりますが、一般的な構築プロセスとしては以下の通りです。

オンプレミス型ファイルサーバーの構築方法

オンプレミス型のファイルサーバーを構築する場合は「導入プロジェクトの立案・策定」に始まり、「スケジュールの調整」→「要件定義」→「ハードウェアとソフトウェアの選定」→「設計」→「開発」→「テスト」→「運用」というプロセスを辿るのが一般的です。大規模なファイルサーバーを構築する場合は、システムの導入を総合的に支援するベンダーの選定も必要です。サーバーやネットワーク機器を設置するスペースの確保、予備電源の確保、データガバナンスの確立、ユーザー教育、職務分掌に応じたアクセス権限の設定といったプロセスも必要です。

クラウド型ファイルサーバーの構築方法

クラウド型ファイルサーバーの構築はオンプレミス型と同じく「導入プロジェクトの立案・策定」を起点として、その後「クラウドサービスの選定」「クラウドサービスの契約」「運用」という流れを辿るのが基本的なプロセスです。オンプレミス型のように要件定義や設計、開発といった工程は不要で、インターネット回線と一般的なコンピュータさえあれば、オンライン上で契約を締結して即時利用できます。導入時の初期費用と開発期間を大幅に削減でき、ハードウェアを設置するスペースも不要ですが、オンプレミス型と同じくデータガバナンスの整備やアクセス権限の設定といった工程は必要です。

クラウド型ファイルサーバーの代わりになるGoogle Workspace

Google Workspaceとは、オンラインストレージやビジネスチャット、タスク管理ツール、デジタルホワイトボード、企業向けSNS、ワープロツール、表計算ツールなど、複数のアプリケーションを搭載したクラウド型のグループウェアです。クラウド環境でファイルを保管・共有するオンラインストレージと、チームでのファイル共有に特化した共有ドライブがファイルサーバーとして機能します。Googleが提供するさまざまなアプリケーションとの連携性に優れ、組織全体における業務効率化と労働生産性の向上に寄与するソリューションです。Google Workspaceについての詳細は以下の記事を参考にしてください。

【関連記事】Google Workspaceとは?機能・料金、無料版と有料版の違い

Google Workspaceでファイルサーバーをクラウド化する3つのメリット

Google Workspaceをファイルサーバーとして活用する主なメリットは以下の3点です。

・負担を軽減できる
・テレワークもスムーズになる
・セキュリティも安心

負担を軽減できる

Google Workspaceの導入によって得られる大きなメリットは、ITインフラの保守と運用が不要になる点です。Google Workspaceはアプリケーションをオンライン上で提供するSaaS型のクラウドサービスであり、インフラ部分の保守・運用はGoogleが行います。物理的なハードウェアを導入する必要がなく、保守・運用も不要なため、ITインフラの管理費用や人件費を削減できる点が大きなメリットです。また、サーバーの冗長化を図ることなくBCP対策の強化につながり、災害時におけるデータの消失や破損といったリスクも大幅に軽減できます。

テレワークもスムーズになる

テレワーク環境でファイルサーバーにアクセスする場合、VPNを経由して社内ネットワークに接続するのが一般的です。VPNとは、インターネット上に仮想の専用線を整備し、特定のユーザーのみが利用できるプライベートネットワークを指します。ただしVPNでは、外部ネットワークからアクセスが集中すると過負荷が生じ、通信のレスポンスが低下する場合があります。Google WorkspaceではVPNやゲートウェイなどを使用することなく社内ネットワークへの高速かつ安全なアクセスが可能で、外部から大量の通信があっても過負荷によるレスポンスの低下が発生しません。

セキュリティも安心

クラウドコンピューティングはパブリック環境でリソースを共有するという性質から、セキュリティリスクを懸念する声が少なくありません。しかし、Google Workspaceはプライバシーに関する国際規格「ISO/IEC 27701」や、情報セキュリティの管理方法を規定した国際規格「ISO/IEC 27017」など、国際標準であるISO規格のセキュリティ認証を得ているサービスです。ITに関する専門的な知識がなくても、ひとつの管理コンソールでアカウントやアプリケーションを管理できます。アクセス権限の設定や二段階認証といったセキュリティ機能によってセキュアな情報共有基盤の構築に貢献します。

まとめ

ファイルサーバーとは、LANやWANなどのネットワーク環境下でファイルを保管・共有するためのシステムです。ファイルサーバーとNASは類似していますが、前者は組織規模でのファイル保管・共有のために構築されたシステムそのものを指すのに対し、後者はネットワーク対応型のストレージ機器(サーバーではない)を指します。ファイルサーバーの導入を検討しているのであれば、運用管理や拡張の柔軟性、セキュリティの強度といった観点からクラウド型がおすすめです。特にGoogle Workspaceの戦略的活用を推進する企業は、ファイルサーバーの部分をGoogle ドライブの共有ドライブで利用できるのでぜひ電算システムが提供するホワイトペーパーをご一読ください。

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